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海と母校見せて孫連れの帰省 こすもす
秋近し山の向こうの風にきく よし子
コミバス停薬袋に青田風 愛正
遺影の顔いつも笑顔や夜の秋 はく子
足一歩載せてみたいと蓮大葉 よし子
災害の多き日の本猛暑かな わかば
ラムネ飲む昭和の味の懐かしく 宏虎
八月の見慣れぬ蝶の翅重し 素秀
踏切やレールの炎暑足裏より よう子
庭畑の黄ばみ初めたる大暑かな なつき
忘れてはならぬと思ふ原爆忌 わかば
海無し県の孫大はしゃぎ海水浴 こすもす
訪ふ度に千体地蔵炎ゆる中 ぽんこ
広縁に老婆うたた寝渦巻香 愛正
苔纏ふ水掛不動夏旺ん ぽんこ
水なすの糠漬け旨き店閉まる よう子
客寄せの大玉西瓜楕円形 よう子
いかづちや黒雲低く垂れ込めり むべ
空蝉や脱皮直ぐ跡濡れており 宏虎
帰省子に川の流れの時間かな よし子
一陣の風に波立つ柳蘭 愛正
新聞紙渦巻く箱のメロン来る よう子
カーブする鉄路の先の先も夏 よう子
夏果てど棄ても失くしも出来ぬ月 素秀
朝採りのトマト供ふる日課かな なつき
蟬時雨また減便のバスを待つ かかし
久安寺なごりの紫陽花雨もよい よし子
足湯して森林浴や蟬時雨 かかし
誕生日の娘に贈りたり京扇子 こすもす
峠茶屋皆売り切れてソーダ飲む 宏虎
涼風や傘となしたる樟大樹 ぽんこ
炎天にひとまず幕や夕日落つ はく子
炎天や鉄路はどこまで平行線 はく子
初恋は永久に初恋遠花火 かかし
熱き茶を一人に入れて夜の秋 はく子
放棄田に万の向日葵隠れん坊 かかし

2022年7月30日

花の寺小さき池の作り滝 こすもす
流木に翅立て流る川蜻蛉 愛正
蚊遣火を腰にリードの伸びにけり むべ
石橋の蜻蛉ぐるりと眼を回す なつき
コロナ見舞ネット注文夜の蝉 よう子
滝飛沫浴びてしずまりゆく心 わかば
遠雷や重きペダルに変速す むべ
大暑の日鍬のリズムの米寿翁 かかし
木立の間を歩数で計るハンモック 愛正
紅白の夾竹桃や車窓飛ぶ わかば
夕闇に蚊遣り地を這ふ三和土かな 愛正
蝉時雨池の真中の弁財天 ぽんこ
笹の葉に鮎の塩焼き尾を跳ぬる はく子
油虫押さへて猫の目は爛々 素秀
蚤の市暇な店主の三尺寝 ぽんこ
月亮門くぐれば古りし扇店 むべ
鉢植えのミニひまわりもゴッホなる よう子
帰省子の引っ越しのごと赤児と荷 かかし
本を閉づまぶた閉づれば蝉時雨 よう子
鎮守の杜ただに激しき蝉しぐれ はく子
紫陽花の葉を干す慣ひ離れ島 むべ
予約診待合室の花ミモザ こすもす
蝉しぐれ夫と子の忌を修しけり はく子
雨上がるお化け胡瓜の地を撫づる よう子
小波に立つ倒影の柳蘭 愛正
噴水やリズミカルなる三拍子 こすもす
訪ひし国地図に花丸ソーダ水 かかし
鬼百合の珠芽触るればほろと落つ よう子
打つ手なき酷暑に耐える力石 ぽんこ
補助輪の取れてどや顔日焼の子 かかし
滴りや昼なほ暗き吉野杉 わかば
つぼ少しずらして耐へる土用灸 なつき
鮮やかなおかめ南天池薄暑 ぽんこ
土用灸熱く読経の早口に なつき
颯爽と力士浴衣の縄模様 素秀
土用灸終え寺めしの賑へり なつき
夏休みの子と作りたるカレーかな こすもす
溜席時間に上げるサングラス 素秀
脚もげしががんぼ止まる白き壁 愛正
消えさうで消えぬ燭の灯土用東風 なつき
病葉と共に落つるは青胡桃 わかば
夕焼や昏き運河に石の橋 むべ
八寸の彩り豊か夏料理 はく子
雑草の露を見ている力石 ぽんこ
滴りを受くる掌沢登り わかば
夕立去り竿に連なる雨滴光 はく子
水羊羹掬ひてテレビ桟敷かな 素秀
峠茶屋ポンと昭和のラムネ玉 かかし
冷酒の氷は月の欠片かな 素秀

