水車落ち組み直したる花筏 | なつき |
花の雲に載りて燦然天守閣 | はく子 |
丘に立つ段々畑花菜満つ | わかば |
雲雀野に心たらひし歩みかな | わかば |
遺影にもパンジーの香の移りけり | むべ |
燕や白き腹見せ蔵の街 | 愛正 |
スノーフレーク誰が揺らすか妖精か | 素秀 |
花冷や盛りの命とどめをり | わかば |
囀りの真中に陶房轆轤挽く | 凡士 |
春禽に賑はふ古木枝まばら | むべ |
シーソーを蹴つては触るる桜かな | なつき |
長閑なり紐ある小さき力石 | よう子 |
濠水面春光蹴たて鷭駆くる | はく子 |
ストリートバスケ落花の舞ひ上がる | なつき |
高校野球気になる天気と開花予報 | こすもす |
トランプのやうに広ぐる種袋 | なつき |
踏み入れば黄色き迷路菜花畑 | 素秀 |
極楽橋くぐりて花見御座船に | はく子 |
調弦の音工房にうららけし | むべ |
春寒やキッチンカーのピザを待つ | よう子 |
馬酔木咲く稲荷の狐すまし顔 | 凡士 |
春夕日書斎の窓に居座りて | むべ |
花に添ふ枝垂れ芽柳なほ美しく | はく子 |
春光や寺となりたるセミナリヨ | よう子 |
春憂う濃き薄きあり板塔婆 | 愛正 |
コロナ禍もしばし忘れる花見かな | こすもす |
美しくなると通販満愚節 | よう子 |
2022年4月2日 | |
暖かや猫とパン生地並ぶ窓 | むべ |
蕗味噌や炊き上ぐるまで楽しむ香 | わかば |
潮干狩山が段々遠くなる | 宏虎 |
蜑路地の灯りを暈す島朧 | 凡士 |
菜の花や昭和の色の暮れんとす | 宏虎 |
買ひ出のリュックを霰た走りぬ | よう子 |
ぽつねんと青鷺堰に動かざる | はく子 |
背伸びする蓬摘女の大袋 | よう子 |
蜜蜂の密吸ひし跡摩崖仏 | 宏虎 |
春の宵人を待つ間のセレナーデ | わかば |
果たしえぬ地図を広ぐる日永かな | わかば |
江戸古地図ひろげ深川浅蜊飯 | 凡士 |
櫓の字分解しては城日永 | はく子 |
雀の子防鳥ネット出口どこ | よう子 |
踏切の警報遠き菜畑かな | よう子 |
満開の河津桜を散らす雨 | はく子 |
生き過ぎと言いつ笑まひの桜餅 | わかば |
銀色の雨滴をとどむ木の芽かな | はく子 |
苗床の双葉に群るる里雀 | 愛正 |
爪噛む癖いつかなくなり卒園す | なつき |
両岸は河津桜の満艦飾 | はく子 |
春闌けて碧の深まる大蘇鉄 | 素秀 |
嘴の揃ふ巣燕道の駅 | 愛正 |
春風や硬く暖か風ならむ | 宏虎 |
若き日の思い出辿り春の宵 | わかば |
沈丁の香主人と並ぶ盲導犬 | かかし |
遮断機の上がりっぱなしや木瓜の花 | よう子 |
野蒜食む故郷のいま廃屋に | かかし |
春耕の腰を伸ばせり楠大樹 | 素秀 |
空也仏拝し木彫りの写経せん | かかし |
初桜球児のエール漏れ聞こゆ | なつき |
遠目にも芽吹きの著し雑木山 | 凡士 |
囀りを次々こぼす大樹かな | 素秀 |
浮きいでし御籤の文字や白木蓮 | こすもす |
芽柳のそよぐ川辺や車窓より | こすもす |
残り鴨堰の光をつつきたり | なつき |
鶯やグランドゴルフマスクして | こすもす |
風光る揺らぐ鬣放牧馬 | 愛正 |
ウォンバット長寿のギネスのどけしや | かかし |
花の雨旅番組の録画消す | なつき |
五平餅食ぶる木曽路の春火鉢 | 凡士 |
真柏の巨樹ひこばえの大いなる | 素秀 |
