投句控 :500句/1頁

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句敵の顔さやけしやテレ画面 せいじ
福祉自動車行く先々の木犀香 うつぎ
蜘蛛の子のとことこ歩む秋灯下 なおこ
煤光りせる古民家の秋灯 うつぎ
知己と酌む秋灯ひとつ共にして みのる
清けしや筆伸びやかに納経帳 よう子
配達のレシピを添へて今年米 かかし
一つ熟る朱欒の重き苗木かな なつき
秋灯し連子格子の塗師の家 よう子
一叢の露草みんな日に向ける うつぎ
血管の浮き出た手撫づ秋灯下 なつき
ハイキング女子に囲まれ秋の蝶 小袖
秋の灯にエンジン休め路線バス 小袖
秋灯や研究棟の窓の松 豊実
ズームもて祈りを繋ぐ秋灯下 せいじ
窯変のうねりをなぞる秋灯下 素秀

2020年9月

慰霊碑に額づきをれば秋の声 みのる
猪除けの扉軋むも秋の声 せいじ
辻々に頭を下げて秋遍路 素秀
草衣路傍の石に秋の声 よう子
秋晴の一湾われの小手のうち みのる
源流のさざ波の音に秋の声 かかし
干しかごに落花生干す島の宿 なつき
新米の一箸に笑む夕餉かな 豊実
秋日差し届かぬ洞の無縁仏 よう子
盆の月照らす実家に母ひとり 更紗
乳吸ひしまま嬰ねむり秋の声 更紗
片耳のイヤホン拾ふ秋の声 素秀
かしぎたる案山子深々野球帽 素秀
五時に鳴る島のカリヨン秋の声 うつぎ
顔払う婚活アプリ秋の声 豊実
風と波無限の中の秋の声 なつき
渾身の力瘤にて鳳仙花 かかし
盆栽の林の一葉紅葉づれり よう子
秋の声学園祭の後始末 豊実
ダム湖へと続く岨道秋の声 せいじ
秋の声石燈籠に灯の点り うつぎ
天高く叫ぶやガッツポーズして みのる
砦跡葉擦れにまじる秋の声 なつき
広縁に足投げ出せば秋の声 せいじ
どこかよりピアノのワルツ涼新た 更紗
生家へは海沿ひの道秋の声 うつぎ
新米に卵を添へて神棚に かかし