2022年7月23日

雲の峰グランドゴルフ楽しめり はく子
雲の峰勝つのは弟腕相撲 はく子
ボランテヤ駆引きなしの出水かな 宏虎
水馬かぼそき足で流されず 宏虎
青時雨碑だけの残る一里塚 なつき
まだまだと息継ぎ鳴ける蟇 素秀
踊子や蹴出しと笠の紐赤き 素秀
焼きすぎたトーストかじる大暑かな なつき
沼沢に行く人もなし花あさざ 愛正
大壺に宝珠のごとく蓮の花 ぽんこ
収穫のピーマンまだまだB級品 こすもす
夏影に鐘の声きく久安寺 よし子
恙がなき朝を迎ふ花木槿 わかば
蝉しぐれ大波小波引く間合ひ はく子
目薬師の百度石撫づ青葉影 なつき
橋脚の芥の混じる出水かな 宏虎
しっとりと雨の滴る酔芙蓉 ぽんこ
元気いっぱいキャンプ帰りのメール来る こすもす
流暢に西瓜を値切る印度人 素秀
採り頃の胡瓜手尺で確かめる よう子
後毛のワツクス光る祭髪 素秀
噴水の高さを決める会議あり よし子
雨あがり風ヒンヤリと網戸越し こすもす
急かされる畑作業や朝曇 かかし
繭籠るスーパームーン涼しかり はく子
滴りの落つる光や苔の庭 わかば
仏像の古拙の微笑蓮の花 かかし
七月の卒寿の朝の深呼吸 宏虎
銀翼の吸い込まれゆく梅雨の空 よし子
錠剤を飲んで咽せたる大暑かな なつき
夏休み鳶色の目の下宿生 むべ
暮待たず雨に凋める木槿かな むべ
荒波を潜つてみたき夏の海 わかば
ためらわず百合の白さを庭で切る よし子
太陽の塔諸手に捧ぐ夏の雲 よう子
炎昼やじっと我慢の力石 よし子
今日一日見事に咲きて散る木槿 わかば
戻り梅雨安堵の笑みの農夫婦 かかし
手垂れて本滑り落つハンモック 愛正
シャイな夫三日目に着るアロハシャツ よう子
わくら葉の落ち行く渓流水早し 愛正
病葉の落つるに惜しき色止む わかば
飛交うも鳴き声はせず庭の蝉 こすもす
手際よく夏服詰める旅支度 むべ
湧水の蓋に一輪牽牛花 ぽんこ
無住寺の縁に人声夏の月 愛正
休憩は葉桜の下風の道 はく子
ウヰスキーの町より届く夏見舞 むべ
首筋を冷やす滴り八合目 愛正
朝粥に塩を多めの大暑かな よう子
竿上がる又揚がる鮎解禁川 宏虎
転寝の助手席の妻サングラス よう子
朝蝉の声に知りたる雨上がり 素秀
燃へいずるゴッホの黄色向日葵群 ぽんこ
朝市の干物をつつむ蚊遣香 なつき
芍薬の葉っぱに残る雨真珠 ぽんこ
風鈴に賛美重なる修養会 むべ
手に汗のヘアピンカーブ峠道 かかし
終農てふ卒寿の農夫青田波 かかし

