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水車落ち組み直したる花筏 なつき
花の雲に載りて燦然天守閣 はく子
丘に立つ段々畑花菜満つ わかば
雲雀野に心たらひし歩みかな わかば
遺影にもパンジーの香の移りけり むべ
燕や白き腹見せ蔵の街 愛正
スノーフレーク誰が揺らすか妖精か 素秀
花冷や盛りの命とどめをり わかば
囀りの真中に陶房轆轤挽く 凡士
春禽に賑はふ古木枝まばら むべ
シーソーを蹴つては触るる桜かな なつき
長閑なり紐ある小さき力石 よう子
濠水面春光蹴たて鷭駆くる はく子
ストリートバスケ落花の舞ひ上がる なつき
高校野球気になる天気と開花予報 こすもす
トランプのやうに広ぐる種袋 なつき
踏み入れば黄色き迷路菜花畑 素秀
極楽橋くぐりて花見御座船に はく子
調弦の音工房にうららけし むべ
春寒やキッチンカーのピザを待つ よう子
馬酔木咲く稲荷の狐すまし顔 凡士
春夕日書斎の窓に居座りて むべ
花に添ふ枝垂れ芽柳なほ美しく はく子
春光や寺となりたるセミナリヨ よう子
春憂う濃き薄きあり板塔婆 愛正
コロナ禍もしばし忘れる花見かな こすもす
美しくなると通販満愚節 よう子

2022年4月2日

暖かや猫とパン生地並ぶ窓 むべ
蕗味噌や炊き上ぐるまで楽しむ香 わかば
潮干狩山が段々遠くなる 宏虎
蜑路地の灯りを暈す島朧 凡士
菜の花や昭和の色の暮れんとす 宏虎
買ひ出のリュックを霰た走りぬ よう子
ぽつねんと青鷺堰に動かざる はく子
背伸びする蓬摘女の大袋 よう子
蜜蜂の密吸ひし跡摩崖仏 宏虎
春の宵人を待つ間のセレナーデ わかば
果たしえぬ地図を広ぐる日永かな わかば
江戸古地図ひろげ深川浅蜊飯 凡士
櫓の字分解しては城日永 はく子
雀の子防鳥ネット出口どこ よう子
踏切の警報遠き菜畑かな よう子
満開の河津桜を散らす雨 はく子
生き過ぎと言いつ笑まひの桜餅 わかば
銀色の雨滴をとどむ木の芽かな はく子
苗床の双葉に群るる里雀 愛正
爪噛む癖いつかなくなり卒園す なつき
両岸は河津桜の満艦飾 はく子
春闌けて碧の深まる大蘇鉄 素秀
嘴の揃ふ巣燕道の駅 愛正
春風や硬く暖か風ならむ 宏虎
若き日の思い出辿り春の宵 わかば
沈丁の香主人と並ぶ盲導犬 かかし
遮断機の上がりっぱなしや木瓜の花 よう子
野蒜食む故郷のいま廃屋に かかし
春耕の腰を伸ばせり楠大樹 素秀
空也仏拝し木彫りの写経せん かかし
初桜球児のエール漏れ聞こゆ なつき
遠目にも芽吹きの著し雑木山 凡士
囀りを次々こぼす大樹かな 素秀
浮きいでし御籤の文字や白木蓮 こすもす
芽柳のそよぐ川辺や車窓より こすもす
残り鴨堰の光をつつきたり なつき
鶯やグランドゴルフマスクして こすもす
風光る揺らぐ鬣放牧馬 愛正
ウォンバット長寿のギネスのどけしや かかし
花の雨旅番組の録画消す なつき
五平餅食ぶる木曽路の春火鉢 凡士
真柏の巨樹ひこばえの大いなる 素秀
三角田ブルーに染めてイヌフグリ こすもす
薪能金春舞ふや石舞台 凡士
卒業式色とりどりの小振袖 むべ
銀輪を撫でて黙礼卒業す かかし
後頭部ちりちり痛む春嵐 むべ
雨上がり寒緋桜を踏むまじく むべ
水くぐる汐入川の残り鴨 なつき
百千鳥古刹の読経薄れゆく 愛正
悼むごと白き花きんぽうげ散る むべ
散策の古都の街並花三分 こすもす
山陽に蕨の新芽並び立つ 愛正
俳句して蝶を見る目が変わりけり 宏虎
芽吹きたる欅の下を初登園 素秀

