みのる選:2020年11月度
2020年11月28日 | |
青空とハーモニーして黄落す | せいじ |
振り返り振り返り辞す紅葉寺 | よう子 |
しばらくを我が掌に雪蛍 | はく子 |
つつぬけに山伏問答枯木立 | 素秀 |
水辺なる紅葉もつとも濃かりけり | 宏虎 |
濃き紅葉阿弥陀如来へ続きけり | うつぎ |
露しとどなる草の葉へ朝日燦 | わかば |
百歳の健の自慢は根深汁 | かかし |
離島へと水脈曳く船や冬夕焼 | なつき |
半眼の丈六仏や堂冴ゆる | うつぎ |
大樽に沢庵漬や里の軒 | かかし |
晋山を終へて寛ぐ縁小春 | よう子 |
稜線の影くっきりと冬茜 | よし子 |
浮き揺れしままに釣人波止小春 | かかし |
城址いま桜紅葉の天下かな | せいじ |
電車いま錦の山を窓に嵌め | せいじ |
ゴンドラの中も小春や観覧車 | 宏虎 |
冬菜畑越しに海見ゆ島の宿 | なつき |
足湯して見上ぐる紅葉空真青 | かかし |
モザイク画めきし芝生の散紅葉 | こすもす |
冬の蠅日に広げたる地図の上に | なつき |
目潰しの日矢が貫く照紅葉 | よう子 |
痛み止め飲み忘れをり縁小春 | かかし |
秘仏訪ぬ裏六甲の冬紅葉 | うつぎ |
芭蕉忌や浪速の句碑に詣でもし | かかし |
摘みこぼす零余子は土に紛れけり | うつぎ |
住職の丹精といふ菊大輪 | はく子 |
街路樹の紅葉黄葉あひ競ふ | わかば |
木枯らしが竹打ち鳴らす音止まず | なつき |
日矢差して艶増す山の錦かな | せいじ |
彼の世此の世行つたり来たり日向ぼこ | うつぎ |
田仕舞の煙残して暮れにけり | うつぎ |
夕時雨止めどしばらくひとつ傘 | 素秀 |
麻雀もカードも知らず葛湯吹く | よう子 |
涸滝に修験者杖をひと突きす | 素秀 |
2020年11月14日 | |
漁小屋の朽ちて間遠に虎落笛 | 素秀 |
岩淵にひつかかりたる崩れ簗 | 愛正 |
余部の峡空高く神の旅 | 宏虎 |
一隅に女人塚あり露の苑 | わかば |
天へ伸ぶ松の影より今日の月 | よし子 |
手に取りてしみじみ大き朴落葉 | よし子 |
千本の懸大根に朝日燦 | かかし |
大淀の逆波尖り秋の行く | はく子 |
熊笹の青き道あり枯野原 | 素秀 |
青空の柘榴に笑ひ返さるる | よう子 |
普請終へ池に水鳥戻りけり | わかば |
鉛筆の丈を行き来す冬の蝿 | 小袖 |
ハロウィンのかぼちや泣き顔笑ひ顔 | よし子 |
櫨紅葉奥社の杜を明るうす | はく子 |
今朝の冬釜の湯たぎる茶室かな | なつき |
不即不離守りて陣なす浮寝鳥 | こすもす |
リハビリの足もと軽し道小春 | そうけい |
荒縄で大根洗ふ老農夫 | かかし |
旅夜長一会のひとと杯重ね | 菜々 |
2020年11月7日 | |
対峙する白き櫓や菊日和 | わかば |
山頂に港を望み秋惜しむ | せいじ |
もぎたての柿頬張りて鍬休め | かかし |
山の畑不意に背な打つ木の実かな | うつぎ |
蘊蓄の夫が枝豆茹でにけり | よう子 |
通勤の靴が踏み行く木の実かな | うつぎ |
秋山路老翁ひとり道普請 | せいじ |
日に透けてステンドガラス蝶の翅 | 小袖 |
園丁の薔薇の剪定潔し | はく子 |
門を入るや否や菊の香漂へり | わかば |
かくれんぼ鬼の迷ひし芒原 | かかし |
狼藉はカメラマンらしコスモス田 | よう子 |
行厨のシートに真先雨蛙 | うつぎ |
野地蔵へどんぐり三つ供えあり | 菜々 |
中島を泡立草の席巻す | せいじ |
2020年10月31日 | |
杉玉を吊し新酒の試飲会 | かかし |
秋灯消し屑残る製図台 | 素秀 |
海峡を行き交ふ船に秋惜しむ | うつぎ |
コスモスの戦ぎて色の混ざり合ふ | うつぎ |
グローブのやうな手毛虫つまみ取る | なつき |
輪を描ける孤高の鳶や秋高し | よう子 |
名月をあげて生駒嶺神さぶる | せいじ |
開け放つ土間に車座新酒酌む | こすもす |
里山の落暉に染まる花芒 | かかし |
コスモスやナナハン止める長い脚 | よう子 |
深秋の無住寺訪ね鐘一打 | 小袖 |
翡翠と出くはす苑の良き日かな | はく子 |
冬桜天保と彫りし常夜燈 | なつき |
利根秘境簀幅の狭き下り簗 | 愛正 |
妙見の名水で炊く今年米 | よし子 |
コスモスに次の風待つ楽しさよ | 小袖 |
新米の香りの満ちる納戸かな | 素秀 |
コスモスの咲いて里山華やげり | よし子 |