みのる選:2022年12月度
2022年12月24日 | |
日々寧き一人暮らしや年惜しむ | はく子 |
能楽堂門に黄葉の吹き寄する | なつき |
天地のあはひに黒き山眠る | むべ |
参道へ起点の石碑山眠る | ぽんこ |
フェリーはや沖となりたる寒灯 | 素秀 |
棟上の太梁高く冬晴るる | 素秀 |
園丁の枯蔓抱きて運び来し | なつき |
年惜しむ昔のドラマ見直して | こすもす |
ポインセチア百七歳の誕生日 | わかば |
オルガンの堂に響もすクリスマス | むべ |
裸木の抽んでて立つ北正門 | 素秀 |
2022年12月17日 | |
露天湯の湯気に紅さす冬夕焼 | 愛正 |
釣宿の潮の匂ひの隙間風 | 宏虎 |
直立し二礼二拍手皮ジャンパー | 素秀 |
相老いて夫婦好みの味噌おでん | なつき |
カフェテラスポインセチアを溢れしめ | ぽんこ |
寺守の礼に始まる落葉掃 | なつき |
健康を念じ十年日記買ふ | かかし |
駅ピアノ第九を奏づ師走かな | かかし |
一雨に紅深くせり藪柑子 | むべ |
陣なさず広池の鴨ちりじりに | わかば |
2022年12月10日 | |
枯蔦を鎧ふ古城のアーチ窓 | むべ |
ものいへば真白な歯や炭焼夫 | かかし |
遠山の尾根白々と師走来る | こすもす |
リビングへ玉の陽射しや窓小春 | はく子 |
冬ざるる苑の遊具に子らを見ず | わかば |
旧友と久闊を叙すおでん酒 | 宏虎 |
黒ネクタイ緩め屋台のおでん酒 | かかし |
羅漢みな赤き帽子や雪蛍 | なつき |
古町の紅葉かつ散る築地塀 | ぽんこ |
2022年12月3日 | |
藪巻を終へて松並威儀正す | 愛正 |
黄落や築百年といふチャペル | むべ |
行き戻る靴跡一つ冬河原 | なつき |
城壁をひろがり攀じる蔦紅葉 | ぽんこ |
岩壁を登るがごとく山の霧 | 愛正 |
墓に父母恋へば小春日吾をつつむ | 素秀 |
蝶のごと風に舞ひつつ黄落す | わかば |
大火鉢据えて老舗の料理店 | はく子 |
宇治小春茶そば御膳に舌鼓 | はく子 |
葦枯れて川に残りし渡し舟 | 素秀 |
寒木瓜のほのと紅差す陽射しかな | むべ |