たもとほる病舎の庭にリラの花 | むべ |
春陰の蛇を踏みたるマリア像 | むべ |
外つ国の人らに古都の花吹雪 | うつぎ |
赴任せし先生自撮り花の門 | かかし |
満開の花又花の車窓かな | はく子 |
初孫は双子や友の花まつり | よう子 |
紅白帽駆けるグランド花吹雪 | こすもす |
広芝に刺繍のごとく花すみれ | かえる |
花陰に生ふは地獄の釜の蓋 | せいじ |
潮騒に草笛低く吹き継げり | なつき |
大玻璃に一望苑の花の雲 | むべ |
春寒し千手観音そそり立つ | もとこ |
天蓋の花を潜りてバス徐行 | かえる |
桜散る古色の塔へ散華とも | はく子 |
紅白と桜繚乱古刹坂 | 隆松 |
太刀のごと反る石垣や花の城 | みのる |
持ち帰る甘茶や夫の仏生会 | よう子 |
また一歩吾に歩み来る残る鴨 | えいいち |
桜散る堂縁に寝る異国人 | たか子 |
家苞に柿の葉寿司や春憩ふ | ぽんこ |
花筵の犬が抱つこの犬に吠ゆ | なつき |
四阿に馳走は風と囀りと | もとこ |
2024年3月16日 | |
足長の花瓶にすくと鬱金香 | かえる |
見る影無く墓場の守の枯芭蕉 | ぽんこ |
波返堤の砂泥にかほる水仙花 | えいじ |
銃眼を貫く春の光かな | みのる |
針の芽を鞘に隠して枯芭蕉 | せいじ |
花堤どの木も撮る人撮らる人 | うつぎ |
鞄当て餅花一つ飛ばしけり | なつき |
慰霊碑は武揚の書や花万朶 | せいじ |
湧き水の微温はぐくむ蝌蚪の紐 | むべ |
弁当売り土堤の桜を知り尽くす | よう子 |
陽の射せばひときは著き花の影 | あひる |
福寿草わづかに開く晴れ曇り | むべ |
春草に雁字搦めや犬の糞 | えいじ |
幾たびも堰落つる川風光る | 康子 |
花下に立つ白きドレスとカメラマン | あひる |
花の寺鳥羽や戦の石碑守る | よう子 |
河津桜鳥も潜れぬ万朶かな | うつぎ |
梅散るや花のかたちの萼残し | むべ |
目を凝らす朽ち葉のあはひ節分草 | 澄子 |
城跡の読めぬ看板花の下 | よう子 |
水澱む瞳凝らせば蝌蚪の紐 | かえる |
躓きて見渡す限り竹の秋 | ぽんこ |
ママ友がバギー連ねて花堤 | せいじ |
遊歩道行くを遮る花の枝 | ぽんこ |
淀駅や花見の客に飲み込まれ | よう子 |
哺乳瓶こくこく吸ふて花の下 | あひる |
河津桜紅の帳を張るごとく | うつぎ |
春旅や気分は気比の翁像 | 隆松 |
簪のごとく揺るるや花馬酔木 | むべ |
七段の階段箪笥雛飾る | なつき |
みどり児も花の宴のミルクかな | あひる |
あけび芽のまきついてゐるゑくぼ花 | えいじ |
水の上をたたら走りし鴨飛翔 | みのる |
百相の瘤の榎の芽吹きけり | 澄子 |
駅名板残す廃線燕来る | なつき |
激つ瀬の回るあぶくに春日燦 | 康子 |
熊笹にかさりと椿の落つる音 | かえる |
山茱萸の芽吹き初めたる淀堤 | はく子 |
久しぶり句友と花見楽しめり | はく子 |
菰巻を解かれ松肌艶めきぬ | 澄子 |
川べりに花の釈迦堂小さき仏 | ぽんこ |
春風や帽子飛びゆく鳥居下 | 隆松 |
さざ波の春光綺羅の星を揉む | みのる |
古刹には松の根方に福寿草 | わかば |
椿落ちてでんぐり返るなぞへかな | みのる |
春月や砂持つ遊行像の上 | 隆松 |
匂ひして鼻であなぐる花馬酔木 | かえる |
春の泥掻き分けてゐる烏鯉 | かえる |
