投句控 :500句/1頁

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柔らかき丸葉に淡き萩の花 豊実
萩揺れてこれから幕のあがる如 明日香
終戦日不戦の誓ひ今一度 明日香
憲法の礎となれ終戦日 みのる
かの年に生れしも喜寿や終戦日 せいじ
匍匐する演習場や終戦日 隆松
グアム島も祖父も知らずや終戦日 あひる
写経する萩咲く庭に目を休め みづき
心字池に花びら零す萩の彩 わかば
蹲も筧も萩の花まみれ うつぎ
全開の寺の門より萩の風 せいじ
空木箱迎へし祖母の終戦日 もとこ
ラジオ聴く正午気になる終戦日 ふさこ
道標はガードレールの萩の花 豊実
岸壁に静かな波の終戦日 みづき
ひと気なき生家の庭や萩垂れて みづき
紙芝居白寿の語る終戦日 かかし
奔放に乱れ合う萩風任せ ふさこ
みのむしの萩衣などつけてをり 明日香
終戦日レイテで死んだ叔父ふたり 明日香
ウォーキング名所にあらぬ萩の道 隆松
雨意兆す風に萩叢寧からず みのる
通り雨暑さの増せる終戦日 なつき
終戦日いつですかと問ふインタビュー よう子
師の句碑へ存問の吾へこぼれ萩 みのる
風吹けば結界超ゆるこぼれ萩 なつき
萩の枝神籤結ぶに余地は無し ぽんこ
紅白の萩の細かにしじみ蝶 はく子
終戦っ子と呼ばれし我等も喜寿迎ふ こすもす
初萩に誘はれバスを途中下車 かかし
祖父のこと語る母亡き終戦日 あひる
訓練に遺書も書きたり終戦日 隆松
終戦日写真の祖母はセピア色 豊実
軍人と呼ばれぬ国の終戦日 素秀
すでに父の戦死も知らず終戦日 ぽんこ
鐘の音に争ひ無きと終戦日 満天
祖父と孫あまりに違ふ終戦日 ふさこ
母逝きて戦災孤児の幕を閉ず あひる
祖父のこと呟く父や終戦日 豊実
アルバムのもんぺの母や終戦日 よう子
予科練の手紙抱きしめ終戦日 智恵子
境内が萩原と化す一寺院 せいじ
疎開先母に背負われ敗戦日 ぽんこ
幸せとつぶやく母の終戦日 せいじ
萩日和和尚も客も名残惜し もとこ
萩刈られ残りの葉陰雨の粒 ぽんこ
平和世のすいとん旨し終戦日 もとこ
サイレンに手を止めにけり終戦日 せいじ
石舞台緞帳の如萩群れて 明日香
熱々の夕刊届く終戦日 みづき
吾も老い住みよい平和終戦日 宏虎
親子にて投句に挑む萩日和 かかし
育休のパパ乳母車終戦日 かかし
箸置きて黙祷一分終戦日 こすもす
左右より長き石段萩垂るる 満天
白萩にさす薄紅のいとけなし わかば
足音をかき消し萩の風通る 素秀
夕風を纏ひて萩の散り急ぐ はく子
萩の塵風に掃かれて片寄りぬ うつぎ
盗人萩ひっつき虫にならないで 豊実
乱れ萩光悦垣を越え零す わかば
萩揺らす風の大波小波かな みのる
ハンカチでくたくた扇ぐ終戦日 なつき
船沈む碧き海揺れ敗戦忌 もとこ
乱れ萩かき分け友に追いつけり こすもす
戦中派なれど終戦日を知らず みのる
先達の導き楽し萩の寺 もとこ
江ノ電を降りて白萩待つ古刹 智恵子
八十路我も戦は知らず終戦日 はく子
アルバムの祖父の凛々しき終戦日 あひる
