みのる選:2022年9月度
2022年9月24日 | |
傍らに犬の寝息や夜仕事す | むべ |
秋耕の畝に影引く夕陽かな | 愛正 |
十字架の道もとほれば秋の声 | むべ |
薄日洩る樹々の梢の薄紅葉 | わかば |
丹波路の稲穂黄金にうねりをり | わかば |
寺縁いまさながら萩の浄土かな | 宏虎 |
奥院へ日の班踏みしめ秋遍路 | なつき |
大甕に犇めき太る布袋草 | よう子 |
木喰仏在す洞へ稲穂風 | よう子 |
滑走路跡としのこる大花野 | 素秀 |
盆栽の小さきお山も紅葉づれる | よう子 |
観音の豊かな頬に秋日濃し | ぽんこ |
露けしや土に埋もるわれ茶碗 | 素秀 |
大玻璃に刻々変はる秋夕焼 | はく子 |
皓々と今宵の月のいや白し | はく子 |
手にとりてくるくる回す秋団扇 | こすもす |
2022年9月17日 | |
抱き上ぐる子に日の匂ふ花野道 | なつき |
破蓮のため息ならめ水の泡 | 素秀 |
髪ゴムの鈴鳴らしゆく花野道 | なつき |
昨夜の雨木犀の香を沈めけり | わかば |
参道に残る火照りや万灯会 | なつき |
街灯の切れし小路や月今宵 | なつき |
ガード下暗き溝より昼の虫 | ぽんこ |
長き夜の読書に倦みて数独す | こすもす |
カリヨンの鳴りわたり朝澄めりけり | 宏虎 |
廃校舎跡に蛇口や芒原 | かかし |
風の萩茶室の木戸の見え隠れ | 愛正 |
かなかなや家路を急ぐ杣の背に | 素秀 |
住む人の居らぬ生家の昼の虫 | むべ |
月今宵一朶の雲も見当たらず | はく子 |
2022年9月10日 | |
杖の柄で枝引き寄せて柘榴採る | はく子 |
赤とんぼ座布団干せる大師茶屋 | なつき |
登り来て霧に包まる登山バス | 宏虎 |
海峡を潮の急きゆく果ての秋 | 素秀 |
数独のミス繰り返す夜長かな | こすもす |
秋風や拍手まばらな大道芸 | むべ |
虫集く窓辺に寝床しつらへり | むべ |
萩日和試歩の杖引く音かろし | はく子 |
苑統ぶる大樹に寄れば蔭涼し | わかば |
露けしや草にまみれし酒地蔵 | 宏虎 |
夕潮のふくらみて鯔はねにけり | 素秀 |
ガード下暗き溝より昼の虫 | ぽんこ |
谷風にうねりやまずや萩の花 | 愛正 |
鐘楼の前にハーレー秋遍路 | なつき |
傘立てに亡夫の杖や虫集く | はく子 |
2022年9月3日 | |
秋雲へ手を伸ばしもす尾根の道 | むべ |
山里の水いのちとす新豆腐 | 素秀 |
なぜなぜと矢継ぎ早なる汗の孫 | なつき |
朝顔の元気な蔓の種を採る | なつき |
澄む水を刎ねて緋の鯉踊りくる | ぽんこ |
老い母とあひ慈しむ虫の夜 | わかば |
子ら去にてもとの二人や虫の卓 | かかし |
ヒマラヤの石に夫恋ふ秋思かな | むべ |
賽銭が跳ねて啼きやむ法師蝉 | 愛正 |
行きはバス帰りは徒歩や野路の秋 | こすもす |
赤蜻蛉キの字キの字にホバリング | 素秀 |
念入りに米研ぎし日も終戦日 | はく子 |