投句控 :500句/1頁

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磐石に鬼貫のホ句曼殊沙華 せいじ
行軍を止めるなかれ蕎麦の花 隆松
落城の井戸跡浅し落葉散る よう子
苔庭の花小さければ蝶もまた うつぎ
笹一葉流るるかろさ水の秋 むべ
朝露に濡れて関守石の縄 せいじ
官兵衛の土牢は何処昼の虫 うつぎ
小鳥来るカフェの猫付きカレー皿 なつき
柿衛の白亜の館柿明かり 小袖
背の銃は軽くなったり蕎麦の花 隆松
忠魂碑鎖され秋草風に揺る わかば
下戸とても酒蔵レストランの客 よう子
台柿の守られ継がれ実のたわわ わかば
大樽の箍緩みなく秋湿り たか子
涼風や片膝に名水受く手 素秀
木洩れ日がシャツの模様や秋の人 むべ
花蕎麦や御堂の跡といふ畑 隆松
秋高し酒蔵青き酒林 わかば
水澄めり御苑の野草案内図 澄子
古城址色なき風の中に佇ち 小袖
等身の丈のたかさに女郎花 澄子
秋草の添ふ石階や忠魂碑 小袖
累々と鳥の足跡城址秋 うつぎ
櫨もみぢ小さき巣箱の朽ちしまま なつき
庭門の苔むす屋根に朝の露 康子
段畑の石碑を囲む蕎麦の花 隆松
秋澄むや石碑巡りの伊丹郷 小袖
露草や立入禁止なる土塁 せいじ
村重の歌碑の慰め曼珠沙華 ぽんこ
軒忍朽ちし門にもよべの雨 むべ
藪枯らし焚き口閉ざす登り釜 なつき
赤すぎず紫すぎず名残り萩 むべ
竹春や木漏れ日シャワーなる小径 康子
湧水の飛び石渡り秋の風 康子
嵐雲千切れ千切れて秋の空 康子
朝露を吸はむと幾許しじみ蝶 せいじ
ひろびろと苔庭展け秋日燦 むべ
色づいて落ちんばかりや銀杏の実 せいじ
魚市に身の置き場なし秋の蝿 かえる
秋入日ダム湖を閉じる山の影 素秀
秋の蚊に足首喰はれ窯場道 なつき
トロ箱にみな左向きの秋刀魚かな かえる
残る萩触れて微笑み溢れをり 澄子
秋の野や牧野博士は何処んぞ よう子
身に入むやギャラリー閉ざす窯場道 なつき
吾亦紅出窓に描く点と線 康子
秋泉に奔る魚影の絶へざらむ 澄子
添削の二重丸多し椿寿忌 ぽんこ
はららごで飯三杯の夕食かな かえる
そのかみの酒蔵の井戸秋の声 うつぎ
日に向かひ秋桜風に語り合ふ 素秀
迸る宮水汲むや路地さやか よう子
はららごの重さ翁は目で量る かえる
藁燻す香り纏ふて秋鰹 かえる
在りし日の新酒の桶や太柱 ぽんこ
池の面に暫しとどめむ秋の雲 澄子
頼山陽由来の柿のたわわなる たか子
城跡の土塁侘しき野路の秋 ぽんこ
酒蔵の煙道今に秋の声 ぽんこ
石庭の飛石に継ぐ苔の花 わかば
高原の霧を押し出す大風車 素秀