七つボタン光る遺影や終戦日 智恵子
敗戦忌掩体壕に月上ぐる 素秀
終戦日わからぬままにラジオ前 わかば
足早の法衣の風や萩こぼつ よう子
終戦日背ナに傷ある父の「野火」 よう子
萩はまだ蕾の多し満中陰 素秀
抱き寄せて又抱き寄せて萩括る うつぎ
垣根越し一枝切りて萩盗人 ふさこ
こぼれ萩瓶の目高を騒がしぬ うつぎ
閑かさや萩の垣根の茶屋の跡 隆松
終戦日高校野球佳境入 かかし
祖父死せど血は脈々と終戦日 あひる
世界まだ争ひ続く終戦日 満天
靴紐をキュッと結びし終戦日 よう子
子のなぜにつまる八月十五日 なつき
名にし負ふ句碑歌碑いくつ萩の寺 はく子
終戦日七十余年過ぎにけり 宏虎
高瀬川灯点る流れ萩垂れて みづき
汁物にこねた水団敗戦日 ぽんこ
防災無線の合図で黙祷終戦日 こすもす
体験を昨日のごとく終戦日 満天
戦争は地獄と一言終戦日 智恵子
鎮魂の祈り新たに終戦日 わかば
語り部に耳かし涙敗戦日 ふさこ
白菊の帰らぬ海や敗戦日 素秀
萩見せむ絵図の名所に丸印 隆松
センターライン歩く鴉や終戦日 なつき
紅白の萩石磴に花の寺 智恵子
萩の寺勝手知りたるお墓かな 宏虎
終戦日国旗掲揚平和御代 宏虎

2022年7月31日

団扇には祓の一字白抜きで 明日香
ハンググライダーふわりと浮かぶ盛夏かな あひる
ご贔屓に舞子贈るる京団扇 もとこ
竈門には赤き大きな渋団扇 たか子
盛夏にもダッシュ百段部活生 かかし
手に少し重たき団扇棕櫚細工 たか子
真夏日や勝利の声の波となる わかば
湯上がりで良い格好の団扇かな 宏虎
ラジオ体操終へて鳥語や団扇風 かかし
状差しの上は団扇の定位置に 素秀
盛夏なるホームの雀口で息 明日香
客迎へ縁台に置く渋団扇 ふさこ
お土産は鯛焼き盛夏の祭りの夜 こすもす
いたずらの赤のペディキュア夏盛り ぽんこ
粋気取り帯に差したる色団扇 隆松
配られし団扇の裏の屋号かな よう子
絵団扇のミニーマウスの元気かな あひる
持て遊ぶ稚児持つ団扇ふにゃふにゃと ふさこ
鮨飯や拙き団扇お手伝い よう子
枕元の昔昔の奈良団扇 こすもす
江戸団扇美人引き立て額の中 ふさこ
水遣りは早朝五時の盛夏かな あひる
寝室にも厨にもある団扇かな こすもす
美人画の団扇の風をゆったりと はく子
空港の花壇は真つ赤盛夏くる せいじ
身を細め回転扉出る盛夏 なつき
野次飛ばすファンサービスの団扇手に 豊実
癖の毛の言ふこときかぬ盛夏かな あひる
奈良団扇透かし模様の五重塔 こすもす
持ち替へて思ひ通りの団扇風 満天
乗換のホーム眩しき盛夏かな 豊実
セールてふ赤文字踊る盛夏かな もとこ
団扇持て返礼述ぶる長電話 なつき
孫の手の代はりともなる団扇の柄 みのる
うたた寝に団扇の人の膝借りぬ 隆松
一瞬の盛夏を走る少年よ 素秀
渋団扇たたき焼鳥焼くおやじ はく子
母の里従兄弟と子らの夏盛ん 智恵子
膝と腰なだめなだめて盛夏過ぐ 明日香
打上花火盛夏の空を彩れリ こすもす
雲を背に太陽の塔夏旺かん よう子