春泥に敷く藁筵やわきかな | 康子 |
湧水の砂に潜める蝌蚪の紐 | 康子 |
はらからと睦ぶ行厨花の下 | わかば |
河津桜見事に開き香の高く | わかば |
顔白く塗りし地蔵や涅槃寺 | せいじ |
芭蕉句碑巡る敦賀や春日和 | 隆松 |
ソーラーパネル光る町並み山笑ふ | なつき |
啓蟄の道を舗装の作業班 | えいじ |
淀城址河津桜の紅の濃き | はく子 |
黄色の足許明かし福寿草 | ぽんこ |
松毬転がるままに芝青む | 澄子 |
破蓮よどみし濠の淀城址 | はく子 |
淀水路河津桜のまだ散らず | よう子 |
宵待てる紙燭の白や雛調度 | むべ |
竹林の奥の闇より囀れり | せいじ |
花の淀俯瞰せんとて城山へ | うつぎ |
見下ろして翳して淀の花堤 | うつぎ |
廃線のホームのベンチ初蝶来 | なつき |
春日射し水底現るる鯉の影 | 康子 |
雨の日に独り占めなる大春野 | えいじ |
家族連れ犬連れそぞろ花の道 | はく子 |
落椿日翳りてより鬱つのる | みのる |
河津桜訪ひて戊辰の歴史知る | わかば |
ふらここにひと休みする散歩道 | あひる |
咲き満ちて水に枝垂るる桜かな | わかば |
蝌蚪の紐生かす五寸の深さかな | 澄子 |
2024年2月17日 | |
冴返る音なく止まる救急車 | よう子 |
春暁にドクターヘリの影帰る | 素秀 |
春浅しアラビア文字の絵馬あらた | 澄子 |
乱れ飛ぶ礫の如き福の豆 | 澄子 |
御屋敷街「猪がでます」と其処此処に | うつぎ |
法螺貝の響く参道節分会 | 康子 |
梅林の花の雲より時計塔 | あひる |
粛粛と御練り行列節分会 | 澄子 |
蒼天に福豆描く放物線 | むべ |
金泥の贅をつくせし涅槃会図 | みのる |
節分会乙女太鼓に華やぎぬ | 澄子 |
線香の烟に日矢さす寺四温 | 康子 |
薄みどり帯びたる萼に梅白し | むべ |
節分の法螺貝天に響もせり | むべ |
老木を春の啄木鳥起こしけり | むべ |
若僧の蒼き剃り跡春日射す | かえる |
泥濘にワジめく軌跡池涸るる | せいじ |
日の注ぐ句碑を巡りて寺は春 | 康子 |
燃ゆる緋や鹿児島紅梅園を統ぶ | うつぎ |
踏むまいぞ見晴台の春の泥 | うつぎ |
白梅の香る清しさいとほしむ | わかば |
母支え見し頃思ふ濃紅梅 | たか子 |
梅の花香に寄り添ひて巡りけり | わかば |
谷戸晴れや宅地脇でもこごみ採る | 隆松 |
凍返る知恵百度石撫でもせず | うつぎ |
梅の苑思ひの彩と香を放つ | わかば |
紅梅の色いやまさる勢かな | わかば |
連弾のお琴の音色梅見茶屋 | かかし |
僧侶らのお練り美々しく春日向 | かえる |
畑を打つ尻また返す鳥に鳥 | 隆松 |
踏み石に梅の薄影苔むして | ぽんこ |
走り根の隙間に芽吹く生命かな | かえる |
海豹の髭さながらに梅の蕊 | せいじ |
園丁の泥掻き出して蓮を植う | せいじ |
葉牡丹のパッチワークや花時計 | せいじ |
梅の丘振り返る目に茅渟の海 | たか子 |
お手植の樹齢百年梅三分 | かかし |
やせ細る盆梅の幹咲き満つる | なつき |
鐘の音が前口上や年男 | むべ |
看護師の開くカーテン春立ちぬ | 素秀 |
茅渟の海見んと春泥跨ぎけり | よう子 |
薄氷を踏みて登校列乱る | かかし |
病窓を画角に山の笑ひたる | 素秀 |
読経僧寝釈迦醒めよ鐘たたく | みのる |
シルバーの歩数競ふや梅日和 | よう子 |
