力石見る人もなき秋の暮 | よう子 |
初秋刀魚食せば皆で窓全開 | 智恵子 |
焼き上がる今年の秋刀魚痩せしこと | ぽんこ |
山を背に塔聳へ立つ暮の秋 | ぽんこ |
茜空今日は秋刀魚と思ひけり | もとこ |
千年の大樹の杜に秋暮るる | もとこ |
古女房辛口好きや秋刀魚焼く | よう子 |
秋刀魚食ぶ残るは頭ひとつのみ | こすもす |
溜息の多き一日や秋暮るる | 智恵子 |
海原の色そのままの秋刀魚の目 | 豊実 |
生涯を同じ地に住み秋の逝く | はく子 |
洗濯を急きて取り込む暮れの秋 | 智恵子 |
乳張りし牛の闊歩す暮の秋 | なつき |
秋刀魚とて高値となりて素通りす | 満天 |
拝めば地蔵の顔の秋暮るる | 素秀 |
夕鐘の淋しき遠音秋暮るる | わかば |
頭ごと背骨を剥がす焼き秋刀魚 | 豊実 |
八十は目出度かりしか痩せ秋刀魚 | よう子 |
秋暮るる廃屋並ぶや旧街道 | もとこ |
吾の出でし校舎併合暮の秋 | かかし |
路地よりの煮物の匂ひ秋暮るる | 満天 |
リハビリの師に文残し秋の暮 | 董雨 |
高瀬川舫い舟ある秋の暮 | 宏虎 |
久に点く隣家の灯し暮の秋 | うつぎ |
お隣も煙を立てて秋刀魚焼く | 宏虎 |
不動明に黄葉降り注ぐ暮の秋 | ぽんこ |
亡き母も詠みし古刹や秋暮るる | たか子 |
九十翁より届く句集や暮の秋 | やよい |
秋刀魚食ぶ子の残せしが美味なりと | 智恵子 |
秋暮るる遠き電車の聞こえけり | 明日香 |
慌たゞしく退院支度暮れの秋 | 董雨 |
次々と検査受けたり秋暮るる | もとこ |
今はもう七輪も無く秋刀魚焼く | たか子 |
暮れの秋長き土塀に夕日落つ | みづき |
秋暮るる静まり返る阿弥陀堂 | みづき |
さんま二尾けふ恙無く暮れなんと | 小袖 |
障害者マーク杖に付けをり秋暮るる | やよい |
秋暮れて灰色と化す湖の波 | 隆松 |
たっぷりと尾にも塩して初秋刀魚 | たか子 |
頭は夫に一尾分けたる秋刀魚かな | なつき |
生よりも開き目に付く秋刀魚かな | 明日香 |
暮れの秋沖に漁火瞬きぬ | わかば |
遠き日の父懐かしき秋刀魚食ぶ | わかば |
暮れの秋眺む雑踏人恋し | 智恵子 |
秋暮るる山へ誘ひし父卒寿 | 豊実 |
紀州沖下る秋刀魚や干物とす | よう子 |
一病の夫と分け合ふ秋刀魚かな | もとこ |
海の色深まり行きて秋暮るる | わかば |
仏舎利塔白際立たせ暮の秋 | はく子 |
秋暮るる旅の計画なきままに | 満天 |
己が膝抱えてをりし暮の秋 | 素秀 |
見るだけの高級魚なる秋刀魚かな | やよい |
気忙しき秋暮る る日の小さき旅 | みづき |
お漏らしの布団とパジャマ秋の暮 | なつき |
淀川の流れ常しえ秋の逝く | はく子 |
好物の秋刀魚骨まで食べ尽くす | はく子 |
巨木樹天を塞ぎて秋暮るる | ぽんこ |
炊きたての飯と焼きたて秋刀魚かな | 宏虎 |
秋暮るる街頭演説絶えてより | こすもす |
脂垂れ炭火弾けり秋刀魚焼く | 隆松 |
秋の暮背中摩り行く座敷三間 | 董雨 |
緑地公園出口の迷ふ暮秋かな | やよい |
鉢花のだんだん減って秋暮るる | 明日香 |
切り炭や父母懐かしみ秋刀魚焼く | みづき |
秋暮るや秘密基地めく石舞台 | かかし |
秋暮るる大楠の洞供物無く | たか子 |
グリルには不向きなりしや秋刀魚焼く | せいじ |
秋刀魚焼く煙吐き出す換気扇 | うつぎ |
秋暮る る影長くして友来たる | みづき |
チェーンソー響く里山暮の秋 | かかし |
