みのる選:2011年6月度
みのる選:2011年6月度
[みのる選]
2011年06月25日 雨蛙ポストの上に平伏す とろうち 鮎の宿檜皮葺なる外厠 つくし 百度石夏草の背に隠れけり 治男 標本のごと鮎の骨抜けにけり よし女 艶やかに濡るる玉砂利滝しぶく 菜々 段畑を登りゆくごと夏の霧 よし女 夜濯や思い出多き旅衣 有香 吉野路の万緑に旅惜しみけり きづな 2011年06月24日 夕焼雲褪めて富士の灯点り初む とろうち 蛍狩り歓声上がる山の宿 よし女 白無垢や女人高野の石楠花は ぽんこ 三尺寝律儀に靴の揃へあり きづな 緑陰の風に誘はれまわり道 美咲 湯上りのすっぴんのまま蛍狩 きづな 夏の蝶抗ふごとくもつれけり あさこ 序幕の碑寿ぐ如く夏の蝶 百合 膳の鮎清流泳ぎゐし姿 わかば 線描の彫りの涼しき磨崖仏 有香 更けてなほ月下美人といふ貴賓 うつぎ 2011年06月23日 旅果つになほ旅ごころ胡瓜もむ きづな と見る間に葉裏に紛れかたつむり ともえ 句短冊に主を偲ぶ庵涼し 小袖 蓮華座となる夏草や磨崖仏 かれん 2011年06月22日 緑陰の句碑をはしごやホ句の宿 満天 湯ほてりに風心地よき蛍狩 なつき 磨崖仏供花とす白き山法師 きづな 九輪塔尖りし杉の青嶺かな わかば 山水に育ちて清し花菖蒲 あさこ 青芝の広ごる河原魔崖仏 わかば 石鼎庵衣紋に掛かる単衣もの 小袖 天窓に青葉迫れる山の宿 なつき 2011年06月21日 顔つきはどれも生真面目青蛙 とろうち 巡りゆく石の八つ橋花菖蒲 雅流 生まれ出て殻透きとほる蝸牛 菜々 田の隅に所在なげなる余り苗 せいじ 2011年06月20日 梅雨空に朱の旗幟著き地蔵堂 ひかり 萍の田の面さざめき風見ゆる はく子 青田風鎮守の森を要とす 菜々 メロデイに渡る信号風薫る 宏虎 木も石も謂はれを持ちて苔の花 とろうち 2011年06月19日 川音の闇に轟く梅雨の宿 わかば 梅雨晴れて赤銅色の富士現るる とろうち 老幹の洞の深さや苔茂る ぽんこ 老鶯と祝詞唱和す鎮守かな 英子 単線路続くかぎりに麦の秋 きづな 声明の朗々として朝すずし 百合 髪染めて吟行支度七変化 つくし お隣さん採らないのかしら枇杷たわわ 菜々 蟇咽喉は早鐘うちにけり 宏虎 白南風や漁港に隣る一末社 有香
[みのる選]
2011年06月18日 子を祈る女祈祷師うす衣 治男 保育舎の窓に良き影花楝 よし女 茫々として霊山の梅雨深し 雅流 鍋の柄のねじ締め直す梅雨湿り とろうち 父の日のとろけるプリン並び買ふ なつき 三石は阿弥陀三尊蓮浮葉 ひかり 石仏に果つること無き打たせ滝 ぽんこ 針に糸通して暮るる梅雨籠り なつき 宮涼し白装束の禰宜闊歩 満天 ほんのりと頬色めきし実梅かな ともえ 三脚を据えて一番蛍待つ 三刀 大き岩雄滝女滝と分かちけり うつぎ わが視線わかりて毛虫動かざる 有香 瀬音して縦横無尽蛍とぶ こすもす 2011年06月17日 筍の底抜け落ちし紙袋 うつぎ 銀輪の一団過ぎて夏燕 とろうち 男梅雨生駒嶺信貴嶺ぬりつぶす 菜々 後しざりしつつ田植への進みけり こすもす 夏期講座瞬発力を試さるる つくし 若者の笑い声漏れ夏暖簾 なつき 瀬の音や蛍待つ間の長きこと よし女 山門へ砦と続く濃紫陽花 ひかり 2011年06月16日 黒南風の海千万の兎波 三刀 