みのる選:2021年11月度
2021年11月27日 | |
塵とりに鈴懸落葉はみだしぬ | むべ |
人力車専用路あり竹の春 | はく子 |
堰堤の底ひを見せてダム涸るる | よう子 |
日当たれる太閤石に冬紅葉 | わかば |
蹴られたる足を甘噛み炬燵猫 | 素秀 |
縫ひぐるみ日向ぼつこすフリマかな | うつぎ |
肉球の音なく踏みし落葉道 | むべ |
先を行く人に木の葉の降りやまず | わかば |
免許返納せし駐車場菊の鉢 | なつき |
炬燵から這ひでる猫の目は虚ろ | 素秀 |
冬の川下る艪さばき棹捌き | はく子 |
七五三大きな夢を絵馬に書く | よし子 |
玄関のチャイムに脱ぎぬちゃんちゃんこ | うつぎ |
蹴られたるボール枯芝まみれかな | よう子 |
ときめきぬ花柊のこぼれ香に | うつぎ |
朴落葉がらんどうなる駐輪場 | 愛正 |
2021年11月20日 | |
手放せることも恵みと木の葉髪 | むべ |
木喰仏まあるくまるく冬温し | うつぎ |
秋声や寺苑の隅に十字墓 | はく子 |
せせらぎの水面彩る渓紅葉 | よし子 |
イヌワシの翔ちて伊吹嶺を統ぶる | 凡士 |
照紅葉奇岩の谷を埋めけりや | よう子 |
防空壕もワインセラーも蔦紅葉 | うつぎ |
ラクビーの決勝宙を飛ぶトライ | 凡士 |
乳母車犬が先導落葉道 | むべ |
寂聴の恋の勧めや帰り花 | よう子 |
円虹を背にして帰る大漁旗 | 宏虎 |
半眼の木喰仏に窓小春 | かかし |
葛湯とく恙の母の笑顔かな | わかば |
鴨来たるセコイヤ並木映る池 | はく子 |
時雨きて走り渡るや沈下橋 | 素秀 |
2021年11月13日 | |
黄落が塗りつぶしたる街路かな | わかば |
上がり根の太きに積もる落葉かな | こすもす |
紅葉狩渓空を占むひつじ雲 | よう子 |
寺庭の秋七草にめぐりけり | はく子 |
木喰仏に髭の落書きうそ寒し | うつぎ |
七半のライダーは古希草紅葉 | かかし |
合戦地敵味方なく木の実打つ | なつき |
照紅葉ダム湖の碧のなほ深し | 素秀 |
合掌の軒高く積む年木かな | 凡士 |
ロープウェイ紅葉の渓をひと跨ぎ | 素秀 |
石室に射し込むつるべ落としの日 | うつぎ |
診察券数多溜まりて冬に入る | なつき |
色葉散る祇王寺下る人追ひて | 素秀 |
寡婦どうし話は尽きず暮の秋 | むべ |
かはらけのピシャリと谷へ秋気澄む | うつぎ |
2021年11月6日 | |
浦瀬戸にはや白波や冬初め | 凡士 |
六地蔵みそなはしゐる菊花展 | なつき |
秋日落つ山羊くぐりくる長屋門 | 素秀 |
イヤホンを耳に無口や松手入 | うつぎ |
懸崖菊結界なせる寺の廊 | うつぎ |
菰巻の背ナに屋号の太き文字 | かかし |
光堂出でて梢の秋惜しむ | 凡士 |
不揃ひの柿笊に盛る道の駅 | かかし |
一言にほぐるる心あたたかし | わかば |
出番なき山車に風当つ菊日和 | なつき |
祝儀袋選ぶ愉しさ秋日和 | こすもす |
関取と女将の足袋と並べ干す | 凡士 |
落暉いま炎となりし櫨紅葉 | むべ |
新藁を鋤きて農夫の鍬納め | かかし |
ひび薬介護に暮れし日々想ふ | うつぎ |
みほとりに病む人のあり暮れの秋 | わかば |
黄昏の空に溶けゆく薄紅葉 | むべ |
うら枯れの山腹に朱の大鳥居 | 愛正 |