みどりごの寝顔は天使白団扇 みのる
寿司あおぐ信金名入り古団扇 もとこ
ガラスビル天突き刺して真夏空 もとこ
商店街だらり幟の炎暑かな よう子
幼子は爺に両手の団扇風 よう子
湯上がりの母の手元の団扇かな わかば
氷水供花に手向ける盛夏かな みのる
遠き日の寝しなは祖母の団扇風 ぽんこ
広島を思ふ真夏の空青く わかば
乳母車夫婦で扇ぐ団扇風 かかし
内緒ないしょ口元隠す団扇かな たか子
ジーパンの腰に団扇を踊り場へ 満天
仕事師の目の赤きなり盛夏昼 隆松
うたた寝の人へ送るや団扇風 隆松
駅前で配る団扇のダンボール 豊実
真夏やな肩紐跡の肌の白 隆松
野外能団扇ぱたぱた火の匂い 宏虎
登り窯火入れ儀式の渋団扇 かかし
鉄骨の盛夏の空に吊されり 豊実
内緒話し団扇の中に顔隠す ふさこ
菓子見せておいでおいでと団扇振り なつき
ジーンズのからりと乾く盛夏かな 明日香
副菜は酢の香匂ふ夏盛り ぽんこ
団扇風膝の上にて猫眠る かかし
百均の団扇の骨を教材に せいじ
団扇風強めて飛ばす蚊の羽音 なつき
パレットに赤を溶かして夏旺る 素秀
店先で魚焼く横渋団扇 満天
蛍光の団扇背中に走る人 素秀
裾たくり帯に団扇の辻回し ふさこ
練り歩くねじり鉢巻き大団扇 智恵子
遠き日の寝落ちの顔を打つ団扇 たか子
入院のベッドに孫の手と団扇 うつぎ
商魂の溜まりに溜まる安団扇 せいじ
枕辺に置きて安眠団扇かな 満天
ふるさとの風の匂ひや夏盛り 智恵子
タクシーに飛び乗る盛夏ビルの谷 豊実
団扇の手止まると見れば鼾かな うつぎ
夏旺ん大泣きの子を持て余す 満天
今撒きし打水乾く盛夏なり 宏虎
子ら楽し片や団扇の二刀流 せいじ
源氏名の団扇壁埋め京割烹 もとこ
染みしるき俳句画讃の古団扇 はく子
老どちのグランドゴルフ夏盛ん はく子
高原や盛夏の空の澄み渡る わかば
団扇師の竹裂く速さ見惚れをり 智恵子
夏旺ん浜にブーゲンビリアの緋 せいじ
夏盛ん掘り起こされし不発弾 うつぎ
黒潮を越え水平線のみな盛夏 素秀
橋脚に残る水跡夏盛ん うつぎ
照り返す盛夏の海や波の綺羅 わかば
団扇師のリズム良きかな竹を裂く 智恵子
別府にてバスで貰ひし団扇かな 宏虎
赤和紙の富士の切り絵の団扇かな ぽんこ
団扇の手休むことなく聞き上手 みのる
庭の木々チリチリ焼けて盛夏かな 明日香
床の間に粋な団扇の古旅館 たか子
七厘の今は昔の渋団扇 ぽんこ
ネックレスに首絞めらるる盛夏かな なつき
水しぶき浴びて盛夏の川下り うつぎ
飛行雲へなへなと消ゆ盛夏かな みのる
北斎の怒涛の団扇よりの風 あひる
団扇手に夕べ河原の二人ずれ はく子
水道の水湯のごとし盛夏かな 宏虎

2022年6月30日

スマホの上蟻が這つてるどうしよう 明日香
砂糖壺めがけて小蟻出しかな わかば
黒南風や秒針白き花時計 なつき
眺む吾子蟻の行列退屈せず ふさこ
黒南風や明石海峡波荒し 宏虎
羅漢様蟻登らせて笑顔かな はく子
蟻の道一列渋滞通路断つ ふさこ
大物の玉虫曳きて蟻の兵 うつぎ