留守の間に木斛開花秋の暮 | 董雨 |
焼きたての秋刀魚を買ひて午餐とす | せいじ |
わざわざに秋刀魚買へたと電話せし | 素秀 |
混群のわつと飛び去る秋の暮 | 小袖 |
秋刀魚の身ほぐし易さよ尾の切身 | 隆松 |
どっちが綺麗秋刀魚の骨の残し具合 | こすもす |
鑿跡の粗き間歩出で暮の秋 | かかし |
ラップされ二尾で安売り痩せ秋刀魚 | 豊実 |
島影の滲む湖面や暮の秋 | 隆松 |
靴下を履いて老犬暮の秋 | やよい |
秋暮るる訃報の友に写経せん | かかし |
新物と表示の秋刀魚小ぶりなり | ぽんこ |
洗濯物頬で確かむ秋の暮 | 明日香 |
リビングに入り来る日差し暮の秋 | はく子 |
父の顔忘れたと母秋刀魚食ぶ | わかば |
耳病みて目で話聞く暮の秋 | なつき |
秋暮るや湖岸ベンチを抜くる風 | 隆松 |
トンネルを出れば金星秋の暮 | よう子 |
四冠を望むは早し秋の暮 | せいじ |
宴会は秋刀魚にしてと帰国の子 | うつぎ |
旬なりと秋刀魚小さき猫の餌 | 宏虎 |
人のごと猫を探して秋の暮 | 素秀 |
病院の夕食に食ぶはつ秋刀魚 | 董雨 |
スーパーの外で煙りと秋刀魚焼く | 満天 |
日が落ちて何か淋しき秋の暮 | 宏虎 |
田の神の裏は捨て畑秋暮るる | うつぎ |
一万歩出来た日にマル秋の暮 | 小袖 |
猫カフェに保護猫撫づる暮の秋 | なつき |
熱ある子おんぶした坂秋の暮 | 小袖 |
兄姉の召天続く暮の秋 | せいじ |
蜘蛛の囲のそこここ破れ秋暮るる | 明日香 |
ベンチさへ朽ちて荒れ寺秋暮るる | たか子 |
2021年9月 | |
早暁やダイヤ光に変はる露 | 明日香 |
露寒し鶏冠の褪せしご神鶏 | なつき |
千枚の刈田にひびく水の音 | なつき |
露けしや主亡くせし三つ揃 | うつぎ |
次々と鳩を迎へる刈田かな | 素秀 |
山峡の刈田となりて棚田道 | わかば |
登校の子ら駈けぬける苅田かな | よし子 |
一羽来て二羽来刈田の群雀 | やよい |
沿道の刈田に高く鳶の輪 | わかば |
庭木々の朝日に光る露の玉 | 満天 |
煙り立つ右近の郷の苅田より | 小袖 |
一枚の刈田賑はふ写真展 | やよい |
都会にも小さき刈田の匂ひ立つ | もとこ |
朝露を纏う雑草エメラルド | ぽんこ |
黎明や偽装の草を露雫 | 隆松 |
早暁の土手のなぞへの露葎 | せいじ |
外灯に煌く世界夜露降る | 智恵子 |
農夫らの手を振る刈田アートかな | なつき |
露しづく月光になほ煌めきて | 明日香 |
瞬く間に刈田となりしコンバイン | ぽんこ |
露の世の独り身の姉細おもて | たか子 |
新苅田轍に鳥の急降下 | 隆松 |
焼き後の丸く残りし刈田かな | やよい |
大苅田二台行き交ふコンバイン | なつき |
露けしや湯の街路地の石畳 | 素秀 |
朝露の芋の葉転び遊びけり | 満天 |
朝日差しクリスタルめく露の玉 | なおこ |
朝露の草に踏み入る散歩犬 | ぽんこ |
稲滓火煙り一筋刈田かな | 宏虎 |
芋の露風にまろびて尚まろし | やよい |
ワイパーで払う夜露や独り言 | 豊実 |
露払ふ犬の後行く散歩かな | よう子 |
選挙カー声高くする苅田道 | なおこ |
日の本の刈田匂ひに鎮もれり | 素秀 |
露葎早起きの景至福なる | 智恵子 |
刈田道里の山々近くなり | かかし |
草露を靴に移して登校子 | 素秀 |
露草の瑠璃に宿りし今朝の露 | よし子 |
露けしや熊野古道の童子像 | もとこ |