2022年7月16日

札ごとし朱のわくら葉の城址道 愛正
芍薬の葉っぱに残る雨真珠 ぽんこ
蜥蜴の子メタリックブルーきらめかせ むべ
ビル街に昭和の長屋金魚玉 かかし
大壷に宝珠のごとき蓮の花 ぽんこ
針重ね正午炎暑の花時計 なつき
法衣から日焼の手首数珠を振る 素秀
せせらぎに和してまぎれず夏鶯 よし子
七夕飾り土産物屋の入り口に こすもす
蟻の道丸まり防御団子虫 かかし
夕暮れの淀川堤青田風 はく子
地下足袋の急く炎天の人力車 よう子
河川敷の小石の隙間竹落葉 こすもす
祭壇へ香雲押して風涼し 素秀
打水に轍を残し霊柩車 素秀
菓子開くる音にもぐもぐ昼寝の子 なつき
峯雲へ向かひ海峡渡りけり よう子
祈りもて始むる朝や露涼し むべ
行き止まりネイルに同化の天道虫 愛正
グランドゴルフ蝉の応援背に受けて はく子
放鳥の鳩は御魂と夏の空 素秀
炎天や山頂の小屋影わづか むべ
筋トレの講習会や汗しとど こすもす
雲映す青田に余白今少し はく子
滴りを集むる竹筒峠茶屋 愛正
入道雲水平線の船の濃き よう子
黒揚羽舞ひ来て友の事をふと わかば
峯雲へ鶴の尾翼は一点に よう子
夕焼の海美しく火の坩堝 わかば
雲上の風に咲きたりお花畑 よし子
池の水汲んで限無き水合戦 なつき
しっとりと雨の滴り酔芙蓉 ぽんこ
水中花夜には夜の色をして はく子
犬放つ土手を浮き出す月涼し 愛正
若さとは突っ張って生き雲の峰 よし子
くぐもるる土鳩の声や朝曇 かかし
心まで染まりし森の緑かな わかば
水筒に不老水てふ岩清水 かかし
燃へいずるゴッホの黄色向日葵群 ぽんこ
子に貰ふ男八十路の日傘かな よう子
副葬を隠さんとせむ百合の花 素秀
能舞台翅をたたみし天道虫 愛正
四十年前の聖書を曝しをり むべ
湧水の蓋に一輪牽牛花 ぽんこ
石蹴って石は片陰出て光る よし子
打水に光るホールの黒御影 むべ
打ち水に息吹き返す草木かな わかば
初蝉を待ちいしごとく聴きにけり わかば
うら返す団扇に天神祭の絵 よし子
散歩せん犬も二の足この暑さ かかし
河川敷笑顔で氷菓黙食す こすもす
ベビーカーへ日傘差しかく石畳 なつき
池に吠ゆ恐竜囲む水着の子 なつき
水中花子は恋をしてゐるのかも はく子

2022年7月9日

納骨式つき従ふや黒揚羽 むべ
御手洗の水一滴が苔の花 ぽんこ
余生など知らぬが花か梅雨晴れ間 宏虎
万緑に閉じ込められし庵かな 愛正
手を繋ぐ夫片陰を外れたり よう子
講談師立て板に水襟の汗 よう子
源流の走り根に座す落し文 かかし
雲の峰世情見下ろす鬼瓦 ぽんこ
サンダルに余る母似の大き足 なつき
形代を焼べるも夏越の祓へかな はく子
鮎の目に睨まれ怯む塩加減 よう子
立葵沖の波見る漁夫の妻 素秀
十薬の勢受けたし日日に わかば
この酷暑無事にと潜る茅の輪かな はく子
木下闇隅に鎮座の百度石 ぽんこ
日傘さし六角形の影と行く よし子
湯立の湯笹に振り撒く夏越祭 はく子
展望に山ある安堵風涼し よし子
夏至を指す天体といふ大時計 よし子
大蓮田なかに蕾の二、三本 わかば
蓮池の花を数へて遠きから 素秀
寺の庭鉢に見事な蓮の花 わかば
万緑や木の間に白き磨崖仏 愛正
空蝉の真一文字の破れ傷 ぽんこ
自転車の犬も舌見せ炎天下 むべ
雨蛙庭の片隅鳴き通す 宏虎
ティーシャツはペンギン柄や夏真昼 こすもす
ウインドウに映る私の夏帽子 よし子
大岩を神と崇める夏日影 ぽんこ
紫陽花を青く染めたる青時雨 よし子
虫干や亡夫の若き日を知る書 むべ
梅雨明けやカラスの子らの姦しく よう子
園児等の花丸の書の墨涼し かかし
空真青水の地球の青田波 かかし
濡れものを木枝に干して水遊び なつき
糠床の濡れたる秘密夏兆す 宏虎
果実酒をひそかに味見梅雨明くる むべ
手のひらの伽羅蕗つまむ老婆かな 愛正
紫陽花の道突き当たり池青し 宏虎
茅の輪くぐる禍収束願ひつつ はく子
保育園のお玉杓子に足生えて こすもす
園訪へばプール遊びの真最中 こすもす
板塀を越えて黄色きカンナ咲く 素秀
料理表に烏賊の造りの糸造り 宏虎
と見る間に飛機を覆ひし黒南風や かかし
置き傘の使はぬままに梅雨明くる なつき
橘の香のあふれたる発電所 素秀
夏霧や濡れて色濃き納屋の屋根 愛正
白蓮の大きく開き香の仄か わかば
銀ドーム炎ゆる天文台の森 むべ
絽の羽織脱ぐや佳境の講釈師 よう子
冬瓜煮快気祝ひの鶴の碗 なつき
日を返し紫陽花の藍まだ深し 素秀
無農薬の梅はそばかす美人なり なつき
不揃ひの胡瓜笊盛り土曜市 かかし
青々と清しき茅の輪くぐりけり はく子
お揃いのティーシャツ涼しボランティア こすもす
夏霧の失せて木の間の湖面かな 愛正
あるなしの風に花合歓ひと揺らぎ わかば