2022年3月26日

主居ずや母屋の奥の燕の巣 愛正
燕来る駒留め残る格子窓 なつき
卒寿てふ段々畑の春耕す かかし
虫出しの雷に老犬飛び出せり むべ
深々と日矢さす堂に春の塵 凡士
塩の道に五十年継ぐ燕の巣 なつき
神樟に手当のトタン春時雨 なつき
門出の子引越し便の風光る かかし
春眠に乗り越す駅や一人旅 はく子
はずれ馬券春塵となるモニター前 よう子
潮の香や河津桜の満開に わかば
パドックに熱き眼差しマスク越し よう子
成田発見送る空を鳥帰る 凡士
外国の事を思いて青き踏む わかば
山峡に群れて押っ立つ蕨かな 愛正
騒がしきビニールハウス彼岸時化 素秀
猪名堤飛機を見送る黄水仙 せいじ
白梅のつぼみ賑やか無縁塚 なつき
野地蔵に花手向けたり卒業子 愛正
風光る女の騎手の結び髪 よう子
ホワイトデードライ苺の抹茶チョコ あひる
啓蟄やけんけん遊ぶ子らの声 わかば
さるすべりの裸木に朽つ巣箱かな なつき
春うらら駿馬が煽る射幸心 せいじ
なゐふりて真夜のLINEや朧月 むべ
春塵や青と黄の旗掲ぐ店 むべ
菜の花の川原にはたと海の波 わかば
囀とせせらぎ友に山路かな はく子
春燈やジャズ流れくる北野坂 凡士
小枝揺れ姿見せねど初音かな かかし
雨避けて軒に遍路は仏顔 素秀
松根方残すしずくや春しぐれ 素秀
ジョッキーはなべて小柄や馬場のどか せいじ
吊り橋を下から眺め山笑ふ はく子
故郷の港の名入り干鰈 こすもす
苗床となる軒下の林檎箱 愛正
春雨に鼻緒を濡らし石畳 素秀
孫ともども指折り数ふ春休み こすもす
百千鳥墓前の花の新しき むべ
石塀を越へて枝垂るる花ミモザ わかば
鳥帰る田んぼの端に道祖神 はく子
小走りに春雨傘の僧一人 素秀
頬被り出走表に赤印 よう子
北窓開く裾を引く赤城山 愛正
調教の栗毛靡くや草青む かかし
常盤木の中の桜の眩しかり はく子
斑鳩の相輪はるか棚霞 凡士
生で良し茹でてまた良し蛍烏賊 こすもす
動かざる雲井にひばり見失ふ あひる
螺髪めく蕾はさくら猪名堤 せいじ
生業は木地師といふて炉を塞ぐ 凡士
城跡の土塁の辺り落椿 かかし
白木蓮に混じりて咲けり昼の月 むべ
春風を孕み疾走勝負服 よう子
パドックにティーンも見入る春休み せいじ

