みのる選:2011年6月度

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2011年6月29日(水)

6月19日〜25日

[みのる選]

2011年06月25日
雨蛙ポストの上に平伏す       とろうち
鮎の宿檜皮葺なる外厠        つくし
百度石夏草の背に隠れけり      治男
標本のごと鮎の骨抜けにけり     よし女
艶やかに濡るる玉砂利滝しぶく    菜々
段畑を登りゆくごと夏の霧      よし女
夜濯や思い出多き旅衣        有香
吉野路の万緑に旅惜しみけり     きづな
2011年06月24日
夕焼雲褪めて富士の灯点り初む    とろうち
蛍狩り歓声上がる山の宿       よし女
白無垢や女人高野の石楠花は     ぽんこ
三尺寝律儀に靴の揃へあり      きづな
緑陰の風に誘はれまわり道      美咲
湯上りのすっぴんのまま蛍狩     きづな
夏の蝶抗ふごとくもつれけり     あさこ
序幕の碑寿ぐ如く夏の蝶       百合
膳の鮎清流泳ぎゐし姿        わかば
線描の彫りの涼しき磨崖仏      有香
更けてなほ月下美人といふ貴賓    うつぎ
2011年06月23日
旅果つになほ旅ごころ胡瓜もむ    きづな
と見る間に葉裏に紛れかたつむり   ともえ
句短冊に主を偲ぶ庵涼し       小袖
蓮華座となる夏草や磨崖仏      かれん
2011年06月22日
緑陰の句碑をはしごやホ句の宿    満天
湯ほてりに風心地よき蛍狩      なつき
磨崖仏供花とす白き山法師      きづな
九輪塔尖りし杉の青嶺かな      わかば
山水に育ちて清し花菖蒲       あさこ
青芝の広ごる河原魔崖仏       わかば
石鼎庵衣紋に掛かる単衣もの     小袖
天窓に青葉迫れる山の宿       なつき
2011年06月21日
顔つきはどれも生真面目青蛙     とろうち
巡りゆく石の八つ橋花菖蒲      雅流
生まれ出て殻透きとほる蝸牛     菜々
田の隅に所在なげなる余り苗     せいじ
2011年06月20日
梅雨空に朱の旗幟著き地蔵堂     ひかり
萍の田の面さざめき風見ゆる     はく子
青田風鎮守の森を要とす       菜々
メロデイに渡る信号風薫る      宏虎
木も石も謂はれを持ちて苔の花    とろうち
2011年06月19日
川音の闇に轟く梅雨の宿       わかば
梅雨晴れて赤銅色の富士現るる    とろうち
老幹の洞の深さや苔茂る       ぽんこ
老鶯と祝詞唱和す鎮守かな      英子
単線路続くかぎりに麦の秋      きづな
声明の朗々として朝すずし      百合
髪染めて吟行支度七変化       つくし
お隣さん採らないのかしら枇杷たわわ 菜々
蟇咽喉は早鐘うちにけり       宏虎
白南風や漁港に隣る一末社      有香

2011年6月23日(木)

6月12日〜18日

[みのる選]