金色の九輪見下ろす梅の丘 | みのる |
春菜に他県車止まる峠道 | 隆松 |
待ち合はせ梅が香通ふ山門に | 康子 |
畑返す土黒々し谷戸の晴 | 隆松 |
灘霞コンビナートの煙飲む | うつぎ |
安寧の面輪に涅槃したまへり | みのる |
梅苑のピエロの曲技一輪車 | かかし |
女どち犬を小脇に梅の坂 | なつき |
梅ふふむ撫で牛の背に日の温み | なつき |
水仙が広場の顔や物見台 | ぽんこ |
囀りや水車の廻る蕎麦処 | 澄子 |
下校子の道草靴に春の泥 | よう子 |
梅愉し開花に遅速あればこそ | たか子 |
鰐口を叩けば余韻涅槃寺 | たか子 |
舞ふ豆に挙ぐる千手や節分会 | 康子 |
早春の駅中ピアノわらべ歌 | かかし |
四阿の座布団梅見指定席 | よう子 |
小春の日宝探しの句碑巡り | かえる |
白梅やしぶきのごとく枝垂れ落つ | あひる |
梅園の裏山に湧く雲白し | あひる |
結界に飛び石もどる探梅行 | なつき |
きざはしの途に早散る梅の丘 | ぽんこ |
高台の春泥しるき町全貌 | ぽんこ |
春愁や並び聞こゆる心電音 | 素秀 |
たたなわる梅の花背にポーズとる | ぽんこ |
びんずるのお顔滑らか暖けし | かえる |
センサーで流るる手水春ひかり | あひる |
点滴のラインもつれる建国日 | 素秀 |
梅日和子と浮かべたる水みくじ | なつき |
池涸るる鷺よく歩く泥の中 | せいじ |
ぬかるみを物ともせずに探梅す | たか子 |
つぶつぶに数珠なし蕾む枝垂梅 | みのる |
四阿の暗きに添へる淡き梅 | わかば |
梅東風やうち並びたる杓文字絵馬 | あひる |
2024年1月13日 | |
寺田屋のお登勢祀りて幣小春 | たか子 |
ガス灯の烟る居留地枯木道 | わかば |
新成人乗せて俥夫往くけふ佳日 | かえる |
山茶花の白刀痕の池田屋に | あひる |
石垣に彩を添へたる万両かな | ぽんこ |
口づけのごとく寒紅酒を利く | みのる |
福藁へ踏み入り訪ぬ古屋敷 | かえる |
寺田屋の門の一歩に白椿 | うつぎ |
古民家の艶めく床に冬日射し | 康子 |
冬晴や湯屋の煙突残る街 | うつぎ |
鞠のごと跳ねて日向へ寒雀 | かえる |
寒禽の朝のお喋り樟大樹 | ぽんこ |
武蔵野の空の広さや凧揚がる | むべ |
来る年も荒れ放題の芭蕉墓碑 | ぽんこ |
乗初や明石海峡晴れてをり | わかば |
水郷の水の揺らぎや小六月 | たか子 |
方丈に庇の影の白障子 | ぽんこ |
コウコウと声の聞こゆる白鳥沼 | 隆松 |
撫でて身に入む寺田屋の刀傷 | みのる |
冬の海荒れて埠頭を越ゆる波 | わかば |
増へてゆく水子地蔵や菊の供華 | ぽんこ |
寒禽のこぼるる声や城の森 | わかば |
絶対と絵馬に念押す初詣 | なつき |
俯きて神話のごとく水仙花 | 素秀 |
まぼろしの初湯のひかり子宝湯 | 澄子 |
石灯籠遠き昭和の冬館 | 澄子 |
手袋脱ぐ下戸は利酒なめて酔ふ | よう子 |
青き幌被り春待つ屋形船 | せいじ |
参観券は土佐の銀札館ぬくし | うつぎ |
大煙突登りたくなる春の空 | あひる |
手套とり名有る弾痕ふれてみる | あひる |
縄のれん紙の門松路地の奥 | よう子 |
花八つ手ガッツポーズの絵馬掛所 | なつき |
ひこばえに命を託す古木の根 | よう子 |
凧揚げや父と子の声張り上げて | 康子 |
疎水行く歩は緩慢に四温晴 | せいじ |
