船影も島影淡き夏霞 | わかば |
善の綱の下は掃かれし樟落葉 | なつき |
ケーブルカー待つ間ざわめく楠若葉 | せいじ |
神域に絵馬のかち合ふ卯月かな | ぽんこ |
青鷺の放生池に佇める | うつぎ |
葉桜に緋袴色の虫の瘤 | うつぎ |
銭湯の廃業するもつばくらめ | かかし |
夏立ちぬ山芍薬の散華かな | 澄子 |
風に揺る麦の青さや去りがたし | かえる |
竹と竹わたる蜘蛛の囲摩訶不思議 | あひる |
人影のまばらな海辺夏霞 | わかば |
天翔る天女の像に風薫る | みのる |
緋ぼうたん娼婦のごとく崩れけり | みのる |
エジソンのここは真竹の落葉散る | よう子 |
音に聞く三川霞む丘に立つ | よう子 |
軽やかにキャリーバックの見たる薔薇 | 素秀 |
暮れかぬる森を抜けゆく鹿の群れ | 澄子 |
行厨の卓に木洩れ日さくらの実 | あひる |
エジソンの竹のざわめき青嵐 | ぽんこ |
蒸し上がり葉の香清しき柏餅 | わかば |
大杉の烈しきダンス青嵐 | あひる |
青嵐伸ばす手逃ぐる善の綱 | なつき |
くるくると風にえご散る山路かな | むべ |
右手左手迫り来るよに若葉騒 | 隆松 |
甘声の幼の頬を若葉光 | 隆松 |
夏社守る阿吽は金の鳩 | もとこ |
青芝に落馬のドンキホーテ像 | みのる |
遠柳旧家の並ぶ木造橋 | ぽんこ |
入れ替わる蜂の忙しき野路の薔薇 | 素秀 |
一晩で野の花萎る花御堂 | なつき |
竹林の日の斑に遊ぶ子雉かな | うつぎ |
新緑の続く山並清々し | わかば |
山頂は髪の逆立つ青嵐 | ぽんこ |
夫の手がつまむ小さき甘茶杓 | なつき |
紅い服纏い朝焼け仰ぐひと | かえる |
2023年4月15日 | |
境内は小流れの脇著莪浄土 | こすもす |
古池を一点凝視鷺うらら | ぽんこ |
をさな子に狙いを定む風船売り | かえる |
林立のなぞえ彩どる落椿 | ぽんこ |
川下る棹の捌きや谷若葉 | かかし |
その辺り春の日溜り陣の跡 | たか子 |
母らしき人とお花見留学生 | せいじ |
花吹雪畦を行き交ふ耕運機 | かかし |
石仏や天蓋なせる玉椿 | こすもす |
人気無き桜蘂降る散歩路 | かかし |
花の下笑顔に開くお弁当 | わかば |
千枚田家族総出で畦を塗る | かかし |
強東風や銭打ち上がる湊跡 | 隆松 |
花の屑踏まれる音の微かかな | かえる |
白の陣赤の陣ある落ち椿 | あひる |
比良八荒入江の隅で震う鳥 | 隆松 |
春の水豊かに空へ噴きあぐる | たか子 |
風船をひねり忽ち犬を生む | かえる |
錦絵に若葉かさなる茶臼山 | あひる |
花満ちて人溢れたる動物園 | わかば |
山頂の火床に古都の春惜しむ | せいじ |
大亀がぬっと出てくる春の水 | あひる |
山頂の火床に座して花見酒 | せいじ |
札所へと桜蕊積む段を踏む | 隆松 |
囀れる陣を模したる古戦場 | ぽんこ |
緑さす岸辺は鷺の塒かな | ぽんこ |
水草を分けて大亀泳ぎ来る | あひる |
ハルカスがやっと触れたる春の空 | たか子 |
水草に彩り添えし春落ち葉 | たか子 |
鶯や大文字への別れ道 | せいじ |
野ざらしの石仏五百春落葉 | こすもす |
花の陰逝きし獣の慰霊の碑 | わかば |
羅漢寺樹下にこんもり落椿 | こすもす |
小手毬の辻に清しき尼僧かな | 素秀 |
三匹の亀の甲羅に春陽射し | あひる |
春嵐や湖の鳥居を潜る波 | 隆松 |
