みのる選:2021年8月度
2021年8月28日 | |
職人の来ぬ日の続く秋梅雨入 | よう子 |
引く波の足元すくふ秋の浜 | 愛正 |
ふと通ふ風に黙祷終戦日 | なつき |
稲光夜の叢雲あぶりだし | むべ |
夏野菜桶に躍りし岩清水 | 愛正 |
新涼の足跡しるき渚かな | 凡士 |
長雨を軒に待ちゐる帰燕かな | 素秀 |
内海の藍を深めて秋めきぬ | わかば |
幼子の静かな寝息夕月夜 | よし子 |
灯親し勾玉に似しナッツ食べ | むべ |
新涼や鍵盤を拭く奏楽者 | むべ |
禁煙者専用ベンチ赤トンボ | こすもす |
真白なる写経紙に墨涼新た | かかし |
園長も園児の目線稲の花 | かかし |
夜の秋ホラー映画に絶叫す | 素秀 |
兄妹も皆老いけらし生身魂 | はく子 |
2021年8月21日 | |
新涼はフローリングの足裏より | はく子 |
山上は蜻蛉天国手に肩に | はく子 |
立山の雄姿連なる星月夜 | わかば |
落梨は無料と無人販売所 | 素秀 |
高原に寝惜しむ旅の星月夜 | わかば |
茄子の馬部屋に残して入院す | なつき |
急患のなきひと時の法師蝉 | むべ |
新幹線左右に近江の早稲稔る | よう子 |
風さやかスイッチバック峡の駅 | 素秀 |
蟻地獄存問しつつ雨宿り | よう子 |
2021年8月14日 | |
真清水に山伏厚き胸濡らす | 素秀 |
法師蝉戦跡碑たつ賤ケ岳 | よう子 |
かなかなや眼下に余呉の湖展け | うつぎ |
夫在りし日の事をふと夜の秋 | はく子 |
大三角要としたる星月夜 | むべ |
高階に街の灯望む夜の秋 | はく子 |
牧場いま起伏埋めて霧走る | むべ |
合戦史聴く夏霧の賤ヶ岳 | うつぎ |
白南風にワルツの舞ひや鳶三羽 | 素秀 |
秋隣竿に干さるるゴムボート | 愛正 |
梵字なる百寿の僧の墨涼し | かかし |
打ち水の風を呼びたる石畳 | 凡士 |
2021年8月7日 | |
配管の灼けて臨海工業地 | 素秀 |
山頂の涼風に佇ち歓談す | 宏虎 |
橋の上から子らが飛ぶ夏の川 | 凡士 |
身体拭く熱きタオルや土用入 | なつき |
灯涼し眠ることなき駐機場 | むべ |
片陰を母にゆづりし帰り道 | 更紗 |
押入れに小蟹の骸海の宿 | むべ |
朝涼や厨に母とならび立ち | 更紗 |
ラジオ体操を急かせる蝉しぐれ | せいじ |
露店なき疫禍参道蝉時雨 | なつき |
伝説の小径と標竹落葉 | よし子 |
2021年7月31日 | |
住み古りし縁に二人の団扇かな | よう子 |
青空へ泡のはじけるレモネード | むべ |
半パンにアロハシャツ着て喜寿祝ふ | 凡士 |
海風の通ふホームの涼しさよ | わかば |
背ナ広き息子の浴衣姿かな | 更紗 |
大空へ投げ入れしごと月涼し | こすもす |
糸蜻蛉水輪残して翔ちにけり | 素秀 |
ぬけがらもまたなきがらも蝉の森 | せいじ |
胸張りて軍鶏炎天に高鳴けり | 素秀 |
造り滝虹を生みたる茶庭かな | わかば |
海の日の子に握りたる塩むすび | 更紗 |
帰るさの吾の背を焼く大西日 | はく子 |
朝涼の町一巡りウオーキング | 菜々 |
合歓の花吾の余生も第二章 | 宏虎 |