コンバイン残す轍や刈田跡 | 智恵子 |
苅田見ゆ安堵の気持ふつふつと | 明日香 |
山高し苅田の故郷へ着陸す | よう子 |
藁の香の右手に左手や苅田道 | 隆松 |
大苅田果ての落暉に鳥の影 | 隆松 |
露けしや先輩知己を送リては | 宏虎 |
刈田いま我が儘な風赦しけり | たか子 |
落柿舎の苅田に遊ぶ雀どち | よし子 |
10株の苅田も有りと能登の人 | よう子 |
畦を行く逸れて刈田の真中行く | うつぎ |
朝露や靴のめり込む歩哨壕 | 隆松 |
露の世の置かれしままの力石 | 小袖 |
露の世の露の一粒ふと消へて | よし子 |
露の身を労り合いて恙無く | わかば |
露けしや國から調査無職書く | 宏虎 |
朝露と共に無農薬野菜来る | 満天 |
力石一つはうつ伏せ露葎 | うつぎ |
暴投のボール転がる刈田かな | 豊実 |
群雀運動場の刈田かな | かかし |
稲の穂の充分たわわ刈るを待つ | たか子 |
悪童の戦場となる刈田かな | もとこ |
稲苅られ気づく苅田の広さかな | 明日香 |
刈田道バス停までの距離遠し | かかし |
朝市の陳列台に露残る | 宏虎 |
上皇も踏みし露けき古道かな | もとこ |
刈田道里は静かに更けてゆく | かかし |
選挙カー声つつ抜けの苅田かな | 小袖 |
威風堂堂刈田を後にコンバイン | うつぎ |
露しとど高原をゆくスニーカー | やよい |
稲の香をなほ孕みをる刈田風 | せいじ |
芋露のくるりくるりと朝日燦 | かかし |
大き葉に大きゆったり露の玉 | 満天 |
石庭の苔纏ひたる白露かな | もとこ |
縄跳びのジャンプに光る草の露 | たか子 |
朝露の真珠びかりす植木鉢 | せいじ |
雉鳩の目覚める朝や藪の露 | 豊実 |
コンバイン古墳残して去る苅田 | よう子 |
変形のクルスの地蔵露けしや | よう子 |
露の世や悔いなき日々を過ごしたく | わかば |
鉢に生れ鉢に消えたる露の玉 | せいじ |
谷底に一枚残る刈田棚 | 素秀 |
道草に触れたる露の清々し | わかば |
露けしや三度参りの石積み場 | なつき |
景広し幾何学的な刈田面 | ぽんこ |
まほろばの山裾までも苅田かな | 明日香 |
移民の碑カナダとありて露しとど | うつぎ |
夕暮れの刈田に座る猫の影 | 豊実 |
露の世は厳しく悲しはらから逝き | 宏虎 |
山の露缶コーヒーは二百円 | 豊実 |
刈田なか火をなだめつつ煙あげ | ぽんこ |
刈田跡畦むき出しに日差し受く | 智恵子 |
切株の独擅場や刈田いま | せいじ |
芋の葉に笑ひころげて露の玉 | よし子 |
ころころと表面張力芋の露 | たか子 |
露雫牧場の朝の牛濡らす | 智恵子 |
日差し受け鳥の群れ来る苅田かな | 満天 |
2021年8月 | |
外厠明かるうしたる花木槿 | せいじ |
白木槿青天井に咲きのぼる | もとこ |
神木の樹齢千年法師蝉 | よし子 |
虚無僧の尺八に和す法師蝉 | やよい |
いつ見ても半開きなる白木槿 | たか子 |
湯上がりて女子の匂いや夕木槿 | 宏虎 |
底紅の深み薄命白木槿 | たか子 |
日々暮らすつくつく法師言ふままに | もとこ |
つくづくと来し方思ふ法師蝉 | はく子 |
木槿掃く朝の日課や犬より来 | うつぎ |
伝王仁の墓を囲みて木槿垣 | はく子 |
底紅や友の真紅のチマチョゴリ | はく子 |
明日は又皆新しき白むくげ | はく子 |
この道を取れと誘ふ木槿かな | せいじ |
みんみんの奥にかすかに法師蝉 | やよい |
きはちすや夕餉の吾もおちょぼ口 | 智恵子 |