2022年7月2日

五月晴銀の機体のきらめけり むべ
じゃがいもの芽ありて値切る朝の市 なつき
九体仏の後光届くや雨蛙 よう子
茶屋の軒借りるつもりの甘茶かな よう子
柿の花染めて阿讃の日暮かな 素秀
フイヨルド水面変へず白夜かな 宏虎
音凉し男下駄行く石畳 ぽんこ
立葵仲間に入れて立話 うつぎ
緑なす樹木みるだけも目の治療 ぽんこ
雨垂れや風鈴の音かき消され こすもす
梔子のつぼむ筆先うす緑 はく子
片影を選んで歩く小買物 わかば
煽ち風擬宝珠大揺れ橋袂 愛正
朝刊のバイク配達明け易し 宏虎
梅雨晴間病んで久しい友見舞ふ わかば
池巡れば数多や雨後の梅雨きのこ こすもす
紫陽花の角を曲がりて知らぬ街 素秀
花菖蒲昔日なりし法の池 宏虎
鵜篝を窓辺に置ひて旅の宿 素秀
保育園より漏れ来る歌と老鶯と こすもす
腹這ひを板目に添はし猫涼し 素秀
滴りの真珠光に玉なして はく子
神苑の箒忙しや梅雨晴間 よう子
万緑に朱色鮮やか太鼓橋 ぽんこ
古戦場山の茂りの夕鴉 ぽんこ
八の字の眉の兄妹水鉄砲 なつき
人影のごとき如来や梅雨の雷 なつき
紫をこぼして雨の花菖蒲 うつぎ
運転士西日に向かひ指差喚呼 むべ
梅雨晴や満艦飾の濯物 わかば
方位盤どこを指すのか夏の蝶 よう子
映りたる子等一列の代田かな 愛正
外来種と指されて梅雨の亀泳ぐ うつぎ
蛍呼ぶ歌に甘しと嘘をつき 素秀
サイレンの違い聞き分く五月闇 むべ
片蔭を一列に行くランドセル うつぎ
万緑の森の遠目に通天閣 ぽんこ
ブリキ看板のこる門前さみだるる なつき
箒目の玉砂利崩す梅雨滂沱 よう子
フレンチの店に駒寄せ油照 むべ
雲低く棚引く山並梅雨深し はく子
風涼し門前は木のアーケード なつき
梔子の花を頼りに暗き路地 むべ
風薫るコミバス消える水鏡 愛正
まだ固き蓮の蕾の幾本も こすもす
梅雨晴や風強き日となりにけり わかば
緊張し夏マスクして曾孫抱く 宏虎
万緑や池の点景番鴨 はく子
夏の鴨水脈きらめかせ悠然と はく子
甘さ残す新玉葱のレシピ好き 宏虎
揺らめけるレトロガラスに緑雨かな うつぎ
病人に見送られ出る百合の花 わかば
奥の院野鳥の降らす青時雨 愛正
伽羅蕗や上がり框の底光り 愛正