黒南風のめくるカーテンなぞる顔 隆松
蟻の道何処が住処か見てみたし 満天
黒蟻の運ぶ一心大きな荷 わかば
黒南風や松のよじれて竜めける なつき
黒南風にたじろぎもせぬ鬼瓦 はく子
黒南風や時報の鐘の音重し うつぎ
黒南風や日がな山鳩鳴き交す うつぎ
鱗溢る翅運ばれたり蟻の道 隆松
蟻の列水一滴に乱れをり 明日香
黒南風や鬱々として海眺む わかば
黒南風や今着きたるとライン来る あひる
蟻のぼる国宝楼門大柱 よし子
黒南風や砲台跡のある浜辺 わかば
黒南風や沖の明るき室戸岬 よう子
黒南風の墨痕めきし潮目かな みのる
餌の逃げて四分五裂す蟻の列 せいじ
黒南風や換気の窓の薄開き 隆松
黒南風の砂浜残す波の跡 智恵子
爪弾きして二の腕の蟻打たず みのる
蟻の道外れ者あり除け者に 宏虎
夕玻璃を真っ黒に埋む羽蟻かな 智恵子
寿老神しもべの如く蟻の列 ぽんこ
行き合へば挨拶をする蟻の列 明日香
黒南風や天守より見ゆビルの街 なつき
黒南風に思はぬ大物磯に釣る 智恵子
ウォーキングたたら踏みをり蟻の列 隆松
黒南風に微動だにせぬ鷺一点 もとこ
崖っぷちも何のその蟻ただ歩み ふさこ
蟻の列年功序列あるのかな よし子
黒南風や鴉の声の甲高き ぽんこ
黒南風がなぶる小楠公の像 せいじ
駅出でて雲迫り来る黒南風に 満天
夜来雨蟻巣塞がれ右往左往 ぽんこ
正体のわからぬ程に蟻たかる 明日香
かよひ路を横切つている蟻の列 よし子
黒南風や入江に波の押し寄せ来 わかば
草陰の路傍は黒き蟻の道 智恵子
黒南風に声くぐもりぬ街宣車 よう子
働きは嗅覚の良し夜の蟻 満天
黒南風に軍艦島のゆるぎなし はく子
帆と見しは蟻の運べる蝶の翅 みのる
水路閣レンガの蟻の無重力 よう子
黒南風が吹き風見鶏立ち我慢 宏虎
万倍の百足に迫る千の蟻 せいじ
黒南風や降らず終ひの一日なる うつぎ
玉砂利の波に呑まれし蟻一匹 よう子
黒蟻の迷子めきたる塀の上 あひる
黒南風の漁港に船の軋む音 みのる
黒南風やゴルフ帰りの皆多弁 こすもす
雨の日も蟻は軒端に道づくり みのる
忙しなくせかせか蟻の右往左往 こすもす
吾子悲壮飴玉落とし囲む蟻 ふさこ
蟻の列関守石に関はらず はく子
手帚を逃れ蟻這ふ三和土かな よう子
黒南風やカラオケハウス大賑わい こすもす
黒南風の淀の川波尖らせて はく子
新聞の二面に潜む黒き蟻 素秀
黒南風や駅まで続く石の道 あひる
堂縁の節穴回る蟻の列 なつき
黒南風や東京タワーのエレベーター よし子
蟻の引く馬鹿でかい物縦横に 宏虎
黒南風や沈む街なか赤い傘 もとこ
黒南風や不眠続きに呆けたり もとこ
廃線の錆し鉄路や蟻の塔 智恵子
蟻の列獲物を前に入り乱れ ぽんこ
黒南風や岬に草の波立ちて 素秀
音あらば軍靴の音や蟻の列 うつぎ
黒南風やチャンネル変えてまた変えて 隆松
子の落とす飴に乱れる蟻の道 素秀
泥だんごの並べてありし蟻の道 なつき
逸れる事たまには良いぞ蟻の列 もとこ
黒南風の町を何度も救急車 満天
黒南風やスローペースとなる山路 せいじ
