みのる選:2011年11月度

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2011年11月28日(月)

2011年11月20日~26日

2011年11月26日
笹鳴の空耳なれやもう鳴かずうつぎ
をみならの酒豪揃ひや忘年会満天
冬日燦太陽の塔笑ひけり百合
四方より天蓋なせる池紅葉わかば
虫食ひも咎なし喜寿の冬菜畑なつき
冬温し人あふれゐる茶屋床几わかば
古本屋おでん屋隣る大学祭はく子
2011年11月25日
来し方の記録の整理日記果つ三刀
留守の間に庭師来ている冬の晴きづな
梵鐘の余韻嫋々山眠る宏虎
冬の海一条の日矢射しにけりわかば
いてふ散る都大路を黄に染めてはく子
銀杏散る中熱弁す演説子満天
自ずから足早となる日短ぽんこ
斜張橋小春の灘を一跨ぎ菜々
鬼貫の句碑に日当たる鴨堤よし子
そそり立つ岩場に傾ぐ冬木立なつき
2011年11月24日
紅葉散る水子の墓のそこここに雅流
玉の日に錦繍の森耀へりはく子
托僧の足音高き落葉道花茗荷
神渡しここだ木の実を降らしけりはく子
大文字の火床あらはに山眠る菜々
堆き落葉隠れに遭難碑よし女
2011年11月23日
着膨れし吾に目を剥く仁王かななつき
地を覆ふ朽ち葉冬日に膨れけり花茗荷
苔庭の起伏彩る散もみぢ菜々
2011年11月22日
金賞の威容の名残菊枯るる花茗荷
奥院へ磴また磴や落葉踏むわかば
おでん鍋銘酒五橋の封を切るよし女
古都も奥北山杉にしぐれけりあさこ
冬日燦磨き並べし杉丸太あさこ
大仏の長き福耳鵙高音なつき
2011年11月21日
雲切れて粧ふ山を照らしけりせいじ
高塀を越ゆる皇帝ダリアかなあさこ
境内に諍ふ猫や神の留守ぽんこ
手話室の窓に玉の日シクラメンつくし
夕映ゆる桜紅葉の大樹かなひかり
ガラシヤの辞世の歌碑にもみぢ散るはく子
羅漢どちみなお揃ひの毛糸帽有香
犬小屋の屋根に掛けある古毛布干つくし
2011年11月20日
冬の虹片足かける雑木山花茗荷
病み抜けて菊百鉢を存問すはく子

2011年11月21日(月)

2011年11月13日~19日

2011年11月19日
粕汁の一椀に酔ふ下戸至福こすもす
落葉径梢に標す赤き布なつき
庭隅の忘れ軍手に時雨けりつくし
木隠れに犬を呼ぶこゑ猟期来る雅流
一燭のゆらぎて屋敷神立たる菜々
店頭をポインセチアが占領す満天
2011年11月18日
団栗を蹴りつつ下る女坂つくし
丘に立つマリアの像に冬日燦満天
晩酌のお口直しは美濃熟柿こすもす
廊冷えて靴音ひびく朝かなはく子
残り咲く菊の支へを直しけり雅流
彩窓のごとくに雑木紅葉燃ゆせいじ
使いの子鉄砲玉や日短よし子
大河あり穂芒光る中洲かな三刀
2011年11月17日
靄脱ぎて錦秋現るる森の朝はく子
翠緑と紅葉彩なす庵かな三刀
一筆の朱を足し墨絵温かしなつき
落葉嵩深きこの道選びけりわかば
陽に透けて軒に連なるつるし柿花茗荷
竹馬の猿に喝采園小春よし女
カリヨンの駅前広場黄落期雅流
酒粕を焼いたりもして夜業かなつくし
岩を打つ波の飛沫や冬の月宏虎
2011年11月16日
身に入むや晨朝に友召されしとあさこ
紅葉山揺らして渡るかずら橋治男
利き酒に酔ひて階段な滑りそよし子
今年また風の道へと掛け大根よし女
2011年11月15日
流れ来る酒づくり歌蔵冴ゆる満天
寒造りへ諸肌脱ぎて麹室菜々
藁菰に銘柄燦と今年酒菜々
日時計に子ら屯せる小春かなわかば
酒蔵の高き小窓に冬日洩るうつぎ
利き酒の山田錦と納得すこすもす
2011年11月14日
しろがねに見ゆは干潟の千鳥かな三刀
枯葉ふと止まるときありまた落つるぽんこ
所在なさげにさまよへる冬の蝶ともえ
波の間に鋼光す夕千鳥よし女
2011年11月13日
一点を睨みし鋭目や檻の鷹宏虎
枯蟷螂向きあえば未だ闘志見ゆともえ
銀杏散る歩道車道の隔てなく三刀
武家屋敷雪吊り松の男ぶりなつき

2011年11月14日(月)

