みのる選:2011年11月度
2011年11月26日 | |
笹鳴の空耳なれやもう鳴かず | うつぎ |
をみならの酒豪揃ひや忘年会 | 満天 |
冬日燦太陽の塔笑ひけり | 百合 |
四方より天蓋なせる池紅葉 | わかば |
虫食ひも咎なし喜寿の冬菜畑 | なつき |
冬温し人あふれゐる茶屋床几 | わかば |
古本屋おでん屋隣る大学祭 | はく子 |
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2011年11月25日 | |
来し方の記録の整理日記果つ | 三刀 |
留守の間に庭師来ている冬の晴 | きづな |
梵鐘の余韻嫋々山眠る | 宏虎 |
冬の海一条の日矢射しにけり | わかば |
いてふ散る都大路を黄に染めて | はく子 |
銀杏散る中熱弁す演説子 | 満天 |
自ずから足早となる日短 | ぽんこ |
斜張橋小春の灘を一跨ぎ | 菜々 |
鬼貫の句碑に日当たる鴨堤 | よし子 |
そそり立つ岩場に傾ぐ冬木立 | なつき |
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2011年11月24日 | |
紅葉散る水子の墓のそこここに | 雅流 |
玉の日に錦繍の森耀へり | はく子 |
托僧の足音高き落葉道 | 花茗荷 |
神渡しここだ木の実を降らしけり | はく子 |
大文字の火床あらはに山眠る | 菜々 |
堆き落葉隠れに遭難碑 | よし女 |
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2011年11月23日 | |
着膨れし吾に目を剥く仁王かな | なつき |
地を覆ふ朽ち葉冬日に膨れけり | 花茗荷 |
苔庭の起伏彩る散もみぢ | 菜々 |
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2011年11月22日 | |
金賞の威容の名残菊枯るる | 花茗荷 |
奥院へ磴また磴や落葉踏む | わかば |
おでん鍋銘酒五橋の封を切る | よし女 |
古都も奥北山杉にしぐれけり | あさこ |
冬日燦磨き並べし杉丸太 | あさこ |
大仏の長き福耳鵙高音 | なつき |
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2011年11月21日 | |
雲切れて粧ふ山を照らしけり | せいじ |
高塀を越ゆる皇帝ダリアかな | あさこ |
境内に諍ふ猫や神の留守 | ぽんこ |
手話室の窓に玉の日シクラメン | つくし |
夕映ゆる桜紅葉の大樹かな | ひかり |
ガラシヤの辞世の歌碑にもみぢ散る | はく子 |
羅漢どちみなお揃ひの毛糸帽 | 有香 |
犬小屋の屋根に掛けある古毛布干 | つくし |
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2011年11月20日 | |
冬の虹片足かける雑木山 | 花茗荷 |
病み抜けて菊百鉢を存問す | はく子 |
2011年11月19日 | |
粕汁の一椀に酔ふ下戸至福 | こすもす |
落葉径梢に標す赤き布 | なつき |
庭隅の忘れ軍手に時雨けり | つくし |
木隠れに犬を呼ぶこゑ猟期来る | 雅流 |
一燭のゆらぎて屋敷神立たる | 菜々 |
店頭をポインセチアが占領す | 満天 |
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2011年11月18日 | |
団栗を蹴りつつ下る女坂 | つくし |
丘に立つマリアの像に冬日燦 | 満天 |
晩酌のお口直しは美濃熟柿 | こすもす |
廊冷えて靴音ひびく朝かな | はく子 |
残り咲く菊の支へを直しけり | 雅流 |
彩窓のごとくに雑木紅葉燃ゆ | せいじ |
使いの子鉄砲玉や日短 | よし子 |
大河あり穂芒光る中洲かな | 三刀 |
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2011年11月17日 | |
靄脱ぎて錦秋現るる森の朝 | はく子 |
翠緑と紅葉彩なす庵かな | 三刀 |
一筆の朱を足し墨絵温かし | なつき |
落葉嵩深きこの道選びけり | わかば |
陽に透けて軒に連なるつるし柿 | 花茗荷 |
竹馬の猿に喝采園小春 | よし女 |