2011年06月18日
子を祈る女祈祷師うす衣      治男
保育舎の窓に良き影花楝      よし女
茫々として霊山の梅雨深し     雅流
鍋の柄のねじ締め直す梅雨湿り   とろうち
父の日のとろけるプリン並び買ふ  なつき
三石は阿弥陀三尊蓮浮葉      ひかり
石仏に果つること無き打たせ滝   ぽんこ
針に糸通して暮るる梅雨籠り    なつき
宮涼し白装束の禰宜闊歩      満天
ほんのりと頬色めきし実梅かな   ともえ
三脚を据えて一番蛍待つ      三刀
大き岩雄滝女滝と分かちけり    うつぎ
わが視線わかりて毛虫動かざる   有香
瀬音して縦横無尽蛍とぶ      こすもす
2011年06月17日
筍の底抜け落ちし紙袋       うつぎ
銀輪の一団過ぎて夏燕       とろうち
男梅雨生駒嶺信貴嶺ぬりつぶす   菜々
後しざりしつつ田植への進みけり  こすもす
夏期講座瞬発力を試さるる     つくし
若者の笑い声漏れ夏暖簾      なつき
瀬の音や蛍待つ間の長きこと    よし女
山門へ砦と続く濃紫陽花      ひかり
2011年06月16日
黒南風の海千万の兎波       三刀
冷めぬまま足され麦茶の大薬缶   なつき
空を切る標高千の夏燕       うつぎ
大屋根を易易と越え夏の蝶     あさこ
八雲立ち瑠璃色深し額の花     ぽんこ
梅雨空に墨絵ぼかしよ嵐山     宏虎
山百合や雑木林に日矢さして    なつき
風吹けば珠を転がす蓮葉かな    百合
河骨の余白狭きを鯉うごく     満天
早暁の寺庭清浄夏椿        はく子
川床涼し遙か比叡をのぞみけり   雅流
2011年06月15日
熟考の上の一と蹴羽抜鶏      宏虎
荘の灯を消して蛍へ闇戻す     菜々
散り敷ける栴檀まさご撒きしごと  よし女
灯籠のひとつ傾く木下闇      かれん
梅雨空に燃へ続けをる平和の灯   有香
タンカーを呑むぞと立ちし雲の峰  なつき
塀沿ひに絶ゆることなく蟻の道   英子
髪少しつめて身軽に初夏の旅    わかば
白無垢を天へ開きし泰山木     満天
2011年06月14日
濯ぎ物干されし竿に玉葱も     こすもす
手のひらに残る匂ひやらっきょ漬け 満天
尾道は坂多き街枇杷熟るる     有香
紫蘇入れて漬梅色づく夜の厨    きづな
露地裏の紫陽花戸毎色競ふ     わかば
風光るせせらぎ渡り来る親子    つくし
野良猫に餌やる人や木下闇     百合
駅までは一里ほどとや道をしへ   きづな
十薬の一と叢暗き裏通り      わかば
草沈みしてほうたるも寝べきころ  雅流
青柿の転がる土の湿りかな     英子
彫刻のごと青鷺の立ち尽くす    三刀
丹波路の風に泡立つ栗の花     うつぎ
花栗の匂ふローカル線の駅     うつぎ
一末社祠を閉ざす木下闇      ぽんこ
2011年06月13日
夕暮れの病窓かすめ夏燕      三刀
小恙の癒えて安堵の更衣      うつぎ
ローマ字の表札多しのうぜん花   きづな
四阿に車椅子寄せ菖蒲園      満天
大梁の煤けし墨書梅雨湿り     雅流
夏木立枝も巣箱も苔むして     なつき
蹲踞に屈めば匂ふ花十薬      菜々
今年竹すっくと大志あるごとく   よし女
曇天に石榴の花は朱を散らす    満天
2011年06月12日
朱のいよよ緑雨が洗ふ多宝塔    菜々
船影の行き交ふ沖の梅雨深し    わかば
万緑の囲みて宮の鏡池       きづな
梅雨籠り夫の政論聞き流す     満天
茅葺の戸を開け放つ梅雨晴れ間   三刀
畳なはる山段染めに五月雨るる   うつぎ
緑陰のベンチで二人句会かな    よし女
敗将の霊守る寺やほととぎす    とろうち
梅雨空と水平線のけじめなし    せいじ
三方にま向きそむきや谿の百合   ぽんこ
白南風に日曜ミサの鐘ひびく    かれん
庭に得しくさぐさをもて夏花とす  はく子

2011年6月13日(月)

6月5日〜11日

[みのる選]

