柔らかき丸葉に淡き萩の花 | 豊実 |
萩揺れてこれから幕のあがる如 | 明日香 |
終戦日不戦の誓ひ今一度 | 明日香 |
憲法の礎となれ終戦日 | みのる |
かの年に生れしも喜寿や終戦日 | せいじ |
匍匐する演習場や終戦日 | 隆松 |
グアム島も祖父も知らずや終戦日 | あひる |
写経する萩咲く庭に目を休め | みづき |
心字池に花びら零す萩の彩 | わかば |
蹲も筧も萩の花まみれ | うつぎ |
全開の寺の門より萩の風 | せいじ |
空木箱迎へし祖母の終戦日 | もとこ |
ラジオ聴く正午気になる終戦日 | ふさこ |
道標はガードレールの萩の花 | 豊実 |
岸壁に静かな波の終戦日 | みづき |
ひと気なき生家の庭や萩垂れて | みづき |
紙芝居白寿の語る終戦日 | かかし |
奔放に乱れ合う萩風任せ | ふさこ |
みのむしの萩衣などつけてをり | 明日香 |
終戦日レイテで死んだ叔父ふたり | 明日香 |
ウォーキング名所にあらぬ萩の道 | 隆松 |
雨意兆す風に萩叢寧からず | みのる |
通り雨暑さの増せる終戦日 | なつき |
終戦日いつですかと問ふインタビュー | よう子 |
師の句碑へ存問の吾へこぼれ萩 | みのる |
風吹けば結界超ゆるこぼれ萩 | なつき |
萩の枝神籤結ぶに余地は無し | ぽんこ |
紅白の萩の細かにしじみ蝶 | はく子 |
終戦っ子と呼ばれし我等も喜寿迎ふ | こすもす |
初萩に誘はれバスを途中下車 | かかし |
祖父のこと語る母亡き終戦日 | あひる |
訓練に遺書も書きたり終戦日 | 隆松 |
終戦日写真の祖母はセピア色 | 豊実 |
軍人と呼ばれぬ国の終戦日 | 素秀 |
すでに父の戦死も知らず終戦日 | ぽんこ |
鐘の音に争ひ無きと終戦日 | 満天 |
祖父と孫あまりに違ふ終戦日 | ふさこ |
母逝きて戦災孤児の幕を閉ず | あひる |
祖父のこと呟く父や終戦日 | 豊実 |
アルバムのもんぺの母や終戦日 | よう子 |
予科練の手紙抱きしめ終戦日 | 智恵子 |
境内が萩原と化す一寺院 | せいじ |
疎開先母に背負われ敗戦日 | ぽんこ |
幸せとつぶやく母の終戦日 | せいじ |
萩日和和尚も客も名残惜し | もとこ |
萩刈られ残りの葉陰雨の粒 | ぽんこ |
平和世のすいとん旨し終戦日 | もとこ |
サイレンに手を止めにけり終戦日 | せいじ |
石舞台緞帳の如萩群れて | 明日香 |
熱々の夕刊届く終戦日 | みづき |
吾も老い住みよい平和終戦日 | 宏虎 |
親子にて投句に挑む萩日和 | かかし |
育休のパパ乳母車終戦日 | かかし |
箸置きて黙祷一分終戦日 | こすもす |
左右より長き石段萩垂るる | 満天 |
白萩にさす薄紅のいとけなし | わかば |
足音をかき消し萩の風通る | 素秀 |
夕風を纏ひて萩の散り急ぐ | はく子 |
萩の塵風に掃かれて片寄りぬ | うつぎ |
盗人萩ひっつき虫にならないで | 豊実 |
乱れ萩光悦垣を越え零す | わかば |
萩揺らす風の大波小波かな | みのる |
ハンカチでくたくた扇ぐ終戦日 | なつき |
船沈む碧き海揺れ敗戦忌 | もとこ |
乱れ萩かき分け友に追いつけり | こすもす |
戦中派なれど終戦日を知らず | みのる |
先達の導き楽し萩の寺 | もとこ |
江ノ電を降りて白萩待つ古刹 | 智恵子 |
八十路我も戦は知らず終戦日 | はく子 |
アルバムの祖父の凛々しき終戦日 | あひる |
七つボタン光る遺影や終戦日 | 智恵子 |
敗戦忌掩体壕に月上ぐる | 素秀 |
終戦日わからぬままにラジオ前 | わかば |
足早の法衣の風や萩こぼつ | よう子 |
終戦日背ナに傷ある父の「野火」 | よう子 |
萩はまだ蕾の多し満中陰 | 素秀 |
抱き寄せて又抱き寄せて萩括る | うつぎ |
垣根越し一枝切りて萩盗人 | ふさこ |
こぼれ萩瓶の目高を騒がしぬ | うつぎ |
閑かさや萩の垣根の茶屋の跡 | 隆松 |
終戦日高校野球佳境入 | かかし |