三角田ブルーに染めてイヌフグリ | こすもす |
薪能金春舞ふや石舞台 | 凡士 |
卒業式色とりどりの小振袖 | むべ |
銀輪を撫でて黙礼卒業す | かかし |
後頭部ちりちり痛む春嵐 | むべ |
雨上がり寒緋桜を踏むまじく | むべ |
水くぐる汐入川の残り鴨 | なつき |
百千鳥古刹の読経薄れゆく | 愛正 |
悼むごと白き花きんぽうげ散る | むべ |
散策の古都の街並花三分 | こすもす |
山陽に蕨の新芽並び立つ | 愛正 |
俳句して蝶を見る目が変わりけり | 宏虎 |
芽吹きたる欅の下を初登園 | 素秀 |
2022年3月26日 | |
主居ずや母屋の奥の燕の巣 | 愛正 |
燕来る駒留め残る格子窓 | なつき |
卒寿てふ段々畑の春耕す | かかし |
虫出しの雷に老犬飛び出せり | むべ |
深々と日矢さす堂に春の塵 | 凡士 |
塩の道に五十年継ぐ燕の巣 | なつき |
神樟に手当のトタン春時雨 | なつき |
門出の子引越し便の風光る | かかし |
春眠に乗り越す駅や一人旅 | はく子 |
はずれ馬券春塵となるモニター前 | よう子 |
潮の香や河津桜の満開に | わかば |
パドックに熱き眼差しマスク越し | よう子 |
成田発見送る空を鳥帰る | 凡士 |
外国の事を思いて青き踏む | わかば |
山峡に群れて押っ立つ蕨かな | 愛正 |
騒がしきビニールハウス彼岸時化 | 素秀 |
猪名堤飛機を見送る黄水仙 | せいじ |
白梅のつぼみ賑やか無縁塚 | なつき |
野地蔵に花手向けたり卒業子 | 愛正 |
風光る女の騎手の結び髪 | よう子 |
ホワイトデードライ苺の抹茶チョコ | あひる |
啓蟄やけんけん遊ぶ子らの声 | わかば |
さるすべりの裸木に朽つ巣箱かな | なつき |
春うらら駿馬が煽る射幸心 | せいじ |
なゐふりて真夜のLINEや朧月 | むべ |
春塵や青と黄の旗掲ぐ店 | むべ |
菜の花の川原にはたと海の波 | わかば |
囀とせせらぎ友に山路かな | はく子 |
春燈やジャズ流れくる北野坂 | 凡士 |
小枝揺れ姿見せねど初音かな | かかし |
雨避けて軒に遍路は仏顔 | 素秀 |
松根方残すしずくや春しぐれ | 素秀 |
ジョッキーはなべて小柄や馬場のどか | せいじ |
吊り橋を下から眺め山笑ふ | はく子 |
故郷の港の名入り干鰈 | こすもす |
苗床となる軒下の林檎箱 | 愛正 |
春雨に鼻緒を濡らし石畳 | 素秀 |
孫ともども指折り数ふ春休み | こすもす |
百千鳥墓前の花の新しき | むべ |
石塀を越へて枝垂るる花ミモザ | わかば |
鳥帰る田んぼの端に道祖神 | はく子 |
小走りに春雨傘の僧一人 | 素秀 |
頬被り出走表に赤印 | よう子 |
北窓開く裾を引く赤城山 | 愛正 |
調教の栗毛靡くや草青む | かかし |
常盤木の中の桜の眩しかり | はく子 |
斑鳩の相輪はるか棚霞 | 凡士 |
生で良し茹でてまた良し蛍烏賊 | こすもす |
動かざる雲井にひばり見失ふ | あひる |
螺髪めく蕾はさくら猪名堤 | せいじ |
生業は木地師といふて炉を塞ぐ | 凡士 |
城跡の土塁の辺り落椿 | かかし |
白木蓮に混じりて咲けり昼の月 | むべ |
春風を孕み疾走勝負服 | よう子 |
パドックにティーンも見入る春休み | せいじ |
2022年3月19日 | |
葱の花野菜屑捨つ三角田 | なつき |
産土の狭き境内落椿 | よう子 |
弁慶の鍋ころがしや春の坂 | むべ |