2022年3月19日

葱の花野菜屑捨つ三角田 なつき
産土の狭き境内落椿 よう子
弁慶の鍋ころがしや春の坂 むべ
登り来て山湖しづもり山笑ふ はく子
遠山の朧の中のリフトかな こすもす
壺焼の噴きこぼれたる潮かな 凡士
春風やプロペラ付きの犬の帽 なつき
春風や螺旋階段くるくると はく子
春田打つ彼方行き交ふ新幹線 なつき
白山を水面に戻し鴨帰る 凡士
葬送のネクタイ緩め夕霞 かかし
桜草去年もここに恙なし よう子
令和となり通天閣の灯に染まる 宏虎
裏門の地蔵に供花卒業子 愛正
イヤホンを外し名草の芽吹き聞く よう子
初恋は永久に初恋春の雪 かかし
遅き日を重ねて二十三回忌 素秀
童歌口遊みつつ青き踏む わかば
海晴れて沖の島影薄霞 わかば
初蝶の飛び立たんとして止まる息 素秀
今年また桜見れたと車椅子 わかば
亀鳴くや轍の深き泥の道 素秀
猫眠る仕舞ふ仕舞はぬ春炬燵 かかし
家苞に諸子を買いて膳所の駅 よし子
雪解水岩噛み流る奥利根峡 愛正
色違ひの双子の靴や青き踏む なつき
陣組むで無く判っておりぬ残り鴨 宏虎
しろがねの鋒なほかたし幣辛夷 むべ
池塘に正座している落椿 宏虎
名刹を抱きて笑ふ東山 はく子
目刺し干す品に釣られて家包に 宏虎
かげろふの内に彼岸とつなぐ橋 素秀
ラジオ体操義母腰かけてあたたかし 凡士
春雷や畑仕の人へ良き兆し わかば
山笑ふ蒸気機関車裾縫いて はく子
鶯を聞き分けてをり里暮し よう子
螺旋階段くるくる降りて春の川 はく子
黙食の農家カフェや百千鳥 かかし
黄水仙香るベンチをひとりじめ むべ
春日濃しをちこちに干す人のあり むべ
賭けもせぬ勝馬応援声あげて よし子
北窓開く納屋に入り込む真竹かな 愛正
発掘の欠片に刷毛ののどけしや かかし
春の雷三十六峰駆け巡る よし子
春一番削る川原の空き巣かな なつき
宍道湖の吃水深し蜆女 宏虎
北窓を開き赤城の風を吸ふ 愛正
思惟仏の指先にある春愁かな よし子
飛行機は鶴のマークか春霞 よう子
山霞かなたに富士の浮かみくる むべ
糶へゆく牛の背梳く春日かな 凡士
晴れやかな顔に決意や卒業す わかば
婚の日も満開たりし梅今朝も こすもす
雪雫高音響くトタン屋根 愛正
揺蕩ふと若狭の海の蒸鰈 凡士
八十路とて夢のありけり雛飾る よし子
春暁や夢に驚き目覚めたり こすもす
新しき綿に包まる雛の顔 素秀

2022年3月12日

ぐずる児をあやしてをりぬ風車 よう子
フリスビー見事にキャッチ草青む かかし
船頭唄流し嫁入り舟に雛 なつき
黄水仙群れて明るき小庭かな わかば
山笑ひ谷水楽を奏でけり わかば
庵の戸を開けて梅が香四方より なつき
口遊む母の声止み春の雷 わかば
夕映の黄抜きだして花ミモザ むべ
雌の鴨陸に上がれば雄も又 はく子
しら梅の一輪越しに天守閣 凡士
境内にキャタピラ跡や除雪中 こすもす
甌穴の溢るる雪解け白き雲 愛正
生垣の内に一本藪椿 むべ
春時雨にはかに道の黒々と むべ
決壊の年読めぬ碑や水温む むべ
春愁うお悔やみ欄の没年令 愛正
囀や鍬を休めて茶の夫婦 かかし
佇みて見る人もなし堤焼き 愛正
町川を潮の満ちつつ猫柳 素秀
ぎしぎしの広葉の赤く萌え出づる はく子
揺蕩ふと風に舞ひをる柳かな かかし
漣の動きに浮沈浮寝鳥 こすもす
百相の納めだるまや梅の寺 なつき
川風の梳かす花穂や猫柳 愛正
おぼろなり羽根レースめく白孔雀 なつき
内視鏡体内巡り冴返る かかし
夕去りてたんぽぽの絮暮れ残る はく子
花の寺三つ葉躑躅は未だ蕾 こすもす
地下通路近づくヒール冴返る よう子
しゃがみ書くポストの横の遍路かな よう子
春灯下偕老嗜む食前酒 愛正
囀りや鴉の地鳴き混じりをり 凡士
地下道を出て中之島かぎろへる よう子
フラミンゴの池で弾けりしやぼん玉 なつき
子犬走ればたんぽぽの絮飛べり はく子
石段の左半分雪残る こすもす
母の辺に半襟を掛く春の雨 わかば
強東風や消防団の銀しころ むべ
篳篥の音色に泣けて春の昼 素秀
いにしへを思ふ古墳に鳥の恋 素秀
走り来るグリコサインに春疾風 凡士
標なき砲台跡やすみれ咲く よう子
淡淡と里山笑ひ初めにけり わかば
啓蟄や巣穴のやうな路線地図 凡士
朝東風に汐の香るや倉庫街 素秀
わらべ歌洩るる園児ら雛飾る かかし
能登に来て舳倉は遠し雪の果 凡士
潮の香の混じる梅東風花の寺 こすもす
木工所跡に連翹枝垂れけり 素秀
たんぽぽの絮そよ風にさそはるる はく子

