みのる選:2011年2月度
みのる選:2011年2月度
毎日かかさず投句するのは、本当に大変なことですね。 皆さんのファイトには頭が下がります。 毎日句会とどう向き合うかというのは、難しい課題ですがその姿勢は必ず句に反映されます。
投句を休まないために具象性にかけた観念の句作りをしていると、かえって悪い癖がつきます。 そうした傾向の垣間見える作品は、どうしてもみのる選として採れません。 毎日吟行するのは大変ですが、せっかく身につき始めた「吟行で詠む」という大事な習慣を後戻りさせないように注意しましょう。
[選評]
老いは認めがたし、されど・・・
なかなか筆が進まない。推敲ちゅうかも・・・
なんでもない一句ですが、素直な実感が好ましいです。
作者もまたそのそばに見えて平和な風景ですね。
季語がよく効いたユニークな作品です。これからもこのような作品作りを目指してください。
和の楽でしょうかね。鄙びた古民家のよい雰囲気が連想できます。
[みのる選]
2011年02月26日 雛あられ膝にこぼして老託つ きづな 行者径奈落となりて初音聴く よし女 東風吹くや舳先にしぶく波頭 わかば 耳慣れし神話セミナー春眠し 明日香 土の香に混じる草の香春田打つ うつぎ おむすびの転げて土手の草青む 菜々 雲影の風雲急や春一番 とろうち 碁盤の目走る市バスや京の春 つくし 春風邪と侮るなかれ厨事 百合 命綱外し屋根替え昼休み なつき 春愁や白髪を染める共鏡 よう子 2011年02月25日 春愁の頬杖をつく文机 うつぎ 住古りし団地に迷ふ春の宵 有香 小食の子もおかわりす雛の寿司 なつき 春暁の湖展けたる橋の上 百姓 春雨の水輪せわしき池の面 とろうち 石庭の砂紋に散りぬ濃紅梅 ひかり 碧天にうぶ毛ふるへる辛夷の芽 満天 一礼しバスを降りたる卒業子 かれん 威儀ただし合掌ながき遍路かな よう子 絡みあふこの飯蛸の足はどれ 菜々 2011年02月24日 朝取りの水菜は笊に反りかへる 百合 句敵ら並びて祈る梅の宮 きづな 百選の鐘撞き鳴らす四温晴 かれん 野仏の大きな耳に初音かな よし子 放水のダム湖を囲む芽吹き山 小袖 梅匂ふ石垣高き屋敷町 菜々 待ち合わせ場所は団子屋初大師 なつき 雨晴れて菜の花の黄のいやましぬ ぽんこ 合唱は旅立ちの歌草萌ゆる とろうち 2011年02月23日 梅にほふ海一望の四阿に 菜々 駅ひとつ歩かふべしや春の宵 こすもす げんこつのやうな瘤より木の芽出づ せいじ 寒禽の鋭声を仰ぐ夜勤明け なつき 住職の手遊びという牡丹の芽 雅流 春兆すゴルフの予定目白押し よう子 2011年02月22日 はしゃぐ子の声降ってきし梅の谷 宏虎 ウクレレに歌ふ仲間や春うらら 美咲 流刑地の深き谷へと雪崩けり なつき 一片の雲なきみ空揚ひばり はく子 巫女の鈴芽吹く木々へと振りこぼす 菜々 眉のごと稜線みせて春の山 きづな 図書館へ通ふ道ゆき梅盛る せいじ 鳥達の案内に巡る梅の苑 あさこ 三重の塔立つ神社山笑ふ 菜々 陽だまりの石に鳥来る雪解川 なつき 爺のそば犬も寝転び山笑ふ よし女 2011年02月21日 一幅は一筆富士や雛の宿 三刀 芽柳の下に人待つ夕べかな きづな 雪解けの水坂道に逸りけり こすもす 宝物探しに似たり蕗のたう 明日香 水音に満ちて里山春兆す とろうち 春野ゆく園児らの列疎に蜜に すずかぜ 