木漏れ日にまみれ高鳴く秋の蝉 | 智恵子 |
三味線の師匠の家や木槿咲く | よう子 |
墓洗ふ墓石に染み入る法師蝉 | 智恵子 |
庭掃きの老婦の上よ花木槿 | 隆松 |
ほころべる隣国の友白木槿 | わかば |
鳴き終わり又も鳴きつぐ法師蝉 | たか子 |
淡紅の鬼貫愛し木槿かな | 宏虎 |
お詣りのBGMや法師蝉 | たか子 |
診察の最中鳴き出す法師蝉 | せいじ |
白木槿都心に古き小学校 | みづき |
つくつくし聞き合宿の炊事番 | 素秀 |
朝まだき声の小さき法師蟬 | 明日香 |
いつの間に厨に法師蝉の声 | こすもす |
ままならぬ友との一会つくつくし | もとこ |
野仏に注ぎ尽くすや法師蝉 | 隆松 |
韓国の国花と知りし木槿なる | こすもす |
法師蝉命の限り鳴きつづく | 満天 |
瀬の音を声押し退ける法師蝉 | 隆松 |
白木槿きっちり畳み命終ゆ | ぽんこ |
底紅や手拭口に夜鷹の絵 | 隆松 |
階に天蓋となす白木槿 | ぽんこ |
つくつくし峠越えればあと一里 | よし子 |
満開に咲いても寂しい白木槿 | よし子 |
雨漏りの止みて木槿の白かりき | よう子 |
廃校名残るバス停白木槿 | 智恵子 |
法師蝉のみの町並なりにけり | 宏虎 |
白蜘蛛の花弁に潜む紅木槿 | 豊実 |
帰還せぬ兵士の句とやつくつくし | よう子 |
つくつくし延命治療しないでね | 明日香 |
道の辺に夜毎雨降る花木槿 | ぽんこ |
ヘッドホン外せば法師蝉の楽 | せいじ |
底紅に雫残して暁の雨 | 素秀 |
恙なきひと日過ぎるや白木槿 | 満天 |
畳まれて散りし木槿や紅の濃し | やよい |
木槿垣曲がりいつもの散歩道 | やよい |
裏木戸に昔の記憶むくげ垣 | たか子 |
つくつくし山濡らしくる天気雨 | なつき |
禅寺の山門入るや白木槿 | 満天 |
夕山河法師蝉鳴きいと寂し | 宏虎 |
課題図書読んではみたが法師蝉 | 豊実 |
里山の林道暗し法師蝉 | みづき |
ひと雨に生気新たに法師蝉 | みづき |
木槿咲く雨に暮ゆく坂の町 | よし子 |
底紅を秘むる蕾や小間茶室 | わかば |
なに吸ふやおいしおいしと法師蝉 | 隆松 |
底紅の蕊を包みて一日終ふ | わかば |
宅配便玄関開ければ法師蝉 | こすもす |
法師蟬尽くせ尽くせと鳴き続け | 明日香 |
つくつくし日の斑のおどる尼の寺 | なつき |
木槿垣出で発心の朝かな | 素秀 |
酒匂ふ灘の通りや木槿咲く | みづき |
長雨を抜け出す日差しつくつくし | うつぎ |
白むくげ日々新たなる白迎ふ | はく子 |
人住まぬ家の木槿の大樹なる | 明日香 |
鳴く連れはもうゐずなりぬ法師蝉 | うつぎ |
後ろから大呼ばはりやつくつくし | うつぎ |
夕暮れにゆったり閉じる花木槿 | 満天 |
鉄棒と木槿の残る廃分校 | 素秀 |
一日の栄と木槿は紅残す | よし子 |
通る人皆顔見知り木槿垣 | うつぎ |
木造りの森のベンチや花木槿 | 豊実 |
風に乗る雲の行方や花木槿 | ぽんこ |
雨雲の迫る夕暮れ法師蝉 | 豊実 |
参道に巫女の募集やつくつくし | なつき |
襟正し入る山門法師蝉 | みづき |
師の句碑へ鳴き継ぐ寺のつくづくし | やよい |
つく法師鳴く山道に俘虜の鐘 | 素秀 |
賑やかに忙しき声や法師蝉 | わかば |
補聴器を外す夕べの法師蝉 | よう子 |
祭典の閉会式や法師蝉 | 豊実 |
改めてしげしげ眺む木槿かな | こすもす |
登廊の間遠に聞こゆ法師蝉 | ぽんこ |