先導の指揮に従ひ夜の蟻 満天
お互いに結構交はす蟻の道 宏虎
黒南風や手づくりフェスタ超満員 こすもす
黒南風の狼藉しるき曲輪跡 せいじ
道祖神一緒に参る蟻の列 ぽんこ
ハイキング蟻の修羅場を通り過ぎ あひる
大蟻の影渡りゆく窓の桟 素秀
黒南風や須磨も明石もうち暗み よし子
黒南風やゴルフ帰りは皆寡黙 こすもす
黒南風や校舎にこもる音合わせ もとこ
黒南風や南半球ふと思ふ 明日香
黒南風に息き吹き返す水道水 ふさこ
行き先のうやむやとなり蟻の列 あひる
黒南風を吸込み河馬の大あくび 素秀

2022年5月31日

一雨に明るくしだれ花卯木 わかば
公園の予期せぬ出会い花卯木 ぽんこ
挿木なるうつぎの今や花万朶 あひる
大原女の茶屋に休みし緑雨かな 智恵子
山路きて卯の花腐しな滑りそ 明日香
緑雨晴れ飛び出す猫に連れのあり 智恵子
山降りるリュックは重し緑雨かな 豊実
忽ちに靄る吉野の緑雨かな みのる
緑雨とも慈雨とも言ひし今朝の雨 明日香
つぎつぎと咲きてこぼるる卯の花に 満天
老の背に卯の花まひて風去りぬ ふさこ
卯の花や植物園の清掃日 豊実
道の駅鯉のオブジェに緑雨かな こすもす
グラデーションなして卯の花枝垂れをり こすもす
磔像のイエスに窓の緑雨かな みのる
茅屋根の雫の光る緑雨かな なつき
治兵衛なる庭師手植えの花うつぎ もとこ
百選の並木に艶や緑雨朝 隆松
尼寺に大樹はあらず花卯木 なつき
緑雨して一人の午後の安らげり あひる
川床の卓片されて緑雨来る もとこ
積上げし腐葉土濡らす緑雨かな 豊実
卯の花や峠越えくる薬売り 素秀
横たはる仔牛緑雨に瞬けり なつき
一宿は緑雨の森の修道院 あひる
澎湃と庵を包む緑雨かな せいじ
水溜まり跳べずびしゃぬれ緑雨あと ふさこ
公園の遊具鮮やか緑雨中 満天
卯の花の紅変まさに盛衰記 せいじ
箱根卯木白から赤へ変身す はく子
卯の花や水なみなみの水車あり 宏虎
警備員の背に隠れいる花卯木 ぽんこ
石垣の卯の花伝ふ山の水 素秀
顔上げて緑雨を受ける露天風呂 素秀
買ひ出しは卯の花の道ダム湖畔 よう子
卯の花やさらさら流る小川かな はく子
一山の中の丹の橋緑雨中 わかば
緑雨いまバスは吉野の杉美林 みのる
緑雨来て緑を更に深めけり 宏虎
生垣は一直線に花卯木 わかば
函嶺に抱かれ薫る紅空木 智恵子
沈黙の庭に続きし緑雨かな あひる
緑雨きて静まり返る町ひとつ 満天
通過車の次々煽る花空木 隆松
水路閣緑雨にレンガいよよ濃し よう子
卯の花や寡黙な女将ただ坐して もとこ
緑雨来て色濃くなりし苔の庭 せいじ
住宅街卯の花垣のバーベキュー 宏虎
卯の花や庭に雀の水浴び場 なつき
門川に卯の花散らす風少し はく子
渡月橋緑雨に傘のモデル嬢 かかし
花言葉は「秘密」卯の花は真白 はく子
本堂の広縁ぬらす緑雨かな せいじ
信号待ち卯の花迫る車窓かな よう子
街道に沿ふて卯の花なだれ咲き 隆松
緑雨なか客待ち顔の遊び舟 もとこ
旅鞄緑雨の路地にローラー音 素秀
卯の花や芝生広場の散水栓 豊実