2020年4月

落花また落花や我に句敵に うつぎ
春雨の静かに濡らす礁かな わかば
チューリップ園撤去されたる案内板 こすもす
緊急宣言聞く静かなる花の昼 なつき
海風やつつじの寺は人疎ら こすもす
著莪の咲く竹工房の出入口 せいじ
落椿ダム湖に秘めし物語 うつぎ
春塵にあらず火葬のうす煙 みのる
鶴翼の陣形めきし若楓 せいじ
徒長枝の負けじと花の十輪や かかし
タンポポに埋る土橋やな渡りそ よう子
重き世にピンクムーンてふやさしき名 もとこ
春の空山路喘ぎつ陶の里 わかば
塩田の跡に遍路の鈴進む 素秀
青空ももう夕空に遠さくら よし子
黒き幹園を統ぶる楠若葉 ぽんこ
旧家並む村の細道遅さくら はく子
街なかに残る里山夏うぐひす 菜々
川幅にいつしか広がる花の塵 ぽんこ
ランタンとせる竹筒に花の屑 せいじ
初蝶来野面スキップするごとく みのる
神域に品良くつつじ咲きにけり 宏虎
みつばつつじに染まる山寺鐘響く こすもす
飛花落花真つ只中の余生かな よし子
春雨のけぶれる古都の一日旅 わかば
滑り台勢いしりもち山笑ふ 菜々
菜の花や水ぎわせめて大河如 もとこ
夕桜白く崩るる砂の城 なつき
夜桜へ光届けと星一つ 満天
山つつじコロナ避難の能勢路かな よう子
幼馴染マスクをつけて声かける ぽんこ
畦塗って柏手を打つ農夫たち かかし
春の土手網の向こうに馬疾走 もとこ
書淫の目庭に遊べば初蝶来 みのる
山寺の難所遍路をころがせり 素秀
朝桜樹間にまみへる立観音 ぽんこ
躑躅山中で聞こゆる女声 宏虎
川普請於大城址へ響きけり なつき
遍路笠二つ舳先に渡し舟 素秀
里山の裾辺あかるめ今年竹 菜々
養生の桜はらはら散り継げり なつき
新入生施錠の門でブイサイン かかし
春昼や釣り人に添ふ猫の居て わかば
園児らの手植えの花壇初蝶来 みのる
鼻息で落花飛ばせりレトリバー なつき
雪洞のなき川沿ひの桜かな 満天
磯遊びかかるしぶきも何のその こすもす
犬吠へて桜散るらん夜の道 満天
園庭の花の中から滑り台 菜々
一陣の風にてつつじなびきけり 宏虎
わが町をゆるゆるめぐり春惜しむ 菜々
花筏風に吹かれてもどり来し よし子
花吹雪湖底の村の望郷碑 よし子
文豪の碑へさめざめと桜散る せいじ
対岸のけぶる島影春の雨 わかば
のんびりと稜線連ね山笑ふ よし子
満目のつつじ咲きゐて仰ぎけり 宏虎
たんぽぽの黄の連なりて野の小道 よし子
応援のポップ背を押す花遍路 素秀
普段着の写真送るる春の門 もとこ
白雲を飛ばし山々大笑ひ はく子
名水に合掌したる遍路かな 素秀
木登りの樟の老い木や風光る なつき
空中に留めおきたき花吹雪 よう子
坂に咲くひとかたまりの山躑躅 宏虎
犬吠える石楠花の寺訪ねけり こすもす
ボランティアの背ナに屋号の桜守 かかし
夕日差す桜祭りの雪洞に せいじ
昨夜雨に銀杏若葉の出そろひぬ はく子
晩春の竹林深くショベルカー せいじ
花惜しむ離れ離れや土手堤 もとこ
花吹雪少し遅れて風の音 よう子
吸い殻の落ちしベンチや花の冷え なつき
息合はせ夫婦の野良仕里桜 うつぎ
みつばつつじなぞえの径はジグザグに こすもす
普段着の写真送るる春の門 もとこ
雨に浮く落花に歩道華やげる はく子
実演の蕗味噌試食道の駅 かかし
沖のカヌー色とりどりや磯遊び こすもす
飛機降りて迎えけるかな土手桜 もとこ
曇天に金縷梅いよよ赤く染め ぽんこ
仄暗き裏参道の落椿 せいじ
山寺の応答のなき春障子 よし子
小さき葉芽いずれいてふの形して はく子
山寺に春告げる楽耕運機 よう子
花吹雪浴びんと次の風を待つ うつぎ
島陰の汽笛くぐもる春の暮れ もとこ
木喰の一木彫や雪柳 かかし
一樹にして広前埋む落花かな みのる
花吹雪スローシャッターの眼となりぬ よう子
無住寺の扉の堅し紫木蓮 よう子
沿線の風圧耐へる桜並木 ぽんこ
山荘で句会はならず山躑躅 宏虎
春愁伝言板の中止札 かかし
夕空へかすかに揺れて花淡し 満天
散る花に水玉模様の遊歩道 はく子
背を向けてバスの春塵やり過ごす みのる
一渓へ迫り出す花のカフェテラス みのる
広田山薄紅色の山つつじ 宏虎
チューリップ十万本といふ開花 わかば
発進す車の行く手花の塵 ぽんこ
水底に影を落とせり花筏 うつぎ
汐風に松の香混じる遍路道 素秀
おおどかに鳶の輪数ふ春の空 わかば
声低く懺悔聞こゆる遍路宿 素秀
尻振りて競歩の夫婦たんぽぽ黄 うつぎ
糸柳鯉の背びれをなづるまで はく子
老桜幹の虚ろを覗き見る うつぎ