2022年6月25日

農家カフェメニュー入替へ青簾 かかし
夏日影塀より高き断碑かな ぽんこ
ひもとけば紙魚ある虚子の句集かな よし子
緑蔭に心洗はれ巡る古寺 わかば
誰かある釣鐘草の花の中 むべ
無音界千の螢の写経場 かかし
万緑の光悦寺垣囲む庵 わかば
寄り添ふて下枝に二つ蛍かな むべ
簾上げ山に夕日の沈むまで よし子
雨蛙掴めば鼓動指伝う 宏虎
梅雨最中耐えぬ日多し風見鶏 宏虎
梅雨じめり亀の群がる石舞台 ぽんこ
雨しとど白き花弁の菖蒲園 宏虎
峰々の青くふくらむ五月雨 よし子
蛍追ふ向の土手は県境 よし子
古道径昼なほ暗き木下かな わかば
禅寺の瞑想誘ふ半夏生 よう子
思い出は続く木道水芭蕉 はく子
白紫陽花小さき毬跳ぬ一揆寺 なつき
地図を手に校外学習若葉風 はく子
産土へ蟻と一緒に参磴す はく子
玄関に羽蟻骸の吹き溜り 素秀
千枚田畦道越しに田水張る 愛正
裸子の真つ赤に泣いて寝返りす なつき
半夏生小声で巡る寺苑かな よう子
松朽ちて赤き梅雨茸一揆寺 なつき
裸子をタオル一枚包みけり なつき
下闇にせせらぐ音の奈落かな わかば
浄土かな書院の庭の半夏生 よう子
茎一本花は四方へアマリリス こすもす
門抜けて水上バスの海は夏 素秀
園丁が客より多し走り梅雨 なつき
立葵四方花つき高く伸ぶ 宏虎
四天王寺朝の憩いの樹下凉し ぽんこ
清水寺舞台袖より夏の蝶 かかし
梅雨に入る緑のダムの利根秘境 愛正
梅雨晴れて今朝の山々光り出す はく子
ウインドウに映りし我の夏帽子 よし子
病葉やダム湖に深し村役場 素秀
扁額の梵字の文字に黴の香や かかし
さつき雨恐る恐るの丸太橋 愛正
打寄せる白波涼し音かすか こすもす
風鈴と和し錫杖の遠ざかる 素秀
俯いて山の気吸うや釣鐘草 たか子
鷺行けど形変はらぬ青みどろ 素秀
擬宝珠の硬き蕾のうすむらさき むべ
大岩の影より覗く七変化 ぽんこ
ドームの屋根全開中や青葉風 こすもす
下闇に鞄まくらの昼寝かな はく子
六月や青葉枝切る狭庭の木 宏虎
ベル演奏蛍袋を撫づる風 愛正
青葉燃ゆ鐘楼古き光悦寺 わかば
禅寺の悟りの窓や緑さす ぽんこ
舞子の名隠る置屋の夏暖簾 よう子
カルデラの周囲陣取る岩高蘭 愛正
単線の山岳電車植田苗 かかし
禅寺の関守石の棕櫚涼し よう子
月光の届かぬ水辺蛍狩 むべ
蛇苺岩床の水滑りゆく むべ

2022年6月18日

暗くなるまで待つ車内蛍狩り こすもす
誰とても失格は無し桜桃忌 たか子
指尺で胡瓜を測る畑日誌 かかし
天牛の鳴きてぜんまい巻くやうに 素秀
行厨は菖蒲眼下の四阿に はく子
まどろみに母の呼ぶ声明易し わかば
田畑を所狭しと夏燕 かかし
蓼酢添へ鮎の塩焼き旅土産 はく子
山里の交通止めやさつき雨 愛正
新茶の香無沙汰ばかりの故郷思ふ よし子
奥入瀬の響く水音や明易し わかば
渓流の幽き瀬音河鹿笛 かかし
太陽にやや腰折れの四葩かな ぽんこ
犬小屋の夕陽の盾や青簾 よう子
蹲ひの音色ソプラノ梅雨入かな かかし
乾杯は梅のジュースで病癒ゆ なつき
躍動す神馬のひづめ濃紫陽花 ぽんこ
蛍狩り叢に放せし朝かな よう子
五月雨や靴下の穴繕ひぬ よう子
蝉の声油と混じる鐵工所 素秀
青梅のほのと紅さす一の宮 よし子
おはぐろや朽木傾く青き沼 素秀
油虫磨きをかけて嫌われし 素秀
宅急便ドアの向こうに梅雨兆す ぽんこ
降りぐせとなる様見せてながし吹く たか子
裏山の緑は重し井水増す 愛正
紫陽花や花街のカフェの軒低し なつき
二人居へ友持て小玉西瓜かな なつき
青簾奥の暮らしのちっよと見え よし子
今年竹車夫の首筋滑る風 愛正
碁石打つ父咳払ひ青簾 よう子
夕闇に白を灯せり花南天 むべ
宵空を丸く眺める蟻地獄 素秀
家建つる早打ちの釘路地薄暑 なつき
夕闇に浮かぶ山梔子香のたしか わかば
十薬の身の程を知る居場所かな たか子
螢の夜語りし人の今いづこ かかし
新句友は華道師範やスモークツリー こすもす
蚕豆の莢深爪にこはかりし むべ
しづもれば夜蛾の灯りに当たる音 むべ
密度高き光の点滅蛍の夜 こすもす
五月雨や渡し場跡の朽ちし舟 愛正
しばらくは飛ばぬほたるの掌 よう子
雷去りて青空映す水鏡 むべ
虚子句集開けば黴の匂いする よし子
青鷺の番か目の前悠然と はく子
濃く淡く棚田なしたる菖蒲園 はく子
小祠の屋根に張り出す薔薇の花 ぽんこ
遠蛙明日より有料駐車場 こすもす
短夜や語らひ尽きず旅の宿 わかば
この沢の千の蛍よ無音界 よし子
神主がのぞく仕舞ひの植木市 なつき
梅雨ごもり向田邦子の本を聴く たか子
短夜の星降る山の旅寝かな わかば
大河ドラマさなから蛍大乱舞 こすもす
置き石に青蔦からむ屋敷跡 ぽんこ
風薫る古代の丘に道ありき むべ
濡れ縁に木の葉貼り付くさつき雨 愛正
平らかなる白菖蒲の名千代の春 はく子
お白粉を少し塗りすぎ半夏生 たか子