冷めぬまま足され麦茶の大薬缶 なつき 空を切る標高千の夏燕 うつぎ 大屋根を易易と越え夏の蝶 あさこ 八雲立ち瑠璃色深し額の花 ぽんこ 梅雨空に墨絵ぼかしよ嵐山 宏虎 山百合や雑木林に日矢さして なつき 風吹けば珠を転がす蓮葉かな 百合 河骨の余白狭きを鯉うごく 満天 早暁の寺庭清浄夏椿 はく子 川床涼し遙か比叡をのぞみけり 雅流 2011年06月15日 熟考の上の一と蹴羽抜鶏 宏虎 荘の灯を消して蛍へ闇戻す 菜々 散り敷ける栴檀まさご撒きしごと よし女 灯籠のひとつ傾く木下闇 かれん 梅雨空に燃へ続けをる平和の灯 有香 タンカーを呑むぞと立ちし雲の峰 なつき 塀沿ひに絶ゆることなく蟻の道 英子 髪少しつめて身軽に初夏の旅 わかば 白無垢を天へ開きし泰山木 満天 2011年06月14日 濯ぎ物干されし竿に玉葱も こすもす 手のひらに残る匂ひやらっきょ漬け 満天 尾道は坂多き街枇杷熟るる 有香 紫蘇入れて漬梅色づく夜の厨 きづな 露地裏の紫陽花戸毎色競ふ わかば 風光るせせらぎ渡り来る親子 つくし 野良猫に餌やる人や木下闇 百合 駅までは一里ほどとや道をしへ きづな 十薬の一と叢暗き裏通り わかば 草沈みしてほうたるも寝べきころ 雅流 青柿の転がる土の湿りかな 英子 彫刻のごと青鷺の立ち尽くす 三刀 丹波路の風に泡立つ栗の花 うつぎ 花栗の匂ふローカル線の駅 うつぎ 一末社祠を閉ざす木下闇 ぽんこ 2011年06月13日 夕暮れの病窓かすめ夏燕 三刀 小恙の癒えて安堵の更衣 うつぎ ローマ字の表札多しのうぜん花 きづな 四阿に車椅子寄せ菖蒲園 満天 大梁の煤けし墨書梅雨湿り 雅流 夏木立枝も巣箱も苔むして なつき 蹲踞に屈めば匂ふ花十薬 菜々 今年竹すっくと大志あるごとく よし女 曇天に石榴の花は朱を散らす 満天 2011年06月12日 朱のいよよ緑雨が洗ふ多宝塔 菜々 船影の行き交ふ沖の梅雨深し わかば 万緑の囲みて宮の鏡池 きづな 梅雨籠り夫の政論聞き流す 満天 茅葺の戸を開け放つ梅雨晴れ間 三刀 畳なはる山段染めに五月雨るる うつぎ 緑陰のベンチで二人句会かな よし女 敗将の霊守る寺やほととぎす とろうち 梅雨空と水平線のけじめなし せいじ 三方にま向きそむきや谿の百合 ぽんこ 白南風に日曜ミサの鐘ひびく かれん 庭に得しくさぐさをもて夏花とす はく子
[みのる選]
夏霧の沖間遠なる汽笛かな わかば 蛙田や遠く瞬く街明かり とろうち 濃紫陽花吟行日記のしをりとす 三刀 黒南風や航跡白く一文字 雅流 薫風の拝殿指呼に畝傍山 はく子 高舞へる蛍は星に紛れけり うつぎ 神池をふちどる紫紺花菖蒲 菜々 古町の小さき花屋釣忍 つくし 2011年06月10日 ダンプカー過ぎてうつぎの花嵐 うつぎ 水底に躍る洩れ日や木下闇 とろうち 草取りが日課となりし梅雨晴間 ぽんこ 咲き満ちて渓流埋む谷うつぎ 有香 蛍とぶひかりの音符散らすごと よし子 ほととぎす檜の美林統べて鳴く 雅流 忽然と鯉現れし梅雨の池 治男 2011年06月09日 諍いのごと縺れゆく夏の蝶 なつき 長き根のゆらゆら揺るる花藻かな こすもす 老鴬の正調に杣明けにけり ともえ しゃぼんだま歩きそむ子の手を逃ぐる はく子 初生りの胡瓜はチクと自己主張 よし女 靄のごと香煙こもる梅雨の寺 ひかり 恋蛍橋をくぐりて高舞へり 雅流 