2011年11月6日~12日

2011年11月12日
穂芒をかき分け進む尾根の路せいじ
散りてまた風に高舞ふ葉かなよし女
川普請工事の人の声ひびくつくし
日を浴びて散華のごとく木の葉舞ふはく子
分水嶺吹き分けらるる花芒せいじ
うつむくと仰向くとあり朴落葉うつぎ
人垣は賞の札たつ菊の前百合
2011年11月11日
村時雨観音堂に宿りもす有香
のぞきゐし吾を手招きす菊主うつぎ
左大臣右大臣なす懸崖菊こすもす
足湯ありますと湖畔の紅葉茶屋なつき
白靴のままお買ひ物旅帰りあさこ
濠紅葉仄と水際を染めにけりわかば
人絶えぬ北向き地蔵菊香るぽんこ
庭手入れ小春の日差し背ナに負ひ菜々
水琴窟われもわれもと苑小春はく子
山国の日差しは貴重蕎麦を干すよし女
2011年11月10日
新聞の切り抜きに飽く炬燵かな満天
白障子踊る梢の影法師つくし
誰彼となく会釈して花野人せいじ
外濠の水細くなり冬に入る百合
老犬をカートに散歩冬日和ぽんこ
2011年11月09日
石蕗日和つくばゐはいまバードバス菜々
人影のなき園なれど冬薔薇つくし
舞殿の足跡は猿神の留守うつぎ
一と日掃き忘れしに斯く落葉嵩よし女
夕日射す軒に連なる柿すだれ有香
雁の列一糸乱れず進みけりこすもす
2011年11月08日
大輪の菊籬とす野点席うつぎ
喬木のポプラ散華のごと落葉ひかり
父母を恋ふ生家の庭の柿たわわはく子
温顔の市長の像に小鳥来る百合
延命水汲むに列なす神の留守よし女
稜線の折れ線グラフ霧襖わかば
鴨の陣近寄り見ればみな四散あさこ
2011年11月07日
青首を掴みて一気大根抜く宏虎
橋脚を潜るは釣瓶落しの日せいじ
黒潮の海を遥かに蜜柑摘むうつぎ
抜け道を通せんぼする猫じゃらしつくし
虻たちの協奏曲や石蕗日和あさこ
玉砂利の落葉きよす熊手ぽんこ
小鳥来てゐるらし猫の鈴がなる有香
2011年11月06日
満々の池に初鴨水脈を引く三刀
遊子われ時雨の池塘たもとほりよし女
色葉散る天満の浜の石畳ひかり
老幹を搦めてのぼる蔦紅葉ともえ
平凡な日々が幸せ日記買ふつくし
石蕗明かり射す太閤の碁盤石わかば
秋うららフリマ広場に人溢れはく子
隅櫓抱きて城山装ひぬこすもす
枯蟷螂ふりむく顔に虚ろな目よし子
門灯の小暗きに来し亥の子突雅流

2011年11月07日(月)

2011年10月30日~11月5日

2011年11月05日
我が影に紅葉且つ散るをんな坂菜々
廃屋の戸を虜とす蔦紅葉よし子
吟詠の声蘆原の遙かよりせいじ
内海の島々煙る初時雨あさこ
曼荼羅に打ち敷く雑木紅葉かなうつぎ
紅葉かつ散りて嵩なす深山道ぽんこ
大紅葉天蓋なせる野点かなわかば
列なして玉砂利を踏む時雨傘つくし
大吉のみくじ疑ふ神の留守満天
鯖街道卯建の軒に吊し柿治男
2011年11月04日
露万朶ダイヤ光し朝日出づぽんこ
嵯峨小春と行き斯くゆく人力車宏虎
乱れ髪振るごと風の枯れ芒ともえ
断崖の天辺石蕗の花明かりよし女
陵の裳裾は雑木紅葉かなひかり
流木の打ち臥す渚冬ざるるせいじ
2011年11月03日
パソコンがわたしのレシピ文化の日うつぎ
心字池秋日影濃き要石うつぎ
行厨は本丸の庭菊日和菜々
波立てて諍ふ鯉や神の留守よし女
秋日いま硯の海に昏れなんとせいじ
2011年11月02日
火矢駈けるごと夕焼の飛行雲せいじ
無位無冠なれど健康文化の日宏虎
留守宮の鈴を大きく鳴らしけりはく子
鈴生りに実の生る楓大樹かなあさこ
とろろ汁雑穀飯に適ひたり雅流
2011年11月01日
田仕舞の煙おちこち谷戸の里きづな
白壁に色を落としぬ熟し柿三刀
綿菓子のごとく膨れる秋の雲ともえ
炉を開く茶室に匂ふ青畳宏虎
里芋の葉より現れたる農婦かなせいじ
格子戸に透く大輪の菊の鉢満天
鈴の緒の真新となりて神迎えはく子
群青の一枚鏡海小春わかば
ゴルフ場訪へば休日日向ぼこあさこ
方丈の裏に回れば石蕗黄なりよし子
2011年10月31日
築山の菊は五彩を競ひけりぽんこ
病院の廊下は画廊窓紅葉つくし
居眠りすセラピードッグ苑小春こすもす
陵の見えゐて遠し里時雨ひかり
寝ぐせにはあらずおしゃれの七五三なつき
大屋根を登りつめたる牽牛花ぽんこ
城址とて石垣ばかり草もみぢはく子
修復の仁王の玉眼うそ寒しよし女
塔見えて大本山の紅葉濃し宏虎
2011年10月30日
夕映えの蘆原に落つ鳥の影せいじ
一刷けの雲は純白秋の晴よし子
秋風に金明竹のさやぎかなうつぎ
喜寿の宴とて室の花侍らしぬなつき
日向ぼこ玉座にお尻はばからずうつぎ
猫通る下段を空けて障子貼る有香
枯山水仄と色づく初時雨宏虎
杉美林抜けて展けし柿の里きづな
露万朶なる野の草に朝日射すよし女

 

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