悴みし両手に軽し抱き地蔵 | なつき |
硝子戸の片隅にみゆ万年青の実 | 澄子 |
睥睨の鷹鉤爪に良き獲物 | 素秀 |
花のごと春着揺られて人力車 | 澄子 |
甘口の出来は上々酒を利く | せいじ |
洋蘭の数多の供花や弁財天 | うつぎ |
吹初の尺八に置く朱唇かな | むべ |
羽子つきの乾きし音や空まさを | むべ |
白鳥や朝日を撥ぬる首の長 | 隆松 |
寒風や湖の鳥居へ縮れ波 | 隆松 |
水郷に刎ねる日差しや柳の芽 | みのる |
甑布干す酒造場冬日燦 | せいじ |
蒼天の点となりゆく凧 | 康子 |
伊達門の高みへ寒禽集ひをり | かえる |
人の絵馬読んで応援する三日 | なつき |
乗換は次の駅よと冬帽子 | よう子 |
初詣湖の鳥居を背にしたり | 隆松 |
讃美歌を爪弾く箏や明の春 | むべ |
おはじきのごと日溜まりへ寒雀 | みのる |
雲一つなき初空へ避雷針 | せいじ |
庭雀冬日失せればゐずなんぬ | みのる |
新地湯は令和の今も冬ぬくし | うつぎ |
酒蔵を映す運河に春浅し | あひる |
弾痕に触るれば深し寒柱 | たか子 |
太格子酒蔵通り冬温し | よう子 |
恋人の並んで結へり初みくじ | なつき |
茅が軒縁に冬日の深きかな | かえる |
風掴み凜々と征く凧 | 澄子 |
息白し俥夫の逞し足捌き | 康子 |
新春の琴の音響く路地親し | 康子 |
霜立ちの棚田は縞のモノクローム | 素秀 |
冬耕の棚田を跨ぐ送電線 | 素秀 |
初東風や白き俥の字の背ナ過ぐる | むべ |
喉あつくなりし試飲や寒造り | あひる |
水鳥の群れて飛来や城の濠 | わかば |
きき酒の試飲やはらか蔵の冬 | たか子 |
係留の小舟へシート春を待つ | たか子 |
黒ぼこを吐き冬帽のトラクター | 素秀 |
2023年12月16日 | |
雪吊の波打つてをる水鏡 | かえる |
待ち合わせショール細身にまとふ友 | 小袖 |
天鵞絨の苔の池塘へ紅葉散る | みのる |
紅葉散る御寺の庭の静寂かな | うつぎ |
急坂の途中に暖簾もみじ宿 | あひる |
団栗の象嵌めきて石だたみ | むべ |
オリオンもスイングしたる野外フェス | 素秀 |
散り敷くは紅葉黄葉の石畳 | わかば |
四阿へ誘ふ階石蕗明かり | 澄子 |
蒼穹や紅葉黄葉へ日の光 | わかば |
苔貰ひ紅葉を貰ひ石仏 | うつぎ |
冬日差す和室欄間の彩硝子 | うつぎ |
お大師の手に触れなんと紅葉散る | みのる |
橋上の底ひに見ゆる渓紅葉 | ぽんこ |
星に似て翠のクリスマスローズ | 素秀 |
箒目の法の砂庭や紅葉狩り | ぽんこ |
赫ばかりあふれ出窓のポインセチア | 素秀 |
人影の疎らな古刹庭紅葉 | こすもす |
ゆったりと続く句談議枯れ木宿 | あひる |
新米タクシー上り下るや紅葉坂 | よう子 |
堆く褥めきたる散り紅葉 | あひる |
苔庭に網目をなせる枯木影 | 康子 |
止め石の奥もみづれる御座所庭 | 小袖 |
武蔵野の今や盛りと冬紅葉 | 澄子 |
前菜の小さなうつわ冬の膳 | たか子 |
寒鴉御寺のしじま深く鳴く | 小袖 |
庭至福もみぢ且つ散る静けさに | みのる |
遣水の堰となりたる散紅葉 | むべ |
石庭のさざ波に散る紅葉かな | あひる |
陽だまりに黄を濃ゆくする石蕗の花 | かえる |
山を背に紅葉の錦多宝塔 | ぽんこ |
まず土産千枚漬けを句帳下 | よう子 |