付添ひの試歩の小径に草萌ゆる わかば 踏青の弾みごころに水際まで はく子 旅人の足裏見せ合ふ囲炉裏かな なつき 天領でありし能勢の田雉子走る 雅流 石像の胸彫られをる春日影 治男 2011年02月20日 古民家のミニコンサート雛飾る わかば 診療所村人総出雪下ろす なつき 料峭や一遍像の前かがみ とろうち 掴めよと差伸べる手の温かし 百合 踏青の妻はピンクのスニーカー せいじ 立春の日を弾きをる川面かな 百姓 振るまひの甘酒熱し厄落とし 菜々 留守番の夫へ草餅家苞に ぽんこ 野火煙り右往左往す日和かな 英子
毎日句会が再開されて、毎日が大変だと笑顔でいってくださるのでうれしいです。
私も毎週のみのる選を楽しみながらさせていただいています。 ただ、句会の場合のみのる選と違ってあらかじめ作者が判っているので、 その人の作品としての評価基準で選んでいます。 意識はしていないのですが、ベテランの人にはもっと背伸びをしてほしいと願って、やや厳しくなっていると思います。 成績一覧はあまり見ていませんので、互選の高点句であっても没になっているかもしれません。 ごめんなさい。
今週の選評は、個性的な作品を中心に抽出してみました。 個性的な作品を詠むには、表面的な観察に終わるのではなくて、 心に具体的な感動が湧いてくるまで、じっくりと時間をかけて対象と向き合うことが大事です。
[選評]
廃屋との取り合わせによって野梅の清楚さが感じられる。
見知らぬ遍路同士であるが足湯に浸かりながらあい和むひと時に癒しを感じる。
火山噴火の灰を被ったと聞くが洗えば問題ない。被災地を見舞う気持ちがある。
元気よく吐き出す手押しポンプの水に春を感じた。
吟行子の心意気がたくましいです。
元気なこどもたちの様子が目に浮かびます。
調理師学校の卒業式ですね。
裏まで覗いてみた好奇心によって一句を授かった。
一喝されたような厳粛な感じがしますね。
病む友に愛のチョコを届けた。笑顔のお返しに見舞ったほうも元気を貰う。
俵万智を思わせる作風に驚きました。季感がやや弱いですが冒険の作品として評価しました。
黙々と素振りをしている少年の健気な姿がシルエットのように浮かびますね。
[みのる選]
2011年02月19日 手作りの豆粒ほどの貝雛 はく子 枯蔦の抽象画なす土塀かな 英子 雪解風鈴なりの絵馬鳴らしけり とろうち きしきしと踏み鳴らし行く雪の果て 菜々 亡き母の齡を超えし梅見かな あさこ たゆたふて陣をなさざる春の鴨 明日香 種物を吊るして伊根の舟屋かな うつぎ 受験子を励ます兄も試験前 なつき 廃屋の雑木に凛と梅の花 治男 春兆すあちみこちみや風見鶏 宏虎 わらべ唄漏るるホームや老の春 雅流 2011年02月18日 涅槃図の裏に隠るる金の弥陀 菜々 隣り合ふ足湯の縁や遍路どち よう子 春泥を踏み山門にたどり着く 三刀 春灯昔置屋といふ茶店 うつぎ 丘の上の大十字架に日脚伸ぶ つくし 午後の陽に雪崩をなせる屋根の雪 よし子 春の富士薄紅色に昏れなんと 満天 甘酒屋よく繁盛す苗木市 よし女 2011年02月17日 生垣の揺るると見れば笹子鳴く 有香 懸崖の窪み窪みに雪残る 美咲 火山灰被りしという春菜来る 満天 春寒し浜辺歩くに背を丸め よし女 坂道に地図描くごとく雪解水 とろうち 春の水吐き出す手押しポンプかな 菜々 春の月スポットのごと城照らす