2020年3月

この時季と探す川原の土筆かな わかば
蜷の道人生急ぐこと勿れ うつぎ
春雨や山々の色薄みどり わかば
子ら集ふ狭き駄菓子屋あたたかし なつき
水松の気根にょきにょき春の泥 うつぎ
万霊を祀る碑に梅芳しき みのる
大手門額縁にして春の城 たか子
千の梅八重波なして丘埋む みのる
廃屋の軒に顔出す雀の子 素秀
登山口の左手に桑の芽吹きをり こすもす
淀川の湾処を今に囀れる はく子
馬酔木咲く絵馬清明の五芒星 よう子
畔道は春の七草花盛り はく子
天守背に風の意のまま雪柳  ぽんこ
小雀のまろび遊べる庭の端 素秀
老農夫夕日に春耕余念なし はく子
モニュメントは鳥の形や春の空 こすもす
思ひ思ひに飛び立ちさうや辛夷の芽 うつぎ
つんつんと出て柔らかし菖蒲の芽 うつぎ
見はるかす淀の岬鼻風光る 菜々
春の雨香燻らせて書に籠る わかば
風渡るとき煌めける春の池 せいじ
豆の花貸農園のつるに舞ふ はく子
ここだよと小さい尖り菖蒲の芽 小袖
故郷は懐かしきかな春怒涛 こすもす
起伏野に点在したる野梅かな せいじ
小雀や乾いた砂に潜りたる 素秀
梅散りて青天へ枝駆けのぼる たか子
マスクして手持ちぶさたの香具師立てり なつき
五輪マークかたどる園の春落葉 ぽんこ
コンビニの屋根は墨色雛の町 なつき
東風吹けど狛犬の尾なびかざる よう子
水温む水面に青き空写し 満天
嬰抱いて中山詣で梅日和 みのる
又一人春のベンチは入れ替わり 小袖
ミキサー車について蛇行す笑ふ山 なつき
マスクへと香煙扇ぐご縁日 なつき
鐘楼より見るゴルフ場霞越し こすもす
黄信号は点滅中や青麦田 こすもす
くず米を拾ふ小雀親雀 素秀
育めんのパパ等は若し園うらら 小袖
大木にしがみつきたる花豌豆 ぽんこ
初花を見上る母の車椅子 わかば
休校の子ら平日の梅見かな せいじ
なぞり読む蕪村が句碑の暖かし 菜々
土筆摘む夫の指先灰汁に染む わかば
雉啼いて道はこれより奥院へ みのる
城門の漆黒の鋲春寒し たか子
梅見には遅きに訪うて城めぐる たか子
梅林に入るや否や匂ひけり せいじ
自転車でふたり遠出す梅林へ せいじ
休校と鎖されし鉄扉初ざくら みのる
友好の蘇州庭園芽の柳 うつぎ
車椅子母と見上ぐる初桜 わかば
うららかや厠に隣る弁財天 うつぎ
声のして仕事の手止む雀の子 素秀
信号待つ揺れどほしなる雪柳 満天
真新しい横断歩道に春の泥 こすもす
囀の野外の椅子でミニ句会 ぽんこ
菖蒲の芽残し園丁にじりゆく よう子
顔出して猫の在知る雀の子 素秀
岬鼻をたたく白波春浅し 菜々
お出ましはアヒルの三羽水温む 小袖
日矢さして羨道しるき梅の影 みのる
潮風に半眼座する雀の子 素秀
茎立ちの黄花明るき畑の隅 はく子
春うらら地蔵堂ベンチの媼たち 満天
苑真中のマリア像へと春日燦 満天
鯱の見上げる天守梅の花 ぽんこ
草青む畔をそぞろに産土へ はく子
片側通行の漁火ライン山笑う こすもす
観梅や双子のベビーカー押して せいじ
梅日和父に抱かれて泣き止みぬ よう子
春泥に屈み園丁手の忙し うつぎ
行厨やズボンの蟻を弾きけり よう子
大池の日を呑むごとく春の宵 せいじ
残る鴨人目につかぬ濠が好き たか子
土筆野といひたきほどの河原かな わかば
百々御所の皇女の愛でし古雛 よう子
藪の黄やスマホで名知る園の春 よう子
あたたかや淀のわんどに跳ねるもの 菜々
青空を冠として梅の丘 みのる
春の空何処まで青く大風車 ぽんこ
萬屋の帳簿机に明治雛 なつき
春風に句碑の白文字流るごと 菜々
曲水の光まとへり梅の花 なつき
行き行きて蕪村が長堤青き踏む 菜々
七草を口ずさみつつ春の土手 はく子
蜷の道すんなりいかぬものばかり 小袖
かわたれ時雲の通い路白木蓮 ぽんこ