湧水の岩場を綴る石蕗の花 | 康子 |
松の樹間赤く染めたる庭紅葉 | 康子 |
冬の日に光る御寺の甍かな | せいじ |
京野菜趣向の献立年忘れ | たか子 |
幾重にも空へと続く照紅葉 | 康子 |
薄暗き御座所の庭の照り紅葉 | よう子 |
紅葉宿歪む玻璃戸の奥座敷 | よう子 |
電飾を一身に古コートの子 | 素秀 |
紅葉かつ散りて静けき池塘かな | みのる |
水涸るに湖分かれたり道の出来 | 隆松 |
ひとつだけ花を残して萩枯るる | かえる |
冬もみぢ句帳取り出し皆寡黙 | もとこ |
冬山を背に皇室の御てらとや | たか子 |
たもとほる京の札所に散紅葉 | 小袖 |
日当たりて綺羅なす紅葉美しく | わかば |
散り紅葉苔庭石庭隔てなく | うつぎ |
御寺てふ名に負ふ庭の散紅葉 | せいじ |
湖涸れて漁は出来ぬと長嘆息 | 隆松 |
水涸れて御座所庭園侘び深し | たか子 |
持ち帰り遺影にそっと冬紅葉 | たか子 |
霧の古都改札口に友二人 | こすもす |
絨毯の御座所の廊下足沈む | うつぎ |
カメラ持つ人ら列なし冬紅葉 | 澄子 |
居並びて紅葉に染まる吟行子 | あひる |
暖炉の火揺れてサルサを踊るやう | 素秀 |
日に透けて濃淡彩なす冬紅葉 | 澄子 |
青銅の蹲に錆冬ざるる | もとこ |
息継ぎをしては又ちる渓紅葉 | みのる |
愉しさも寂しさもあり忘年会 | わかば |
散り紅葉玉座見渡す御寺かな | もとこ |
小春日や玉座に光る菊の御紋 | ぽんこ |
照葉より崖をのぞけば水湛ふ | むべ |
雪吊と碧天映す池面かな | むべ |
四温晴れ賜り嬉嬉と吟行子 | 澄子 |
ぼけ封じ要らぬと地蔵日向ぼこ | もとこ |
ぬくぬくとみてらの縁に冬日満つ | もとこ |
冬の池動き留むる朱の魚 | かえる |
スムーズなタクシー乗り場冬の古都 | こすもす |
横並びのメンバー写真紅葉寺 | こすもす |
複雑に紅葉重なる奈落かな | こすもす |
脚長の白鬚鳥居湖涸るる | 隆松 |
会席に句友の揃ふ紅葉宿 | ぽんこ |
湖涸るや島へ繋がる道をゆく | 隆松 |
一点の朱や山茶花の咲き初むる | かえる |
朱の欄に色を散らすや散紅葉 | よう子 |
柴垣の囲む茶寮や紅葉燃ゆ | わかば |
おばしまに途中下車する散紅葉 | せいじ |
枯葎包みこみたる朝日影 | むべ |
庭門をくぐり歓声照紅葉 | 康子 |
納会はそば茶寮なる枯木宿 | せいじ |
満目の御座所庭園散紅葉 | せいじ |
石仏の頬ゆるむかに冬日影 | 小袖 |
2023年11月11日 | |
ひめ椿紅のぞかせて蕾むなり | わかば |
松風に秋日和らぐ稚魚の影 | ぽんこ |
インテリも惚れる餃子に湯気の立つ | かえる |
冬晴れやハルカス浪速の摩天楼 | たか子 |
池塘行く簪眩し七五三 | うつぎ |
短日や隧道めきし屋敷林 | 澄子 |
黄の葉かと見紛うばかり鴨の足 | かえる |
大海に見立てし池を小春風 | たか子 |
枯蓮の池に早くも子葉あり | せいじ |
櫨紅葉囲む奇岩の無骨かな | 素秀 |
立ち飲みて老も若きも濁り酒 | 澄子 |
葉は落ちて木々からのぞく藁の屋根 | 隆松 |
冬ざれや烏の叫ぶ杜の上 | 隆松 |
遠空のハルカス聳ゆ秋の苑 | もとこ |
湧水に揺るる紅葉や手水鉢 | 康子 |
秋の園飛石めぐる沢渡り | ぽんこ |
あるなしの風に木の葉の散り急ぐ | わかば |
澄む風のかわらけ空に留めけり | 素秀 |