カリヨンの駅前広場黄落期 | 雅流 |
酒粕を焼いたりもして夜業かな | つくし |
岩を打つ波の飛沫や冬の月 | 宏虎 |
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2011年11月16日 | |
身に入むや晨朝に友召されしと | あさこ |
紅葉山揺らして渡るかずら橋 | 治男 |
利き酒に酔ひて階段な滑りそ | よし子 |
今年また風の道へと掛け大根 | よし女 |
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2011年11月15日 | |
流れ来る酒づくり歌蔵冴ゆる | 満天 |
寒造りへ諸肌脱ぎて麹室 | 菜々 |
藁菰に銘柄燦と今年酒 | 菜々 |
日時計に子ら屯せる小春かな | わかば |
酒蔵の高き小窓に冬日洩る | うつぎ |
利き酒の山田錦と納得す | こすもす |
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2011年11月14日 | |
しろがねに見ゆは干潟の千鳥かな | 三刀 |
枯葉ふと止まるときありまた落つる | ぽんこ |
所在なさげにさまよへる冬の蝶 | ともえ |
波の間に鋼光す夕千鳥 | よし女 |
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2011年11月13日 | |
一点を睨みし鋭目や檻の鷹 | 宏虎 |
枯蟷螂向きあえば未だ闘志見ゆ | ともえ |
銀杏散る歩道車道の隔てなく | 三刀 |
武家屋敷雪吊り松の男ぶり | なつき |
2011年11月12日 | |
穂芒をかき分け進む尾根の路 | せいじ |
散りてまた風に高舞ふ葉かな | よし女 |
川普請工事の人の声ひびく | つくし |
日を浴びて散華のごとく木の葉舞ふ | はく子 |
分水嶺吹き分けらるる花芒 | せいじ |
うつむくと仰向くとあり朴落葉 | うつぎ |
人垣は賞の札たつ菊の前 | 百合 |
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2011年11月11日 | |
村時雨観音堂に宿りもす | 有香 |
のぞきゐし吾を手招きす菊主 | うつぎ |
左大臣右大臣なす懸崖菊 | こすもす |
足湯ありますと湖畔の紅葉茶屋 | なつき |
白靴のままお買ひ物旅帰り | あさこ |
濠紅葉仄と水際を染めにけり | わかば |
人絶えぬ北向き地蔵菊香る | ぽんこ |
庭手入れ小春の日差し背ナに負ひ | 菜々 |
水琴窟われもわれもと苑小春 | はく子 |
山国の日差しは貴重蕎麦を干す | よし女 |
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2011年11月10日 | |
新聞の切り抜きに飽く炬燵かな | 満天 |
白障子踊る梢の影法師 | つくし |
誰彼となく会釈して花野人 | せいじ |
外濠の水細くなり冬に入る | 百合 |
老犬をカートに散歩冬日和 | ぽんこ |
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2011年11月09日 | |
石蕗日和つくばゐはいまバードバス | 菜々 |
人影のなき園なれど冬薔薇 | つくし |
舞殿の足跡は猿神の留守 | うつぎ |
一と日掃き忘れしに斯く落葉嵩 | よし女 |
夕日射す軒に連なる柿すだれ | 有香 |
雁の列一糸乱れず進みけり | こすもす |
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2011年11月08日 | |
大輪の菊籬とす野点席 | うつぎ |
喬木のポプラ散華のごと落葉 | ひかり |
父母を恋ふ生家の庭の柿たわわ | はく子 |
温顔の市長の像に小鳥来る | 百合 |
延命水汲むに列なす神の留守 | よし女 |
稜線の折れ線グラフ霧襖 | わかば |
鴨の陣近寄り見ればみな四散 | あさこ |
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2011年11月07日 | |
青首を掴みて一気大根抜く | 宏虎 |
橋脚を潜るは釣瓶落しの日 | せいじ |
黒潮の海を遥かに蜜柑摘む | うつぎ |
抜け道を通せんぼする猫じゃらし | つくし |
