みのる選:2021年9月度
2021年9月25日 | |
茅葺の祠草の穂草の花 | はく子 |
茅葺の里に広ごる蕎麦の花 | はく子 |
夕間暮れのつぺらぼうの案山子かな | よう子 |
娘とひらく婚の写真や秋灯下 | なつき |
ぎんなんを拾ふ人なき並木道 | はく子 |
敬老日余興の手品鳩が出ず | 凡士 |
秋の灯の格子を漏るる京の露地 | よし子 |
萩愛でて万葉人となる心地 | うつぎ |
酔芙蓉眺めの午後のテイタイム | よし子 |
子雀ら乗せて沈みし籾の山 | 愛正 |
うち畳み寄せる白波秋の海 | こすもす |
力石撫でて祈願す秋遍路 | 素秀 |
輪塔に隠れクルスや菊薫る | なつき |
久に佇つ古里の畦曼珠沙華 | うつぎ |
秋の声茅葺深き廂より | はく子 |
2021年9月18日 | |
土手葎さながら虫の浄土かな | はく子 |
虫の音の佳境と思ふ仕舞風呂 | こすもす |
鈴なりの珊瑚樹の実に小鳥来る | むべ |
秋霖や野良猫集ふ庫裡の軒 | なつき |
山萩の濃き影落とす右城句碑 | 素秀 |
病室とリモートで祝ぐ敬老日 | なつき |
生産者夫婦の写真今年米 | かかし |
キーン訳読む芭蕉碑に萩零る | よう子 |
太鼓橋越えて消えゆく秋日傘 | 愛正 |
納豆に貝割菜のせ男めし | 凡士 |
虚子館へ辿る坂道草の花 | よし子 |
夕づつや棉吹く畝の暮れ残る | はく子 |
豊の秋一枚早き苅田あり | よう子 |
間遠なる鐘の余韻や大花野 | わかば |
葎なし露草点る墳丘墓 | せいじ |
林檎食ぶ原罪のエバ想ひけり | むべ |
重さうに揺るるメタボの猫じゃらし | うつぎ |
返信の渇筆の書のさやけしや | かかし |
扁額の墨匂ひ立つ菊日和 | 素秀 |
赤とんぼここが好きらし風の道 | 宏虎 |
磐梯の秀峰見せて芒原 | わかば |
斯く古りて開かずの木戸や蔦かづら | むべ |
うたた寝の耳覚めてをり鉦叩 | うつぎ |
2021年9月11日 | |
折り取れば須臾にほうけて芒の穂 | はく子 |
伊吹嶺は雨に烟ぶるや蕎麦の花 | 凡士 |
雨やんできしと窓辺の昼の虫 | むべ |
芒原銀の波追ふ雲の影 | はく子 |
黒帯の昇段試験子等さやか | かかし |
行くほどに濃くなる靄や花野道 | わかば |
屋台に灯点る博多の秋の暮 | 凡士 |
防災日胃薬使用期限切れ | なつき |
クレヨンの落書き残る秋扇 | 素秀 |
秋涼し娘の黒き髪を結ふ | むべ |
ひとかけの雲甌穴の秋の水 | 愛正 |
さやけしや母校に古りし礼拝堂 | むべ |
白露踏みゆく山宿の朝散歩 | わかば |
一列に帽子の進む芒原 | はく子 |
2021年9月4日 | |
近江路の風のささやき蕎麦の花 | 宏虎 |
秋川や舫ひの水を叩く音 | 素秀 |
実柘榴やうだつのつづく旧街道 | 凡士 |
忍び音の伝ふ胡弓や風の盆 | わかば |
一水の蛇行してをる秋の原 | こすもす |
お品書き変はる黒板秋めける | 素秀 |
朝露に手形の残る百度石 | 素秀 |
秋灯下写真の孫とおしやべりす | はく子 |
えのころを舌で巻き取る仔牛かな | なつき |
朝霧に対岸霞むかずら橋 | 素秀 |
斎場へ徒歩十分の残暑かな | 凡士 |
すり減りし庭下駄緩し夏終はる | よう子 |
ノミ痕の衣文さやけし円空仏 | なつき |
蜩やみな直立す杉木立 | はく子 |
穂芒に絡みきらめく西日かな | むべ |