こすもす 飛行雲立ちて春空二タ分けす ぽんこ 里山の春動き出す瀬音かな 花茗荷 裏山の春椎茸を家苞に 三刀 恋猫の奇声怒声や相譲らず 宏虎 七堂へ雪解しずくの合奏す 菜々 2011年02月16日 飛行機雲春夕焼けを抜けにけり 治男 春泥もなにするものぞ吟行子 きづな 異教めくステンドグラス涅槃寺 せいじ ふらここや靴裏天に突き出して ぽんこ 梅林の径狼藉すカメラマン あさこ 句談義に和む茶房や草団子 こすもす 野晒しの鉢洗ひけり水温む つくし 試歩の母一歩一歩に草萌ゆる わかば 涅槃図の裏に寄進の札並ぶ ともえ 雪積もる丹の欄干の天辺に 満天 如月の水に馴染みぬ絹豆腐 宏虎 唐破風の曲線伝ふ雪解水 うつぎ 涅槃西風九輪の雲をはらひけり 菜々 季にあそぶ生活は愉し春の雪 明日香 大小の庖丁命卒業す よし女 一山は雪解しずくの音浄土 菜々 2011年02月15日 保命酒腑をめぐりをる老の春 雅流 涅槃絵の裏を覗けば奉加帳 わかば 碧空に緋色輝く梅日和 あさこ 蹲に化粧塩ほど春の雪 花茗荷 橋脚も折れよと激つ雪解川 宏虎 ジェット機のJALと読めたる鳥曇 きづな 吾が首をうつ方丈の雪解水 こすもす 大試験乗り越え終わる反抗期 なつき 供花も無き暗き石棺春寒し 満天 2011年02月14日 牡丹雪つぶてとなりて車窓打つ 英子 風荒らぶ沖よりどかと春の雪 雅流 暮れてより家並み華やぐ春の雪 菜々 と見る間に街白変す春の雪 明日香 磨崖仏裳裾を隠す春の雪 宏虎 病む友の破顔一笑バレンタイン すずかぜ 名酒入りなればほろ酔ふ愛のチョコ なつき 山朱萸の黄の明るきを茶の部屋に わかば 2011年02月13日 義理とても貰えば嬉し愛のチョコ 百姓 公園のベンチに座る雪だるま なつき 退院の日を数ふれば山笑ふ はく子 写経堂雪解雫の音ばかり うつぎ おしゃべりのはなさく午後のホットレモン 英子 雪の壁砦としたる露天風呂 こすもす 囀りや斯く晴れやかな美空得て わかば 雪解いま危機一髪や屋根庇 明日香 永き日の河原でバット振る子かな なつき 雪解水宿す万朶に朝日燦 明日香
今週は、個性的な作品にスポットをあててみました。 決して選評で取り上げた作品が特選で、他は並選という区別はしていないので、誤解のないようにお願いします。
個性というのは本人にはなかなかわかりづらいものですが、常に新しい視点で観察するという心がけで作句していれば 自ずと作品に個性が滲み出てきます。昨日今日、また寒さがもどってきたようですが春を求めて吟行に出かけましょう。
[選評]
一読、中村草田男の句が思い浮かびますね。春雪の季語がうまいです。
復活の春を迎えて、冬の間ずっと引きずっていたわだかまりも神様のみ心にゆだねようと吹っ切れた。
素直な表現に惹かれます。なんでもない句ですが、寒中にお参りする人の律儀な所作が具体的に目に浮かびます。
風雅を愛する人の心意気ですね。作者の個性を感じます。
ビニールハウスの中で元気に育っている春菜をみて元気をもらったような感動を覚えた。
闘いの傷を癒すために舐めているのかもしれませんね。
春山を愛でに出かけてきたんだけれど、花粉が苦手な作者は同行を遠慮した。作者らしいユーモアがいいですね。
合格祈願の絵馬でしょうか。温かい春の日差しに包まれて祈願の結果はいかにと思いをはせている。
