投句控 :500句/1頁

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声低く懺悔聞こゆる遍路宿 素秀
尻振りて競歩の夫婦たんぽぽ黄 うつぎ
糸柳鯉の背びれをなづるまで はく子
老桜幹の虚ろを覗き見る うつぎ

2020年3月

この時季と探す川原の土筆かな わかば
蜷の道人生急ぐこと勿れ うつぎ
春雨や山々の色薄みどり わかば
子ら集ふ狭き駄菓子屋あたたかし なつき
水松の気根にょきにょき春の泥 うつぎ
万霊を祀る碑に梅芳しき みのる
大手門額縁にして春の城 たか子
千の梅八重波なして丘埋む みのる
廃屋の軒に顔出す雀の子 素秀
登山口の左手に桑の芽吹きをり こすもす
淀川の湾処を今に囀れる はく子
馬酔木咲く絵馬清明の五芒星 よう子
畔道は春の七草花盛り はく子
天守背に風の意のまま雪柳  ぽんこ
小雀のまろび遊べる庭の端 素秀
老農夫夕日に春耕余念なし はく子
モニュメントは鳥の形や春の空 こすもす
思ひ思ひに飛び立ちさうや辛夷の芽 うつぎ
つんつんと出て柔らかし菖蒲の芽 うつぎ
見はるかす淀の岬鼻風光る 菜々
春の雨香燻らせて書に籠る わかば
風渡るとき煌めける春の池 せいじ
豆の花貸農園のつるに舞ふ はく子
ここだよと小さい尖り菖蒲の芽 小袖
故郷は懐かしきかな春怒涛 こすもす
起伏野に点在したる野梅かな せいじ
小雀や乾いた砂に潜りたる 素秀
梅散りて青天へ枝駆けのぼる たか子
マスクして手持ちぶさたの香具師立てり なつき
五輪マークかたどる園の春落葉 ぽんこ
コンビニの屋根は墨色雛の町 なつき
東風吹けど狛犬の尾なびかざる よう子
水温む水面に青き空写し 満天
嬰抱いて中山詣で梅日和 みのる
又一人春のベンチは入れ替わり 小袖
ミキサー車について蛇行す笑ふ山 なつき
マスクへと香煙扇ぐご縁日 なつき
鐘楼より見るゴルフ場霞越し こすもす
黄信号は点滅中や青麦田 こすもす
くず米を拾ふ小雀親雀 素秀
育めんのパパ等は若し園うらら 小袖
大木にしがみつきたる花豌豆 ぽんこ
初花を見上る母の車椅子 わかば
休校の子ら平日の梅見かな せいじ
なぞり読む蕪村が句碑の暖かし 菜々
土筆摘む夫の指先灰汁に染む わかば
雉啼いて道はこれより奥院へ みのる
城門の漆黒の鋲春寒し たか子
梅見には遅きに訪うて城めぐる たか子
梅林に入るや否や匂ひけり せいじ
自転車でふたり遠出す梅林へ せいじ
休校と鎖されし鉄扉初ざくら みのる
友好の蘇州庭園芽の柳 うつぎ
車椅子母と見上ぐる初桜 わかば
うららかや厠に隣る弁財天 うつぎ
声のして仕事の手止む雀の子 素秀
信号待つ揺れどほしなる雪柳 満天
真新しい横断歩道に春の泥 こすもす
囀の野外の椅子でミニ句会 ぽんこ
菖蒲の芽残し園丁にじりゆく よう子
顔出して猫の在知る雀の子 素秀
岬鼻をたたく白波春浅し 菜々
お出ましはアヒルの三羽水温む 小袖
日矢さして羨道しるき梅の影 みのる
潮風に半眼座する雀の子 素秀
茎立ちの黄花明るき畑の隅 はく子
春うらら地蔵堂ベンチの媼たち 満天
苑真中のマリア像へと春日燦 満天
鯱の見上げる天守梅の花 ぽんこ
草青む畔をそぞろに産土へ はく子
片側通行の漁火ライン山笑う こすもす
観梅や双子のベビーカー押して せいじ
梅日和父に抱かれて泣き止みぬ よう子
春泥に屈み園丁手の忙し うつぎ
行厨やズボンの蟻を弾きけり よう子
大池の日を呑むごとく春の宵 せいじ
残る鴨人目につかぬ濠が好き たか子
土筆野といひたきほどの河原かな わかば
百々御所の皇女の愛でし古雛 よう子
藪の黄やスマホで名知る園の春 よう子
あたたかや淀のわんどに跳ねるもの 菜々
青空を冠として梅の丘 みのる
春の空何処まで青く大風車 ぽんこ
萬屋の帳簿机に明治雛 なつき
春風に句碑の白文字流るごと 菜々
曲水の光まとへり梅の花 なつき
行き行きて蕪村が長堤青き踏む 菜々
七草を口ずさみつつ春の土手 はく子
蜷の道すんなりいかぬものばかり 小袖
かわたれ時雲の通い路白木蓮 ぽんこ