登り来て山湖しづもり山笑ふ | はく子 |
遠山の朧の中のリフトかな | こすもす |
壺焼の噴きこぼれたる潮かな | 凡士 |
春風やプロペラ付きの犬の帽 | なつき |
春風や螺旋階段くるくると | はく子 |
春田打つ彼方行き交ふ新幹線 | なつき |
白山を水面に戻し鴨帰る | 凡士 |
葬送のネクタイ緩め夕霞 | かかし |
桜草去年もここに恙なし | よう子 |
令和となり通天閣の灯に染まる | 宏虎 |
裏門の地蔵に供花卒業子 | 愛正 |
イヤホンを外し名草の芽吹き聞く | よう子 |
初恋は永久に初恋春の雪 | かかし |
遅き日を重ねて二十三回忌 | 素秀 |
童歌口遊みつつ青き踏む | わかば |
海晴れて沖の島影薄霞 | わかば |
初蝶の飛び立たんとして止まる息 | 素秀 |
今年また桜見れたと車椅子 | わかば |
亀鳴くや轍の深き泥の道 | 素秀 |
猫眠る仕舞ふ仕舞はぬ春炬燵 | かかし |
家苞に諸子を買いて膳所の駅 | よし子 |
雪解水岩噛み流る奥利根峡 | 愛正 |
色違ひの双子の靴や青き踏む | なつき |
陣組むで無く判っておりぬ残り鴨 | 宏虎 |
しろがねの鋒なほかたし幣辛夷 | むべ |
池塘に正座している落椿 | 宏虎 |
名刹を抱きて笑ふ東山 | はく子 |
目刺し干す品に釣られて家包に | 宏虎 |
かげろふの内に彼岸とつなぐ橋 | 素秀 |
ラジオ体操義母腰かけてあたたかし | 凡士 |
春雷や畑仕の人へ良き兆し | わかば |
山笑ふ蒸気機関車裾縫いて | はく子 |
鶯を聞き分けてをり里暮し | よう子 |
螺旋階段くるくる降りて春の川 | はく子 |
黙食の農家カフェや百千鳥 | かかし |
黄水仙香るベンチをひとりじめ | むべ |
春日濃しをちこちに干す人のあり | むべ |
賭けもせぬ勝馬応援声あげて | よし子 |
北窓開く納屋に入り込む真竹かな | 愛正 |
発掘の欠片に刷毛ののどけしや | かかし |
春の雷三十六峰駆け巡る | よし子 |
春一番削る川原の空き巣かな | なつき |
宍道湖の吃水深し蜆女 | 宏虎 |
北窓を開き赤城の風を吸ふ | 愛正 |
思惟仏の指先にある春愁かな | よし子 |
飛行機は鶴のマークか春霞 | よう子 |
山霞かなたに富士の浮かみくる | むべ |
糶へゆく牛の背梳く春日かな | 凡士 |
晴れやかな顔に決意や卒業す | わかば |
婚の日も満開たりし梅今朝も | こすもす |
雪雫高音響くトタン屋根 | 愛正 |
揺蕩ふと若狭の海の蒸鰈 | 凡士 |
八十路とて夢のありけり雛飾る | よし子 |
春暁や夢に驚き目覚めたり | こすもす |
新しき綿に包まる雛の顔 | 素秀 |
2022年3月12日 | |
ぐずる児をあやしてをりぬ風車 | よう子 |
フリスビー見事にキャッチ草青む | かかし |
船頭唄流し嫁入り舟に雛 | なつき |
黄水仙群れて明るき小庭かな | わかば |
山笑ひ谷水楽を奏でけり | わかば |
庵の戸を開けて梅が香四方より | なつき |
口遊む母の声止み春の雷 | わかば |
夕映の黄抜きだして花ミモザ | むべ |
雌の鴨陸に上がれば雄も又 | はく子 |
しら梅の一輪越しに天守閣 | 凡士 |
境内にキャタピラ跡や除雪中 | こすもす |
甌穴の溢るる雪解け白き雲 | 愛正 |
生垣の内に一本藪椿 | むべ |
春時雨にはかに道の黒々と | むべ |
決壊の年読めぬ碑や水温む | むべ |
春愁うお悔やみ欄の没年令 | 愛正 |
