みのる選:2022年6月度
2022年6月25日 | |
夏日影塀より高き一断碑 | ぽんこ |
ひもとけば紙魚もなつかし虚子句集 | よし子 |
簾上ぐ山に夕日の沈むまで | よし子 |
雨蛙載せれば鼓動手のひらに | 宏虎 |
裸子の真つ赤に泣いて寝返りす | なつき |
下闇にせせらぐ峡の奈落かな | わかば |
清水の舞台袖より夏の蝶 | かかし |
大岩の影より覗く七変化 | ぽんこ |
禅寺の悟りの窓に緑さす | ぽんこ |
月光の届かぬ水辺恋蛍 | むべ |
2022年6月18日 | |
指尺で胡瓜を測る畑日誌 | かかし |
まどろみに母の呼ぶ声明易し | わかば |
陽に倦みてやや腰折れの四葩かな | ぽんこ |
犬小屋に吊るす小さな青簾 | よう子 |
青梅のほのと紅さす一の宮 | よし子 |
軒低き花街のカフェ四葩咲く | なつき |
夕闇に白をこぼせり花南天 | むべ |
五月雨や渡し場跡の水漬き舟 | 愛正 |
蛍火の暫くはわがたなごころ | よう子 |
雷去りて青天井の戻る池 | むべ |
虚子句集晒し初心に返りけり | よし子 |
濃く淡く棚田づくりの菖蒲園 | はく子 |
この沢の千の蛍の無音界 | よし子 |
短夜の星降る山の旅寝かな | わかば |
風薫る古代の丘に道ありき | むべ |
2022年6月11日 | |
万緑が囲む山湖の面真青 | はく子 |
蝌蚪の田の水面をよぎる電車影 | よう子 |
噴水の中に腕白仁王立ち | ぽんこ |
立話横すり抜けて夏燕 | こすもす |
風に馳す沖の白帆や青岬 | わかば |
風鈴に風筋を聞く夕まぐれ | 素秀 |
下闇に黒のネクタイ緩めをり | かかし |
三世帯揃ひの家紋田植笠 | かかし |
片向けし日傘にしぶき保津下り | 宏虎 |
番傘の細手に重し走り梅雨 | 素秀 |
産湯井の甕に水輪や青時雨 | なつき |
風生まるたびにうねりし蓮青葉 | ぽんこ |
染むることやめて幾年洗ひ髪 | むべ |
塔頭の屋根光り合ふ薫風裡 | なつき |
2022年6月4日 | |
緑陰のベンチに独り瞑想す | わかば |
車前草の轍のあとに起ち直る | よう子 |
大淀を撫でゆく茅花流しかな | はく子 |
江戸と伊勢陣を分かちぬ菖蒲園 | たか子 |
万緑に七堂伽藍鐘響く | わかば |
葉桜となりし長堤人まばら | 宏虎 |
ホームランボールを探す苜蓿 | ぽんこ |
温顔の石仏ならぶ青葉影 | なつき |
迎へ梅雨土の匂へる田舎路 | 愛正 |
茶柱の新茶に和む老夫婦 | かかし |
合歓の花長きまつ毛にさも似たり | こすもす |