2020年3月

吾も春の野に下り立てば紫に はく子
啓蟄や色とりどりの掲示板 満天
まどろみのごとくに涅槃したまへる みのる
のどけしや石段登る鈴の音 素秀
指さして児が数えたる残り鴨 なつき
スマホから投句してみる みのる
記念館黄の花柄の日傘売る 宏虎
幾たびも転居の我が家鳥帰る たか子
新句会へ弥生七日の空晴れて 菜々
屋上の東西南北山笑ふ こすもす
涅槃寺絵解きの僧のカンニング よう子
アフガンにいのちを捧げ紅葉散る せいじ
春の雪見上げる高さより生るる たか子
春風裡高虚子の碑に対しけり みのる
朧月掴めば雫垂れるごと 素秀
春寒しそよりともせず竹林 菜々
三月の空の巣となる部屋一つ よう子
固まりて咲きし菫の自己主張 よう子
水を蹴り助走の鴨は飛機のごと ぽんこ
漣に揉まれ散りたる落花かな こすもす
往く道に菜の花植ゆるプランター 宏虎
復活の摂理大地の草萌ゆる みのる
春耕や残る一枚休耕田 素秀
格子窓斜に貫きて冬日さす せいじ
城早春お濠は碧き水湛へ 菜々
初雛や一升餅の筆えらぶ なつき
山道の雪間雪間を辿りけり こすもす
春風にからんころんと祈願絵馬 満天
梅の丘太陽の塔微睡みぬ よう子
御代らんまん畑の菜くづも花つけて 菜々
啓蟄の大地漫画の描かれけり みのる
編隊の足長蜂の唸りたる 素秀
産土に紅白梅の盛りなる はく子
春寒をホットレモンで癒やしけり 満天
主亡き書斎のソファー春愁 宏虎
さよ更けてオリオン星座冴かへる はく子
花の寺若き作務衣は下足番 こすもす
鳥獣花を差しのべ涅槃絵図 うつぎ
倒木は倒木のまま山眠る せいじ
涅槃図のアーナンダに似し絵解僧 うつぎ
離陸機の引きも切らずよ風光る はく子
雨戸なき新居の窓や春日燦 なつき
ものの芽に素十のこころ通ひけり みのる
ろうそくを兄が吹き消す初雛 なつき
倒木の逆立つダム湖山眠る せいじ
福福とみな粧ひて四囲の山 せいじ
雪山に春の夕焼け滝をなす はく子
春なれや名も無き山のうすがすみ はく子
姿見の慣れぬスーツや春の朝 よう子
ぼんぼりの灯りてよりの夕桜 こすもす
亡き母といつか来た丘よもぎ摘む 菜々
里のどか槌音のどか棟上がる 菜々
春寒の庭にまみえしマリア像 菜々
リハビリの患者まばらや春寒し 満天
せせらぎに和してこでまり揺れやまず 満天
盆梅の枝越し探るキープ札 素秀
春寒し学び舎よりの声もなし 満天
大水菜畑に残るは奔放に うつぎ
行き帰り春のあられに見舞われて はく子
街路樹につづく華やぎ花水木 満天
渓流を滑り落ちたる山椿 素秀
司馬邸の花菜明かりに昏れなずむ 宏虎
梅林を離れても風匂ひけり うつぎ
賑わっていて静かなる梅見かな たか子
賀状書き終へて安堵の仕舞風呂 せいじ
深海魚漂着の浜風花す こすもす
うまごやし鳩も雀もくつろぎて ぽんこ
寒禽の鋭声に覚むる山泊り せいじ
もごもごとマスクの動くつまみ食ひ なつき
司馬邸の枝さし交し春日和 宏虎
兄妹の取り合ふ雛の砂糖菓子 なつき
春遊木立の中の独演会 ぽんこ
つちぐもり海の青色失せにけり こすもす
梅香や揺れるピアスの老婦人 よう子
祖母の忌に紅梅ほのか匂ひたる 素秀
菜の花忌蔵書二万と感心す 宏虎
咳こぼつ電車の客の視線浴ぶ よう子
ブランデーグラスはレンズ水中花 みのる
病癒ゆ父を待ちけり雛納 なつき
文豪の書斎明るく菜の花忌 宏虎




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