葛城の尾根を若葉の駆け上ぐる | 素秀 |
花の園パンダの檻は空いたまま | わかば |
急燈を駆け降りやまず樟落葉 | 素秀 |
蒼天の山の膨らむ新樹光 | ぽんこ |
ままごとのお菜となりぬ野豌豆 | かえる |
花屑の吹き寄せられし火床かな | せいじ |
浜大根に竹生重ねる映えスポット | 隆松 |
訃報聞く旅の途中や竹の秋 | 素秀 |
音鳴らぬ鈴震わせる満点星 | かえる |
城下町牡丹桜は重たそう | こすもす |
清明の史跡めぐりにそぞろかな | たか子 |
寧楽の雨に黄砂は溶けてゐし | 素秀 |
飛花落花舞うてやまざる桜濠 | わかば |
里山のもくもくと若葉かな | かかし |
2023年3月11日 | |
光琳の縁係の濃紅梅 | わかば |
仕分けられ里親を待つ古雛 | 素秀 |
雛みゆ座敷童子もありぬべし | 澄子 |
月一つ星一つ雛祭りけり | 宏虎 |
膝行し豆雛らの私語聞かむ | みのる |
朱の毬のごと三椏の咲き初めり | むべ |
雛飾る下手な俳句を吊りさげて | 宏虎 |
中庭の開け放ちたる雛の間 | よう子 |
雛段行く牛車の姫の乗り心地 | よう子 |
湧水の一隅占めて春金魚 | 澄子 |
流し雛置きし水面にとどまりぬ | せいじ |
隠沼に犇めく蝌蚪の黒き帯 | 智恵子 |
灯を消せば眸恐ろし雛人形 | 宏虎 |
舞妓らに巫女が手渡す流し雛 | せいじ |
雛飾る下駄屋の棚に横並び | なつき |
香焚きて雛を飾れり骨董屋 | なつき |
飛び石を渡る若さや春の川 | ぽんこ |
そのむかし六人姉妹桃の花 | 澄子 |
誰が吸ふや雛の調度に煙草盆 | うつぎ |
鉱山王の主屋座敷の雛飾り | うつぎ |
土雛筆整えて目を描けり | なつき |
報道の腕章闊歩雛流し | せいじ |
平安の装束美し雛送り | わかば |
飛び石をすり抜けて水温みけり | あひる |
一陣の風に押さるる雛の舟 | せいじ |
園児らの歌唱に和む雛神事 | せいじ |
よしこのに蜂須賀桜浮かれけり | 素秀 |
雛の間の大正シェード薄明り | よう子 |
吊るし雛ピンクに染まるショーウィンドウ | なつき |
初節句雛に合わす小さき掌 | 澄子 |
雛壇の調度の端に金太郎 | うつぎ |
古への雛は吊り目や勝ち気かな | かえる |
桐箱も年代物や雛納 | むべ |
石垣に宝石めきて蜥蜴出る | 智恵子 |
ひろびろと二間通しに雛屏風 | みのる |
波止の上に春の月ある倉庫街 | 素秀 |
迷ひ子の巫女になつきし雛流し | あひる |
春の鹿斑模様の初々し | 智恵子 |
ししおどし何処で鳴るや竹の秋 | かえる |
真っ黒な太梁の土間雛の家 | 宏虎 |
御殿雛御簾を上げませ朝日差す | うつぎ |
梅園の丘に一望香は四方に | ぽんこ |
人垣に埋もれて覗く流し雛 | わかば |
観音の御手に春禽遊ばせて | 智恵子 |
高枝は鴉の席や雛神事 | あひる |
町興しに一役買ひしひな祭り | こすもす |
春帽子の植物博士小径ゆく | むべ |
祈りつつ御手洗川に雛流す | わかば |
達磨雛下段を占めて大飾り | 素秀 |
雛の夜や波立ちやすき胸の中 | 宏虎 |
雛流し神事の空に鳩の舞ふ | あひる |
京キャラも一役買ふや雛流し | ぽんこ |
庭からも見物人や御殿雛 | こすもす |
目印はピンクの幟雛の家 | こすもす |
手提げ重覗けば内裏豆雛 | よう子 |
百寿逝く写真を添ふる明治雛 | なつき |