2022年3月5日

ベア大会に向ける練習風光る こすもす
音もなく春こそ来たれ今日の空 よし子
春雷やふちどり金のワイングラス よし子
春の水湧く山を背に美術館 むべ
春浅し言葉不足に笑顔添へ 宏虎
蕗の薹吾娘にその名を貰ひけり むべ
河原の歩に草萌の柔らかく わかば
福寿草木立を抜くる日を追へり なつき
コンサートテノールに酔ふ春の宵 よう子
余寒なほ足湯の立て看道の駅 愛正
鰤しゃぶの鍋くぐらせば潮の音 凡士
畑焼きの一穂なびく川向う 愛正
塀越しの紅色兆す梅蕾 愛正
残る鴨川面白しろ暮れ残る はく子
羽閉ぢて初蝶白き線となり なつき
二羽の鳩身を寄せあふて春の堰 むべ
山笑ふウオークマンに足軽し よう子
泥水の浚渫船の余寒かな 宏虎
ざく切りの刃先に香る根芹かな むべ
千代紙よ貝よと手作り雛並べ はく子
菜の花や蕾ぎっしり辛子合へ よう子
小面の笑み妖しかり春の燭 凡士
雛飾りせしとハワイの便りかな よう子
うちの海晴れて迷路か春水仙 素秀
洛外といへど老舗の蓬餅 凡士
掛けましし虎の牙にて春動く 宏虎
啓蟄の土を返せば底浅し 宏虎
早春の風和らげる日差しかな わかば
春月や蕪村寄寓の与謝の寺 凡士
玉砂利を踏みしむ音よ恋の猫 素秀
元禄の梅八ツ房と今に尚 わかば
裏塀の隙間の風の余寒かな 愛正
首筋にうっかり雪解雫かな こすもす
犬ふぐり足の短い犬散歩 よし子
静かなる絢爛梅の二月かな 素秀
騒がしく篁叩くぼたん雪 素秀
雛飾る笑顔に覗く歯の二本 はく子
十三仏肩寄せ合ひて春の雪 よし子
病院の検査の一日春遅々と なつき
春兆す魚鱗の光水映る 宏虎
シルバニアのお家も並ぶひな祭り なつき
余寒なほあれど土には兆しあり わかば
神域の慰霊碑震ふ春の地震 素秀
ドラム缶はみ出す割り木焚火守 よう子
さざ波は早春の歌山の湖 よし子
春の日や久の門先立ち話 こすもす
梅寒し拍手まばらに大道芸 なつき
配布物のやっと終了余寒なほ こすもす
吊るし雛に埋め尽くされし旅の宿 はく子
春霞湯屋の煙突消へし街 凡士
山茱萸の花を確かめ城址へと わかば
買い足しは三度目木炭届きけり こすもす
猫柳川風受けて七変化 愛正
年一度の目文字今年も雛飾る はく子
緑青の池底干され浅き春 むべ

2022年2月26日

神輿蔵ひたと閉ざされ梅開く はく子
浮び来る鯉口丸く水温む 凡士
雪深き谷の駅舎の灯の淡し よう子
せせらぎや供花みどり立つ六地蔵 なつき
バレンタインハートを描きしオムライス なつき
白未だ紅満開の梅の宮 はく子
薄氷の朝日に光る汀かな わかば
雄鶏のつつくにまかせ落椿 素秀
昨日より今日また低し柿剪定 愛正
笹藪の雫を落とし雉ほろろ 素秀
泥混じり目鼻は炭の雪だるま こすもす
学舎の窓ノックする春の雪 わかば
廃業の酒屋の軒の古巣かな なつき
梅の香の満ちたる袋小路かな むべ
春泥を蹴爪にこねる放ち鳥 素秀
梅東風や一つ傾ぎし六地蔵 なつき
春の雪二匹の雀足跡を かかし
絵馬堂の絵馬の剥落梅盛る はく子
旅行誌の積ん読高し春の風邪 愛正
春日差し閻魔の眼光交はらず よう子
薄氷や中に蠢くものの影 わかば
ユーターン若き夫婦の畦を塗る かかし
学僧の新説をかし涅槃絵図 うつぎ
青空を見よと指さす松の芯 むべ
赤子抱きお礼参りの梅の寺 よう子
山笑ふ鑿音高き石切り場 凡士
仏壇に鉢植ゑ並べバレンタイン なつき
遺構の縁苔洗われる雨水かな 愛正
諸鳥の囀り楠に姦しき 素秀
手作りの菜園日誌雨水かな かかし
スラローム渓谷下る雨水かな 愛正
囀りにすれ違ひたる笑顔かな むべ
古稀の日の記念の植樹梅三分 かかし
涅槃図を絵解の僧に見惚れつつ うつぎ
僧総出大涅槃図の掛りけり うつぎ
春雪やしんと消しゐる鳥の声 素秀
キャタピラに踏まれても尚新芽萌ゆ こすもす
村なかに残る茅葺梅盛る はく子
囀りや黙し給食食べる子ら 凡士
能登牛の海見る崎へ厩出し 凡士
日矢さして湖は漣百千鳥 凡士
畦道にコース変えれば犬ふぐり こすもす
喫茶店はデイのハウスに春ショール よう子
切りすぎて蕾少なや白木蓮 こすもす
コロナ禍に売れ行き悪し大根炊 うつぎ
みどり解く水音かすか蕗の薹 わかば
聞こゆるは同じ小節春の昼 むべ
春の風邪机の上のうす埃 愛正
梟もけふは地に降り涅槃変 うつぎ
粉雪や山を越へ来て遊び去る よう子
港町驚かせたる春の雪 わかば
五千歩に急磴百段梅の宮 はく子
受験生吸ひ込まれゆく玻璃のビル むべ
春泥や天地返しの耕運機 かかし