2023年9月16日

百舌鳥の真似して四阿の童かな かえる
秋澄めり賽銭箱にコイン落つ たか子
金の鯉いて歓声や天高し かえる
京の覇者集いし座敷秋の風 もとこ
秋草や駆け込み寺へ幾曲がり なつき
竹林に風のささやき秋めけり むべ
秋霞を腹に靡かす伊吹山 隆松
湧き水へ手を入れほつと凌ぐ汗 わかば
漣の欠片集めて月の道 素秀
秋高し宮居に望む瀬戸淡路 わかば
山門に虚子の句碑あり竹の春 ぽんこ
萩こぼる本堂よりのピアノ曲 あひる
萩叢を揺らし庭師のぬっと出る よう子
萩の寺監視カメラや人気なし よう子
ももとせの音色を秘めて秋ピアノ 澄子
秋湿り刀箪笥のある揚屋 もとこ
女坂まずは芭蕉に迎へられ 澄子
あぶれ蚊を払ひ句帳を落としけり よう子
秋声や扁額薄る縁切り寺 なつき
秋風に芭蕉葉破れかぶれなる たか子
秋風や古賽銭の上がる湖 隆松
咲初めし萩はホワイトブッダへと あひる
子規句碑を囲む萩むら花を待つ たか子
瀬落としの石艶めきて秋の水 むべ
網代張る大天井や秋澄みて もとこ
門前に抜き身を掲ぐ花蘇鉄 せいじ
水子地蔵天蓋となす菩提樹の実 ぽんこ
萩寺にしばし憩へる風の道 あひる
朴の実の葉陰に大き赤掲ぐ むべ
色変へぬ松を要の句碑の寺 ぽんこ
秋思かな鴻臚館跡句碑立ちて もとこ
月光の影をお供に名ある坂 素秀
秋の蚊の細き翅音の波状かな よう子
女郎花たをやめぶりに風控ふ むべ
萩垂るや支へともなる四つ目垣 せいじ
古津跡に沿うて点々秋灯 隆松
かなかなの降る石だたみ廓跡 もとこ
毘沙門天袖に侍るは芭蕉巻葉 ぽんこ
磴に蝉の亡骸身半分 澄子
スリランカ仏は美白や萩の風 せいじ
銀鼠の唐破風光る秋天下 せいじ
女郎花丈高々と芝の庭 澄子
秋潮の深まる藍や明石の門 わかば
縁切りの作法てふ札読む秋思 なつき
文人の書斎の窓に芒の穂 かえる
手放して遺す邸宅芭蕉の実 澄子
主らしき黄鯉悠々秋の池 むべ
膝ついてせせらぎ掬ふ草刈り女 かえる
萩の庭祭り準備の通せんぼ あひる
肩口が触れてこぼるる萩の花 せいじ
露の世や忠度塚を今に伝 わかば
古津跡に復元灯や星月夜 隆松
橋渡り終ゆれば萩の始まりぬ あひる
人丸の山より出し澄める水 わかば
賽銭に見合わぬ願いし秋涼し かえる
閉ざされし枝折戸抜ける萩の風 よう子
萩まつり間近こまごま寺男 たか子
水平線すべるタンカー秋の雲 なつき
結界の中にとんぼの群れゐたり なつき
白仏陀の供花となしたる百日紅 ぽんこ
札所へと船消えにけり秋霞 隆松
天指してすっくと立ちぬ巻芭蕉 たか子

2023年8月12日

踊子の蹴出し裏地は鴇の色 素秀
色街を踊浴衣の下駄の音 素秀
縄張りのらしきものあり蝌蚪の国 ぽんこ
谷底に茅の屋根あり秋燈 隆松
秋簾巻くや里の夕間暮れ 隆松
強風に片寄せられし未草 せいじ
汗拭ふ農夫潤す慈雨の降る かえる
餌をあさる白き腹見せ蛙の子 ぽんこ
そよ風の白樺林夏深む むべ
一揆寺由緒の札の灼けゐたり なつき
炎天へ踏み出す一歩地の熱波 わかば
池の端の木かげに避暑や鯉の群 あひる
宙乗りの人形遣ひ館涼し よう子
シンバルのごとき蓮の葉雨に鳴る せいじ
水脈だけが水面を進む鯉涼し せいじ
天井の煤竹黒し秋の宿 隆松
水脈涼し見えざる鯉のユーターン あひる
偲ぶ歩に紡ぐ言の葉沙羅の花 わかば
軽トラに見目良き南瓜選び積む かえる
霧雨や牧の牛どち包みたる むべ
谷底の里の灯りや星月夜 隆松
義太夫の浪速言葉や夏休み よう子
電柱の細き日影や交差点 よう子
はまなすの蝦夷の太陽なる実かな むべ
牽牛花蕾一つの希望かな わかば
土用芽が空に突きあぐ一揆寺 なつき
株分けし盥に浮かぶ蓮の実 なつき
文楽の人形とブイ浴衣の子 よう子
浮島のくるりと回る野分かな あひる
喃語めくとぎれとぎれやつくつくし あひる
滝道の序破急の音楽しみつ わかば
波音の木場に精霊踊かな 素秀
八つ橋のたもと自由に女郎花 せいじ
見渡すや唐黍畑葉の立ちて むべ
足音に大口宙に錦鯉 ぽんこ
棚の上を糸瓜の花の抽んでし せいじ
踊笠目深に顔を揃へけり 素秀
橋涼し左右を向けば鯉も又 ぽんこ
ターミナル父の跡追ふ日焼けの子 よう子
観音像雀足もと天高し ぽんこ
堂縁の虫食ひ穴や風涼し なつき
草の葉の裏に空蟬土塁跡 なつき
里の子の手合わしてをり墓燈籠 隆松
西日さすカフェや瞼を閉じる客 かえる
朝曇しごと仕舞いす農夫かな かえる
老鶯や行軍一途峰の寺 わかば
花さびた中折れ屋根に日の落つる むべ
羽搏きの音して風の大蓮葉 あひる
夏枯れに気持ちばかりの軽雨かな かえる
踊唄小声に合はすバスの席 素秀

