みのる選:2012年11月度

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2012年11月26日(月)

2012年11月18日~24日

2012年11月24日
一年の息災謝して炉を開くなつき
客寄せの幟色あせ崩れ簗ともえ
威勢よき黒潮市場牡蠣を盛る満天
石庭の砂紋縁どる散紅葉さつき
2012年11月23日
車椅子降りて拾ひし彩紅葉わかば
大空の虚ろに一花返り花有香
退院の決りし友と日向ぼこ百合
広げてはまた閉づ峡のしぐれ傘つくし
晩年の余白むさぼる日向ぼこ宏虎
翻る禰宜の袴や七五三よし女
2012年11月22日
振袖にズックの見ゆる七五三よし女
油絵のごとき一枚柿落葉雅流
六甲の嶺嶺消してゆく夕時雨菜々
案内は船場ことばや神農祭きづな
小旋毛に落葉の踊る交差点ぽんこ
晩秋の木々の五彩や古都巡るひかり
筑紫野に起伏をなせる紅葉山せいじ
紅葉洩る薄ら日に笑む伎芸天よし子
2012年11月21日
ゆるやかな起伏の園の落葉ふむ菜々
逆縁を生きて幾とせ紅葉散るせいじ
白鷺の降りて戸惑ふ池普請満天
白壁のオブジェめきたる蔦紅葉はく子
虻どちら花わたりゆく石蕗日和雅流
凍て空へ火葬の煙直立すせいじ
飽食の世や鈴生りに柿残る三刀
2012年11月20日
屋敷町ゆけば柊にほひくる菜々
老吾を相哀れむか枯蟷螂宏虎
夙川のなぞへを埋む散紅葉わかば
目つむれば遠き日の夢日向ぼこあさこ
花舗の土間賑はしてゐるシクラメンあさこ
留守宮の杜に高鳴るトランペットよし女
そこここに石蕗の黄散らす松の庭はく子
大玻璃をフレームとして庭紅葉満天
花名札うべなひ巡る苑小春きづな
斯く長く花茎立つる石蕗日和雅流
夕帷払ひて白し花八つ手宏虎
貼り絵めく雨の舗道の散紅葉ともえ
2012年11月19日
整列し亀甲羅干す池小春せいじ
と見る間に一村失せて霧襖有香
礎石あるのみの門跡木の実降るうつぎ
花八つ手幾何学模様なせりけり治男
古民家へ轍のつづく草紅葉あさこ
黄落に落成税務大学校菜々
軒高く積まれし薪や冬構宏虎
2012年11月18日
四阿の屋根に嵩なす落葉かなさつき
首塚のご紋は桔梗落葉舞ふうつぎ
枯蓮首うなだれて林立す英子
堆き落葉に弾むスニーカー菜々
老農のほまち田の蓮枯れつくす雅流

2012年11月19日(月)

2012年11月11日~17日

2012年11月17日
日の射して樹氷は綺羅を極めけり英子
猪注意札立つ道に迷ひけりさつき
美術展出て黄落の径帰る有香
引き潮の潮先漁る群れ千鳥三刀
町の色町の音消し冬の雨菜々
学舎の白壁濃ゆき紅葉影満天
産土神のお発ちか山の雲速し雅流
2012年11月16日
吾が影の一歩に翔ちし浜千鳥よし女
日本のロンドンといふ霧の街こすもす
冬の蠅陽射す障子に身じろがず三刀
絨毯のごとふつくらと秋の山とろうち
たもとほる神戸居留地夕時雨菜々
蒼天を焦がして燃ゆる谷紅葉せいじ
山門へ百のきざはし冬紅葉よし子
冬耕の畝整然と黒光り治男
2012年11月15日
兄ちゃんが弟あやす七五三つくし
四阿に宿る我らに時雨虹雅流
裏参道銀杏拾ひの人絶へずなつき
散り敷きて桜紅葉の美し道わかば
北風に尻振りやまぬ風力計ぽんこ
掃き寄せている間も背なに銀杏散る満天
2012年11月14日
一服の煎茶が馳走今朝の冷えつくし
木枯に首縮めゆく下校の子三刀
吾が肩の今日は機嫌や毛糸編むよし女
どの家の柿もたわわや里日和よし子
日を弾く湖面の綺羅に浮寝鳥さつき
地下街へ逃げ込んでくる落葉かなわかば
2012年11月13日
しぐるるや路地の家並の昼灯つくし
釣り人の頭上飛び交ふ冬鴎さつき
粛々として銀杏散る御堂筋宏虎
木枯らしの路地駈けてゆく靴の音百合
産直の大根の葉のみずみずし満天
鶴飛来減るを嘆かふ翁かなよし女
真っ先に蒟蒻に箸おでん鍋うつぎ
降り積みて風紋めきし散紅葉とろうち
2012年11月12日
一雨に勢いを得し実千両あさこ
かすかなる奈落の瀬音紅葉狩ともえ
苑小春楽鳴らし行く清掃車はく子
無事終る避難訓練神の留守よし女
フラミンゴみな片足や園小春よし女
大の字に寝ころぶ丘の秋の人さつき
冬菊の縁取る遺影悼みけり満天
故郷の時雨に遭ふも懐かしくうつぎ
2012年11月11日
からかさに宿りて雨の七五三有香
濤白く月の断崖洗ひけりよう子
庭紅葉靴脱ぎ石に僧の下駄うつぎ
白壁に小春日集む城櫓せいじ

2012年11月12日(月)