庭に来て宿題急かす法師蝉 | よう子 |
無住寺に鳴き始めたり法師蝉 | なつき |
青春は果つる刻までつくつくし | 明日香 |
白木槿笑みし円空立木仏 | なつき |
ムグンファてふ近くて遠き国の花 | もとこ |
つくつくし故郷遠し人恋し | 智恵子 |
底紅のひと日の日差し包み散る | 満天 |
移ろひをリズムに乗せて法師蝉 | わかば |
法師蝉鳴きつつ一歩死へ近く | 宏虎 |
紅白が引き立て合うて花木槿 | せいじ |
最後まで話聞いてよつくづくし | もとこ |
2021年7月 | |
白蓮の記憶のアニメ白き靄 | 智恵子 |
竹林のざわめきに聞く晩夏かな | 素秀 |
息止めてはちすはらにて音を待つ | もとこ |
断捨離は昭和の匂ひ晩夏かな | やよい |
みほとけの手のひらに似て蓮の花 | 更紗 |
蓮池の密なる様に花開く | わかば |
空変化海のざわめく晩夏かな | 宏虎 |
少年は蛇口へ頭晩夏なり | よう子 |
いとけなき蓮の巻葉に風の色 | ぽんこ |
水玉をまろばせあそぶ蓮の風 | 満天 |
蓮の花並ぶ大甕背を競ふ | わかば |
黄泉平坂越えて咲きたる蓮の花 | 宏虎 |
葉の下は奈落のごとし蓮の池 | せいじ |
鬼蓮や池に五輪のマークめく | なつき |
妙連の蓮の不可思議とこしなえ | 明日香 |
早暁の蓮池巡る浄土の香 | かかし |
蓮池の青きうねりに夕の風 | ぽんこ |
接種終え五輪観戦なる晩夏 | なつき |
カンダタの届かぬ蓮華深き沼 | よう子 |
日没に鍬を終へるや晩夏かな | かかし |
禍の忘るる浄土蓮原 | もとこ |
掲示板インクの薄れ夏深し | みづき |
蓮の葉のま向きそ向きに連なれり | 更紗 |
白蓮の極まり見せて朝の黙 | わかば |
モネの絵より美しかりし蓮の花 | 宏虎 |
志まだあきらめず晩夏光 | みづき |
黄昏の故郷の海晩夏光 | こすもす |
蓮の風少女は膝の本を閉づ | よう子 |
沈黙の開花と夜明け待つ蓮見 | 素秀 |
蓮浮き葉重なり合ふて隠すもの | たか子 |
古写真見入る断捨離夏深し | やよい |
晩夏光十頭身の影二つ | かかし |
一面の葉の波に浮く蓮の花 | 豊実 |
晩夏来てふるさと又も遠き日に | 満天 |
晩夏光差しゐる闇や奥座敷 | 素秀 |
観覧車今し天辺晩夏光 | たか子 |
泥沼より合掌解くごと蓮の花 | 満天 |
池の端や蓮華浄土へ吸い込まれ | 明日香 |
草も葉も紫めきて晩夏なる | 更紗 |
民宿や大玻璃越しの蓮田かな | こすもす |
ゴルフ場ひつそり咲きし蓮の花 | 宏虎 |
山の端へ落暉すとんと晩夏かな | 明日香 |
色褪せたTシャツを干す晩夏かな | 豊実 |
数々のいたみ残せる晩夏かな | わかば |
地獄より浄土に開く蓮の花 | ぽんこ |
晩夏光マラソン人の荒き息 | 智恵子 |
沼底に潜む命や蓮の花 | 豊実 |
鉄傘の濃き影おとす駅晩夏 | せいじ |
風さ揺る今にも解ける蓮巻葉 | ぽんこ |
蓮酒のほろ苦き香や喉の奥 | よう子 |
モノレール緩きカーブや晩夏行く | たか子 |
水中は雲の浄土や蓮の花 | たか子 |
大波の波消し襲ふ晩夏光 | 智恵子 |
忽然と住宅街の蓮の池 | 豊実 |
紅ほのと蓮の蕾の宝珠なす | はく子 |
木陰にて夏の過ぎゆく風のあり | 宏虎 |
蓮の花極楽浄土かと思ふ | みづき |
南禅寺夏の終わりの風に会う | みづき |
雑草の丈長き晩夏かな | ぽんこ |
湖しなり水上バイクや晩夏光 | 隆松 |
松の木に届きそうなり蓮の花 | こすもす |