2023年7月15日

咲ききりて支柱も撓る百合の花 澄子
夏の陽を浴びて青々茶の実かな かえる
五指清め先ず力石宮の夏 小袖
もう子ではないと若竹伸び上がる かえる
武蔵野に清水掬びて苔あをし むべ
梔子の香に一節を口ずさみ 小袖
涸れぬてふ青き池面や夏つばめ なつき
万緑に抽んでて見ゆ高櫓 みのる
力石転がつてをる大暑かな うつぎ
宮涼し斎庭に白き力石 わかば
塀超える子らの喚声プールかな よう子
振りむけば俯瞰に町や磴涼し みのる
せせらきに老鶯の和す里の道 隆松
力石手厚く置かれ宮涼し 小袖
相並び等しく灼くる力石 せいじ
日向水とみせて冷たきはけの水 澄子
ひんやりと粉を吹く節や今年竹 むべ
一心に草食む鹿の子人怖じず わかば
四阿や広き青芝目に涼し わかば
朝曇ぬるき水汲む太子井戸 なつき
近江神社涼し時計の歴史館 こすもす
水の輪に金魚の滲む雨の池 かえる
境内の涼し読み札の一覧 こすもす
捩花をゆかしと見るは雅楽莊 小袖
藪萱草わづかひと日の丹色かな むべ
朝涼や茅葺く里へ抜ける道 隆松
湿風や民家カフェまだ開かぬなり 隆松
草を食む若き牡鹿や杜涼し せいじ
四阿の隅に営む蟻の国 ぽんこ
境内に梅雨傘干して社家の妻 うつぎ
水滴の光る草食む鹿の子かな わかば
百度石並ぶ夜店のすき間なる なつき
稲荷社の狐に侍る鹿の子かな うつぎ
岩窪の髭と生ひたる羊歯涼し みのる
一陣の風梔子の花いづこ よう子
炎昼の日射しに耐える力石 ぽんこ
石垣の隙間に一輪蛍草 ぽんこ
水筒の水をひと口野萓草 澄子
逸翁の偉業知らさる夏館 わかば
鐘搗いて引導石に汗拭ふ なつき
朝の日ににこ毛のしるき袋角 せいじ
鯉涼し池に張り出す能舞台 せいじ
放散のごと雨に伏す花擬宝珠 みのる
暑き日や浮御堂より水恋ふて 小袖
碧眼の母は子を抱く夏木陰 かえる
大津京ゆかりの神域青葉山 こすもす
梅雨明けの光纏めり斜張橋 うつぎ
氷菓舐めつつ舌頭に千転す みのる
山百合の馨りの募る谷戸の庭 澄子
空堀に架かる木橋や風涼し せいじ
朝ぐもり禰宜の末社に切り火打つ なつき
夏霧や雫の垂るる茅の屋根 隆松
汗ばみて訪なう施設ボランティア こすもす
ひた歩く巡礼街道汗しとど うつぎ
力石宮の落葉のすべり台 よう子
湧き水に山百合の香の移りけり むべ
園丁に目こぼしされし捻花 よう子
晴れ女いて四阿に風涼し 澄子
花合歓やここから里と道祖神 隆松
緑陰の参道に句碑歌碑数多 こすもす
秋草や花入とせむ手箕古りて むべ
捩花のかぼそき茎をな踏みそ ぽんこ
梅雨晴間宮の石垣苔浄土 よう子
神の鹿草食む音も幽かなり ぽんこ
せせらぎに指を浸して涼を得る かえる

