みのる選:2011年7月度
みのる選:2011年7月度
2011年07月23日 | |
隣家より赤子泣くこゑ田水沸く | 雅流 |
立ち話尽きず片蔭細りゆく | うつぎ |
サーファーの波に消えては現るる | 宏虎 |
大空のシャンデリアなる揚花火 | よし女 |
2011年07月22日 | |
蝉しぐれ南無の字多き経写す | よし子 |
ツバメの巣監視カメラの裏側に | こすもす |
蝉時雨水琴窟に降り注ぐ | 菜々 |
朝日さす葉裏返してトマト取る | よう子 |
夏草や遠き明治の橋名板 | ひかり |
採血の部屋の窓辺に白き百合 | あさこ |
空蝉に残る命の湿りかな | うつぎ |
2011年07月21日 | |
結界に拝す玉座も黴の香に | きづな |
錆び付きし埠頭を洗ふ土用波 | せいじ |
空蝉を宝のごとく掌に | 三刀 |
留石の奥はみどりの古墳山 | 菜々 |
沖潮の紫紺や浜の赤とんぼ | よし女 |
日盛りやしわがれ声の鴉鳴く | なつき |
大梁が自慢の老舗鮎の宿 | 菜々 |
子に送る野菜あれこれ明易し | 雅流 |
遠雷の魁け雨の匂ひけり | 宏虎 |
2011年07月20日 | |
夏野行くリュックサックに花図鑑 | きづな |
台風の尻尾か海の波尖る | わかば |
強風裡なれど臆せず蝉しぐれ | ひかり |
林立のビルを侍らし雲の峰 | 菜々 |
吟醸の冷やこそ佳けれ暑気払 | 雅流 |
瀬がしらの白く躍りて夏の川 | よし子 |
2011年07月19日 | |
蓮の葉の水をこぼして風わたる | きづな |
瀬音聴く水掛け地蔵面涼し | こすもす |
女子会の乾杯ビール高々と | 雅流 |
紫蘇ジュ−ス仕上げにレモンしぼりけり | 満天 |
野分けくる予兆か雨の匂ひけり | ぽんこ |
若者の和太鼓演奏汗の飛ぶ | はく子 |
台風裡畑の蔓もの翻弄す | 菜々 |
門柱に魔除けめきたる蝉の殻 | せいじ |
奥院へ険磴二百蝉しぐれ | よし子 |
睡蓮に午後の日射しの濃かりけり | 百合 |
2011年07月18日 | |
暑気払ふなでしこジャパン世界一 | 三刀 |
噺家の扇子の所作にどっと沸く | 宏虎 |
夏富士の裾へなだるる雲のあり | とろうち |
四阿は池の真ん中観蓮会 | きづな |
2011年07月17日 | |
乙女どち長き脚組みサングラス | つくし |
琉金のフリルひるがせ舞ひにけり | 宏虎 |
瀬流れの一樹は蝉の大合唱 | よし女 |
空色は広重の青火取虫 | とろうち |
尾瀬沼の木道に立つ雲の峰 | 宏虎 |
手荷物の腕に食ひ込む暑さかな | うつぎ |
度の合わぬ老眼鏡の汗拭けり | なつき |
石段の足音涼し僧の列 | こすもす |
蝉しぐれ割木積まるる休み窯 | 雅流 |
2011年07月16日 | |
灯をけして月光入るる座敷かな | はく子 |
鰻焼くあるじ老舗の法被着て | つくし |
ほととぎす休みしままの登り窯 | 雅流 |
初めての泳ぎは母の腕の中 | なつき |
山鉾に人また人の大路かな | 宏虎 |
足弱の吾を導く道をしへ | よし女 |
川筋の風にほぐるる青柳 | せいじ |
銃眼の海に向きたり蔦茂る | 有香 |
旅涼し杉美林また杉美林 | 菜々 |
2011年07月15日 | |
湯あがりの何はともあれビール飲む | 宏虎 |
手刀で蜘蛛の糸切る避暑散歩 | 三刀 |
ラケットはときに団扇や卓球す | うつぎ |
異国めく丘の家並や月涼し | 菜々 |
初蝉や靴紐結びなほす路 | つくし |
裸子のするりと抜けしバスタオル | 有香 |
尾根綴る送電鉄塔雲の峰 | とろうち |
片付けの厨の窓に月円か | 満天 |