春昼の季感ですね。長い開かずの踏み切りに佇っていると鐘のリズムが子守唄のように・・・
思わず笑ってしまいました。滑稽味のきいた独特のとらえどころに個性を感じます。
[みのる選]
2011年02月12日 軒先を借りて商ふ春帽子 三刀 除雪車の音やまざりし夜の街 とろうち 春の雪並木通りをモノクロに ひかり 春雪の窓に維新の講義聴く よし女 雪解けや心のうちは主にゆだね 美咲 雪の中移動パン屋へ走りけり なつき 植木市蕾多きを選びけり あさこ 雨晴れて山の端に立つ春の虹 わかば 写経の間ことりともせず冴返る うつぎ 春の雪手品のごとく消えにけり こすもす 太刀魚の真珠光りや春灯下 はく子 梅林の空も空気も清清し ともえ 下萌えの道ためらはずハイヒール よし子 春の雪蓮田の修羅を覆ひけり よし女 御手洗の杓で割らるる薄氷 ぽんこ 春の川小石三つ四つ投げてみし 明日香 春雪や踏み石なれど踏むまじく 菜々 2011年02月11日 鼻唄の飛び出す朝や春の雪 せいじ 白壁の路地辿りゆく余寒かな よし女 修羅のごと火の舌駈ける野焼かな 宏虎 案内板じっと掲げし雪の中 なつき 音も無く雪降る京の家並かな 百姓 我が狭庭見違ふ風情春の雪 宏虎 一幅は利休の絵なる床の春 花茗荷 ビニールハウス透けて春菜の見えにけり こすもす 束の間の無垢の世界や春の雪 わかば 雪積んでケーキのような一樹あり 美咲 赤き実の食べ尽くされて物芽出づ あさこ 待ち人に会えずじまいや梅寒し 菜々 春の雪地につくまでに消えにけり 満天 春ともし欄間の彫を浮き立たす 三刀 2011年02月10日 身繕ひ余念なかりし猫の夫 宏虎 ホテルまで川沿ひ辿る春の宵 きづな 里山に犬を呼ぶこゑ猟期果つ 雅流 丘越えてまた丘越えて梅見かな 百姓 雛壇に赤毛のアンも並びけり よし女 いつになく膝の軽さや青き踏む 明日香 杉花粉飛ばす名山見たくなし つくし 日まみれの犬の背なかに春の泥 とろうち 2011年02月09日 春灯沖なる島の昏るなんと わかば 駄菓子屋も二代目となり春灯す つくし 神苑の木の間隠れに春の鹿 有香 鈴なりの祈願の絵馬に春日燦 あさこ 曲線の河岸に沿ひゆく春の波 治男 雪折れの幹の創痕射新しき 花茗荷 喉風邪に潤い与へ今日の雨 ひかり 玻璃ごしの春の光を画布に置く 英子 雛の店力士の手形家宝とす なつき チェンソーの音谺して芽吹き山 よし女 2011年02月08日 読めるのに書けぬ字のあり春炬燵 つくし 踏み切りの鐘のリズムや春眠し すずかぜ 俯瞰なる瀬戸の八十島春がすみ 菜々 蛇行する光の綺羅や春の川 せいじ ここにまたもぐら塚あり犬ふぐり 三刀 2011年02月07日 歴日の残念石に下萌ゆる 菜々 葉牡丹の渦にびっしり露の玉 すずかぜ 満天星のマッチ棒めく新芽かな きづな 半額のカレンダー買ふ一月尽 なつき 棚田守る老若集ひ畦を焼く 雅流 鳥たちのレストランめく春菜畑 よし女 2011年02月06日 路線バス待つ束の間の梅見かな せいじ 如月や漬物石を一つ取る よう子 程々の福を拾はむ追灘豆 なつき 朝寒し磴の隅ずみ掃く信徒 つくし
1月30日~2月5日のみのる選にコピーミスがあり、一部欠落していました。 ご指摘を感謝します。申し訳ありませんでした。修正しておきましたのでご確認ください。
[選評]
