海と母校見せて孫連れの帰省 | こすもす |
秋近し山の向こうの風にきく | よし子 |
コミバス停薬袋に青田風 | 愛正 |
遺影の顔いつも笑顔や夜の秋 | はく子 |
足一歩載せてみたいと蓮大葉 | よし子 |
災害の多き日の本猛暑かな | わかば |
ラムネ飲む昭和の味の懐かしく | 宏虎 |
八月の見慣れぬ蝶の翅重し | 素秀 |
踏切やレールの炎暑足裏より | よう子 |
庭畑の黄ばみ初めたる大暑かな | なつき |
忘れてはならぬと思ふ原爆忌 | わかば |
海無し県の孫大はしゃぎ海水浴 | こすもす |
訪ふ度に千体地蔵炎ゆる中 | ぽんこ |
広縁に老婆うたた寝渦巻香 | 愛正 |
苔纏ふ水掛不動夏旺ん | ぽんこ |
水なすの糠漬け旨き店閉まる | よう子 |
客寄せの大玉西瓜楕円形 | よう子 |
いかづちや黒雲低く垂れ込めり | むべ |
空蝉や脱皮直ぐ跡濡れており | 宏虎 |
帰省子に川の流れの時間かな | よし子 |
一陣の風に波立つ柳蘭 | 愛正 |
新聞紙渦巻く箱のメロン来る | よう子 |
カーブする鉄路の先の先も夏 | よう子 |
夏果てど棄ても失くしも出来ぬ月 | 素秀 |
朝採りのトマト供ふる日課かな | なつき |
蟬時雨また減便のバスを待つ | かかし |
久安寺なごりの紫陽花雨もよい | よし子 |
足湯して森林浴や蟬時雨 | かかし |
誕生日の娘に贈りたり京扇子 | こすもす |
峠茶屋皆売り切れてソーダ飲む | 宏虎 |
涼風や傘となしたる樟大樹 | ぽんこ |
炎天にひとまず幕や夕日落つ | はく子 |
炎天や鉄路はどこまで平行線 | はく子 |
初恋は永久に初恋遠花火 | かかし |
熱き茶を一人に入れて夜の秋 | はく子 |
放棄田に万の向日葵隠れん坊 | かかし |
2022年7月30日 | |
花の寺小さき池の作り滝 | こすもす |
流木に翅立て流る川蜻蛉 | 愛正 |
蚊遣火を腰にリードの伸びにけり | むべ |
石橋の蜻蛉ぐるりと眼を回す | なつき |
コロナ見舞ネット注文夜の蝉 | よう子 |
滝飛沫浴びてしずまりゆく心 | わかば |
遠雷や重きペダルに変速す | むべ |
大暑の日鍬のリズムの米寿翁 | かかし |
木立の間を歩数で計るハンモック | 愛正 |
紅白の夾竹桃や車窓飛ぶ | わかば |
夕闇に蚊遣り地を這ふ三和土かな | 愛正 |
蝉時雨池の真中の弁財天 | ぽんこ |
笹の葉に鮎の塩焼き尾を跳ぬる | はく子 |
油虫押さへて猫の目は爛々 | 素秀 |
蚤の市暇な店主の三尺寝 | ぽんこ |
月亮門くぐれば古りし扇店 | むべ |
鉢植えのミニひまわりもゴッホなる | よう子 |
帰省子の引っ越しのごと赤児と荷 | かかし |
本を閉づまぶた閉づれば蝉時雨 | よう子 |
鎮守の杜ただに激しき蝉しぐれ | はく子 |
紫陽花の葉を干す慣ひ離れ島 | むべ |
予約診待合室の花ミモザ | こすもす |
蝉しぐれ夫と子の忌を修しけり | はく子 |
雨上がるお化け胡瓜の地を撫づる | よう子 |
小波に立つ倒影の柳蘭 | 愛正 |
噴水やリズミカルなる三拍子 | こすもす |
訪ひし国地図に花丸ソーダ水 | かかし |
鬼百合の珠芽触るればほろと落つ | よう子 |
打つ手なき酷暑に耐える力石 | ぽんこ |
補助輪の取れてどや顔日焼の子 | かかし |
滴りや昼なほ暗き吉野杉 | わかば |
つぼ少しずらして耐へる土用灸 | なつき |
鮮やかなおかめ南天池薄暑 | ぽんこ |