蝶々や順路はこちら先導す | かえる |
をさな等の水面流るる雛の歌 | あひる |
この牛車黒毛和牛や雛飾り | みのる |
白障子陰影礼賛雛の間 | 澄子 |
落椿流れに綺羅と洩れ日射す | わかば |
雛親し昭和生れと聞くからに | みのる |
水みくじ大吉掬う水温し | 智恵子 |
観光坑道の人夫人形春寒し | こすもす |
豆雛小さな宴広げをり | 小袖 |
百年の甍の波よ風光る | 小袖 |
節くれの指ととのへし紙雛 | むべ |
雛のギャル畳のへりをな踏みそ | みのる |
神庭に園児の歌ふ雛祭り | ぽんこ |
揺れ止まぬ歪む玻璃戸の花馬酔木 | よう子 |
東風吹きて熊笹の群れ語り出す | かえる |
雛調度失せし官女の手は遊ぶ | 小袖 |
ゆくりなく渡る廻廊ひなの家 | 小袖 |
祖母の雛孫の雛よりすまし顔 | かえる |
面差しは御簾に隠して御殿雛 | 小袖 |
梅の香に会話はずみし句友どち | むべ |
そこはかとなき香の中の春満月 | 素秀 |
見上ぐれば観音岩や山笑ふ | こすもす |
花馬酔木存問すればさざれ石 | ぽんこ |
一番の客は男や雛の家 | うつぎ |
2023年2月25日 | |
梅探る立ち話にも梅が咲く | なおこ |
山門で切取って嗅ぐ梅の風 | 隆松 |
残雪や寺苑の岩に在りし苔 | 隆松 |
雪解けに階段濡るる里の寺 | 隆松 |
眺望はあと一段や梅の丘 | よう子 |
春雲の日矢の後光や観音像 | 素秀 |
枝垂るるや瑞枝にあまた梅含む | わかば |
五重塔今頃に出る蕗の薹 | 宏虎 |
前掛けも百なり雪の石地蔵 | せいじ |
涅槃会の嘆きの老婆縋りつく | ぽんこ |
木目肌の荒き枝ぶり濃紅梅 | ぽんこ |
石室を出れば風花音もなく | せいじ |
ゆくりなく句友と出会ひ梅の園 | わかば |
蠟涙も嘆きにそひて涅槃寺 | もとこ |
師を頼り杖を頼りや梅探る | よう子 |
甲山焚火の煙るなかにあり | なおこ |
大伽藍抱き一山風花す | わかば |
風葬を諾ふやうに蓮骸 | うつぎ |
薬袋を取ってやれかし涅槃会図 | うつぎ |
筋塀を背に雨こぼす椿かな | ぽんこ |
また一人来ては涅槃図見入りけり | 小袖 |
梅固し人語さびしき山路かな | もとこ |
物の芽の脇ちんまりと鹿のまり | こすもす |
散る梅を受けてくるりと透ける傘 | 素秀 |
観音の指さす前方梅の丘 | ぽんこ |
境内の撒かれし如き落花かな | こすもす |
涅槃図の迦陵頻伽は唄ふやに | みのる |
のどけしやウインカー無きトラクター | よう子 |
覗き込むなぞえに一つ蕗の薹 | こすもす |
嘆きても鷹は鋭き目や涅槃変 | うつぎ |
先生に幼いやいや涅槃寺 | 小袖 |
野地散歩今朝は吉日初音聴く | 智恵子 |
生き生きと梅の枝間に宿り木が | ぽんこ |
香煙に風花まじる札所かな | せいじ |
一木の梅に魅せられ吟行子 | 小袖 |
訪ひし庫裡の白梅寡黙なり | もとこ |
室町と江戸の涅槃会図並ぶ | なおこ |
鋏手に房総の春摘み取りぬ | 智恵子 |
飛梅や「縁」の柄杓で願ひ水 | なつき |
塗り忘れかも涅槃図の象真白 | みのる |
梅園やリュックの柄に友と知る | せいじ |
涅槃会の鴉狼藉はばからず | うつぎ |
探梅や傘回しゆく天気雨 | なつき |
饅頭に合格印や梅見茶屋 | なつき |
浮寝鳥微動だにせず湾静か | こすもす |
春雨に濡れども笑顔礼参り | 素秀 |