囀や鍬を休めて茶の夫婦 | かかし |
佇みて見る人もなし堤焼き | 愛正 |
町川を潮の満ちつつ猫柳 | 素秀 |
ぎしぎしの広葉の赤く萌え出づる | はく子 |
揺蕩ふと風に舞ひをる柳かな | かかし |
漣の動きに浮沈浮寝鳥 | こすもす |
百相の納めだるまや梅の寺 | なつき |
川風の梳かす花穂や猫柳 | 愛正 |
おぼろなり羽根レースめく白孔雀 | なつき |
内視鏡体内巡り冴返る | かかし |
夕去りてたんぽぽの絮暮れ残る | はく子 |
花の寺三つ葉躑躅は未だ蕾 | こすもす |
地下通路近づくヒール冴返る | よう子 |
しゃがみ書くポストの横の遍路かな | よう子 |
春灯下偕老嗜む食前酒 | 愛正 |
囀りや鴉の地鳴き混じりをり | 凡士 |
地下道を出て中之島かぎろへる | よう子 |
フラミンゴの池で弾けりしやぼん玉 | なつき |
子犬走ればたんぽぽの絮飛べり | はく子 |
石段の左半分雪残る | こすもす |
母の辺に半襟を掛く春の雨 | わかば |
強東風や消防団の銀しころ | むべ |
篳篥の音色に泣けて春の昼 | 素秀 |
いにしへを思ふ古墳に鳥の恋 | 素秀 |
走り来るグリコサインに春疾風 | 凡士 |
標なき砲台跡やすみれ咲く | よう子 |
淡淡と里山笑ひ初めにけり | わかば |
啓蟄や巣穴のやうな路線地図 | 凡士 |
朝東風に汐の香るや倉庫街 | 素秀 |
わらべ歌洩るる園児ら雛飾る | かかし |
能登に来て舳倉は遠し雪の果 | 凡士 |
潮の香の混じる梅東風花の寺 | こすもす |
木工所跡に連翹枝垂れけり | 素秀 |
たんぽぽの絮そよ風にさそはるる | はく子 |
2022年3月5日 | |
ベア大会に向ける練習風光る | こすもす |
音もなく春こそ来たれ今日の空 | よし子 |
春雷やふちどり金のワイングラス | よし子 |
春の水湧く山を背に美術館 | むべ |
春浅し言葉不足に笑顔添へ | 宏虎 |
蕗の薹吾娘にその名を貰ひけり | むべ |
河原の歩に草萌の柔らかく | わかば |
福寿草木立を抜くる日を追へり | なつき |
コンサートテノールに酔ふ春の宵 | よう子 |
余寒なほ足湯の立て看道の駅 | 愛正 |
鰤しゃぶの鍋くぐらせば潮の音 | 凡士 |
畑焼きの一穂なびく川向う | 愛正 |
塀越しの紅色兆す梅蕾 | 愛正 |
残る鴨川面白しろ暮れ残る | はく子 |
羽閉ぢて初蝶白き線となり | なつき |
二羽の鳩身を寄せあふて春の堰 | むべ |
山笑ふウオークマンに足軽し | よう子 |
泥水の浚渫船の余寒かな | 宏虎 |
ざく切りの刃先に香る根芹かな | むべ |
千代紙よ貝よと手作り雛並べ | はく子 |
菜の花や蕾ぎっしり辛子合へ | よう子 |
小面の笑み妖しかり春の燭 | 凡士 |
雛飾りせしとハワイの便りかな | よう子 |
うちの海晴れて迷路か春水仙 | 素秀 |
洛外といへど老舗の蓬餅 | 凡士 |
掛けましし虎の牙にて春動く | 宏虎 |
啓蟄の土を返せば底浅し | 宏虎 |
早春の風和らげる日差しかな | わかば |
春月や蕪村寄寓の与謝の寺 | 凡士 |
玉砂利を踏みしむ音よ恋の猫 | 素秀 |
元禄の梅八ツ房と今に尚 | わかば |
裏塀の隙間の風の余寒かな | 愛正 |
首筋にうっかり雪解雫かな | こすもす |
犬ふぐり足の短い犬散歩 | よし子 |
静かなる絢爛梅の二月かな | 素秀 |
騒がしく篁叩くぼたん雪 | 素秀 |