土用灸熱く読経の早口に | なつき |
颯爽と力士浴衣の縄模様 | 素秀 |
土用灸終え寺めしの賑へり | なつき |
夏休みの子と作りたるカレーかな | こすもす |
溜席時間に上げるサングラス | 素秀 |
脚もげしががんぼ止まる白き壁 | 愛正 |
消えさうで消えぬ燭の灯土用東風 | なつき |
病葉と共に落つるは青胡桃 | わかば |
夕焼や昏き運河に石の橋 | むべ |
八寸の彩り豊か夏料理 | はく子 |
雑草の露を見ている力石 | ぽんこ |
滴りを受くる掌沢登り | わかば |
夕立去り竿に連なる雨滴光 | はく子 |
水羊羹掬ひてテレビ桟敷かな | 素秀 |
峠茶屋ポンと昭和のラムネ玉 | かかし |
冷酒の氷は月の欠片かな | 素秀 |
2022年7月23日 | |
雲の峰グランドゴルフ楽しめり | はく子 |
雲の峰勝つのは弟腕相撲 | はく子 |
ボランテヤ駆引きなしの出水かな | 宏虎 |
水馬かぼそき足で流されず | 宏虎 |
青時雨碑だけの残る一里塚 | なつき |
まだまだと息継ぎ鳴ける蟇 | 素秀 |
踊子や蹴出しと笠の紐赤き | 素秀 |
焼きすぎたトーストかじる大暑かな | なつき |
沼沢に行く人もなし花あさざ | 愛正 |
大壺に宝珠のごとく蓮の花 | ぽんこ |
収穫のピーマンまだまだB級品 | こすもす |
夏影に鐘の声きく久安寺 | よし子 |
恙がなき朝を迎ふ花木槿 | わかば |
蝉しぐれ大波小波引く間合ひ | はく子 |
目薬師の百度石撫づ青葉影 | なつき |
橋脚の芥の混じる出水かな | 宏虎 |
しっとりと雨の滴る酔芙蓉 | ぽんこ |
元気いっぱいキャンプ帰りのメール来る | こすもす |
流暢に西瓜を値切る印度人 | 素秀 |
採り頃の胡瓜手尺で確かめる | よう子 |
後毛のワツクス光る祭髪 | 素秀 |
噴水の高さを決める会議あり | よし子 |
雨あがり風ヒンヤリと網戸越し | こすもす |
急かされる畑作業や朝曇 | かかし |
繭籠るスーパームーン涼しかり | はく子 |
滴りの落つる光や苔の庭 | わかば |
仏像の古拙の微笑蓮の花 | かかし |
七月の卒寿の朝の深呼吸 | 宏虎 |
銀翼の吸い込まれゆく梅雨の空 | よし子 |
錠剤を飲んで咽せたる大暑かな | なつき |
夏休み鳶色の目の下宿生 | むべ |
暮待たず雨に凋める木槿かな | むべ |
荒波を潜つてみたき夏の海 | わかば |
ためらわず百合の白さを庭で切る | よし子 |
太陽の塔諸手に捧ぐ夏の雲 | よう子 |
炎昼やじっと我慢の力石 | よし子 |
今日一日見事に咲きて散る木槿 | わかば |
戻り梅雨安堵の笑みの農夫婦 | かかし |
手垂れて本滑り落つハンモック | 愛正 |
シャイな夫三日目に着るアロハシャツ | よう子 |
わくら葉の落ち行く渓流水早し | 愛正 |
病葉の落つるに惜しき色止む | わかば |
飛交うも鳴き声はせず庭の蝉 | こすもす |
手際よく夏服詰める旅支度 | むべ |
湧水の蓋に一輪牽牛花 | ぽんこ |
無住寺の縁に人声夏の月 | 愛正 |
休憩は葉桜の下風の道 | はく子 |
ウヰスキーの町より届く夏見舞 | むべ |
首筋を冷やす滴り八合目 | 愛正 |
朝粥に塩を多めの大暑かな | よう子 |
竿上がる又揚がる鮎解禁川 | 宏虎 |
転寝の助手席の妻サングラス | よう子 |
朝蝉の声に知りたる雨上がり | 素秀 |
燃へいずるゴッホの黄色向日葵群 | ぽんこ |
朝市の干物をつつむ蚊遣香 | なつき |
