2019年度のみのる選

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2019年12月1日(参加者 24名)

俳句作者
しだらくに過ごす一と日や神の留守みづき
祈願絵馬からから鳴りて留守の宮はく子
雨晴れて綺羅を纏ひし冬菜畑せいじ
境内に市のにぎはふ神の留守もとこ
上賀茂や大樽並べ冬菜漬けみづき
萎れては日に立ち上がる冬菜かなよう子
峡の里寸土寸土に冬菜畑はく子
一汁となす到来の冬菜かなわかば
色濃きが自慢や夫の冬菜畑うつぎ
菰巻の松に電飾神の留守なつき
泉水の鯉身じろがぬ神の留守ぽんこ
杜の木々風にざわめく神の留守うつぎ
留守宮の風に撃ち合ふ恋の絵馬満天
狛犬の阿吽でまもる神の留守よし子
扁額の龍の眼にらむ神の留守よし子
留守宮を守りて大楠仁王立つはく子
神の留守なれど参道一穢なしこすもす
手作りの料金箱や冬菜売かかし
虫喰いの屑散らかりし冬菜市たか子
神の留守なれど手術の無事祈る明日香
神の留守一燈ともるご本殿菜々
神鶏と猫睨みあふ神の留守なつき
缶蹴りの子ら留守宮の広前に素秀
御手洗の竜口しずる神の留守董雨

2019年11月1日(参加者 24名)

俳句作者
身に入むや大磐座に鑿のあと菜々
また増へし診察券や身にぞ入む満天
母の字の葬儀メモあり身にぞ入む明日香
野仏の円座となりて草もみぢ菜々
身に入むや施設に友を見舞ふとはうつぎ
銀杏黄葉一直線の御堂筋よし子
紅葉して洞だらけなる老桜ぽんこ
人口の右肩下がり身にぞ入む小袖
願掛けに紅葉明りの磴のぼる明日香
紅葉寺みんな笑顔で撮られけりみづき
袖合はす山々いよよ紅葉濃しみづき
病棟の窓に遊べる蔦紅葉素秀
石積みし武将の墓や蔦紅葉なつき
身にぞ入む水禍のニュース尽きるなしはく子
下校子の歩きスマホや身にぞ入むなおこ
深き谷より燃え上がる紅葉かな董雨
採石の絶壁見せて紅葉渓素秀
黄葉して宮の要の大公孫樹わかば
旅名残り機窓に今日の紅葉山たか子
身に入むや高齢車事故聞くにつけはく子
身に沁むやお顔だけなる磨崖仏もとこ
身に入むや古本市に虚子句集よう子
海底に眠る空母や身にぞ入むうつぎ
せせらぎの水草紅葉ネオンめく智恵子
身に入むや磨きて愛車との別れうつぎ
中腹に地肌の見ゆる紅葉山せいじ
源流は確かこの辺紅葉峡かかし
広げたる句帳へ一葉散紅葉満天
異国語で賑はふロビー紅葉宿素秀
老舗さえ消ゆる街並身にぞ入む宏虎
日を浴びし散居の里の冬もみじたか子

2019年10月1日(参加者 24名)

俳句作者
長き夜や術後の麻酔覚めてより素秀
ご無沙汰の文綴りをる夜長かな明日香
碧落に鷲を放ちし大花野智恵子
露地奥に古書肆の点る夜長かなよし子
老い母の話し相手となる夜長わかば
集合の笛の吹かるる花野かなたか子
古戦場跡と碑の立つ大花野隆松
夕餉終へ独り暮しの夜の長しはく子
晩学の一人の夜長愉しめりはく子
獣道抜ければ突と大花野うつぎ
誰からとなく唄ひ出す花野道うつぎ
旅夜長一会の人と杯重ね菜々
音のせぬ電波時計や夜の長しよう子
古日記読み返しをる夜長かなたか子

2019年9月1日(参加者 22名)

俳句作者
車窓いま伴走のごと鰯雲董雨
朝顔の格子に絡む古都の路地智恵子
朝窓のカーテン繰ればいわし雲はく子
海峡はタンカー銀座鰯雲よう子
古戦場跡に大の字鰯雲隆松
朝顔や明日咲く花のねじ緩むはく子
いわし雲高々と打つサーブ球ぽんこ
発電の風車ゆるりといわし雲やよい
パラボラが押出してをる鰯雲うつぎ
故郷の空へと続く鰯雲せいじ
鰯雲見て落ち着かぬ旅心もとこ
広々と城址の遺構いわし雲なつき
退院日窓いつぱいに鰯雲素秀
さながらに鹿の子絞りや鱗雲菜々
鰯雲背伸びして干すシーツかなよう子
三輪山を越え大宇陀へ鰯雲明日香

2019年8月1日(参加者 22名)