冴返る塔は群青際立たせ | 小袖 |
涅槃図の末席に吾も連なりし | せいじ |
願かけし小さき草鞋に春願ふ | ふさこ |
余寒なり古刹の庭の苔の色 | 隆松 |
月まどか涅槃の釈迦の寧かれと | みのる |
梅日和五百羅漢に友見つけ | ふさこ |
雨晴れて香りに佇む花樒 | 智恵子 |
春雨や掃ききよめられ中山寺 | 宏虎 |
札所寺あまた草鞋に春の風 | ふさこ |
寄進者名並びし裏や涅槃絵図 | よう子 |
春雨や前垂れ透ける地蔵尊 | 素秀 |
涅槃絵の赤を語れり絵解き僧 | なつき |
梅見茶屋梅のししゅうの小座布団 | なつき |
展望台宴にほろ酔ひ梅の里 | 智恵子 |
リュック置き賽銭捜す梅見客 | ふさこ |
金色の褪せぬ涅槃に昼灯す | 小袖 |
沈丁の香り加へて百度石 | 素秀 |
涅槃の図頭北面西教へけり | みのる |
一人とて涅槃絵解きす山の寺 | よう子 |
吟行は食事が楽し梅の花 | 宏虎 |
涅槃絵図蟷螂までも蟻までも | なおこ |
一もとの紅梅いよよ咲き極む | わかば |
寝釈迦いままどろむさまに腕枕 | みのる |
梅の香や勝手知ったる寺の中 | 宏虎 |
安らかにと願ふ絵馬に春愁ふ | もとこ |
歯ぎしりの哀しみもあり涅槃絵図 | もとこ |
ぽこぽこと浮かぶ雲の春めくや | 智恵子 |
池の傍波間に見ゆる葦の角 | 宏虎 |
梅の園遥かに望み甲山 | わかば |
大鍋に出汁たつぷりの大根焚 | なおこ |
水引の掛かる大根や閻魔祭 | うつぎ |
梅三分片花開き立つるあり | ふさこ |
対向車の飛沫の洗礼雪解路 | こすもす |
2022年3月19日 | |
暖かや勝馬の首さする騎手 | せいじ |
春うらら馬場に轟くファンファーレ | せいじ |
本日の馬場は良なり春埃 | せいじ |
童顔の騎手の鞭打つ春疾風 | もとこ |
砂煙上げ走り抜く競い馬 | わかば |
行厨はゆくりなく会ふ花のもと | はく子 |
競馬果て夕日に褪せる春日傘 | 素秀 |
勝馬を予想し合うて春日向 | せいじ |
春風とともにひらりと騎手乗馬 | あひる |
勝ち馬へ人馬一体なる走り | わかば |
春おしゃれ耳も足にも装ふ馬 | ふさこ |
春疾風味方につけし競い馬 | 小袖 |
競走馬陽炎のなか駈けてゆく | なおこ |
ギャロップの鬣なびく春光裡 | みのる |
御神水掬へば綺羅と春の水 | 凡士 |
馬十一頭春塵蹴散らすド迫力 | 千鶴 |
様々な色の覆面競い馬 | わかば |
春塵をさらに巻き上げ競ひ馬 | うつぎ |
電光板凝視の赤ペン春競馬 | ぽんこ |
神泉の主かと緋鯉悠然と | 凡士 |
外差しのたてがみ眩し春日燦 | 素秀 |
春風やゲート嫌がる去勢馬 | 豊実 |
強東風や外れ馬券の空走る | もとこ |
勝ち戻る騎手春天へ拳あげ | みのる |
勝馬の栗毛の艶や春の雲 | 豊実 |
勝ち馬へ鞭の一振り駆け抜ける | わかば |
草競馬鴉エールの声を張る | うつぎ |
馬の背よりわが町ながむ春の夢 | ふさこ |
馬券捨て春塵の靴パドックへ | よう子 |
春の馬艶光りする毛並みかな | 千鶴 |
パドックへ背なの人垣春麗ら | 小袖 |
躍動の光る毛並みや春の馬場 | あひる |
応援は五番の馬や草青む | よう子 |
勝ち馬に春空広し騎手凛々し | 小袖 |
中洲なる春を謳歌の草競馬 | たか子 |
鼻筋の白きは血筋春の駒 | みのる |
春光やハナ差勝負に鞭激し | 千鶴 |
颯爽とパドック歩む春駒 | はく子 |