芍薬の葉っぱに残る雨真珠 | ぽんこ |
風鈴に賛美重なる修養会 | むべ |
手に汗のヘアピンカーブ峠道 | かかし |
終農てふ卒寿の農夫青田波 | かかし |
2022年7月16日 | |
札ごとし朱のわくら葉の城址道 | 愛正 |
芍薬の葉っぱに残る雨真珠 | ぽんこ |
蜥蜴の子メタリックブルーきらめかせ | むべ |
ビル街に昭和の長屋金魚玉 | かかし |
大壷に宝珠のごとき蓮の花 | ぽんこ |
針重ね正午炎暑の花時計 | なつき |
法衣から日焼の手首数珠を振る | 素秀 |
せせらぎに和してまぎれず夏鶯 | よし子 |
七夕飾り土産物屋の入り口に | こすもす |
蟻の道丸まり防御団子虫 | かかし |
夕暮れの淀川堤青田風 | はく子 |
地下足袋の急く炎天の人力車 | よう子 |
河川敷の小石の隙間竹落葉 | こすもす |
祭壇へ香雲押して風涼し | 素秀 |
打水に轍を残し霊柩車 | 素秀 |
菓子開くる音にもぐもぐ昼寝の子 | なつき |
峯雲へ向かひ海峡渡りけり | よう子 |
祈りもて始むる朝や露涼し | むべ |
行き止まりネイルに同化の天道虫 | 愛正 |
グランドゴルフ蝉の応援背に受けて | はく子 |
放鳥の鳩は御魂と夏の空 | 素秀 |
炎天や山頂の小屋影わづか | むべ |
筋トレの講習会や汗しとど | こすもす |
雲映す青田に余白今少し | はく子 |
滴りを集むる竹筒峠茶屋 | 愛正 |
入道雲水平線の船の濃き | よう子 |
黒揚羽舞ひ来て友の事をふと | わかば |
峯雲へ鶴の尾翼は一点に | よう子 |
夕焼の海美しく火の坩堝 | わかば |
雲上の風に咲きたりお花畑 | よし子 |
池の水汲んで限無き水合戦 | なつき |
しっとりと雨の滴り酔芙蓉 | ぽんこ |
水中花夜には夜の色をして | はく子 |
犬放つ土手を浮き出す月涼し | 愛正 |
若さとは突っ張って生き雲の峰 | よし子 |
くぐもるる土鳩の声や朝曇 | かかし |
心まで染まりし森の緑かな | わかば |
水筒に不老水てふ岩清水 | かかし |
燃へいずるゴッホの黄色向日葵群 | ぽんこ |
子に貰ふ男八十路の日傘かな | よう子 |
副葬を隠さんとせむ百合の花 | 素秀 |
能舞台翅をたたみし天道虫 | 愛正 |
四十年前の聖書を曝しをり | むべ |
湧水の蓋に一輪牽牛花 | ぽんこ |
石蹴って石は片陰出て光る | よし子 |
打水に光るホールの黒御影 | むべ |
打ち水に息吹き返す草木かな | わかば |
初蝉を待ちいしごとく聴きにけり | わかば |
うら返す団扇に天神祭の絵 | よし子 |
散歩せん犬も二の足この暑さ | かかし |
河川敷笑顔で氷菓黙食す | こすもす |
ベビーカーへ日傘差しかく石畳 | なつき |
池に吠ゆ恐竜囲む水着の子 | なつき |
水中花子は恋をしてゐるのかも | はく子 |
2022年7月9日 | |
納骨式つき従ふや黒揚羽 | むべ |
御手洗の水一滴が苔の花 | ぽんこ |
余生など知らぬが花か梅雨晴れ間 | 宏虎 |
万緑に閉じ込められし庵かな | 愛正 |
手を繋ぐ夫片陰を外れたり | よう子 |
講談師立て板に水襟の汗 | よう子 |
源流の走り根に座す落し文 | かかし |
雲の峰世情見下ろす鬼瓦 | ぽんこ |
サンダルに余る母似の大き足 | なつき |
形代を焼べるも夏越の祓へかな | はく子 |
鮎の目に睨まれ怯む塩加減 | よう子 |
立葵沖の波見る漁夫の妻 | 素秀 |