俳句作者
溶接の火花炎暑へ撒き散らしやよい
坂の果て揺らぐかと見ゆ空炎暑隆松
さるすべり白々とある夕間暮よし子
街炎暑なれど稚児らの鉾凛とせいじ
人影のなき校庭に百日紅満天
迂回路も陸橋も嫌街炎暑うつぎ
百日紅根づく被爆の石垣になつき
大き洞もつ禅林の百日紅うつぎ
谷川に足冷やしゐる炎暑かなよう子
炎暑来てラヂオ体操老い元気もとこ
下山して街の炎暑を纏ひけりやよい
仁王立つ古刹の門の百日紅董雨
球歪む炎暑のテニスコートかな素秀
夫逝きし日々思ひ出す炎暑かなはく子
復員の父の手植えの百日紅明日香
寺炎暑怒髪逆立つ仁王像菜々
街炎暑靴に吸い付くアスファルトぽんこ
寄り道す炎暑の街の深庇たか子
炎暑中百寿の葬に参じけりこすもす
ビル街の路地に迷ひし炎暑かなわかば

2019年7月1日(参加者 21名)

俳句作者
風孕み噴水昇り龍と化す素秀
黴の堂覗けば光る閻魔の眼菜々
黴びたれど定年の靴捨てがたしよう子
噴水の背山貫き高々とはく子
噴水に神々集ふローマかなもとこ
黴匂ふ青春の日の写真帖わかば
臍の緒の小箱箪笥の黴にほふ小袖
気まぐれな噴水出たり出なんだりぽんこ
歳時記は恩師の形見黴匂ふ明日香
本棚を陣取る黴の広辞苑こすもす
洞窟の古りし神棚黴にほふたか子
ふつふつと醤の育つ黴の蔵はく子
駅頭の噴水上下繰り返し董雨
堂に満つ五百羅漢の黴の息うつぎ
ほほえみをたたへて黴の菩薩像よし子
山小屋の雑魚寝の布団黴匂ふうつぎ
噴水に真向き背きて人を待つうつぎ
と見る間に消ゆ噴水の小さき虹素秀
百年を経してふ黴の醤油蔵やよい
噴水のもぐらたたきに子等遊ぶ満天

2019年6月1日(参加者 25名)

俳句作者
小湊を出てゆく漁船明易し智恵子
旅の夜の語らひつきず明易しわかば
明易や外湯めぐりの下駄の音菜々
跡継ぎの生れて父祖の地麦の秋菜々
気にかかる夢の顛末明易したか子
麦秋を一瞬に過ぐ新幹線三刀
明易やしきりに鯉の跳ねる音満天
明易や看取りの母の手を握りよう子
麦の秋札所詣での鈴つづく菜々
コンバイン幾何模様描く麦の秋よう子
枕辺に旅鞄おき明易し董雨
麦を踏むみな後ろ手にひと並びたか子
母に会ふ夢の途中や明易しよし子
寝返りのできず看護の明易しうつぎ
明易や沖にちらば漁船の灯やよい
麦秋を通過す貨車のなほ続くよし女
露天の湯いま我独り明易し宏虎
ほつほつと残る門灯明易し明日香
麦秋の空高く舞ふこうのとりこすもす
明易の舟屋は何処もがらんどううつぎ
明易しおしゃべり止まぬ軒雀満天

2019年5月1日(参加者 26名)

俳句作者
那智黒の径の一歩に庭若葉ぽんこ
濃き若葉奈落を埋む一の谷わかば
菩提樹の若葉あかりに大仏殿なつき
春惜しむ比叡を望む寺庭にはく子
春惜しむ海一望の高館にうつぎ
小流れへ若葉洩る日のシャワーかな明日香
目に染むや直哉旧居の窓若葉せいじ
清流の天蓋なせる溪若葉宏虎
打ち返す波に渚の春惜しむ三刀
隊列にロードバイクや若葉風うつぎ
まほろばの古都の小径に春惜しむもとこ
惜春の灯を洩らしゐる浮見堂うつぎ
若葉雨空のどこかが明るくて菜々
惜春や母の句帳の薄き文字たか子
柿若葉少年の声よくとほるやよい
厨窓おはやうと射す若葉光明日香
百年を生きし母校の楠若葉菜々
子規居士の文机に座し春惜しむなつき
丁寧に鍬を洗ひて春惜しむよう子

2019年4月1日(参加者 25名)

俳句作者
白髪染めやめると決めて山笑ふなつき
水温む娘の来るといふ知らせ須磨子
吊り橋に繋がる両の山笑ふはく子
水温む鳥の集まる手水鉢明日香
と見る間に日照雨の過ぎて山笑ふぽんこ
飛行船追ひかける子に山笑ふ智恵子
山笑ふ大吊橋の揺れに揺れ菜々
迷路なるジャンクション抜け山笑ふよう子
嬰児の公園デビュー水温む菜々
山彦の呼べば応えて山笑ふよし子
雨晴れてうふふおほほと山笑ふ明日香
山笑ふ課外授業の子らの声うつぎ
間伐を終へて明るし山笑ふよし女
御朱印帳満願となり山笑ふ素秀
鍬杖に腰を伸ばせば山笑ふ智恵子
蒼穹へ鳶を放ちて山笑ふ素秀
噛み合はぬ媼の会話山笑ふやよい