ようやく温かくなってきましたね。作品にも活気が出てきたと思います。ところで、作品の捉えどころはよいのに季語の斡旋で損をしている作品が多いように思います。添削で季語が置き換わったものはその違いを研究してみてください。
日常のなんでもないところを捕らえていて季語がよく効いた佳句です。
あるかないかの風に揺れれている芽柳はに春のおとづれを感じます。
健康を回復できた喜びが伝わってきます。
工事場のような俳諧味のないようなところからでも句は拾えます。
監視カメラの上に止まってあたかも物見しているかのような寒鴉の様子は滑稽ですね。
里山らしい風景ですね。村人の平和な日常も連想できます。
呼びかけている人の熱意が感じられます。赤と白の対比も連想できて面白いですね。
手元がおぼつかなくなかなか目的のページが開けません。
老いても若々しく行動的なのは俳人の特権ですね。
大きい尻を振りながら助走している鴨の姿を連想すると滑稽ですね。
作者もまた陽だまりを恋うて憩っているのですが、集まってくる恋に春を感じたのです。
潮風にのって吹いてくる風に春の息吹を感じた。海も空も真青な感じがします。
せっかく機嫌のよかった嬰が泣き出してしまった。ごめんね。
何気なく絞ったままバケツに入れていた雑巾がカチカチに凍って棍棒になってしまった。
もんどりうちながら塊で流れるもの。またそれを追い越していくもの。さながら戦場のよう。
みのる選
2011年02月05日 山襞に残る雪あり里の春 雅流 節分の夜の露天商賑はひぬ あさこ 春めきて心に描く旅プラン 満天 立春の空へ存問アドバル-ン 菜々 手毬めく京の生菓子雛の宿 つくし 水底に動くものあり池の春 三刀 薄氷や砥石の沈む金盥 うつぎ 高空に鳶が輪を描き浜小春 花茗荷 大鳥居雪解のしずくの尽きるなし こすもす 春風に誘はれ出でし吟行子 よし女 春耕の人ほつほつと貸農園 菜々 春立つとポストに届くもの多し はく子 2011年02月04日 早春や筧さ走る水の音 ともえ 薄氷のごと湖に浮く昼の月 宏虎 園児待つ母らぺちゃくちゃ春隣 よう子 鬼の豆噛みわが齢宜へり よし女 懸崖の防護壁よりもの芽出づ 治男 ふうはりと通ふ風あり柳の芽 明日香 自転車を降りて春田打ち始む よし女 佇めば瀬音高鳴る雪解川 花茗荷 夕霞沖より響く汽笛かな わかば 瘤や洞多きクヌギも芽吹きけり 小袖 足跡はみな獣なる雪野原 こすもす 水仙花ま向き背きに咲き競ふ せいじ 春の霜野菜の糖度増すといふ わかば 太りつつ斜面転がる雪の玉 こすもす 2011年02月03日 本復の声高々と鬼やらふ うつぎ 年の豆受けむ袋を頭の上に なつき 吾子が五指開きしごとき春の雲 よし女 豆撒へ手ひらがみな宙つかむ 菜々 春潮に巨大タンカー水脈を引く わかば 吾鬼にあらずと追儺豆を噛む 三刀 豆撒きへ競ふ手と手がきらきらと 明日香 春の陽の梢こぼるる深山道 英子 蝋梅の香を辿り来て長屋門 うつぎ 春泥の地獄ダンプの出入り口 有香 老禰宜の声たかだかと鬼やらひ 百合 武骨なる花梨なれど味はよし ぽんこ 豆まきの掛け声福は内ばかり なつき 玉砂利の石に紛れし福の豆 明日香 2011年02月02日 存問のごと下萌の明日香路 明日香 寒鴉監視カメラの上に物見 せいじ ヨガ部屋の姦しきかな春隣 よし女 案内の地図たよりなき春山路 英子 白鳥の首伸べて翔つ川暮色 すずかぜ 春空を支ふ架橋の主塔かな