十薬の勢受けたし日日に | わかば |
この酷暑無事にと潜る茅の輪かな | はく子 |
木下闇隅に鎮座の百度石 | ぽんこ |
日傘さし六角形の影と行く | よし子 |
湯立の湯笹に振り撒く夏越祭 | はく子 |
展望に山ある安堵風涼し | よし子 |
夏至を指す天体といふ大時計 | よし子 |
大蓮田なかに蕾の二、三本 | わかば |
蓮池の花を数へて遠きから | 素秀 |
寺の庭鉢に見事な蓮の花 | わかば |
万緑や木の間に白き磨崖仏 | 愛正 |
空蝉の真一文字の破れ傷 | ぽんこ |
自転車の犬も舌見せ炎天下 | むべ |
雨蛙庭の片隅鳴き通す | 宏虎 |
ティーシャツはペンギン柄や夏真昼 | こすもす |
ウインドウに映る私の夏帽子 | よし子 |
大岩を神と崇める夏日影 | ぽんこ |
紫陽花を青く染めたる青時雨 | よし子 |
虫干や亡夫の若き日を知る書 | むべ |
梅雨明けやカラスの子らの姦しく | よう子 |
園児等の花丸の書の墨涼し | かかし |
空真青水の地球の青田波 | かかし |
濡れものを木枝に干して水遊び | なつき |
糠床の濡れたる秘密夏兆す | 宏虎 |
果実酒をひそかに味見梅雨明くる | むべ |
手のひらの伽羅蕗つまむ老婆かな | 愛正 |
紫陽花の道突き当たり池青し | 宏虎 |
茅の輪くぐる禍収束願ひつつ | はく子 |
保育園のお玉杓子に足生えて | こすもす |
園訪へばプール遊びの真最中 | こすもす |
板塀を越えて黄色きカンナ咲く | 素秀 |
料理表に烏賊の造りの糸造り | 宏虎 |
と見る間に飛機を覆ひし黒南風や | かかし |
置き傘の使はぬままに梅雨明くる | なつき |
橘の香のあふれたる発電所 | 素秀 |
夏霧や濡れて色濃き納屋の屋根 | 愛正 |
白蓮の大きく開き香の仄か | わかば |
銀ドーム炎ゆる天文台の森 | むべ |
絽の羽織脱ぐや佳境の講釈師 | よう子 |
冬瓜煮快気祝ひの鶴の碗 | なつき |
日を返し紫陽花の藍まだ深し | 素秀 |
無農薬の梅はそばかす美人なり | なつき |
不揃ひの胡瓜笊盛り土曜市 | かかし |
青々と清しき茅の輪くぐりけり | はく子 |
お揃いのティーシャツ涼しボランティア | こすもす |
夏霧の失せて木の間の湖面かな | 愛正 |
あるなしの風に花合歓ひと揺らぎ | わかば |
2022年7月2日 | |
五月晴銀の機体のきらめけり | むべ |
じゃがいもの芽ありて値切る朝の市 | なつき |
九体仏の後光届くや雨蛙 | よう子 |
茶屋の軒借りるつもりの甘茶かな | よう子 |
柿の花染めて阿讃の日暮かな | 素秀 |
フイヨルド水面変へず白夜かな | 宏虎 |
音凉し男下駄行く石畳 | ぽんこ |
立葵仲間に入れて立話 | うつぎ |
緑なす樹木みるだけも目の治療 | ぽんこ |
雨垂れや風鈴の音かき消され | こすもす |
梔子のつぼむ筆先うす緑 | はく子 |
片影を選んで歩く小買物 | わかば |
煽ち風擬宝珠大揺れ橋袂 | 愛正 |
朝刊のバイク配達明け易し | 宏虎 |
梅雨晴間病んで久しい友見舞ふ | わかば |
池巡れば数多や雨後の梅雨きのこ | こすもす |
紫陽花の角を曲がりて知らぬ街 | 素秀 |
花菖蒲昔日なりし法の池 | 宏虎 |
鵜篝を窓辺に置ひて旅の宿 | 素秀 |
保育園より漏れ来る歌と老鶯と | こすもす |
腹這ひを板目に添はし猫涼し | 素秀 |
滴りの真珠光に玉なして | はく子 |
神苑の箒忙しや梅雨晴間 | よう子 |