虻たちの協奏曲や石蕗日和 | あさこ |
玉砂利の落葉きよす熊手 | ぽんこ |
小鳥来てゐるらし猫の鈴がなる | 有香 |
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2011年11月06日 | |
満々の池に初鴨水脈を引く | 三刀 |
遊子われ時雨の池塘たもとほり | よし女 |
色葉散る天満の浜の石畳 | ひかり |
老幹を搦めてのぼる蔦紅葉 | ともえ |
平凡な日々が幸せ日記買ふ | つくし |
石蕗明かり射す太閤の碁盤石 | わかば |
秋うららフリマ広場に人溢れ | はく子 |
隅櫓抱きて城山装ひぬ | こすもす |
枯蟷螂ふりむく顔に虚ろな目 | よし子 |
門灯の小暗きに来し亥の子突 | 雅流 |
2011年11月05日 | |
我が影に紅葉且つ散るをんな坂 | 菜々 |
廃屋の戸を虜とす蔦紅葉 | よし子 |
吟詠の声蘆原の遙かより | せいじ |
内海の島々煙る初時雨 | あさこ |
曼荼羅に打ち敷く雑木紅葉かな | うつぎ |
紅葉かつ散りて嵩なす深山道 | ぽんこ |
大紅葉天蓋なせる野点かな | わかば |
列なして玉砂利を踏む時雨傘 | つくし |
大吉のみくじ疑ふ神の留守 | 満天 |
鯖街道卯建の軒に吊し柿 | 治男 |
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2011年11月04日 | |
露万朶ダイヤ光し朝日出づ | ぽんこ |
嵯峨小春と行き斯くゆく人力車 | 宏虎 |
乱れ髪振るごと風の枯れ芒 | ともえ |
断崖の天辺石蕗の花明かり | よし女 |
陵の裳裾は雑木紅葉かな | ひかり |
流木の打ち臥す渚冬ざるる | せいじ |
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2011年11月03日 | |
パソコンがわたしのレシピ文化の日 | うつぎ |
心字池秋日影濃き要石 | うつぎ |
行厨は本丸の庭菊日和 | 菜々 |
波立てて諍ふ鯉や神の留守 | よし女 |
秋日いま硯の海に昏れなんと | せいじ |
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2011年11月02日 | |
火矢駈けるごと夕焼の飛行雲 | せいじ |
無位無冠なれど健康文化の日 | 宏虎 |
留守宮の鈴を大きく鳴らしけり | はく子 |
鈴生りに実の生る楓大樹かな | あさこ |
とろろ汁雑穀飯に適ひたり | 雅流 |
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2011年11月01日 | |
田仕舞の煙おちこち谷戸の里 | きづな |
白壁に色を落としぬ熟し柿 | 三刀 |
綿菓子のごとく膨れる秋の雲 | ともえ |
炉を開く茶室に匂ふ青畳 | 宏虎 |
里芋の葉より現れたる農婦かな | せいじ |
格子戸に透く大輪の菊の鉢 | 満天 |
鈴の緒の真新となりて神迎え | はく子 |
群青の一枚鏡海小春 | わかば |
ゴルフ場訪へば休日日向ぼこ | あさこ |
方丈の裏に回れば石蕗黄なり | よし子 |
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2011年10月31日 | |
築山の菊は五彩を競ひけり | ぽんこ |
病院の廊下は画廊窓紅葉 | つくし |
居眠りすセラピードッグ苑小春 | こすもす |
陵の見えゐて遠し里時雨 | ひかり |
寝ぐせにはあらずおしゃれの七五三 | なつき |
大屋根を登りつめたる牽牛花 | ぽんこ |
城址とて石垣ばかり草もみぢ | はく子 |
修復の仁王の玉眼うそ寒し | よし女 |
塔見えて大本山の紅葉濃し | 宏虎 |
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2011年10月30日 | |
夕映えの蘆原に落つ鳥の影 | せいじ |
一刷けの雲は純白秋の晴 | よし子 |
秋風に金明竹のさやぎかな | うつぎ |
喜寿の宴とて室の花侍らしぬ | なつき |
日向ぼこ玉座にお尻はばからず | うつぎ |
猫通る下段を空けて障子貼る | 有香 |
枯山水仄と色づく初時雨 | 宏虎 |
杉美林抜けて展けし柿の里 | きづな |
露万朶なる野の草に朝日射す | よし女 |