大外の遠心力や風は春 | 豊実 |
春塵に拾ひ確かむ捨て馬券 | みのる |
緑蔭をかすめ滑走する機体 | ぽんこ |
初体験栗毛の尻に惚れる春 | ふさこ |
イヤフォンは競馬中継田螺和 | 素秀 |
春場所の力士息抜き草競馬 | よう子 |
パドックの鬣の艶風光る | なおこ |
春競馬馬券を買ふを禁じらる | はく子 |
逃げ馬の僅差のニ着春疾風 | 小袖 |
馬場うらら暫してこずるゲートイン | せいじ |
馬場均すささらの車陽炎ひぬ | よう子 |
残る鴨寛いでいる馬場の池 | あひる |
かげろひて機首沈む街馬駆くる | もとこ |
均したる馬場に降り来て鴉の子 | うつぎ |
暖かしパドック見つむ車椅子 | たか子 |
髪靡くラプンツェルなる春の駒 | もとこ |
行つたり来たりパドックと馬場春一日 | うつぎ |
パドックの芦毛の歩み麗かな | 豊実 |
書紀に記す広田の杜に春探る | 凡士 |
春塵や馬場に乱れし蹄跡 | あひる |
あたたかや競馬の歴史教はりて | なおこ |
梅東風に高鳴る絵馬やタイガース | 凡士 |
競ひ馬春光まとひ疾走す | はく子 |
鞭一打なく勝馬となれりけり | みのる |
名にし負ふ躑躅芽吹くや廣田山 | 凡士 |
春風に潮の香ありし競馬場 | 素秀 |
疾走する馬の蹄や春埃 | ぽんこ |
麗かやパドック巡る駿馬群 | わかば |
野次暑し鼻の差競ふゲート前 | よう子 |
春塵の騎手の尻上ぐゴールかな | もとこ |
ゴールへと必死の鞭の春駒 | はく子 |
急ぎ足花より団子競馬場へ | ふさこ |
春光に飛沫く鼻息競ひ馬 | うつぎ |
散らかして踏まれて馬券山笑ふ | たか子 |
東風に攻む騎手腰うかせ前傾し | 千鶴 |
春一番ほんのり馬糞うふふふふ | ふさこ |
パドックのおしゃれ鬣春の駒 | ぽんこ |
春風や競馬新聞読む眼鏡 | 豊実 |
春塵にまみれゴールの馬の尻 | たか子 |
パドックとコース行き来す春の昼 | 小袖 |
パドックを軽くステップ競べ馬 | ぽんこ |
逸る馬地団駄を踏む草競馬 | たか子 |
春風のパドック牝馬みな可憐 | あひる |
パドックに澄める馬の瞳初ひばり | 素秀 |
土けたて人馬駆けぬく春怒濤 | 千鶴 |
2022年2月 | |
降りて止み止みて又降る春の雪 | こすもす |
一坪の菜園鋤けば春の土 | 凡士 |
雛飾り機織る部屋の古畳 | なつき |
道の端を縁取るごとく草萌ゆる | わかば |
春愁やお顔それぞれ六地蔵 | ぽんこ |
参道の赤子ぐずるや梅ふふむ | よう子 |
阿難陀ひとり蒼白涅槃変 | みのる |
ひと冬を健気に咲きて菫かな | 凡士 |
手術祈願飛梅一つほころびて | なつき |
しろがねの月下に涅槃したまへり | みのる |
川堰を飛び降りんとす二羽の鴨 | せいじ |
大涅槃絵図は渚のごと余る | みのる |
河越えて通り雨めく春吹雪 | せいじ |
大いなる蕊を持ちたる梅の花 | せいじ |
菩提子の念珠買ひたる年女 | なつき |
囀や森に還りしゴルフ場 | 凡士 |
雛の間や待合席と隣り合ふ | わかば |
獣害の畑を横目に探梅行 | 凡士 |
歳重ねなほ懐かしき雛飾 | わかば |
通り雪去れば明るき陽射しかな | あひる |
梅の間に宝珠の眩し大願塔 | 素秀 |
大涅槃絵図の裏より吟行子 | みのる |
梅ふふむ観音像の御手の上 | よう子 |
紅梅の雨に洗われなほの艶 | 素秀 |