2011年07月14日 | |
老いの櫓の捌き上手や舟涼し | こすもす |
供花今朝は庭の初咲き百日草 | 菜々 |
天道虫翁の像の膝に来て | よし女 |
一線を画す泥田の蓮清し | 有香 |
暑気払ひとてデパ地下の食堂へ | 満天 |
撒かれたる茶殻の匂ふ夏座敷 | とろうち |
池の面に相せめぎあふ雲の峰 | せいじ |
2011年07月13日 | |
母の忌や父は変はらぬ夏帽子 | なつき |
風鈴の和して夕べの風生まる | とろうち |
山頭火句碑の辺に汲む山清水 | よし女 |
青芝に介護を語る円座かな | つくし |
老鶯や木喰仏の笑みこぼる | よし子 |
存分に瀬音を聴けと合歓の花 | 三刀 |
2011年07月12日 | |
この寺の主なるべし牛蛙 | うつぎ |
草を刈るベトナム帽の男かな | こすもす |
明易し旅の思い出綴りては | 菜々 |
掌に赤い宝石さくらんぼ | ともえ |
夕焼けて陋屋燃ゆるごときかな | せいじ |
並び立つ樅の大樹や雲の峰 | 三刀 |
白球の行方へは遠き夏の雲 | とろうち |
一村の青田潤す弥陀の水 | よし女 |
水無月の生駒は襞を深めけり | はく子 |
2011年07月11日 | |
雲一朶濃淡分かつ万緑裡 | ぽんこ |
緑陰のトンネルなせる石畳 | なつき |
紺暖簾に川風通ふ涼み茶屋 | 三刀 |
暑に耐ふる一息つきし日の翳り | せいじ |
梅雨明けて雨戸の機嫌直りけり | 満天 |
一頭は佛に見えし雲の峰 | 治男 |
写経会の静寂を破り牛蛙 | うつぎ |
大寺を囲む疎水路ねむの花 | よし女 |
2011年07月10日 | |
野球部に校庭狭き夾竹桃 | 雅流 |
田の草を刈りて風道生まれけり | せいじ |
海開き神事と思ふ太鼓の音 | 三刀 |
大空へ伸ぶるクレーンや梅雨明くる | せいじ |
霊水を恃みひと杓暑に耐ふる | つくし |
句座仕切る九十翁のアロハシャツ | うつぎ |
2011年07月09日 | |
梅雨明けて富士は裾野を広げけり | とろうち |
七夕笹保育舎の窓はみ出して | よし女 |
青田波越後山形米どころ | ともえ |
磨かれし縁に吸ひつく裸足かな | なつき |
2011年07月08日 | |
走り根を浸し流るる清水かな | とろうち |
心太煩はしきは聞き流す | 満天 |
磯の香の通ふホームの朝涼し | わかば |
瞑想す翁の坐像堂涼し | よし女 |
立ち並ぶ風車発電雲の峰 | なつき |
本堂の太き灯明梅雨開くる | つくし |
梅雨明けて夕べ賑はふカフェテラス | 菜々 |
湖を一と呑みせんと雲の峰 | ぽんこ |
母の忌を修す夏書の墨の匂ふ | 有香 |
2011年07月07日 | |
夏萩のさ揺れて華と一字の碑 | よし女 |
雨の路地祭り稽古の笛と鉦 | つくし |
七夕や雲は紗のごと雨あがる | 菜々 |
欄に寄り話つきざる蛍の夜 | きづな |
座禅終え朝粥揃ふ堂涼し | 小袖 |
葉隠れに雀寄り添ふ送り梅雨 | ぽんこ |
雲ぬがぬ六甲山頂梅雨に倦む | よし子 |
七夕紙金を選びて病の子 | うつぎ |
2011年07月06日 | |
古びたる木橋の軋み梅雨の川 | ひかり |
夏霧の山襞撫でて流れけり | 有香 |
夏籠らし尼のこゑ門跡寺 | 雅流 |
みそなはす大磨崖佛鮎の川 | 菜々 |
と見る間に姿の消えし青蜥蜴 | とろうち |
阿の仁王たつ足下に蟻地獄 | よし女 |
天蓋となる緑陰や忠魂碑 | 百合 |
岩肌をさばしる水の楽涼し | ともえ |
2011年07月05日 | |
微かなる瀬音や紫陽花寺巡る | こすもす |