2020年3月

吾も春の野に下り立てば紫に はく子
啓蟄や色とりどりの掲示板 満天
まどろみのごとくに涅槃したまへる みのる
のどけしや石段登る鈴の音 素秀
指さして児が数えたる残り鴨 なつき
スマホから投句してみる みのる
記念館黄の花柄の日傘売る 宏虎
幾たびも転居の我が家鳥帰る たか子
新句会へ弥生七日の空晴れて 菜々
屋上の東西南北山笑ふ こすもす
涅槃寺絵解きの僧のカンニング よう子
アフガンにいのちを捧げ紅葉散る せいじ
春の雪見上げる高さより生るる たか子
春風裡高虚子の碑に対しけり みのる
朧月掴めば雫垂れるごと 素秀
春寒しそよりともせず竹林 菜々
三月の空の巣となる部屋一つ よう子
固まりて咲きし菫の自己主張 よう子
水を蹴り助走の鴨は飛機のごと ぽんこ
漣に揉まれ散りたる落花かな こすもす
往く道に菜の花植ゆるプランター 宏虎
復活の摂理大地の草萌ゆる みのる
春耕や残る一枚休耕田 素秀
格子窓斜に貫きて冬日さす せいじ
城早春お濠は碧き水湛へ 菜々
初雛や一升餅の筆えらぶ なつき
山道の雪間雪間を辿りけり こすもす
春風にからんころんと祈願絵馬 満天
梅の丘太陽の塔微睡みぬ よう子
御代らんまん畑の菜くづも花つけて 菜々
啓蟄の大地漫画の描かれけり みのる
編隊の足長蜂の唸りたる 素秀
産土に紅白梅の盛りなる はく子
春寒をホットレモンで癒やしけり 満天
主亡き書斎のソファー春愁 宏虎
さよ更けてオリオン星座冴かへる はく子
花の寺若き作務衣は下足番 こすもす
鳥獣花を差しのべ涅槃絵図 うつぎ
倒木は倒木のまま山眠る せいじ
涅槃図のアーナンダに似し絵解僧 うつぎ
離陸機の引きも切らずよ風光る はく子
雨戸なき新居の窓や春日燦 なつき
ものの芽に素十のこころ通ひけり みのる
ろうそくを兄が吹き消す初雛 なつき
倒木の逆立つダム湖山眠る せいじ
福福とみな粧ひて四囲の山 せいじ
雪山に春の夕焼け滝をなす はく子
春なれや名も無き山のうすがすみ はく子
姿見の慣れぬスーツや春の朝 よう子
ぼんぼりの灯りてよりの夕桜 こすもす
亡き母といつか来た丘よもぎ摘む 菜々
里のどか槌音のどか棟上がる 菜々
春寒の庭にまみえしマリア像 菜々
リハビリの患者まばらや春寒し 満天
せせらぎに和してこでまり揺れやまず 満天
盆梅の枝越し探るキープ札 素秀
春寒し学び舎よりの声もなし 満天
大水菜畑に残るは奔放に うつぎ
行き帰り春のあられに見舞われて はく子
街路樹につづく華やぎ花水木 満天
渓流を滑り落ちたる山椿 素秀
司馬邸の花菜明かりに昏れなずむ 宏虎
梅林を離れても風匂ひけり うつぎ
賑わっていて静かなる梅見かな たか子
賀状書き終へて安堵の仕舞風呂 せいじ
深海魚漂着の浜風花す こすもす
うまごやし鳩も雀もくつろぎて ぽんこ
寒禽の鋭声に覚むる山泊り せいじ
もごもごとマスクの動くつまみ食ひ なつき
司馬邸の枝さし交し春日和 宏虎
兄妹の取り合ふ雛の砂糖菓子 なつき
春遊木立の中の独演会 ぽんこ
つちぐもり海の青色失せにけり こすもす
梅香や揺れるピアスの老婦人 よう子
祖母の忌に紅梅ほのか匂ひたる 素秀
菜の花忌蔵書二万と感心す 宏虎
咳こぼつ電車の客の視線浴ぶ よう子
ブランデーグラスはレンズ水中花 みのる
病癒ゆ父を待ちけり雛納 なつき
文豪の書斎明るく菜の花忌 宏虎




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