2023年6月10日

宙に泳ぐ風の湿り気鉄線花 ぽんこ
音高き水の流れや半夏生 わかば
花蜘蛛に営巣許す額の花 せいじ
百五十年経つ小学校青田風 こすもす
夏木立園へ誘ふ消失点 たか子
開け放つ六畳二間夏座敷 澄子
ひたひたと苔の濃さ増す清水かな かえる
長屋門楼上過ぐる風涼し むべ
湧水を導く石に苔涼し むべ
鳥の恋影が消えゆく古墳山 なつき
コンテナの積まれて静か雷の夜 素秀
鯵釣りの仕掛並べる係船柱 素秀
一筋の噴水の池青みどろ ぽんこ
ひと跨ぎほどのせせらぎ蛍生ふ 澄子
青葉寺蛇口より汲むご神水 なつき
尼寺の青葉若葉や影淡し なつき
合歓の花思い出深き遺影かな わかば
走り梅雨水のしゅん出る山の道 かえる
泥沼に顔を突っ込む夏の鴨 ぽんこ
累々と埠頭にテトラポット灼け 素秀
皐月波船首にしぶくタグボート 素秀
岩積みの蔵へほろほろ竹落ち葉 かえる
木漏れ日の四葩に重ぬひかりかな 澄子
花の丘整然と待つ夏の苗 たか子
水音に壊れし水車半夏生 ぽんこ
花南天白き殻より黄の零る むべ
散水の管が動脈薔薇の園 せいじ
紫陽花に触れむと杖を持ち直し なつき
真っ赤な薔薇小便小僧囲むかに ぽんこ
つゆはれまいのちあふらせもりのきぎ わかば
畦道を紡ぎて出会ふ群半夏 わかば
海霧に浮き上ぐバイオマス発電所 素秀
水草の千切れただよふ泉川 むべ
紫陽花の花は何処と萼めくる せいじ
すれ違う僧峠越え夏木立 こすもす
田の水に浮く雨蛙白き腹 たか子
追い越しし車田植機乗せをりぬ こすもす
水巡り涼風渡るはけの道 澄子
半夏生朽ちし水車を埋めたる たか子
雨よけは菅笠一つ托鉢僧 こすもす
農道が二分けにする麦の秋 こすもす
天牛に子ども時代を語り合ふ せいじ
夏木立同じ屋号の旧家かな 澄子
緑蔭の席から埋まるテラスかな かえる
先端はなべて下向き薔薇の棘 せいじ
木陰にて一期一会の長話 かえる
蓮田中浮葉の伸びて花ニ三 わかば
尼寺の隅に零るる花ざくろ なつき
小流れに女優然とし海芋佇つ むべ
鉄線花アーチに仕立て濃紫 たか子