夏霧の沖間遠なる汽笛かな      わかば
蛙田や遠く瞬く街明かり       とろうち
濃紫陽花吟行日記のしをりとす    三刀
黒南風や航跡白く一文字       雅流
薫風の拝殿指呼に畝傍山       はく子
高舞へる蛍は星に紛れけり      うつぎ
神池をふちどる紫紺花菖蒲      菜々
古町の小さき花屋釣忍        つくし
2011年06月10日
ダンプカー過ぎてうつぎの花嵐    うつぎ
水底に躍る洩れ日や木下闇      とろうち
草取りが日課となりし梅雨晴間    ぽんこ
咲き満ちて渓流埋む谷うつぎ     有香
蛍とぶひかりの音符散らすごと    よし子
ほととぎす檜の美林統べて鳴く    雅流
忽然と鯉現れし梅雨の池       治男
2011年06月09日
諍いのごと縺れゆく夏の蝶      なつき
長き根のゆらゆら揺るる花藻かな   こすもす
老鴬の正調に杣明けにけり      ともえ
しゃぼんだま歩きそむ子の手を逃ぐる はく子
初生りの胡瓜はチクと自己主張    よし女
靄のごと香煙こもる梅雨の寺     ひかり
恋蛍橋をくぐりて高舞へり      雅流
ほのかなる樹林の洩れ日著莪の花   わかば
2011年06月08日
時鳥しば鳴く里に住み古りぬ     有香
芭蕉句碑訪ふ道行きやほととぎすく  とろうち
野路愉し野いちごあればつまみもす  美咲
蛍火を放ちては入れ杉美林      うつぎ
花楝うすむらさきを散りばめし    はく子
幼子のひらけたる手にさくらんぼ   英子
万緑の大本山や大鳥居        ひかり
優曇華を見つけてうれし裏の木戸   きづな
2011年06月07日
辿りつく延命水や寺薄暑       ひかり
燦々と欅若葉の洩れ日かな      百合
万緑の嶺々屏風とす露天風呂     菜々
御所辞して定家かづらの咲く小路   きづな
梅天に鴟尾反り返る古刹かな     宏虎
下闇に続く千本鳥居かな       とろうち
恋蛍落合橋といふ辺り        うつぎ
鈴の鳴るリュックのリズム風薫る   よし女
万緑のトンネルとなる深山道     美咲
精霊のごとく夏の蝶無縁墓      ぽんこ
2011年06月06日
目鼻なき古りし地蔵や沙羅の花下   ぽんこ
ほうたるの火が火を呼べり無音界   うつぎ
ハンドルも軽し若葉の峠越      こすもす
郭公の声湖の向かふより       よし女
枇杷の実のたわわに破れ築地かな   うつぎ
檻薄暑哲人顔のチンパンジー     せいじ
宝前のなんじゃもんじゃに人だかり  きづな
2011年06月05日
万緑の谿に高鳴る瀬音かな      うつぎ
万緑へ大きく一打鼓笛隊       有香
乳母車赤子すやすや合歓の風     菜々

2011年6月7日(火)

5月29日~6月4日

[みのる選]

2011年06月04日
合歓咲いて雨暗き路地明るふす  ひかり
一握り庭に得たると豆ごはん   菜々
ほととぎす間遠に聞きて仕舞風呂 うつぎ
梅雨晴間たまねぎ掘らな芋掘らな 菜々
2011年06月03日
衣更へて義手のかろしと庭へ出づ 雅流
鳴き止みて蛙田の闇深くなり   とろうち
踏まずんば進めずえごの花畳   うつぎ
大琵琶湖の雲を被りて五月雨るる よし子
貴婦人の名の並びをり薔薇の園  百合
水音の絶えぬ庭なり苔涼し    きづな
ベランダの満艦飾や梅雨晴間   満天
2011年06月02日
水中に白根の遊ぶ花あさざ    菜々
梅雨晴れ間棚田一枚づつひかる  よし子
幾千の奉納地蔵楠若葉      ぽんこ
月見亭涼し眼下に瀬田の川    わかば
青芝や三角屋根は厩舎らし    菜々
梅漬ける香り厨に満てりけり   はく子
2011年06月01日
濁流の沢を掠めて夏燕      小袖
大屋根の家紋を映し植田澄む   うつぎ
地場苺形悪しくも味は良し    宏虎
万緑の谿に白きは早瀬かな    とろうち
ケ−ブルカー万緑の谿二分けす  宏虎
薔薇の影水かげろふが揺らしをり 菜々
夕闇の庭に灯ともす君影草    ともえ
柏餅母に習ひし味を恋ふ     こすもす
教室の明るくなりし更衣     こすもす
未央柳ダイヤ光の雨滴受け    ぽんこ
2011年05月31日
竹散るや五百羅漢の在す山    雅流
ベルト穴余りし予後の更衣    なつき
梅雨寒しびんずる尊の頭撫で   ぽんこ
梅雨茸賽の河原に勢揃ひ     うつぎ
波たたぬ海のうねりや五月雨   ともえ
時計塔青葉の森を抽んでし    よし女
梅雨寒や羅漢は肩を寄せ合ひて  有香
青蔦の虜となりし巣箱かな    とろうち
2011年05月30日
八つ橋に傘渋滞す菖蒲園     満天
環濠の址を埋めし花菖蒲     よし子
2011年05月29日
縫合の傷しくしくと梅雨に入る  なつき
長雨や代田にあらず休耕田    せいじ
新調の白きカーテン明易し    なつき
花びらの重たげ雨の菖蒲園    はく子
ケーブルカーすれ違ふとき峪涼し こすもす
梅雨荒れて鴨川の景一変す    満天

 

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