色変へぬ松が水面に池鏡 | ぽんこ |
天地を青白くせり雪蛍 | むべ |
懸崖の菊は散華の形せり | なつき |
行く秋や六文銭の戦さ跡 | もとこ |
すぐそつぽ向かれて園の毒茸 | うつぎ |
いななきの如く荒ぶる男鴨 | かえる |
枯山水借景の山粧へり | 康子 |
北の地に惜しみなく散る大銀杏 | むべ |
天高し夫婦神木寄り添ひて | 康子 |
菊人形胸の小菊の咲き初むる | なつき |
秋遊び証拠写真に勢揃い | あひる |
手招かれ椎の実拾ふ吟行子 | よう子 |
鯉の口舞散る落葉受けとめし | 小袖 |
賑わいを遠くにそぞろ枯山水 | たか子 |
そぞろ行く古墳公園冬日和 | 小袖 |
舟形の石へ小春の日差し燦 | たか子 |
紅葉を倣ひ錆ゆく鉄アート | 素秀 |
天高し太鼓は空に共鳴す | もとこ |
冬晴れの陣跡円く開けをり | 小袖 |
借景は通天閣と秋の雲 | あひる |
刀鍛冶の白足袋煤く鞴祭 | なつき |
文化の日美術館は改装中 | よう子 |
壁占めて冬朝顔の瑠璃の彩 | 澄子 |
落葉積み道祖神座す村の口 | 隆松 |
鳰夕日を弾く水輪かな | 澄子 |
煙草吸ふ人を写して池澄める | うつぎ |
残照や石狩川に鷹渡る | むべ |
案山子展子らの力作みな笑顔 | 康子 |
ひたすらに落ち葉はく音リズム良し | もとこ |
青鷺の抜き足なれど餌に逃げられ | ぽんこ |
名ばかりの霜月や未だ夏の花 | かえる |
相槌の音の弾めり鞴祭 | なつき |
椎の実を両手に盛りて呉るる人 | せいじ |
鳥糞にまみるるもなほ茶の花雅 | せいじ |
日矢さして照る玉垣の蔦紅葉 | 康子 |
谷戸晴れて今のうちにと雪囲い | 隆松 |
奉納の菊はハートの支柱立て | なつき |
庭園の椎の実集む人に寄る | わかば |
牧柵を止まり木とせむ蝦夷仙入 | むべ |
庭園に祠と見しは冬の滝 | 小袖 |
友の手に縋る飛び石池小春 | よう子 |
飛石は石臼なれや水澄める | せいじ |
白樺の黄葉明りに日のあそぶ | むべ |
海を背に臨む紅葉ロープウェイ | 素秀 |
広池にひろごる水草枯れ進む | わかば |
天高し通天閣の六角形 | よう子 |
四阿の机に櫨の実の小枝 | せいじ |
山の色消へて霧中の寒霞渓 | 素秀 |
涸れ井戸の蓋を彩る柿落葉 | かえる |
落葉積む舟形石の重さかな | よう子 |
小春なる池に舟石浮かすごと | わかば |
枯れ園や姿よき松深みどり | たか子 |
石蕗の茎うねり掲ぐる蕾かな | あひる |
振袖を照れて大股七五三 | あひる |
行く秋の幸村偲ぶ茶臼山 | うつぎ |
飛び石を渡る手助け冬ぬくし | もとこ |
子らの声夕暮れ惜しみ秋惜しむ | 澄子 |
墳丘の木立を離れ冬桜 | 小袖 |
太公望否翡翠を待つ男 | うつぎ |
磊々の岩をぬぐいて秋の水 | ぽんこ |
四肢のばしお気楽な亀池小春 | あひる |
2023年10月14日 | |
梧桐の実虫の卵と騒がるる | うつぎ |
沖に浮く島の形に秋灯 | 素秀 |
風に香や蕎麦はまだまだ花なれど | 隆松 |
身に沁むや遺品の数多汀子展 | わかば |
酒蔵の天窓はるか秋の日矢 | たか子 |
懐かしき師の句に目見ゆ秋の展 | たか子 |
忠魂碑足下に遊ぶ猫じゃらし | よう子 |
色変えぬ松を配してミュージアム | たか子 |
館爽やか汀子手縫いといふドレス | 小袖 |
磐石に鬼貫のホ句曼殊沙華 | せいじ |