万緑に朱色鮮やか太鼓橋 | ぽんこ |
古戦場山の茂りの夕鴉 | ぽんこ |
八の字の眉の兄妹水鉄砲 | なつき |
人影のごとき如来や梅雨の雷 | なつき |
紫をこぼして雨の花菖蒲 | うつぎ |
運転士西日に向かひ指差喚呼 | むべ |
梅雨晴や満艦飾の濯物 | わかば |
方位盤どこを指すのか夏の蝶 | よう子 |
映りたる子等一列の代田かな | 愛正 |
外来種と指されて梅雨の亀泳ぐ | うつぎ |
蛍呼ぶ歌に甘しと嘘をつき | 素秀 |
サイレンの違い聞き分く五月闇 | むべ |
片蔭を一列に行くランドセル | うつぎ |
万緑の森の遠目に通天閣 | ぽんこ |
ブリキ看板のこる門前さみだるる | なつき |
箒目の玉砂利崩す梅雨滂沱 | よう子 |
フレンチの店に駒寄せ油照 | むべ |
雲低く棚引く山並梅雨深し | はく子 |
風涼し門前は木のアーケード | なつき |
梔子の花を頼りに暗き路地 | むべ |
風薫るコミバス消える水鏡 | 愛正 |
まだ固き蓮の蕾の幾本も | こすもす |
梅雨晴や風強き日となりにけり | わかば |
緊張し夏マスクして曾孫抱く | 宏虎 |
万緑や池の点景番鴨 | はく子 |
夏の鴨水脈きらめかせ悠然と | はく子 |
甘さ残す新玉葱のレシピ好き | 宏虎 |
揺らめけるレトロガラスに緑雨かな | うつぎ |
病人に見送られ出る百合の花 | わかば |
奥の院野鳥の降らす青時雨 | 愛正 |
伽羅蕗や上がり框の底光り | 愛正 |
2022年6月25日 | |
農家カフェメニュー入替へ青簾 | かかし |
夏日影塀より高き断碑かな | ぽんこ |
ひもとけば紙魚ある虚子の句集かな | よし子 |
緑蔭に心洗はれ巡る古寺 | わかば |
誰かある釣鐘草の花の中 | むべ |
無音界千の螢の写経場 | かかし |
万緑の光悦寺垣囲む庵 | わかば |
寄り添ふて下枝に二つ蛍かな | むべ |
簾上げ山に夕日の沈むまで | よし子 |
雨蛙掴めば鼓動指伝う | 宏虎 |
梅雨最中耐えぬ日多し風見鶏 | 宏虎 |
梅雨じめり亀の群がる石舞台 | ぽんこ |
雨しとど白き花弁の菖蒲園 | 宏虎 |
峰々の青くふくらむ五月雨 | よし子 |
蛍追ふ向の土手は県境 | よし子 |
古道径昼なほ暗き木下かな | わかば |
禅寺の瞑想誘ふ半夏生 | よう子 |
思い出は続く木道水芭蕉 | はく子 |
白紫陽花小さき毬跳ぬ一揆寺 | なつき |
地図を手に校外学習若葉風 | はく子 |
産土へ蟻と一緒に参磴す | はく子 |
玄関に羽蟻骸の吹き溜り | 素秀 |
千枚田畦道越しに田水張る | 愛正 |
裸子の真つ赤に泣いて寝返りす | なつき |
半夏生小声で巡る寺苑かな | よう子 |
松朽ちて赤き梅雨茸一揆寺 | なつき |
裸子をタオル一枚包みけり | なつき |
下闇にせせらぐ音の奈落かな | わかば |
浄土かな書院の庭の半夏生 | よう子 |
茎一本花は四方へアマリリス | こすもす |
門抜けて水上バスの海は夏 | 素秀 |
園丁が客より多し走り梅雨 | なつき |
立葵四方花つき高く伸ぶ | 宏虎 |
四天王寺朝の憩いの樹下凉し | ぽんこ |
清水寺舞台袖より夏の蝶 | かかし |
梅雨に入る緑のダムの利根秘境 | 愛正 |
梅雨晴れて今朝の山々光り出す | はく子 |
ウインドウに映りし我の夏帽子 | よし子 |
病葉やダム湖に深し村役場 | 素秀 |
扁額の梵字の文字に黴の香や | かかし |