雛飾る笑顔に覗く歯の二本 | はく子 |
十三仏肩寄せ合ひて春の雪 | よし子 |
病院の検査の一日春遅々と | なつき |
春兆す魚鱗の光水映る | 宏虎 |
シルバニアのお家も並ぶひな祭り | なつき |
余寒なほあれど土には兆しあり | わかば |
神域の慰霊碑震ふ春の地震 | 素秀 |
ドラム缶はみ出す割り木焚火守 | よう子 |
さざ波は早春の歌山の湖 | よし子 |
春の日や久の門先立ち話 | こすもす |
梅寒し拍手まばらに大道芸 | なつき |
配布物のやっと終了余寒なほ | こすもす |
吊るし雛に埋め尽くされし旅の宿 | はく子 |
春霞湯屋の煙突消へし街 | 凡士 |
山茱萸の花を確かめ城址へと | わかば |
買い足しは三度目木炭届きけり | こすもす |
猫柳川風受けて七変化 | 愛正 |
年一度の目文字今年も雛飾る | はく子 |
緑青の池底干され浅き春 | むべ |
2022年2月26日 | |
神輿蔵ひたと閉ざされ梅開く | はく子 |
浮び来る鯉口丸く水温む | 凡士 |
雪深き谷の駅舎の灯の淡し | よう子 |
せせらぎや供花みどり立つ六地蔵 | なつき |
バレンタインハートを描きしオムライス | なつき |
白未だ紅満開の梅の宮 | はく子 |
薄氷の朝日に光る汀かな | わかば |
雄鶏のつつくにまかせ落椿 | 素秀 |
昨日より今日また低し柿剪定 | 愛正 |
笹藪の雫を落とし雉ほろろ | 素秀 |
泥混じり目鼻は炭の雪だるま | こすもす |
学舎の窓ノックする春の雪 | わかば |
廃業の酒屋の軒の古巣かな | なつき |
梅の香の満ちたる袋小路かな | むべ |
春泥を蹴爪にこねる放ち鳥 | 素秀 |
梅東風や一つ傾ぎし六地蔵 | なつき |
春の雪二匹の雀足跡を | かかし |
絵馬堂の絵馬の剥落梅盛る | はく子 |
旅行誌の積ん読高し春の風邪 | 愛正 |
春日差し閻魔の眼光交はらず | よう子 |
薄氷や中に蠢くものの影 | わかば |
ユーターン若き夫婦の畦を塗る | かかし |
学僧の新説をかし涅槃絵図 | うつぎ |
青空を見よと指さす松の芯 | むべ |
赤子抱きお礼参りの梅の寺 | よう子 |
山笑ふ鑿音高き石切り場 | 凡士 |
仏壇に鉢植ゑ並べバレンタイン | なつき |
遺構の縁苔洗われる雨水かな | 愛正 |
諸鳥の囀り楠に姦しき | 素秀 |
手作りの菜園日誌雨水かな | かかし |
スラローム渓谷下る雨水かな | 愛正 |
囀りにすれ違ひたる笑顔かな | むべ |
古稀の日の記念の植樹梅三分 | かかし |
涅槃図を絵解の僧に見惚れつつ | うつぎ |
僧総出大涅槃図の掛りけり | うつぎ |
春雪やしんと消しゐる鳥の声 | 素秀 |
キャタピラに踏まれても尚新芽萌ゆ | こすもす |
村なかに残る茅葺梅盛る | はく子 |
囀りや黙し給食食べる子ら | 凡士 |
能登牛の海見る崎へ厩出し | 凡士 |
日矢さして湖は漣百千鳥 | 凡士 |
畦道にコース変えれば犬ふぐり | こすもす |
喫茶店はデイのハウスに春ショール | よう子 |
切りすぎて蕾少なや白木蓮 | こすもす |
コロナ禍に売れ行き悪し大根炊 | うつぎ |
みどり解く水音かすか蕗の薹 | わかば |
聞こゆるは同じ小節春の昼 | むべ |
春の風邪机の上のうす埃 | 愛正 |
梟もけふは地に降り涅槃変 | うつぎ |
粉雪や山を越へ来て遊び去る | よう子 |
港町驚かせたる春の雪 | わかば |
