みのる選:2022年4月度
2022年4月23日 | |
渾身の鍬に筍飛び出づる | よう子 |
花冷えの雨に鎮もる城址かな | 素秀 |
新緑の日の斑を落とす神の森 | ぽんこ |
来し方に卒寿の春を惜しみけり | 宏虎 |
幾度もネクタイ直す新社員 | かかし |
悲喜こもごも婚五十年花の膳 | たか子 |
霾りておのころ島は影法師 | わかば |
父母訪はむ墓辺にすみれ咲きし頃 | 素秀 |
千灯す生家にのこる大椿 | はく子 |
ヘルメット脱ぐ長髪に花の風 | よし子 |
水草を隠れ家として蝌蚪群るる | 愛正 |
深山道五彩を競ふ新若葉 | こすもす |
おほらかに生きて御国へ花の冷 | わかば |
筍の皮剥く夫のおぼつかな | なつき |
つれづれに古書店覗く日永かな | わかば |
宮の森躑躅籬に駐車せり | ぽんこ |
受洗せし友と語らひ青き踏む | むべ |
百千鳥ほつ枝しず枝と忙し気に | はく子 |
2022年4月16日 | |
春愁や母校の名前消滅す | こすもす |
燕翔ぶ神戸にハラール専門店 | 凡士 |
早暁の木々に耳当て桜守 | かかし |
海神の風に知覧の桜散る | 素秀 |
囀りやおのころ島の花桟敷 | たか子 |
囀りに朝のはじまる草の庵 | 愛正 |
肩うつは芽吹き雨と思ひけり | よし子 |
マラソンに挑む卒寿や風光る | かかし |
浄土はも総身に浴びる花吹雪 | はく子 |
チューリップ全開亭午の花時計 | むべ |
村と村繋ぎかつ散る桜道 | 素秀 |
讃美歌を口ずさみつつ種選 | むべ |
鄙の宿大玻璃窓に花吹雪 | はく子 |
貝寄風に乗る松籟や岬の宿 | たか子 |
春の海潮目の碧の濃く薄く | わかば |
根上りに座す人もおり花筵 | よう子 |
実りよき僧のほまち田豆の花 | なつき |
寄り道す夜桜の灯にいざなはれ | 素秀 |
2022年4月9日 | |
大津絵の猫も鼠も春愁ひ | 凡士 |
花堤ゆつくり歩く至福かな | こすもす |
早暁の誦経かきけす春疾風 | 愛正 |
手をつなぎ名札読み合ふ新入児 | なつき |
チューリップ背比べする遊歩道 | むべ |
海青し花のトンネル抜けてより | こすもす |
一両車屋根に桜を散らしくる | 素秀 |
水車落ちまた組み直す花筏 | なつき |
丘なせる段々畑花菜満つ | わかば |
シーソーを蹴つては触るる桜かな | なつき |
春光を蹴たてて鷭の水面駆く | はく子 |
トランプのやうに広げし種袋 | なつき |
分け入れば黄色き迷路菜花畑 | 素秀 |
工房に調弦の音うららけし | むべ |
春寒やキッチンカーに人の列 | よう子 |
2022年4月2日 | |
暖かやパン生地並ぶ窓辺かな | むべ |
振り向けば山遠くなる潮干狩 | 宏虎 |
旅の地図ひろげ見るだけなる日永 | わかば |
踏切の警報ひびく花菜畑 | よう子 |
満開の河津桜に雨無慈悲 | はく子 |
銀色の雨滴をとどむ木の芽晴 | はく子 |
爪を噛む癖なくなりて卒園す | なつき |
嘴の揃ふ巣燕道の駅 | 愛正 |
春耕の腰を伸ばせり桐大樹 | 素秀 |
ひとところ芽吹きの著し雑木山 | 凡士 |
囀りをこぼしやまざる大樹かな | 素秀 |
芽柳のそよぐ川辺を吟行す | こすもす |
遡る汐入川の残り鴨 | なつき |