わかば 百選の棚田といふも雪野原 百合 池涸れて近道となる村の道 よう子 献血を呼びかけてゐる息白し つくし 悴みて辞書繰るページいき戻り とろうち 風花す麒麟の長き睫毛にも 小袖 2011年02月01日 老の春なれや心ぶらショッピング 菜々 多宝塔いや荘厳に美雪積む 小袖 万歩計ノルマ果たせず日向ぼこ つくし 朝千鳥波打ち際に整列す よし女 濯ぎもの凍てて吹く風いなしをり はく子 春日燦なれば朝戸全開に 明日香 雪落つる音に向き変ふ猫の耳 すずかぜ 薄氷にたたらを踏みて鴨翔ちぬ ともえ 煌めくははるか比叡の雪の峰 せいじ 陽だまりに集まる鯉や水温む あさこ 露天湯はジムの屋上日脚伸ぶ きづな 春風や海の上なるレストラン わかば 春近し里に鳥語の姦しく とろうち 山気裂くししおどしの音冴返る 宏虎 2011年01月31日 春隣り花舗はパステル画の彩に 菜々 うかうかと紙で指切る寒さかな 明日香 機嫌よき嬰を泣かせし大くさめ なつき 媼らの冬菜束ねる手の真つ赤 うつぎ 室の花愛でるピアスの男の子 きづな 大北風に楠の千手の落ちかず ひかり 2011年01月30日 水音の絶え間なき園冬ぬくし あさこ 繭玉を格子戸に挿す宿場町 なつき 下萌に屈めば瀬音近づきぬ 雅流 春禽の隠れ里らし屋敷林 せいじ お不動の祈りどころに風花す よし女 双体仏に前垂れ一つ冬うらら うつぎ 凍て雑巾棍棒となりたちにけり すずかぜ 修羅となり先を争ふ雪解川 宏虎 春寒き苑に馳走の点茶受く 満天
みのる選を発表している掲示板が見にくく、また使いづらいので自分で作りました。
みのるの日記に使っているシステムをアレンジしただけなので、システムの構築にはそれほど手間は かかりませんでした。 文章表現が自由にコントロールできるので大変快適です。 日記と同様に一ヶ月単位で自動的にページを切り分ける仕様です。 こんな感じに適当にコメントも書けますので便利になりました。 なぜもっと早く手をつけなかったんだろうかと・・・
唯一、残念なのは過去のみのる選の記事とのつながりがなくなってしまうということですが、 昔の古いボードは過去ログとして閲覧することもできますので、当面はリンクしておくことにします。
[選評]
海光に煌く千鳥の群れは美しい。 選者も山口県波雁浜に吟行に行ったことがあり懐かしい。
開発地から紙一重外れた村は今も鄙びた風景を残している。 西神戸あたりには良く見かける風景である。
有機農業で栽培された野菜は形の悪いものもあるが美味しい。 地元の農家が自家製レシピをつけてくれていて心が伝わる。
水仙は、まっすぐに凛々しく活けるのがコツだと効いたことがある。 活け終わって確認している人の気持ちが現れている。
梅の名所を巡拝しながらついでに吟行も楽しんでいる。 梅が咲いていてもそうでなくても楽しめるのが俳人の特権である。
一年草には、こぼれ種で命を繋ぐ品種も多く、さて今年はいかにという期待感がある。 春を待つの季感に近いが季語の斡旋がうまい。
都会人は雪が降ると少し浮かれた気分になるが、北国の冬は厳しいと聞く。 おろしてもおろしても・・と重ねたことで、ため息のような悲鳴が聞こえるようだ。
昨今、何かと批判を浴びている鉄撮りといわれるカメラマンたち。 冬田に三脚を立てて待ち構える集団を作者は少し冷ややかな気持ちで眺めている。