2019年3月1日(参加者 26名)

俳句作者
あたたかや十年を経し癌術後やよい
啓蟄や菰取り外す園の松董雨
啓蟄や通院もまた試歩なりしせいじ
啓蟄や地べたで遊ぶ子らのゐてよし子
暖かやよちよち歩き出来し子に満天
啓蟄や散歩まだかと媚びる犬よし女
一輪車乗れたと破顔暖かしたか子
啓蟄や走り出したら止まらぬ子なつき
啓蟄や農機具並べ点検すこすもす
風呂上り母の手編みを着てぬくし董雨
暖かやそろそろ庭の手入れでも宏虎
暖かやレジャーシートに犬も居り更紗
地虫出て道草する子ランドセル菜々
杖ついて来る回覧板暖かしうつぎ
あひたがい久闊を叙しあたたかしぽんこ
暖かや母の瞳に児ら遊ぶよう子
列島はあちこち揺れて地虫いづたか子
暖かき日差しに母の髪を梳くわかば
偕老の笑顔の会話あたたかしよう子
胎の子に話しかけもしあたたかしなつき
あたたかや異国語で満つ旅のバスもとこ
啓蟄に誘はれてまた旅支度もとこ
啓蟄の畦道の土匂ひけり明日香
暖かや水子地蔵に供華あふれ満天
触角を大きく回し地虫出づうつぎ
啓蟄や土と親しむ暮らしして明日香
風ぬくしデッキに立ちて島巡り隆松
いやいやをおぼへたる子やあたたかしはく子
暖かやうたた寝の手にクリスティーもとこ
啓蟄や城の砦は野面積みたか子
啓蟄や雨に傾く売地札素秀
啓蟄の戸口に試歩の松葉杖菜々

2019年2月1日(参加者 25名)

俳句作者
抱つこして吊革持たす初電車なつき
変顔を比べあひして初笑なおこ
初天神絵馬は有名校ばかりたか子
水鳥の沖にたゆたふ初景色はく子
髪切つてうなじ艶めく初手前なつき
孫が来て初ドライブや誕生日董雨
初乗や夫の運転変わりなくぽんこ
正信偈誦すが私の読初めこすもす
車椅子玉の日射しに初散歩智恵子
初護摩供転読をもて終はりけり菜々
子ら去にて静心なる初硯やよい
子らの泣く声もめでたし初電話うつぎ
みどりごの一挙一動初笑もとこ
初電話息災告ぐる郷訛り満天
初句会今年こそはの顔並ぶ明日香
唯一の己が句集を読み初めに菜々
法螺貝の高音が合図糶始め三刀
声高に指差喚呼して初電車よう子
夫に添ふ散歩初めや白砂浜よし女
初大師押すな押すなの人波に宏虎
蒼天へ千木の輝く初戎ぽんこ
初凪の一湾よぎる物もなしやよい
初茜千年欅泰然とうつぎ
沸々と伏流の湧く初山河三刀
初日の出海展けゆく須磨の浦わかば
子の苞に畑の幸掘る鍬初めよし女
床の間に虚子の一幅初句会よし子

2019年1月1日(参加者 26名)

俳句作者
日向ぼこ聖歌洩れくる木のベンチ菜々
鈍色の空と溶け合ふ枯野かなかつみ
日向ぼこして極楽にゐる心地よし子
世界観へと話とぶ日向ぼこたか子
恙なく百三歳の日向ぼこわかば
存分に紫外線浴び日向ぼこうつぎ
石垣に鍬抱き凭れ日向ぼこよう子
歳時記を友とし縁に日向ぼこやよい
孫の婚まで生きたしと日向ぼこあさこ
連山のパノラマとなる大枯野よし子
徘徊の母を枯野に探しけり素秀
行き暮れてお風呂が馳走枯野宿もとこ
日向ぼこ生命線を見せ合ひてうつぎ
横に居るはずの人居ぬ日向ぼこはく子
大欅見えゐて遠し枯野みち菜々
どこまでも真つ平なる大枯野明日香
煙立つ枯野の果の一軒屋三刀
日向ぼこ子守爺やは船をこぐなつき
SLの煙ひろごる枯野かな小袖
同じ席同じ顔触れ日向ぼこ宏虎
マウンテンバイク疾駆す枯野原ぽんこ
色褪せし地酒看板立つ枯野こすもす
鳶の笛枯野の果ての間遠よりよし女
落暉今銀となる大枯野わかば
猫に愚痴聞いてもらひつ日向ぼこ満天

年度別一覧

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