沙羅双樹隠れは魑魅か涅槃変 | みのる |
頭垂れ一礼す脊に春の風 | ふさこ |
禰宜の妻見廻る杜に梅香る | あひる |
奥の院梅と地蔵の道おくに | ふさこ |
鐘楼の裏に菜飯のむすび食ぶ | 素秀 |
梅花節涅槃開帳厳かに | ふさこ |
竹林のさざめく中に笹子鳴く | わかば |
梅探り奥の院まで来たりけり | よう子 |
梅一輪一句捻りて推敲す | ふさこ |
春雨に濡れどもお礼参る母子 | 素秀 |
犬二匹と人の足跡雪の朝 | こすもす |
観音のお顔が映へる菜の花黄 | ぽんこ |
木の股に積もりし雪のハートめく | こすもす |
遠山に柱と見へて通り雪 | あひる |
風鐸も涙の塔や涅槃寺 | よう子 |
下校子の声姦しき春の土手 | せいじ |
石標裳裾を飾る木瓜の花 | ぽんこ |
強東風に白波尖る明石の門 | わかば |
産直の春菜溢れてマルシェ立つ | 凡士 |
枯草の塔婆めき立つ無縁塚 | なつき |
梅の園金色の袈裟厳粛なり | ふさこ |
春雲や観音像の淡き影 | 素秀 |
春泥を踏む母と子のヌートリア | せいじ |
べろ出して遊ぶ仔牛や風光る | なつき |
二の宮の小さき杜に小雪舞ふ | あひる |
園丁に読経届けや梅ふふむ | よう子 |
通り雪いま只中やペダルこぐ | あひる |
一陣の風に震へる花すみれ | ぽんこ |
白梅の蕾は固し吉御籤 | ぽんこ |
2022年2月 | |
キープ札揺るる盆梅枝越しに | 素秀 |
山に咲く里に咲く野にも咲く | せいじ |
かきくけこ今日はお出かけいい天気 | 豊実 |
新海苔や一番海苔と届けらる | わかば |
似顔絵の似すぎて脹る弘法市 | 凡士 |
初花や石垣だけを残す城 | 素秀 |
山に来た里に来た野にも来た | せいじ |
寅一字葉書を埋めて賀状かな | 凡士 |
洋燈のあかり運河に街吹雪く | 凡士 |
除雪車の信号無視をな咎めそ | こすもす |
春が来た春が来たどこに来た | せいじ |
丸四角三角溢るおでん鍋 | 凡士 |
滑り終へ安堵の息やスケーター | うつぎ |
フィギュアの四回転半息を飲む | うつぎ |
スケーター祈る姿に構へたる | うつぎ |
春光の丘を統べたり観覧車 | 素秀 |
閉ざされし門の遠きに桜の芽 | 素秀 |
長き足縺れんばかりスケーター | うつぎ |
休耕田一枚残し春耕す | 素秀 |
ちやんちゃんこ近う近うと玉座より | みのる |
灯を消しておやすみなさいお雛さま | みのる |
さしすせそ鍋を囲んで暖まる | 豊実 |
あいうえおオリンピックの金メダル | 豊実 |
春灯を連ね島々昏にけり | わかば |
受付はAIロボット室の花 | 凡士 |
なにぬねの車検案内届いたよ | 豊実 |
雑巾を縫うて感謝の針供養 | わかば |
おはようとカーテン引けば雪の木々 | こすもす |
風花の乱舞を見よや山襖 | みのる |
海へ降る霰や雑魚の跳ねしごと | みのる |
あかりをつけましょぼんぼりに | せいじ |
朝の日に浮かべ海苔舟数見せて | わかば |
臥すひとと窓越しに見る雪景色 | こすもす |
兵庫津と古りし燈籠針供養 | わかば |
大家なる茅葺き屋根に風花す | こすもす |
湯上がりや一気飲みせし寒の水 | こすもす |
花が咲く花が咲くどこに咲く | せいじ |
たちつてと寒い寒いと手をこする | 豊実 |
工事場の朝の始まる焚火かな | みのる |
2021年3月 | |
児の遊ぶ丘に草の芽犇めけり | よう子 |