大伽藍の回廊はまるで舞台のように広いので、舞ふという表現が良く似合う。 大粒で降りすぐに消えるのが春の雪の特徴であるので、はかない雰囲気もある。
ベッドで点滴を受けながら病棟の窓辺に春が近づいているのを感じた。 春になれば退院の日も近い。
みのる選
2011年01月29日 急磴を息急き登り初不動 百姓 待春や吟行案内刷り上る 雅流 農樽のホース離さぬ厚氷 うつぎ 古希祝ふ同窓会場迎春花 きづな 川杭の全てにかもめ冬うらら すずかぜ 天辺に物見の鴉大枯木 有香 寒の葬和ます嬰の笑ひ声 なつき 翻るたび煌めける浜千鳥 三刀 北風に大楠悲鳴あげにけり ぽんこ 2011年01月28日 独り身の女はつよし久女の忌 治男 中華まん半分こして日向ぼこ とろうち 夕映えや四囲の山々笑ひ初む せいじ 陽だまりへ相寄る寒の錦鯉 雅流 お揃ひの毛糸の頭巾六地蔵 英子 冬枯れに残念石は只管打坐 菜々 山茶花の垣に売地の札を立て よし女 日溜まりに雀の遊ぶ雪間かな なつき 雪の壁日に日に高くなりにけり こすもす 風花や来し方をふと振りかへる 明日香 行商女凍つる地べたに座り込み うつぎ 2011年01月27日 探梅行わが裾を引く棘のあり よし女 分け入りて師の句碑訪へば笹鳴ける 宏虎 屋敷神へ手向く一花の冬椿 菜々 ニュータウンに隣る一村梅探る 菜々 枡形の巨石に冬日溢れけり きづな 碧眼に道問はれもす四温晴れ きづな 参磴を清めんとふる美雪かな 明日香 銘木になれと雪吊り小松にも ともえ 2011年01月26日 自転車も立ち往生の吹雪かな こすもす 箸先に黄身の弾力寒たまご 菜々 産直の露店賑はふ初地蔵 よし女 産直の有機冬菜にレシピつけ 満天 歯の抜けた笑顔が親し若布売 なつき 人の輪を離れて一人冬帽子 うつぎ 下ろしても下ろしても又雪となる 花茗荷 枕辺を猫うろうろす風邪寝かな 有香 日を返す濠のさざなみ鳰潜る 雅流 母恋の山頭火句碑霙降る よし女 2011年01月25日 水仙を活けて背筋を正しけり よう子 御神体雪化粧して御座すかな 明日香 ご神水口にふふめば淑気満つ 明日香 振り袖の金糸銀糸や春隣 とろうち 幼児と一緒に作る雪だるま ともえ 波が消す千鳥の翔ちし足の跡 よし女 雪雲の襲ひかかりし狼煙山 三刀 我気ぜわ夫は気長や蟹の鍋 うつぎ 2011年01月24日 呑まれゆくテールランプや雪しまく すずかぜ 巡拝を兼ねて吟行梅日和 うつぎ 断念の雪山仰ぐ露天風呂 よう子 久闊を叙して一献ふぐの鍋 雅流 こぼれ種楽しみに待つ春隣 明日香 句会後のおしゃべりが好き日脚伸ぶ 明日香 明日香 捨て畑に一本の梅蕾けり つくし 2011年01月23日 冬ぬくし釜だし茶碗手のひらに 満天 雪折れの木々や蕾のあるものも こすもす 列車撮る冬田にカメラマン並び なつき 書斎占む薄型テレビ冬ごもり 雅流 冬萌や潮の香通ふ海人の路地 わかば 北颪老いの一歩を押し返す すずかぜ 縄跳びの縄の高さに日脚伸ぶ 有香 雪吊りの尺余の木にも隔てなく 菜々 時化つづく沖睨みをる懐手 花茗荷 自転車の坂登り来る息白し とろうち 回廊に春雪の舞ふ大伽藍 よし子 繕ひし足袋を残して母逝けり よし女 点滴に生命つながれ春を待つ はく子 公魚の光零して釣られけり 一弘 日脚伸ぶ入れ替はり来るセールスマン 満天 地下足袋とピアスの庭師冬うらら せいじ