行軍を止めるなかれ蕎麦の花 | 隆松 |
落城の井戸跡浅し落葉散る | よう子 |
苔庭の花小さければ蝶もまた | うつぎ |
笹一葉流るるかろさ水の秋 | むべ |
朝露に濡れて関守石の縄 | せいじ |
官兵衛の土牢は何処昼の虫 | うつぎ |
小鳥来るカフェの猫付きカレー皿 | なつき |
柿衛の白亜の館柿明かり | 小袖 |
背の銃は軽くなったり蕎麦の花 | 隆松 |
忠魂碑鎖され秋草風に揺る | わかば |
下戸とても酒蔵レストランの客 | よう子 |
台柿の守られ継がれ実のたわわ | わかば |
大樽の箍緩みなく秋湿り | たか子 |
涼風や片膝に名水受く手 | 素秀 |
木洩れ日がシャツの模様や秋の人 | むべ |
花蕎麦や御堂の跡といふ畑 | 隆松 |
秋高し酒蔵青き酒林 | わかば |
水澄めり御苑の野草案内図 | 澄子 |
古城址色なき風の中に佇ち | 小袖 |
等身の丈のたかさに女郎花 | 澄子 |
秋草の添ふ石階や忠魂碑 | 小袖 |
累々と鳥の足跡城址秋 | うつぎ |
櫨もみぢ小さき巣箱の朽ちしまま | なつき |
庭門の苔むす屋根に朝の露 | 康子 |
段畑の石碑を囲む蕎麦の花 | 隆松 |
秋澄むや石碑巡りの伊丹郷 | 小袖 |
露草や立入禁止なる土塁 | せいじ |
村重の歌碑の慰め曼珠沙華 | ぽんこ |
軒忍朽ちし門にもよべの雨 | むべ |
藪枯らし焚き口閉ざす登り釜 | なつき |
赤すぎず紫すぎず名残り萩 | むべ |
竹春や木漏れ日シャワーなる小径 | 康子 |
湧水の飛び石渡り秋の風 | 康子 |
嵐雲千切れ千切れて秋の空 | 康子 |
朝露を吸はむと幾許しじみ蝶 | せいじ |
ひろびろと苔庭展け秋日燦 | むべ |
色づいて落ちんばかりや銀杏の実 | せいじ |
魚市に身の置き場なし秋の蝿 | かえる |
秋入日ダム湖を閉じる山の影 | 素秀 |
秋の蚊に足首喰はれ窯場道 | なつき |
トロ箱にみな左向きの秋刀魚かな | かえる |
残る萩触れて微笑み溢れをり | 澄子 |
秋の野や牧野博士は何処んぞ | よう子 |
身に入むやギャラリー閉ざす窯場道 | なつき |
吾亦紅出窓に描く点と線 | 康子 |
秋泉に奔る魚影の絶へざらむ | 澄子 |
添削の二重丸多し椿寿忌 | ぽんこ |
はららごで飯三杯の夕食かな | かえる |
そのかみの酒蔵の井戸秋の声 | うつぎ |
日に向かひ秋桜風に語り合ふ | 素秀 |
迸る宮水汲むや路地さやか | よう子 |
はららごの重さ翁は目で量る | かえる |
藁燻す香り纏ふて秋鰹 | かえる |
在りし日の新酒の桶や太柱 | ぽんこ |
池の面に暫しとどめむ秋の雲 | 澄子 |
頼山陽由来の柿のたわわなる | たか子 |
城跡の土塁侘しき野路の秋 | ぽんこ |
酒蔵の煙道今に秋の声 | ぽんこ |
石庭の飛石に継ぐ苔の花 | わかば |
高原の霧を押し出す大風車 | 素秀 |
2023年9月16日 | |
百舌鳥の真似して四阿の童かな | かえる |
秋澄めり賽銭箱にコイン落つ | たか子 |
金の鯉いて歓声や天高し | かえる |
京の覇者集いし座敷秋の風 | もとこ |
秋草や駆け込み寺へ幾曲がり | なつき |
竹林に風のささやき秋めけり | むべ |
秋霞を腹に靡かす伊吹山 | 隆松 |
湧き水へ手を入れほつと凌ぐ汗 | わかば |
漣の欠片集めて月の道 | 素秀 |
秋高し宮居に望む瀬戸淡路 | わかば |
山門に虚子の句碑あり竹の春 | ぽんこ |