五千歩に急磴百段梅の宮 | はく子 |
受験生吸ひ込まれゆく玻璃のビル | むべ |
春泥や天地返しの耕運機 | かかし |
2022年2月19日 | |
剪定の済みし往来浅間見ゆ | 愛正 |
春空へ高舞ふスノボー金メダル | はく子 |
遠山に夕日の跳ねて残る雪 | 素秀 |
砲台跡を見下ろす百の藪椿 | なつき |
白盆梅の枝ぶりに置く笠地蔵 | なつき |
春寒や頬差す風の尖りをり | わかば |
残雪の聳ゆ中天嶺嶺光る | わかば |
開かんと千の祈りの辛夷の芽 | はく子 |
鶯の渡る声あり切通し | 素秀 |
小流れの光に遊ぶ春の鳥 | むべ |
青空に残雪の山こそ絶景 | こすもす |
二ン月や電子音にも返事して | よし子 |
鋤き返す古墳の丘の春田かな | 凡士 |
よく笑ふ庵主の赤きちゃんちゃんこ | うつぎ |
郵便受つひ見る土曜春浅し | むべ |
盆梅の蕾の固し茅葺門 | なつき |
春一番吹いて能登へと帰る杜氏 | 凡士 |
霊峰を望む遠嶺や残る雪 | わかば |
着膨れて木椅子に話続きけり | うつぎ |
春暁の料理屋の前荷がひとつ | むべ |
春寒や海に明るき日矢差すも | わかば |
池の鯉解ける筧の氷柱下 | よう子 |
せせらぎを聞いて揺れゐる蕗の薹 | 素秀 |
白寿なる句友健やか梅の花 | こすもす |
春浅し光芒鈍き凪の海 | わかば |
虫食ひの木喰仏の面温し | うつぎ |
淡雪の竹林駈くる人力車 | 凡士 |
遊ぶ子を待つる雲梯水温む | 凡士 |
菜の花や蕾に潜む苦さあり | よう子 |
橋梁の分けて河口と春の海 | 素秀 |
網の上身を捩り合う霰餅 | 愛正 |
パンケーキきれいに焼けて春の朝 | むべ |
神木の千の枝張る芽吹きかな | うつぎ |
野地行けばなぞえに細か野梅咲く | はく子 |
気もそぞろチラシ気になる春の風邪 | 愛正 |
初午や幟に埋もる露地稲荷 | 凡士 |
通学路子等蹴散らすや薄氷 | 愛正 |
まんさくに押されて参る山の寺 | 素秀 |
一つおき春日の席を置く電車 | よう子 |
修復の楼門見上げ冴え返る | よし子 |
杖止めて婆盆梅の銘読めり | なつき |
盆梅に括るうぐひす飛ぶ構へ | なつき |
絢爛や城南宮のしだれ梅 | はく子 |
くれないと見分くるほどに梅ふふむ | むべ |
ぶらんこの次はコンビニ孫と爺 | よう子 |
登校の一人半袖冴返る | うつぎ |
源氏庭赤青黒の鬼踊り | 愛正 |
勉強の窓の下とて猫の恋 | よし子 |
一週間の学校閉鎖や春寒し | こすもす |
なんとなく土の匂ひの春の風 | よし子 |
公園のベンチに一人冴え返る | よし子 |
雪残る河原に働く重機 | こすもす |
苞脱ぎていざ飛び立たん花辛夷 | はく子 |
堤防のなぞえに雉の歩行跡 | こすもす |
2022年2月12日 | |
川風に対ふ歩みや余寒尚 | わかば |
賑やかに咲いてひっそりいぬふぐり | 宏虎 |
二ン月の雪に晒して草木染 | 凡士 |
孫誕生記念植樹の梅開く | はく子 |
末黒野の青きを俳人見逃さず | よう子 |
草堰の木杭にかかる春の草 | むべ |
誘ひ合ひ立春の野に出で来たり | うつぎ |
城門の乳鋲の錆や春浅し | はく子 |
記念樹の丘の公園梅開く | はく子 |
春立ちて今年の目標一つ増ゆ | なつき |
薄氷の鳳凰堂を映しけり | 凡士 |
イベントの木彫の猫や春日射し | こすもす |
声あげてコロナ来るなと豆を打つ | よし子 |