さつき雨恐る恐るの丸太橋 | 愛正 |
打寄せる白波涼し音かすか | こすもす |
風鈴と和し錫杖の遠ざかる | 素秀 |
俯いて山の気吸うや釣鐘草 | たか子 |
鷺行けど形変はらぬ青みどろ | 素秀 |
擬宝珠の硬き蕾のうすむらさき | むべ |
大岩の影より覗く七変化 | ぽんこ |
ドームの屋根全開中や青葉風 | こすもす |
下闇に鞄まくらの昼寝かな | はく子 |
六月や青葉枝切る狭庭の木 | 宏虎 |
ベル演奏蛍袋を撫づる風 | 愛正 |
青葉燃ゆ鐘楼古き光悦寺 | わかば |
禅寺の悟りの窓や緑さす | ぽんこ |
舞子の名隠る置屋の夏暖簾 | よう子 |
カルデラの周囲陣取る岩高蘭 | 愛正 |
単線の山岳電車植田苗 | かかし |
禅寺の関守石の棕櫚涼し | よう子 |
月光の届かぬ水辺蛍狩 | むべ |
蛇苺岩床の水滑りゆく | むべ |
2022年6月18日 | |
暗くなるまで待つ車内蛍狩り | こすもす |
誰とても失格は無し桜桃忌 | たか子 |
指尺で胡瓜を測る畑日誌 | かかし |
天牛の鳴きてぜんまい巻くやうに | 素秀 |
行厨は菖蒲眼下の四阿に | はく子 |
まどろみに母の呼ぶ声明易し | わかば |
田畑を所狭しと夏燕 | かかし |
蓼酢添へ鮎の塩焼き旅土産 | はく子 |
山里の交通止めやさつき雨 | 愛正 |
新茶の香無沙汰ばかりの故郷思ふ | よし子 |
奥入瀬の響く水音や明易し | わかば |
渓流の幽き瀬音河鹿笛 | かかし |
太陽にやや腰折れの四葩かな | ぽんこ |
犬小屋の夕陽の盾や青簾 | よう子 |
蹲ひの音色ソプラノ梅雨入かな | かかし |
乾杯は梅のジュースで病癒ゆ | なつき |
躍動す神馬のひづめ濃紫陽花 | ぽんこ |
蛍狩り叢に放せし朝かな | よう子 |
五月雨や靴下の穴繕ひぬ | よう子 |
蝉の声油と混じる鐵工所 | 素秀 |
青梅のほのと紅さす一の宮 | よし子 |
おはぐろや朽木傾く青き沼 | 素秀 |
油虫磨きをかけて嫌われし | 素秀 |
宅急便ドアの向こうに梅雨兆す | ぽんこ |
降りぐせとなる様見せてながし吹く | たか子 |
裏山の緑は重し井水増す | 愛正 |
紫陽花や花街のカフェの軒低し | なつき |
二人居へ友持て小玉西瓜かな | なつき |
青簾奥の暮らしのちっよと見え | よし子 |
今年竹車夫の首筋滑る風 | 愛正 |
碁石打つ父咳払ひ青簾 | よう子 |
夕闇に白を灯せり花南天 | むべ |
宵空を丸く眺める蟻地獄 | 素秀 |
家建つる早打ちの釘路地薄暑 | なつき |
夕闇に浮かぶ山梔子香のたしか | わかば |
十薬の身の程を知る居場所かな | たか子 |
螢の夜語りし人の今いづこ | かかし |
新句友は華道師範やスモークツリー | こすもす |
蚕豆の莢深爪にこはかりし | むべ |
しづもれば夜蛾の灯りに当たる音 | むべ |
密度高き光の点滅蛍の夜 | こすもす |
五月雨や渡し場跡の朽ちし舟 | 愛正 |
しばらくは飛ばぬほたるの掌 | よう子 |
雷去りて青空映す水鏡 | むべ |
虚子句集開けば黴の匂いする | よし子 |
青鷺の番か目の前悠然と | はく子 |
濃く淡く棚田なしたる菖蒲園 | はく子 |
小祠の屋根に張り出す薔薇の花 | ぽんこ |
遠蛙明日より有料駐車場 | こすもす |
短夜や語らひ尽きず旅の宿 | わかば |
この沢の千の蛍よ無音界 | よし子 |
神主がのぞく仕舞ひの植木市 | なつき |
梅雨ごもり向田邦子の本を聴く | たか子 |