晩夏光足場解体進みけり | はく子 |
澱みたる池より出でて白蓮 | はく子 |
湖の朝ベンチに渡る風晩夏 | 隆松 |
そばかすの和尚の笑顔蓮浄土 | よう子 |
晩夏光杉の梢を見てをりぬ | 明日香 |
三室戸寺背伸びして咲く古代蓮 | 明日香 |
蓮池のうめつくす葉に濃き紅や | もとこ |
猿回しの猿の気だるき晩夏かな | なつき |
大鉢に五本立ちなる蓮の花 | 智恵子 |
水上の村落めきし蓮の池 | せいじ |
法前の鉢あふれしめ蓮咲く | はく子 |
御転婆のパンダ楓浜晩夏光 | やよい |
静寂の山寺に咲く蓮の花 | 満天 |
晩夏へとオリンピックのメダル増え | 満天 |
花びらのはらり池面へ蓮の花 | 更紗 |
大甕に窮屈さうなはちすかな | せいじ |
船底の藤壺を削ぐ晩夏かな | 豊実 |
晩夏光足取り確と杖の夫 | やよい |
手掘りてふ間歩を出でるや晩夏光 | かかし |
浜道の穴の補修や島晩夏 | なつき |
鍬休め木陰に憩ふ晩夏かな | かかし |
古代蓮笑みて動かぬ車椅子 | 智恵子 |
沈む日や晩夏の海を輝かす | わかば |
ギプス取れ遊ぶも仕事晩夏の子 | なつき |
潮騒に我が身委ねる晩夏かな | こすもす |
晩夏光鈍く光れる床柱 | みづき |
忌を修す寺の大鉢蓮真白 | やよい |
ランダムな鉢の並びや蓮の寺 | 隆松 |
蓮の葉の隠す線路を一両車 | 素秀 |
大甕やニョッキリ蓮の二つ三つ | こすもす |
天指して手を合はすごと蓮つぼむ | はく子 |
さまざまに日本を想ふ夏深し | たか子 |
膝に傷一つ増えたる子の晩夏 | 素秀 |
すすぎたる布巾をほして晩夏光 | 更紗 |
餌になびく鯉は移り気晩夏光 | せいじ |
漕ぎいでな潮入川には晩夏光 | もとこ |
旅終へて余韻くすぶる晩夏かな | もとこ |
蓮の香や茎二寸を抜ける風 | 隆松 |
2021年6月 | |
病葉や地におち蝶のしとねなる | もとこ |
揺り椅子に小さき幸せレース編む | みづき |
写真家の病葉一葉見逃さず | 小袖 |
病葉の夜風に吹かれ落ちにけり | わかば |
眼を擦り針の目数ふレース編み | よう子 |
蒼天に干されしレースの白眩し | 智恵子 |
掃き寄する病葉乱す風一陣 | やよい |
病葉や誰かの役に立つ仕事 | 豊実 |
レース編みしていた目と手懐かしく | 明日香 |
病葉の錦斑に病みにけり | みのる |
病葉の僅かに残る緑かな | ぽんこ |
病葉の淀みに赤き彩灯す | 智恵子 |
黒レース着て人目引く女は誰 | うつぎ |
病葉の重なり積もる木の根道 | たか子 |
天からのものとし沙羅の病葉かな | よし子 |
病葉や期待選手の二軍落ち | 豊実 |
微熱あるごとくに病葉の火照り | うつぎ |
スワトウのレースハンケチ母偲ぶ | もとこ |
真っ白なレースのクロスに彼迎ふ | 菜々 |
病葉に美しき赤味のありにけり | 明日香 |
小流れを病葉暗渠へと急ぐ | 素秀 |
病葉やリハビリ持する一生涯 | やよい |
病葉は地に還るべし御神木 | みのる |
目覚め良きレースのカーテン日の優し | 満天 |
地に落ちし踏まれ踏まれぬ病葉よ | 宏虎 |
病葉を彩りとして畜魂碑 | 素秀 |
ふはふはに病葉積むや皇子の墓 | 明日香 |
レース着て貴族のやうなお辞儀の子 | なつき |
テディベアのレースカーテン連れは風 | せいじ |
病葉を引けば幼虫吊り上り | 智恵子 |
病葉を虜としたる蜘蛛の網 | みのる |
病葉に庭の手入れの余念なき | 小袖 |