兄弟で分けて少なき豆を撒く | なつき |
霧氷咲く天空青き赤城山 | 愛正 |
悴む手上げて整列朝日影 | 愛正 |
お茶請けに羊羹厚く春立ちぬ | なつき |
春光の彫り影薄く読めぬ句碑 | よう子 |
冴かえり追い焚き風呂にあと五分 | 素秀 |
けんけんで薄氷跳びし小学生 | かかし |
雪深き里に交はる志功と普羅 | 凡士 |
紅梅は結婚記念樹二十齢 | はく子 |
捨子猫小さい爪でしがみつく | よし子 |
鋤きし田の三角波の立ちてをり | うつぎ |
パンジーの顔もたげては又ぺしゃり | こすもす |
背を汚したるか末黒の石叩 | うつぎ |
寒明の水銀灯に鳴く鴉 | 素秀 |
降り止まず除雪車二回目の通過 | こすもす |
待春のせせらぎに聞く杖の人 | むべ |
廃校の正門閉ざし冴え返る | よし子 |
三度目のワクチン終へて盆梅展 | かかし |
妙見の山を烟らす野焼かな | うつぎ |
くちばしを差しこむ鴨の羽の艶 | むべ |
暖かき雨やきりんの首濡らす | 素秀 |
陰陽の石とや宮の春浅し | 小袖 |
日曜のパパが鬼なり豆を撒く | なつき |
大玉の白菜ばかり残る市 | 小袖 |
おちこちの野焼きの煙村息吹く | よう子 |
洞多き盆梅一枝かが数多 | わかば |
張りもどる姑の声春近し | むべ |
幼らの足跡点々雪遊び | こすもす |
さみどりの雀隠れや水路沿ひ | むべ |
駄菓子屋に夫とひと時春立てり | なつき |
春浅しピッと飛び打つ心電図 | 素秀 |
ジョギングの靴も新たや寒明くる | 愛正 |
立春の陽に浮き出でし句碑の文字 | うつぎ |
立春や地球儀廻し旅ごころ | かかし |
田起こしや黒き土塊力満つ | よう子 |
たんぽぽの会話に繋ぐ一会かな | 小袖 |
関取の名入りの桝に年の豆 | 凡士 |
公園は古墳の丘や梅開く | はく子 |
蘭の名はハーバライトや室の花 | 小袖 |
源流のかそけき瀬音水温む | かかし |
沿いゆける川瀬の音や下萌ゆる | わかば |
水栽培部屋に香立つ水仙花 | 愛正 |
立春の野にいで軽き歩みかな | 小袖 |
梅見する石段の無き処多多 | 宏虎 |
横樋の相寄る雀冬深し | 愛正 |
二度寝してガラス照り映え寒あける | 宏虎 |
朝市の急ぐ車の蕗の薹 | 宏虎 |
予定表次々埋り春到来 | こすもす |
うらうらの皆が寝落ちの接骨院 | 素秀 |
春立ちて川面にゆらぐ陽の光 | よし子 |
木喰の仏の笑みに春の音 | 凡士 |
ガラス窓拭いて今日は春立つ日 | よし子 |
菜園で分かち合ひをり種袋 | かかし |
大阿蘇の野焼激しく火をこがす | 宏虎 |
盆梅の枯渇の一枝蕾持つ | わかば |
水仙花四世代守る主婦の庭 | よう子 |
此処からは予定なき時日脚伸ぶ | わかば |
2022年2月5日 | |
年金は有難きこと去年今年 | 宏虎 |
女正月児のままごとの客となり | なつき |
鄙暮らし板につく友梅の里 | むべ |
雲破り雲を焦がさん冬夕焼 | はく子 |
春近しカフェで好みのカップ選る | なつき |
冬の川へ天使の梯子燦々と | はく子 |
雪しまく朝刊配るバイク音 | かかし |
笹子鳴く天満宮の長回廊 | 凡士 |
遅れ来て皆連れて翔つ寒雀 | よう子 |
水仙の香にはっとする独り部屋 | 小袖 |
落とし物届くとポリス声温し | よう子 |
記念日の湯呑み金継ぎ日脚伸ぶ | かかし |
ベール剥ぐやうな四温の明るさよ | 小袖 |