卯の花や孫に出す手は皺だらけ ふさこ
夏の雨恋人同志仲の良し 宏虎
緑雨てふ雨と思へば傘楽し 明日香
昼灯す山門くぐる緑雨かな なつき
緑雨なか蕎麦屋の軒に雨宿り 智恵子
研修の雨プロを練る緑雨かな 豊実
白壁も濡れる城趾の緑雨かな こすもす
ゆつくりと森の小径や緑雨中 わかば
玻璃戸越し歪む灯籠緑雨かな よう子
卯の花の白く浮かぶや夕月に 満天
卯の花やしゆんれい道と道しるべ 隆松
緑雨去り洗はれ聳ゆ鷹峯 もとこ
スキップす緑雨に傘の下校生 かかし
大阪も大気烟れる緑雨かな ぽんこ
卯の花や此処より京は一里塚 かかし
伸び放題手入れ怠る花空木 ぽんこ
卯の花の小窓に匂ふ厠かな 智恵子
しがらみに鬩ぐ卯の花腐しかな みのる
豪邸や庭に郷土の名のうつぎ よう子
卯の花や紅白に彩変わりたり 明日香
水色の夏の雨降る山の宿 ぽんこ
山路来て卯の花灯りそこここに 明日香
緑雨降る一人ぼっちの鐘つかん 宏虎
緑雨やみメタセコイヤの並木道 はく子
緑雨来て路面に映る並木色 隆松
緑雨やみ静かに煙る峡の村 ふさこ
塔頭の鎖樋より緑雨おつ わかば
卯の花や車窓スレスレに枝垂れ こすもす
門川の鯉に卯の花腐しかな みのる
緑雨てふ相合傘で絵馬掲ぐ かかし
地境のうつぎに両家和みけり あひる
ガレージの我を見送る花うつぎ せいじ
容赦なく雨満開の卯の花に 満天
無住寺の猫出入り口花卯木 かかし
一輪挿し濡らし緑雨のカフェテラス 素秀

2022年4月30日

三線の島唄ゆるり春深し もとこ
童心にかえりテラスにしゃぼん玉 智恵子
春深し園に散らばる豆画伯 智恵子
すぐ割れて石鹸だらけしゃぼん玉 よう子
麦藁の裂けたら終わるしゃぼん玉 たか子
汝が肩にあご載せて吹くしやぼん玉 みのる
追いつかず石鹸玉割れ水となり ふさこ
しゃぼん玉五歳の頃のアルバムを かかし
長さよし麦わらストローしゃぼん玉 よう子
しゃぼん玉吹く妹の母似かな よう子
シャボン玉つかみどころのなき話 みづき
お隣の犬小屋越ゆるしゃぼん玉 なつき
朱の鳥居更地に残し春闌ける 素秀
しやぼん玉はじけ広ぐる空真青 更紗
しゃぼん玉吹く子追ふ子や浦の路地 やよい
寒暖の激しくなるや春深し 明日香
夫に茶を汲みて二人や春深む 更紗
四方の山色濃くなりて春深し 満天
七色に膨らむ夢やしやぼん玉 わかば
玻璃窓に木洩れ日眩し春闌ける かかし
春闌けて百鳥声をひそめけり みのる
しゃぼん玉吹く児の頬もしゃぼん玉 ふさこ
春深し曾孫活発吾坐る 宏虎
振り向きし児の瞳かがやくしゃぼん玉 なつき
春深し風と戯むるなぞへかな 明日香
エアコンのリモコン転げ春深し 豊実
せせらぎも植物園の春深し わかば
引っ越しの車次々春深し 明日香
春深し意識したるは水制限 隆松
野の花も移り初むなり春闌ける 智恵子
界隈の色素集めてしゃぼん玉 たか子
病室は色無く音無く春深む たか子
しゃぼん玉吹きだす器械きりもなく はく子
しゃぼん玉弾ける国の名はおろしゃ 素秀
春闌や右手も左手も桜色 隆松
少年の声はソプラノ春深し 素秀