短夜の星降る山の旅寝かな | わかば |
大河ドラマさなから蛍大乱舞 | こすもす |
置き石に青蔦からむ屋敷跡 | ぽんこ |
風薫る古代の丘に道ありき | むべ |
濡れ縁に木の葉貼り付くさつき雨 | 愛正 |
平らかなる白菖蒲の名千代の春 | はく子 |
お白粉を少し塗りすぎ半夏生 | たか子 |
2022年6月11日 | |
手を引きて踝までを蛍川 | 素秀 |
武将隊へ手を振り帰る遠足児 | なつき |
草刈りてにほひ漂ふ神楽殿 | 愛正 |
畦道のどくだみの花白なびく | ぽんこ |
騒音の広場逸れる紫陽花径 | ぽんこ |
煙草屋の長居の客や梅雨に入る | よう子 |
大川の木蔭に憩ふ鴛鴦涼し | わかば |
誰とても失格は無し桜桃忌 | たか子 |
車窓より紛れず空へ桐の花 | わかば |
片蔭に傾ぐベンチや花街跡 | なつき |
万緑に囲まれ山田池真青 | はく子 |
お白粉の少し塗りすぎ半夏生 | たか子 |
蝌蚪の田の水面を走る電車かな | よう子 |
うどん屋のいつの間に閉づ立夏かな | よう子 |
サボテンの棘のなかより赤き花 | ぽんこ |
姿見の傷と梳き解く洗ひ髪 | 素秀 |
置物の猫がのぞけり目高鉢 | なつき |
釣鐘草メロディチャイム五時知らす | むべ |
噴水の中に腕白仁王立ち | ぽんこ |
回覧板は中止の知らせ夏祭り | こすもす |
夏蝶の翅を預ける澪つくし | 素秀 |
草茂るミスキャッチせんフルスビー | かかし |
天窓に木の葉数枚さつき雨 | 愛正 |
降りぐせとなる様見せてながし吹く | たか子 |
初物の胡瓜乱切り味噌を添へ | かかし |
遠山に聞く時鳥確かむる | わかば |
立話の横すり抜けて夏燕 | こすもす |
桑の実に故郷話ひとしきり | はく子 |
青梅のほのと紅さす一の宮 | よし子 |
桑の実を数多落として地を染むる | はく子 |
蕗を煮て母の苦みのなつかしく | よし子 |
百千鳥雨の止みたるみ空より | はく子 |
花合歓のつぼみに宿る紅淡し | むべ |
草刈らば庭口広し庄屋跡 | 愛正 |
ラジコンのボートレースの爺嬉々と | よう子 |
カレーライスたっぷり入れる夏野菜 | こすもす |
切り口より立ちのぼる香や薄荷刈 | むべ |
お目当ての店は廃店六月来 | たか子 |
滝浴びて校名唱ふ予備校生 | かかし |
風にのり走る白帆や夏の海 | わかば |
十薬の身の程を知る居場所かな | たか子 |
風鈴に風筋を聞く夕まぐれ | 素秀 |
もぎたての実梅のへたやとりにくし | むべ |
木下闇黒のネクタイ緩めをり | かかし |
風通す一寸お洒落な夏帽子 | 宏虎 |
草刈りの憩いは定時列車風 | 愛正 |
夕影やどくだみきっちり白十字 | よし子 |
三世帯家紋揃へし田植笠 | かかし |
青葦の勢眩しき川原かな | わかば |
鉄橋渡る音を水面に夏の川 | よし子 |
片向けし日傘にしぶき保津下り | 宏虎 |
番傘の片手に重き走り梅雨 | 素秀 |
雨催い傘をしのばせ薄暑かな | 宏虎 |
下り気味の天気予報や走り梅雨 | こすもす |
さみだるる木の葉の道は常ならず | 愛正 |
産湯井の甕に水輪や青時雨 | なつき |
風生まる池にうねりの蓮青葉 | ぽんこ |
低く飛ぶ燕バッグの傘重し | よう子 |
指先を朱に染む桑の実を摘めば | はく子 |
山の寺風が散らせる竹落葉 | 宏虎 |
引越時畔買ふ苺取り放題 | 宏虎 |
染むることやめて幾年洗ひ髪 | むべ |