2012年11月4日~10日

2012年11月10日
井戸端のザビエル像に紅葉散る三刀
親よりも夫よりも生き夜の長しあさこ
銀杏散るテニスコートの打球音よし女
父母の墓標に触れて紅葉散る菜々
息詰めて見る木の実独楽止まるまでうつぎ
余命無き老犬看取る夜長かなぽんこ
石棺の中に散り込む紅葉かなよし女
2012年11月09日
七五三袴で四股を踏む子かななつき
遙拝ですます山門日短よし女
下校児を包む野焼きの煙かなあさこ
雨晴れて小紋のごとく散紅葉とろうち
串刺しのごと鉄塔や山眠るはく子
人寄ればともる門灯夜寒かな雅流
仁王像泰然自若寒風裡宏虎
2012年11月08日
古民家の火のなき大炉冬ざるる雅流
束の間の日溜り惜しむ返り花うつぎ
父に母に両手預けて七五三あさこ
末広の水脈曳き進む番鴨せいじ
神留守の鳥居に踊るチンドン屋ぽんこ
木の葉髪叩けば出でし物忘れなつき
2012年11月07日
山に影進むとも無き冬の雲よし女
托鉢の僧は本物菊花展百合
窓越にさす残照の冬茜三刀
免許更新はれてゴールド冬日燦こすもす
園小春笑顔こぼるる車椅子満天
切り盛りは媼二人や走り蕎麦うつぎ
双眼鏡のぞいて欠伸丘小春なつき
石塔の尖りて燃ゆる紅葉山つくし
木の実降る野点の宴も隔てなく宏虎
新蕎麦や心許なき茶屋の卓よし子
神池の底ひび割れて冬に入る雅流
夕暮れの庭の一隅石蕗明かり満天
神木の大き根方や石蕗の花ひかり
2012年11月06日
木の実降る手作りパン屋繁盛す有香
小春の日煌めく川面斜張橋ひかり
小夜覚めて間遠に聞こゆ初時雨わかば
穴惑追ひかけてゆく子等の声つくし
掘り出せば子芋孫芋数珠つなぎなつき
紅葉敷く湖面白鷺着水す満天
鵙高音雲一つなき峡の空雅流
歳時記の栞に拾ふ散紅葉さつき
神殿に灯点す宮司神無月つくし
錦秋や水の面も水底もとろうち
うなじふと冷たき気配時雨来るともえ
池の面は合はせ鏡や松手入れ菜々
流感の予防注射も冬支度満天
乱れ無き庭の箒目一位の実よし子
2012年11月05日
狛犬のあうんと睨む神の留守よし子
松茸が目当てと集ふバスツアー満天
石垣に竹田城址の秋惜しむ雅流
老夫婦手をつなぎあふ野路の秋さつき
目鼻入れられて団栗笑ひだすうつぎ
横すべりするはメタボの木の実独楽有香
庭手入れ小春日和に恵まれてともえ
小走りになりし散歩や時雨急つくし
2012年11月04日
船底に赤ペンキ塗る島小春なつき
京野菜育つ奥嵯峨冬隣菜々
遠富士を隠さふべしや稲埃とろうち
関取の草履を思ふ朴落葉よし女

2012年11月05日(月)

2012年10月28日~11月3日

2012年11月03日
古書店は一坪あまり秋ともしとろうち
生徒らのコーナー街の菊花展せいじ
吊し柿簾をなせる旧家かなつくし
花嫁は白無垢と見し菊衣よし女
写真展我が街百景文化の日満天
嵐電の車窓に古都の秋惜しむ菜々
2012年11月02日
末枯れの野にいと小さき忠魂碑ぽんこ
暗き庭なれど一隅石蕗明かりともえ
炉を開く心尽くしのお善哉わかば
日を弾き錐もみ落つる銀杏かなよし女
白塀にりりしき影や貴船菊あさこ
秋の水掬ふ蒼天揺るがせてとろうち
2012年11月01日
高階の茶房に街の秋惜しむはく子
産土に在す大銀杏散り敷ける雅流
禅寺の掃かれし庭へ銀杏散る雅流
竹林の俄に翳り嵯峨時雨宏虎
秋惜しむ野宮の径たもとほり菜々
菊日和うぐゐす張りの高鳴りて菜々
2012年10月31日
な踏みそ五彩の落葉磴に散るぽんこ
コーヒーの熱きを所望秋の人宏虎
清盛の贅といふべき菊衣満天
裏庭に鵯騒がしき小春かなあさこ
喬木の裾を火に染む蔦紅葉ともえ
猫呼んで戸締まり終へる十三夜有香
紙漉きの煙たなびく峡の里さつき
2012年10月30日
中天に白研ぎ澄ます後の月菜々
家々の路地の間より後の月はく子
栗名月甍を濡らす峡の里菜々
家老門潜るや石蕗の花明り三刀
2012年10月29日
行く雲を追ひかけて去ぬ燕かなさつき
水脈白く船の行き交ふ秋の潮よし子
教会の畳に五彩秋日影三刀
クリスタルビルを過ぎりて秋の雲満天
激つ瀬の岩に張りつく散り紅葉さつき
夕焼に弧の水脈描き入港すうつぎ
色鳥来山の城趾の野面積とろうち
2012年10月28日
すれ違ふ猫知らぬ顏十三夜有香
星座盤かざして仰ぐ星月夜さつき
秋ともし床屋の古き大時計なつき
夕茜秋耕人の影法師よし子
風にひれ伏しては直る秋桜百合
明日香路雲たずさへて十三夜宏虎

 

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