2022年2月19日

剪定の済みし往来浅間見ゆ 愛正
春空へ高舞ふスノボー金メダル はく子
遠山に夕日の跳ねて残る雪 素秀
砲台跡を見下ろす百の藪椿 なつき
白盆梅の枝ぶりに置く笠地蔵 なつき
春寒や頬差す風の尖りをり わかば
残雪の聳ゆ中天嶺嶺光る わかば
開かんと千の祈りの辛夷の芽 はく子
鶯の渡る声あり切通し 素秀
小流れの光に遊ぶ春の鳥 むべ
青空に残雪の山こそ絶景 こすもす
二ン月や電子音にも返事して よし子
鋤き返す古墳の丘の春田かな 凡士
よく笑ふ庵主の赤きちゃんちゃんこ うつぎ
郵便受つひ見る土曜春浅し むべ
盆梅の蕾の固し茅葺門 なつき
春一番吹いて能登へと帰る杜氏 凡士
霊峰を望む遠嶺や残る雪 わかば
着膨れて木椅子に話続きけり うつぎ
春暁の料理屋の前荷がひとつ むべ
春寒や海に明るき日矢差すも わかば
池の鯉解ける筧の氷柱下 よう子
せせらぎを聞いて揺れゐる蕗の薹 素秀
白寿なる句友健やか梅の花 こすもす
春浅し光芒鈍き凪の海 わかば
虫食ひの木喰仏の面温し うつぎ
淡雪の竹林駈くる人力車 凡士
遊ぶ子を待つる雲梯水温む 凡士
菜の花や蕾に潜む苦さあり よう子
橋梁の分けて河口と春の海 素秀
網の上身を捩り合う霰餅 愛正
パンケーキきれいに焼けて春の朝 むべ
神木の千の枝張る芽吹きかな うつぎ
野地行けばなぞえに細か野梅咲く はく子
気もそぞろチラシ気になる春の風邪 愛正
初午や幟に埋もる露地稲荷 凡士
通学路子等蹴散らすや薄氷 愛正
まんさくに押されて参る山の寺 素秀
一つおき春日の席を置く電車 よう子
修復の楼門見上げ冴え返る よし子
杖止めて婆盆梅の銘読めり なつき
盆梅に括るうぐひす飛ぶ構へ なつき
絢爛や城南宮のしだれ梅 はく子
くれないと見分くるほどに梅ふふむ むべ
ぶらんこの次はコンビニ孫と爺 よう子
登校の一人半袖冴返る うつぎ
源氏庭赤青黒の鬼踊り 愛正
勉強の窓の下とて猫の恋 よし子
一週間の学校閉鎖や春寒し こすもす
なんとなく土の匂ひの春の風 よし子
公園のベンチに一人冴え返る よし子
雪残る河原に働く重機 こすもす
苞脱ぎていざ飛び立たん花辛夷 はく子
堤防のなぞえに雉の歩行跡 こすもす