2023年5月13日

をちこちに竹の皮脱ぐ里の山 かかし
散り乱る昨夜の嵐に若楓 あひる
御詠歌衆甘茶で喉を潤せり なつき
牡丹園天地人なし傘ひらく みのる
笹散るや天狗がうちわ一振りす もとこ
山菜を湯がく手をとめ春惜しむ 澄子
薔薇越しにマスト揺れゐる運河かな 素秀
山気満ち老鶯を聞く男山 もとこ
参道や標顔して落ち椿 よう子
青嵐神木にある力瘤 うつぎ
若葉なすメタセコイアに百の声 隆松
宮涼し謎解きくれしボランティア せいじ
跡取りの絶へし老農麦の秋 かかし
緑さす信長塀のひび割れに ぽんこ
十重二十重宮守る大樹青嵐 よう子
バラ園のベンチに開く塩むすび 素秀
水満ちて蛙鳴き交ふ千枚田 かかし
遠来の客をもてなす若葉風 澄子
鼻寄せて林檎花から果実の香 かえる
湧水にあそぶ日差しを掬ひたり むべ
青嵐にめげずもとほる吟行子 せいじ
青嵐や昇龍めきし杉大樹 せいじ
土に生れ還る輪廻や竹落ち葉 たか子
本殿の双鳩阿吽夏立ちぬ たか子
信濃路を白く彩る林檎花 かえる
画眉鳥の全身全霊囀れり 澄子
風まとひ紅透きとほる花楓 むべ
波がしら揃ひ天向く立浪草 むべ
薔薇アーチ震えたるかな風僅か 素秀
奉納のウイスキー樽ロゴうらら よう子
泥んこに抜けぬ長靴田植の子 かかし
神名備の出自よろしき今年竹 うつぎ
風を受け風をいなして竹の秋 たか子
車椅子よせたる頬へバラそよぐ みのる
時折に木漏れ日揺らす若葉風 隆松
忍冬覆ふ地層に虫つるぶ むべ
余花の樹や人寄せ付けぬ山のうえ かえる
エジソンと八幡結ぶや今年竹 もとこ
喬木の並木新樹の輝ける わかば
高原へ一直線の若葉道 隆松
蛙手の散り敷く宮居青嵐 せいじ
竹落ち葉その深さへときりも無し たか子
獣めく皮を残して今年竹 あひる
青嵐行厨の黙そそくさと たか子
青嵐巫女の袴も膨らまし もとこ
船影も島影淡き夏霞 わかば
善の綱の下は掃かれし樟落葉 なつき
ケーブルカー待つ間ざわめく楠若葉 せいじ
神域に絵馬のかち合ふ卯月かな ぽんこ
青鷺の放生池に佇める うつぎ
葉桜に緋袴色の虫の瘤 うつぎ
銭湯の廃業するもつばくらめ かかし
夏立ちぬ山芍薬の散華かな 澄子
風に揺る麦の青さや去りがたし かえる
竹と竹わたる蜘蛛の囲摩訶不思議 あひる
人影のまばらな海辺夏霞 わかば
天翔る天女の像に風薫る みのる
緋ぼうたん娼婦のごとく崩れけり みのる
エジソンのここは真竹の落葉散る よう子
音に聞く三川霞む丘に立つ よう子
軽やかにキャリーバックの見たる薔薇 素秀
暮れかぬる森を抜けゆく鹿の群れ 澄子
行厨の卓に木洩れ日さくらの実 あひる
エジソンの竹のざわめき青嵐 ぽんこ
蒸し上がり葉の香清しき柏餅 わかば
大杉の烈しきダンス青嵐 あひる
青嵐伸ばす手逃ぐる善の綱 なつき
くるくると風にえご散る山路かな むべ
右手左手迫り来るよに若葉騒 隆松
甘声の幼の頬を若葉光 隆松
夏社守る阿吽は金の鳩 もとこ
青芝に落馬のドンキホーテ像 みのる
遠柳旧家の並ぶ木造橋 ぽんこ
入れ替わる蜂の忙しき野路の薔薇 素秀
一晩で野の花萎る花御堂 なつき
竹林の日の斑に遊ぶ子雉かな うつぎ
新緑の続く山並清々し わかば
山頂は髪の逆立つ青嵐 ぽんこ
夫の手がつまむ小さき甘茶杓 なつき
紅い服纏い朝焼け仰ぐひと かえる

2023年4月15日

境内は小流れの脇著莪浄土 こすもす
古池を一点凝視鷺うらら ぽんこ
をさな子に狙いを定む風船売り かえる
林立のなぞえ彩どる落椿 ぽんこ
川下る棹の捌きや谷若葉 かかし
その辺り春の日溜り陣の跡 たか子
母らしき人とお花見留学生 せいじ
花吹雪畦を行き交ふ耕運機 かかし
石仏や天蓋なせる玉椿 こすもす
人気無き桜蘂降る散歩路 かかし
花の下笑顔に開くお弁当 わかば
千枚田家族総出で畦を塗る かかし
強東風や銭打ち上がる湊跡 隆松
花の屑踏まれる音の微かかな かえる
白の陣赤の陣ある落ち椿 あひる
比良八荒入江の隅で震う鳥 隆松
春の水豊かに空へ噴きあぐる たか子
風船をひねり忽ち犬を生む かえる
錦絵に若葉かさなる茶臼山 あひる
花満ちて人溢れたる動物園 わかば
山頂の火床に古都の春惜しむ せいじ
大亀がぬっと出てくる春の水 あひる
山頂の火床に座して花見酒 せいじ
札所へと桜蕊積む段を踏む 隆松
囀れる陣を模したる古戦場 ぽんこ
緑さす岸辺は鷺の塒かな ぽんこ
水草を分けて大亀泳ぎ来る あひる
ハルカスがやっと触れたる春の空 たか子
水草に彩り添えし春落ち葉 たか子
鶯や大文字への別れ道 せいじ
野ざらしの石仏五百春落葉 こすもす
花の陰逝きし獣の慰霊の碑 わかば
羅漢寺樹下にこんもり落椿 こすもす
小手毬の辻に清しき尼僧かな 素秀
三匹の亀の甲羅に春陽射し あひる
春嵐や湖の鳥居を潜る波 隆松
葛城の尾根を若葉の駆け上ぐる 素秀
花の園パンダの檻は空いたまま わかば
急燈を駆け降りやまず樟落葉 素秀
蒼天の山の膨らむ新樹光 ぽんこ
ままごとのお菜となりぬ野豌豆 かえる
花屑の吹き寄せられし火床かな せいじ
浜大根に竹生重ねる映えスポット 隆松
訃報聞く旅の途中や竹の秋 素秀
音鳴らぬ鈴震わせる満点星 かえる
城下町牡丹桜は重たそう こすもす
清明の史跡めぐりにそぞろかな たか子
寧楽の雨に黄砂は溶けてゐし 素秀
飛花落花舞うてやまざる桜濠 わかば
里山のもくもくと若葉かな かかし