ほのかなる樹林の洩れ日著莪の花 わかば 2011年06月08日 時鳥しば鳴く里に住み古りぬ 有香 芭蕉句碑訪ふ道行きやほととぎすく とろうち 野路愉し野いちごあればつまみもす 美咲 蛍火を放ちては入れ杉美林 うつぎ 花楝うすむらさきを散りばめし はく子 幼子のひらけたる手にさくらんぼ 英子 万緑の大本山や大鳥居 ひかり 優曇華を見つけてうれし裏の木戸 きづな 2011年06月07日 辿りつく延命水や寺薄暑 ひかり 燦々と欅若葉の洩れ日かな 百合 万緑の嶺々屏風とす露天風呂 菜々 御所辞して定家かづらの咲く小路 きづな 梅天に鴟尾反り返る古刹かな 宏虎 下闇に続く千本鳥居かな とろうち 恋蛍落合橋といふ辺り うつぎ 鈴の鳴るリュックのリズム風薫る よし女 万緑のトンネルとなる深山道 美咲 精霊のごとく夏の蝶無縁墓 ぽんこ 2011年06月06日 目鼻なき古りし地蔵や沙羅の花下 ぽんこ ほうたるの火が火を呼べり無音界 うつぎ ハンドルも軽し若葉の峠越 こすもす 郭公の声湖の向かふより よし女 枇杷の実のたわわに破れ築地かな うつぎ 檻薄暑哲人顔のチンパンジー せいじ 宝前のなんじゃもんじゃに人だかり きづな 2011年06月05日 万緑の谿に高鳴る瀬音かな うつぎ 万緑へ大きく一打鼓笛隊 有香 乳母車赤子すやすや合歓の風 菜々
[みのる選]
2011年06月04日 合歓咲いて雨暗き路地明るふす ひかり 一握り庭に得たると豆ごはん 菜々 ほととぎす間遠に聞きて仕舞風呂 うつぎ 梅雨晴間たまねぎ掘らな芋掘らな 菜々 2011年06月03日 衣更へて義手のかろしと庭へ出づ 雅流 鳴き止みて蛙田の闇深くなり とろうち 踏まずんば進めずえごの花畳 うつぎ 大琵琶湖の雲を被りて五月雨るる よし子 貴婦人の名の並びをり薔薇の園 百合 水音の絶えぬ庭なり苔涼し きづな ベランダの満艦飾や梅雨晴間 満天 2011年06月02日 水中に白根の遊ぶ花あさざ 菜々 梅雨晴れ間棚田一枚づつひかる よし子 幾千の奉納地蔵楠若葉 ぽんこ 月見亭涼し眼下に瀬田の川 わかば 青芝や三角屋根は厩舎らし 菜々 梅漬ける香り厨に満てりけり はく子 2011年06月01日 濁流の沢を掠めて夏燕 小袖 大屋根の家紋を映し植田澄む うつぎ 地場苺形悪しくも味は良し 宏虎 万緑の谿に白きは早瀬かな とろうち ケ−ブルカー万緑の谿二分けす 宏虎 薔薇の影水かげろふが揺らしをり 菜々 夕闇の庭に灯ともす君影草 ともえ 柏餅母に習ひし味を恋ふ こすもす 教室の明るくなりし更衣 こすもす 未央柳ダイヤ光の雨滴受け ぽんこ 2011年05月31日 竹散るや五百羅漢の在す山 雅流 ベルト穴余りし予後の更衣 なつき 梅雨寒しびんずる尊の頭撫で ぽんこ 梅雨茸賽の河原に勢揃ひ うつぎ 波たたぬ海のうねりや五月雨 ともえ 時計塔青葉の森を抽んでし よし女 梅雨寒や羅漢は肩を寄せ合ひて 有香 青蔦の虜となりし巣箱かな とろうち 2011年05月30日 八つ橋に傘渋滞す菖蒲園 満天 環濠の址を埋めし花菖蒲 よし子 2011年05月29日 縫合の傷しくしくと梅雨に入る なつき 長雨や代田にあらず休耕田 せいじ 新調の白きカーテン明易し なつき 花びらの重たげ雨の菖蒲園 はく子 ケーブルカーすれ違ふとき峪涼し こすもす 梅雨荒れて鴨川の景一変す 満天