みのる選:2022年5月度

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2022年5月29日

5月23日~5月28日投句分

2022年5月28日
並々と古茶をピカソのマグカップなつき
国境の大河越えゆく揚羽蝶素秀
雨意兆す渓の若葉のざわめきてはく子
農家カフェ食後に庭のハンモックかかし
無住寺の墓石を縫ひて夏の蝶なつき
沢登り岩肌撫づる谷若葉愛正
茅花みな呆けて海へ靡きけりこすもす
翼翳す如く若葉や椋大樹なつき
海の橋宙に浮かべて夏霞わかば
亀池へ枝翳しをる花樗ぽんこ
外出より我が家がよろし新茶汲むたか子
母の日の似顔絵の口紅赤しなつき
弔いの煙ひとすぢ若葉冷むべ

2022年5月22日

5月16日~5月21日投句分

2022年5月21日
推敲に倦みていつしか三尺寝素秀
柿若葉雨の上がりし散歩道こすもす
川下る棹の捌きや新樹光かかし
木漏れ日と鳥語に和む夏館たか子
鳥語降り注ぎやまずよ夏木立よう子
夏木立歩みをとめて鳥語聴くかかし
苔庭に影打ち重ね若楓わかば
葛餅や宇治十帖の和歌の皿なつき
老いてなほ夢をつながむ更衣宏虎
庭にでて月命日の薔薇を剪るなつき
噴煙を呑み込まんとす夏の雲愛正
亡き夫の郷降りたてば若葉風むべ
神苑の杜明るうす若葉雨愛正
新茶いれ昔馴染みの輪の和むたか子
悉くヒマラヤ杉や木下闇はく子
南禅寺見渡すかぎり青楓よう子
祠へと続く小道は竹の秋わかば
鳥語降る下闇深く義士の墓ぽんこ
月涼し闇より黒き喪服かなむべ
水際に松風通ふ植田かな素秀

2022年5月15日

5月9日~5月14日投句分

2022年5月14日
鶯の鳴きつぐ道を奥院へわかば
新緑や一直線に御所通りぽんこ
ひらがなのスコアボードやこどもの日かかし
退院の家居安らぐ夏初めたか子
太陽の軌道正しく夏の海宏虎
ご開帳合はす手解かぬ媼かななつき
漣の代田にゆがむ山の影こすもす
苑めぐるどの道とるも若葉萌ゆはく子
行厨は風車の丘の薫風裡はく子
暮れなずむほどにしるきは鉄線花むべ
配達夫来て子燕のへの字口素秀
風薫る野外授業の黄色帽愛正
心字池ふちどりて燃ゆ躑躅かなわかば
新樹光高層ビルの窓に映ゆぽんこ
編み込みの子の大人びし新樹影素秀
癒えてゆく日にち薬や花は葉にたか子
山藤を揺らし入線一両車愛正
ミルトスの花まつ白やみどりの日むべ
石段にジャンケンポンや柿若葉よう子

2022年5月8日

5月2日~5月7日投句分

2022年5月7日
囀の途切れぬ森のミュージアムわかば
水底に命育む蝌蚪の紐わかば
園児らの稚鮎放流村起しかかし
新緑へ魚板一打す僧若しよう子
青空へ光返して若楓わかば
屹立すセコイア並木若葉風はく子
藤棚の下を占領ゲームの子たか子
クローバー花冠の落とし物はく子
街路樹の侍者のごとくに芥子の花ぽんこ
まひまひの水輪重ねし心字池よう子
田水張る目の輝やける老夫婦かかし
蝶ひらひら猫の目線を翻弄すこすもす
足生えし蝌蚪二筋の土煙なつき
宮守のごと黒猫や著莪の花ぽんこ
造り滝なるも豪快苑若葉はく子
水口に泳ぎて傾ぐ余り苗素秀
退院日までの日数の穀雨かなたか子
新樹光眩しセコイア並木道はく子
青蘆の中洲は鳥のサンクチュアリむべ

2022年5月1日

4月25日~4月30日投句分

2022年4月30日
せせらぎの綺羅に紛れて糸蜻蛉ぽんこ
研ぎ師いま軽き音立て青葉影なつき
奏でゐる園の一水蝌蚪の池ぽんこ
画材屋のテント庇に燕来るむべ
懸り藤仰ぐ大樹の名を知らず愛正
小手毬の垣根を揺らしすれ違ふよう子
病窓に街動き出す音おぼろたか子
庭石に触れなんとする藤の房わかば
蒲公英のグランド蹴つてキックオフこすもす
針刺されゐること忘れ春眠したか子
春憂しやナースをオイと呼ぶ輩たか子
男どち野球論戦躑躅燃ゆよう子
理髪師の剃刀頬に目借り時素秀
囀れるクレッシェンドを繰り返へしむべ
繋ぎし手ほどきて蝶に駈け出す子なつき
朧なる世界へ深く麻酔吸ふたか子
藤の香に酔ひたるごとく虻群るるはく子
五彩なし里の山々笑ひけりこすもす
リハビリの歩数を延ばす若葉風かかし
志賀直哉旧居の庭に春惜しむ宏虎
神名備を統ぶる大樹や懸り藤はく子
古民家に語り部を聞く春の宵むべ

 

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