ハンカチの縁取りレース馴染み無く | ぽんこ |
カーテンのレースに渦や差す朝日 | 隆松 |
風抜けるレースカーテン翻る | わかば |
レース着る美人に見ゆる席並ぶ | 宏虎 |
病葉を風が一気に落としさる | せいじ |
病葉散る目玉模様の蝶のごと | なつき |
強く蔓引きて病葉散らしたり | なつき |
汕頭のレースに思ひ出をたどる | うつぎ |
あるなしの風に揺るるやレースカーテン | 満天 |
襟白きレースのシャツの留学生 | 素秀 |
木漏れ日のレース模様や石畳 | やよい |
病葉の美しきは小川に舟となり | はく子 |
白魚の指しなやかにレース編む | うつぎ |
病葉の川面をながる早さかな | よし子 |
しなやかに指の動きやレース編む | よし子 |
コブレットに白のレースのコースター | はく子 |
病葉の聖母マリアの裾の辺に | はく子 |
窓の風レースにワルツをどらしむ | みのる |
植木鉢病葉一つ引き立ちぬ | ぽんこ |
レース着て銀のフォークでケーキ食ぶ | なつき |
はにかめるレースマスクの男かな | ぽんこ |
病葉の雨風耐へて命終ゆ | 満天 |
病葉の半分はまだみずみずし | こすもす |
ソファとてレースを掛けるや清々し | 満天 |
レース着てくるりと回る少女かな | なつき |
病葉や濃き影置きし武道館 | みづき |
センターは白のレースや今朝の卓 | せいじ |
病葉の貼り付く亀の甲羅かな | やよい |
レース編む一目一目に夢を編む | よし子 |
病葉のからくれなひを栞りけり | みのる |
病葉の色を残して落ちにけり | わかば |
病葉やワクチン打たぬ自由あり | 豊実 |
レース編む孔雀の羽のごと模様 | 明日香 |
風に浮くレースの襟の翅のごと | 素秀 |
花嫁のレース豊かに シヨーウインドウ | 小袖 |
晩年の今が幸せレース編む | うつぎ |
レース編みしつつ汽車通せし頃も | こすもす |
風纏ふレースカーテン大欠伸 | 豊実 |
病葉やみどりに埋もれ艶ありて | もとこ |
病葉のまだ艶ありて栞とす | 満天 |
宮参り純白レースのケープ着せ | はく子 |
風が梳く髪のすなほやレースの子 | もとこ |
踏み惑ふほどの病葉裏参道 | よし子 |
病葉よ苦労判らず同情す | 宏虎 |
病葉や官舎の窓の指の跡 | よう子 |
贈られし汕頭レース惜しみ持つ | わかば |
いと豪華女子会の友レース着て | 宏虎 |
病葉や老ひて身勝手許さるる | もとこ |
足湯する病葉浮きし有馬の湯 | みづき |
清流へ落つ病葉の赤さかな | 小袖 |
レース編む座敷机に似合うもの | 宏虎 |
青空を透かせる小花レースめく | こすもす |
病葉や老ひてこそ知る事あまた | みづき |
女子アナのレースの袖や天気予報 | 豊実 |
病葉や日の色変わる藪の中 | 隆松 |
病葉は廻るばかりや堰は急 | たか子 |
レース着るアナウンサーの語り口 | ぽんこ |
オリーブを描く病葉も忘れまじ | せいじ |
昼休み競うてレース編みし日も | やよい |
寄る辺なき母の枕辺レース編む | わかば |
病葉をくるりと廻し表裏かな | よう子 |
病葉の吾は我とす潔さ | たか子 |
参燈の隅を病葉移らひて | 素秀 |
古城跡病葉落つる苔の石 | 隆松 |
亡き友の母が手編みのレースかな | せいじ |
おさげの子レースのリボン跳ねてくる | よう子 |
レース編みのテーブルセンター五十年 | こすもす |
病葉を抜き石垣に散り日の斑 | 隆松 |
花嫁の涙隠してレース震る | 智恵子 |