2023年3月11日

光琳の縁係の濃紅梅 わかば
仕分けられ里親を待つ古雛 素秀
雛みゆ座敷童子もありぬべし 澄子
月一つ星一つ雛祭りけり 宏虎
膝行し豆雛らの私語聞かむ みのる
朱の毬のごと三椏の咲き初めり むべ
雛飾る下手な俳句を吊りさげて 宏虎
中庭の開け放ちたる雛の間 よう子
雛段行く牛車の姫の乗り心地 よう子
湧水の一隅占めて春金魚 澄子
流し雛置きし水面にとどまりぬ せいじ
隠沼に犇めく蝌蚪の黒き帯 智恵子
灯を消せば眸恐ろし雛人形 宏虎
舞妓らに巫女が手渡す流し雛 せいじ
雛飾る下駄屋の棚に横並び なつき
香焚きて雛を飾れり骨董屋 なつき
飛び石を渡る若さや春の川 ぽんこ
そのむかし六人姉妹桃の花 澄子
誰が吸ふや雛の調度に煙草盆 うつぎ
鉱山王の主屋座敷の雛飾り うつぎ
土雛筆整えて目を描けり なつき
報道の腕章闊歩雛流し せいじ
平安の装束美し雛送り わかば
飛び石をすり抜けて水温みけり あひる
一陣の風に押さるる雛の舟 せいじ
園児らの歌唱に和む雛神事 せいじ
よしこのに蜂須賀桜浮かれけり 素秀
雛の間の大正シェード薄明り よう子
吊るし雛ピンクに染まるショーウィンドウ なつき
初節句雛に合わす小さき掌 澄子
雛壇の調度の端に金太郎 うつぎ
古への雛は吊り目や勝ち気かな かえる
桐箱も年代物や雛納 むべ
石垣に宝石めきて蜥蜴出る 智恵子
ひろびろと二間通しに雛屏風 みのる
波止の上に春の月ある倉庫街 素秀
迷ひ子の巫女になつきし雛流し あひる
春の鹿斑模様の初々し 智恵子
ししおどし何処で鳴るや竹の秋 かえる
真っ黒な太梁の土間雛の家 宏虎
御殿雛御簾を上げませ朝日差す うつぎ
梅園の丘に一望香は四方に ぽんこ
人垣に埋もれて覗く流し雛 わかば
観音の御手に春禽遊ばせて 智恵子
高枝は鴉の席や雛神事 あひる
町興しに一役買ひしひな祭り こすもす
春帽子の植物博士小径ゆく むべ
祈りつつ御手洗川に雛流す わかば
達磨雛下段を占めて大飾り 素秀
雛の夜や波立ちやすき胸の中 宏虎
雛流し神事の空に鳩の舞ふ あひる
京キャラも一役買ふや雛流し ぽんこ
庭からも見物人や御殿雛 こすもす
目印はピンクの幟雛の家 こすもす
手提げ重覗けば内裏豆雛 よう子
百寿逝く写真を添ふる明治雛 なつき
蝶々や順路はこちら先導す かえる
をさな等の水面流るる雛の歌 あひる
この牛車黒毛和牛や雛飾り みのる
白障子陰影礼賛雛の間 澄子
落椿流れに綺羅と洩れ日射す わかば
雛親し昭和生れと聞くからに みのる
水みくじ大吉掬う水温し 智恵子
観光坑道の人夫人形春寒し こすもす
豆雛小さな宴広げをり 小袖
百年の甍の波よ風光る 小袖
節くれの指ととのへし紙雛 むべ
雛のギャル畳のへりをな踏みそ みのる
神庭に園児の歌ふ雛祭り ぽんこ
揺れ止まぬ歪む玻璃戸の花馬酔木 よう子
東風吹きて熊笹の群れ語り出す かえる
雛調度失せし官女の手は遊ぶ 小袖
ゆくりなく渡る廻廊ひなの家 小袖
祖母の雛孫の雛よりすまし顔 かえる
面差しは御簾に隠して御殿雛 小袖



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