2022年2月12日

川風に対ふ歩みや余寒尚 わかば
賑やかに咲いてひっそりいぬふぐり 宏虎
二ン月の雪に晒して草木染 凡士
孫誕生記念植樹の梅開く はく子
末黒野の青きを俳人見逃さず よう子
草堰の木杭にかかる春の草 むべ
誘ひ合ひ立春の野に出で来たり うつぎ
城門の乳鋲の錆や春浅し はく子
記念樹の丘の公園梅開く はく子
春立ちて今年の目標一つ増ゆ なつき
薄氷の鳳凰堂を映しけり 凡士
イベントの木彫の猫や春日射し こすもす
声あげてコロナ来るなと豆を打つ よし子
兄弟で分けて少なき豆を撒く なつき
霧氷咲く天空青き赤城山 愛正
悴む手上げて整列朝日影 愛正
お茶請けに羊羹厚く春立ちぬ なつき
春光の彫り影薄く読めぬ句碑 よう子
冴かえり追い焚き風呂にあと五分 素秀
けんけんで薄氷跳びし小学生 かかし
雪深き里に交はる志功と普羅 凡士
紅梅は結婚記念樹二十齢 はく子
捨子猫小さい爪でしがみつく よし子
鋤きし田の三角波の立ちてをり うつぎ
パンジーの顔もたげては又ぺしゃり こすもす
背を汚したるか末黒の石叩 うつぎ
寒明の水銀灯に鳴く鴉 素秀
降り止まず除雪車二回目の通過 こすもす
待春のせせらぎに聞く杖の人 むべ
廃校の正門閉ざし冴え返る よし子
三度目のワクチン終へて盆梅展 かかし
妙見の山を烟らす野焼かな うつぎ
くちばしを差しこむ鴨の羽の艶 むべ
暖かき雨やきりんの首濡らす 素秀
陰陽の石とや宮の春浅し 小袖
日曜のパパが鬼なり豆を撒く なつき
大玉の白菜ばかり残る市 小袖
おちこちの野焼きの煙村息吹く よう子
洞多き盆梅一枝かが数多 わかば
張りもどる姑の声春近し むべ
幼らの足跡点々雪遊び こすもす
さみどりの雀隠れや水路沿ひ むべ
駄菓子屋に夫とひと時春立てり なつき
春浅しピッと飛び打つ心電図 素秀
ジョギングの靴も新たや寒明くる 愛正
立春の陽に浮き出でし句碑の文字 うつぎ
立春や地球儀廻し旅ごころ かかし
田起こしや黒き土塊力満つ よう子
たんぽぽの会話に繋ぐ一会かな 小袖
関取の名入りの桝に年の豆 凡士
公園は古墳の丘や梅開く はく子
蘭の名はハーバライトや室の花 小袖
源流のかそけき瀬音水温む かかし
沿いゆける川瀬の音や下萌ゆる わかば
水栽培部屋に香立つ水仙花 愛正
立春の野にいで軽き歩みかな 小袖
梅見する石段の無き処多多 宏虎
横樋の相寄る雀冬深し 愛正
二度寝してガラス照り映え寒あける 宏虎
朝市の急ぐ車の蕗の薹 宏虎
予定表次々埋り春到来 こすもす
うらうらの皆が寝落ちの接骨院 素秀
春立ちて川面にゆらぐ陽の光 よし子
木喰の仏の笑みに春の音 凡士
ガラス窓拭いて今日は春立つ日 よし子
菜園で分かち合ひをり種袋 かかし
大阿蘇の野焼激しく火をこがす 宏虎
盆梅の枯渇の一枝蕾持つ わかば
水仙花四世代守る主婦の庭 よう子
此処からは予定なき時日脚伸ぶ わかば

2022年2月5日

年金は有難きこと去年今年 宏虎
女正月児のままごとの客となり なつき
鄙暮らし板につく友梅の里 むべ
雲破り雲を焦がさん冬夕焼 はく子
春近しカフェで好みのカップ選る なつき
冬の川へ天使の梯子燦々と はく子
雪しまく朝刊配るバイク音 かかし
笹子鳴く天満宮の長回廊 凡士
遅れ来て皆連れて翔つ寒雀 よう子
水仙の香にはっとする独り部屋 小袖
落とし物届くとポリス声温し よう子
記念日の湯呑み金継ぎ日脚伸ぶ かかし
ベール剥ぐやうな四温の明るさよ 小袖



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