みのる選:2021年10月度

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2021年10月31日

10月25日~10月30日投句分

2021年10月30日
目鼻なき切られ地蔵に虫の声なつき
蔦紅葉港の見える丘の家よし子
秋うららロバの瞳に我の顔はく子
百歳の健康自慢とろろ汁かかし
病室で授業受く児ら黄落期むべ
色変へぬ松を侍者とす文殊堂凡士
露の世のメール一通なる別れわかば
一片の紅葉を栞るヨブ記かなむべ
卒寿てふ特別賞の菊あるじかかし
ゆかしさよ糺の森の薄紅葉よし子
剥落の激しき仁王そぞろ寒宏虎
黒猫に赤のバンダナハロウイン素秀
こすもすの風ぐずる児の頬撫づるよう子
菊花展奨励賞がひと並び素秀
鄙の宿柿の彩葉を膳に添へはく子
子に寄り来るロバの機嫌や秋たかしはく子
句帳手に持っているだけ紅葉狩よし子
餌台の雀に混じり色鳥来素秀
古書の市落葉払へどまた落葉よう子

2021年10月24日

10月18日~10月23日投句分

2021年10月23日
止まり木の二合に酔うて赤い羽根素秀
暮れなずむ嶺に夕づつと匕首の月はく子
写し絵の夫に好物栗おこわむべ
放水のアーチ高々飛騨の秋凡士
行く秋や思ひ人来ぬ同窓会なつき
海の日のつるべ落しや密柑山宏虎
穂薄や画架立ち並ぶ運河沿ひなつき
秋潮がテトラポッドの苔撫づる更紗
秋耕へ覆ひくる影大江山凡士
秋潮の引きて磯蟹四散せり凡士
悠然と輪を描く鳶や秋の峰わかば
秋空へ弦引き絞る斜張橋はく子
宵闇や墨匂ひたつ写経堂愛正
海渡る車窓に瀬戸の島は秋素秀
紅葉渓棹一本を操りてかかし
鐵工所槌音に伍し鵙高音素秀
観覧車いま天辺や秋高しよう子
絵手紙のクレヨン匂ふ秋灯下素秀
すがれ虫夕べ鳴きつぐ河川敷はく子

2021年10月17日

10月11日~10月16日投句分

2021年10月16日
稔り田の広ごる郷にケアホームはく子
木の実落つ磴に音せる古刹かなよし子
文化財なりし母校や小鳥来るなつき
軒下の干柿添へて農家カフェかかし
山襞に隠る棚田や落し水凡士
蹲に水輪いくたび銀やんま素秀
望郷の碑たつ丘の上草紅葉よし子
柿簾夕日に映える里の道かかし
残る蚊の幽けき翅音払ひけり素秀
古城趾の大木の松色変へずこすもす
石段を五線譜とびに木の実落つよう子
薄紅葉谷の吊り橋揺れやまずよし子
句碑歌碑をめぐる寺苑の萩の中はく子
紫蘇の実をしごく両手の香りかなよう子
身に入むや亡夫宛に届く文むべ
行先は足の向くまま秋高しわかば
能勢の里烟らせ栗の毬を焼くよう子

2021年10月10日

10月4日~10月9日投句分

2021年10月9日
減便のローカル電車秋惜しむこすもす
スーパーを出るに出られぬ大夕立なつき
蟷螂のダンスとも見ゆ威嚇かなうつぎ
くるぶしの露を舐めつつ猫帰る素秀
拾ふなら菩提樹の実の百八つうつぎ
鎮守社へ辿る畦道豊の秋はく子
秋冷や修道院へつづら折りむべ
大栗の飛び出しさうな毬の中よう子
野路行けば草の実草の花楽しはく子
島へ伸ぶ橋まつすぐに秋澄めるよし子
鯊二尾を釣りて大漁気分かななつき
瞬きも似たる日焼けの双子かななつき
分校の下校の鐘や秋の暮よし子
小鳥来るよきおとずれと覚えけりわかば
稲の香に混じる土の香刈田風うつぎ
秋蝶や耶蘇禁制の高札場うつぎ

2021年10月5日

10月27日~9月2日投句分

2021年10月2日
山映す尾瀬の池塘や秋澄める愛正
水引が明るうしたる池畔かなむべ
盃にあふれさせたる今日の月素秀
曼殊沙華一本群れを離れ咲くよう子
一面の雲を眼下にケルン積む素秀
柔らかき狗尾草の尾に遊ぶよう子
県境の霧の峠を越ゆ帰郷素秀
考へる蟷螂ならむ首傾ぐうつぎ
星月夜親子五人で寝るテントなつき
隠れん坊鬼が迷子の芒原かかし
秋草を車窓に愛でつドライブすわかば
古都の旅湯あがりに見ゆ十三夜こすもす
銀漢を掴めさうなる山ホテル凡士
山の端をひよいと離れて小望月はく子
肩越しに本覗きたる赤蜻蛉むべ
誰彼と鳴子を引きて郷の道うつぎ
信濃路の一茶街道走り蕎麦かかし
野仏のほとりを埋む曼珠沙華宏虎

 

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