打たせ湯に肩の緩まん桜の芽 | 素秀 |
黒ぼこをつけて芍薬芽に出でぬ | みのる |
ショッピングモールの通路木の芽風 | なおこ |
芽柳の蔵壁にシャンデリアめき | せいじ |
木の芽晴れ轍重なるモトクロス | 小袖 |
大欅の芽ぶく力に勇気得し | なおこ |
最終の勤務表閉づ木の芽風 | 豊実 |
じゃが芋の脇目に早も力満つ | よう子 |
芽柳や水上バスは玻璃の箱 | みのる |
遅植の豌豆芽吹く山の畑 | 小袖 |
真青なる空を褥に木の芽張る | せいじ |
翻るとき水面打つ柳の芽 | せいじ |
村に入る馬頭観音芽木の風 | なつき |
杣道の風匂ひたつ芽立ちかな | 素秀 |
蘆の芽や池塘啄む二羽の鳥 | 豊実 |
草の芽やどっかと座る昼休み | よう子 |
芽柳のはんなり垂れ京の路地 | 小袖 |
雨晴れてより芳しき芽木の径 | みのる |
蓮の芽の泥を掴んで天が下 | 素秀 |
はつらつと坂道歩く木の芽時 | なおこ |
ものの芽のささやき合へる六地蔵 | なつき |
石室を出づる実生の芽吹きかな | なつき |
男湯を先に出て待つ柳の芽 | 豊実 |
2021年2月 | |
振り向ひて母を呼ぶ児や風光る | よう子 |
へらぶなの不機嫌な顔風光る | 豊実 |
有馬湯女裾はしよりゆく雪解道 | みのる |
風光るコロナワクチン始まりて | なおこ |
桂馬跳びして子らあそぶ雪解道 | みのる |
学び舎は牧場跡や風光る | 小袖 |
太公望竿を一閃風光る | みのる |
氷河さへ解けているらし雪汁よ | なおこ |
旅の宿雪解しずくの音に覚め | 菜々 |
出漁の船追ふ鴎風光る | うつぎ |
音あふれ光あふれて雪解川 | うつぎ |
風光るダムに朱の橋青い橋 | 小袖 |
風光る灘一望の方位盤 | うつぎ |
訪ぬれば石橋細し雪解川 | よう子 |
雪解けの窓の明るきテレワーク | なつき |
顕なる藁に滴る雪解水 | 豊実 |
雪解水ひそと暗渠を流れけり | 素秀 |
磨崖仏しとどに雪解雫かな | 素秀 |
ボウタイのブラウス白く風光る | なおこ |
風光る園庭駆くる新の靴 | なつき |
大鷺の嘴に小魚風光る | せいじ |
部活生どどど駆け抜け風光る | 小袖 |
北窓の午後より動く雪解かな | よう子 |
不惑なお道多きかな風光る | 豊実 |
風光る宝珠を乗せし八角堂 | せいじ |
鯉跳ねて背けし顔に風光る | せいじ |
山腹に並ぶ石仏雪解風 | なつき |
落ち合ふてしぶきを上げて雪解川 | 菜々 |
風光る鳶海峡をひとまたぎ | 素秀 |
2021年1月 | |
条幅にみ言葉太く筆始 | せいじ |
神神し丸き地球の初日の出 | かかし |
新玉の年頭聖句諾ひぬ | せいじ |
家族増ゆこと願ひたり初詣 | なつき |
一の目に堅実と褒む絵双六 | なつき |
どんど焚く児らに一枚煎餅菓子 | なおこ |
光背の燦と輝く初日の出 | かかし |
寒紅をひきてズームの初句会 | よし子 |
鞘堂に透ける灯明大旦 | 小袖 |
百歳の声に張りある御慶かな | うつぎ |
おだやかな日を賜りし小正月 | 小袖 |
なんとまあ八十回目のお正月 | 菜々 |
御神鏡拍てば光るや初詣 | 豊実 |
門ひとつ隔てて鼓お万歳 | 素秀 |
床の間の赤い実ころがる三日かな | よし子 |
臥龍松幾代へしなん初御空 | みのる |
神送り天へと烟る大とんど | 小袖 |
松飾る芦屋山手の富豪邸 | みのる |
梵鐘や初東雲の時空間 | 豊実 |