瞑りて声明を聴く堂涼し | 三刀 |
潮騒や砲台囲む夏の草 | わかば |
磐座を崩さむばかりはたた神 | うつぎ |
廃校の四方は杉山夏霞 | うつぎ |
復興を誓ふ短冊星祭 | はく子 |
やまももの落ちて染まりし石畳 | よし女 |
船頭の浮巣知りたる櫂さばき | 雅流 |
迫り来るごとくに四方の青嶺濃し | 英子 |
2011年07月04日 | |
川沿ひのどの軒先も笹飾る | こすもす |
この山の鼓動のごとく苔清水 | 宏虎 |
鱗粉を朝日に散らし揚羽舞ふ | せいじ |
庭手入れかたばみの根を深く掘り | あさこ |
またたびの白のなだれて山深し | ともえ |
朝さんぽ昨夜の蛍の道辿る | 百合 |
置物のごと白鷺は川べりに | 治男 |
のうぜんの蔓木から木へあそびをり | 満天 |
木苺の見えて届かぬ岨の道 | うつぎ |
今年竹天を突きをり陣屋址 | 菜々 |
2011年07月03日 | |
裸電球揺れて涼しき仁王門 | よし女 |
家族分釣れてよしとす鮎の膳 | うつぎ |
手に掬ふ山の香まじる蔵王の湯 | ともえ |
磯料理漁火遠く瞬きぬ | わかば |
ぬか漬けの紫紺鮮やか膳の茄子 | 満天 |
青梅の熟し時待つ笊の中 | ぽんこ |
砂浜に裸足投げ出す椰子の陰 | 宏虎 |
梅雨晴れて千変万化富士の雲 | とろうち |
青葦の背丈にあそぶ行々子 | 三刀 |
[みのる選]
2011年07月02日 紫陽花に遊び本尊まで遠し よし女 手力男槌で注連切る山開き とろうち 室生みち木の間に滝見ゆる 菜々 ナイターのさよなら負けに帰路無口 はく子 河鹿鳴き水神様に夕べ来る 菜々 潮の香の通ふ松原風涼し わかば 独り居に朝採りきゅうりお裾分け あさこ 相呼応して鳴く蟇や藪の奥 うつぎ 一筆箋添へみちのくさくらんぼ 三刀 2011年07月01日 信号の赤を真っすぐ夏燕 よし子 二番花てふも大振り花菖蒲 きづな 光背は滝の水煙不動尊 菜々 2011年06月30日 師の影を踏みて潜りし茅の輪かな うつぎ 裏畑はアガパンサスの花明り あさこん 蟻をかしのこけつまろびつ餌を運ぶ とろうち 追ひ越されてもマイペース夏山路 こすもす ゆくりなく茅の輪を潜る吟行子 きづな 行き届く花後の手入れ牡丹寺 よし女 やまぼうし闇夜に真白鄙の宿 菜々 梔子の香に誘はれて花廻り道 満天 髪洗ふ吉野の旅の余情かな 百合 遠河鹿鳴く深吉野の泊まりかな よし女 2011年06月29日 飛滝神水煙茫茫昼暗し 菜々 あぢさゐの毬にふれもし磴のぼる 満天 片蔭を辿る介護の通ひ道 わかば 三宝杉女人高野の天高し こすもす 豪快な音聞こえそむ隠れ滝 ぽんこ 熱帯夜また救急車馳せる音 はく子 梅の実の落ちるがままに百度石 雅流 堂縁に女人高野の塔涼し ひかり 住み古りて玻璃戸の守宮親しかり うつぎ 2011年06月28日 酌み交す一会の集ひ蛍の夜 菜々 青柿の落ちて蹴らるる通学路 よし子 岩走る水石菖を梳る 三刀 暗闇の生きた宝石蛍狩り ぽんこ 朝涼の杉美林縫ふ散歩かな ひかり アガパンサス花火のひらくごと涼し はく子 2011年06月27日 この宿のシンボルツリー山法師 かれん 青蛙畏み言上仕る とろうち 登高や手すり頼りの鎧坂 わかば 万緑裡大野磨崖はとこしなへ 菜々 胡瓜きざむ杢の香しるき俎に はく子 2011年06月26日 険競ふ入道雲の三兄弟 せいじ 露天湯の帰るさの道風涼し 満天 岩清水噴き出す苔の厳襖 わかば かろうじて金魚の赤や梅雨の池 なつき 海鳴りを間遠に茅花流しかな 三刀 手入れ良き庭にころがる実梅かな あさこ 端居して猫に本音をきかせけり よし子 老鶯に励まされ行く急山路 きづな あちこちにたつ泥神楽蝌蚪群るる 有香