2022年6月11日

手を引きて踝までを蛍川 素秀
武将隊へ手を振り帰る遠足児 なつき
草刈りてにほひ漂ふ神楽殿 愛正
畦道のどくだみの花白なびく ぽんこ
騒音の広場逸れる紫陽花径 ぽんこ
煙草屋の長居の客や梅雨に入る よう子
大川の木蔭に憩ふ鴛鴦涼し わかば
誰とても失格は無し桜桃忌 たか子
車窓より紛れず空へ桐の花 わかば
片蔭に傾ぐベンチや花街跡 なつき
万緑に囲まれ山田池真青 はく子
お白粉の少し塗りすぎ半夏生 たか子
蝌蚪の田の水面を走る電車かな よう子
うどん屋のいつの間に閉づ立夏かな よう子
サボテンの棘のなかより赤き花 ぽんこ
姿見の傷と梳き解く洗ひ髪 素秀
置物の猫がのぞけり目高鉢 なつき
釣鐘草メロディチャイム五時知らす むべ
噴水の中に腕白仁王立ち ぽんこ
回覧板は中止の知らせ夏祭り こすもす
夏蝶の翅を預ける澪つくし 素秀
草茂るミスキャッチせんフルスビー かかし
天窓に木の葉数枚さつき雨 愛正
降りぐせとなる様見せてながし吹く たか子
初物の胡瓜乱切り味噌を添へ かかし
遠山に聞く時鳥確かむる わかば
立話の横すり抜けて夏燕 こすもす
桑の実に故郷話ひとしきり はく子
青梅のほのと紅さす一の宮 よし子
桑の実を数多落として地を染むる はく子
蕗を煮て母の苦みのなつかしく よし子
百千鳥雨の止みたるみ空より はく子
花合歓のつぼみに宿る紅淡し むべ
草刈らば庭口広し庄屋跡 愛正
ラジコンのボートレースの爺嬉々と よう子
カレーライスたっぷり入れる夏野菜 こすもす
切り口より立ちのぼる香や薄荷刈 むべ
お目当ての店は廃店六月来 たか子
滝浴びて校名唱ふ予備校生 かかし
風にのり走る白帆や夏の海 わかば
十薬の身の程を知る居場所かな たか子
風鈴に風筋を聞く夕まぐれ 素秀
もぎたての実梅のへたやとりにくし むべ
木下闇黒のネクタイ緩めをり かかし
風通す一寸お洒落な夏帽子 宏虎
草刈りの憩いは定時列車風 愛正
夕影やどくだみきっちり白十字 よし子
三世帯家紋揃へし田植笠 かかし
青葦の勢眩しき川原かな わかば
鉄橋渡る音を水面に夏の川 よし子
片向けし日傘にしぶき保津下り 宏虎
番傘の片手に重き走り梅雨 素秀
雨催い傘をしのばせ薄暑かな 宏虎
下り気味の天気予報や走り梅雨 こすもす
さみだるる木の葉の道は常ならず 愛正
産湯井の甕に水輪や青時雨 なつき
風生まる池にうねりの蓮青葉 ぽんこ
低く飛ぶ燕バッグの傘重し よう子
指先を朱に染む桑の実を摘めば はく子
山の寺風が散らせる竹落葉 宏虎
引越時畔買ふ苺取り放題 宏虎
染むることやめて幾年洗ひ髪 むべ



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