春深し香のけぶりし中山寺 ふさこ
春深む水琴窟の呂に律に みのる
しゃぼん玉幼女掴み損こねたり 宏虎
春深し町内会の掲示板 豊実
老耄は慎重そっと石鹸玉 もとこ
しゃぼん玉飛ぶ七色の風生まる 満天
春深し山路の色のいやまさる わかば
しゃぼん玉もっと大きく大きくと 明日香
UFOと呼んで追ひかくしやぼん玉 なつき
絵本作家のモデルとなりぬしゃぼん玉 やよい
春更くや諸鳥頻り森の中 わかば
隣までふありと入りぬしゃぼん玉 ふさこ
春深し花屋の百花匂ひ立つ せいじ
壊し屋は疲れ知らずよしゃぼん玉 なつき
遺りたるCT画像春深し うつぎ
春深し母の喃語に耳を寄せ 更紗
しやぼん玉吹くや堤の母子連れ 隆松
拝観の締めはざるそば春深し せいじ
二合飯余し二人の春更ける 素秀
底刮ぐピンクのボトルしゃぼん玉 豊実
七色の小さき世界しゃぼん玉 ぽんこ
しやぼん玉七色玉の小宇宙 隆松
しゃぼん玉ぱくつく犬の鼻に爆ぜ 智恵子
児の吹きししゃぼん玉追ふ父母の笑み かかし
春深し写真見ながらつぶやきぬ 宏虎
一息で百の生まるるしゃぼん玉 はく子
スーパーのポイント集め春深し こすもす
髪の毛に半分残るしゃぼん玉 こすもす
石鹸で手はコテコテのしゃぼん玉 豊実
湯煙の露天につかリ春遅し 宏虎
たどたどしシニア連弾春深し もとこ
しゃぼん玉五色の泡の空に舞ふ かかし
春深し欠伸噛みしめ法話聴く ふさこ
母吹けば子ら大騒ぎしやぼん玊 あひる
春深し老犬眠る香具師の膝 なつき
仏堂に仄かな明かり春深し みづき
しやぼん玉消えて泣き出す赤子かな せいじ
春深し衣擦れ聞ゆ菩薩かな もとこ
すぐ消ゆるもののひとつにしゃぼん玉 はく子
諸手あげ駈くる幼やしゃぼん玉 やよい
春深し屋敷跡には大き石 素秀
しゃぼん玉高く何処まで七色に 満天
ストローの先で破裂やしやぼん玊 あひる
病窓のいびつな空や春深む たか子
七色に息を包みぬしゃぼん玉 うつぎ
オルガンの余韻校舎に春深し やよい
垣根越え隣より来るしゃぼん玉 うつぎ
しゃぼん玉吹ひて笑顔の腕白児 満天
しゃぼん玉吹く子壊す子役目あり たか子
儚きを空に広げてしやぼん玉 わかば
公園の木木のざわめき春深し 満天
ママの留守時間繋ぎのしゃぼん玉 こすもす
春深しひとり聴く夜のブラームス みづき
朝食抜き定期健診春深し よう子
一斉に兄弟の飛ぶしゃぼん玉 ぽんこ
引力に抗する如くしゃぼん玉 かかし
二階より覗く爺ヘしゃぼん玉 智恵子
予定表次々埋まり春深む こすもす
生まるるは消ゆる定めのしゃぼん玉 はく子
春深む色濃くなりし影法師 せいじ
しやぼん玉二足立ちして猫パンチ みのる
雑草の伸び放題や春深む ぽんこ
妹が吹けば姉もとしやぼん玉 更紗
広前の白き玉砂利春深し あひる
しやぼん玉丸くならんと武者震ひ みのる
校庭に小さき恋らししやぼん玊 あひる
外出の母の後追ふしゃぼん玉 うつぎ



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