祖父死せど血は脈々と終戦日 | あひる |
世界まだ争ひ続く終戦日 | 満天 |
靴紐をキュッと結びし終戦日 | よう子 |
子のなぜにつまる八月十五日 | なつき |
名にし負ふ句碑歌碑いくつ萩の寺 | はく子 |
終戦日七十余年過ぎにけり | 宏虎 |
高瀬川灯点る流れ萩垂れて | みづき |
汁物にこねた水団敗戦日 | ぽんこ |
防災無線の合図で黙祷終戦日 | こすもす |
体験を昨日のごとく終戦日 | 満天 |
戦争は地獄と一言終戦日 | 智恵子 |
鎮魂の祈り新たに終戦日 | わかば |
語り部に耳かし涙敗戦日 | ふさこ |
白菊の帰らぬ海や敗戦日 | 素秀 |
萩見せむ絵図の名所に丸印 | 隆松 |
センターライン歩く鴉や終戦日 | なつき |
紅白の萩石磴に花の寺 | 智恵子 |
萩の寺勝手知りたるお墓かな | 宏虎 |
終戦日国旗掲揚平和御代 | 宏虎 |
2022年7月31日 | |
団扇には祓の一字白抜きで | 明日香 |
ハンググライダーふわりと浮かぶ盛夏かな | あひる |
ご贔屓に舞子贈るる京団扇 | もとこ |
竈門には赤き大きな渋団扇 | たか子 |
盛夏にもダッシュ百段部活生 | かかし |
手に少し重たき団扇棕櫚細工 | たか子 |
真夏日や勝利の声の波となる | わかば |
湯上がりで良い格好の団扇かな | 宏虎 |
ラジオ体操終へて鳥語や団扇風 | かかし |
状差しの上は団扇の定位置に | 素秀 |
盛夏なるホームの雀口で息 | 明日香 |
客迎へ縁台に置く渋団扇 | ふさこ |
お土産は鯛焼き盛夏の祭りの夜 | こすもす |
いたずらの赤のペディキュア夏盛り | ぽんこ |
粋気取り帯に差したる色団扇 | 隆松 |
配られし団扇の裏の屋号かな | よう子 |
絵団扇のミニーマウスの元気かな | あひる |
持て遊ぶ稚児持つ団扇ふにゃふにゃと | ふさこ |
鮨飯や拙き団扇お手伝い | よう子 |
枕元の昔昔の奈良団扇 | こすもす |
江戸団扇美人引き立て額の中 | ふさこ |
水遣りは早朝五時の盛夏かな | あひる |
寝室にも厨にもある団扇かな | こすもす |
美人画の団扇の風をゆったりと | はく子 |
空港の花壇は真つ赤盛夏くる | せいじ |
身を細め回転扉出る盛夏 | なつき |
野次飛ばすファンサービスの団扇手に | 豊実 |
癖の毛の言ふこときかぬ盛夏かな | あひる |
奈良団扇透かし模様の五重塔 | こすもす |
持ち替へて思ひ通りの団扇風 | 満天 |
乗換のホーム眩しき盛夏かな | 豊実 |
セールてふ赤文字踊る盛夏かな | もとこ |
団扇持て返礼述ぶる長電話 | なつき |
孫の手の代はりともなる団扇の柄 | みのる |
うたた寝に団扇の人の膝借りぬ | 隆松 |
一瞬の盛夏を走る少年よ | 素秀 |
渋団扇たたき焼鳥焼くおやじ | はく子 |
母の里従兄弟と子らの夏盛ん | 智恵子 |
膝と腰なだめなだめて盛夏過ぐ | 明日香 |
打上花火盛夏の空を彩れリ | こすもす |
雲を背に太陽の塔夏旺かん | よう子 |
みどりごの寝顔は天使白団扇 | みのる |
寿司あおぐ信金名入り古団扇 | もとこ |
ガラスビル天突き刺して真夏空 | もとこ |
商店街だらり幟の炎暑かな | よう子 |
幼子は爺に両手の団扇風 | よう子 |
湯上がりの母の手元の団扇かな | わかば |
氷水供花に手向ける盛夏かな | みのる |
遠き日の寝しなは祖母の団扇風 | ぽんこ |
広島を思ふ真夏の空青く | わかば |
乳母車夫婦で扇ぐ団扇風 | かかし |
内緒ないしょ口元隠す団扇かな | たか子 |
ジーパンの腰に団扇を踊り場へ | 満天 |
仕事師の目の赤きなり盛夏昼 | 隆松 |
うたた寝の人へ送るや団扇風 | 隆松 |
駅前で配る団扇のダンボール | 豊実 |
真夏やな肩紐跡の肌の白 | 隆松 |
野外能団扇ぱたぱた火の匂い | 宏虎 |
登り窯火入れ儀式の渋団扇 | かかし |
鉄骨の盛夏の空に吊されり | 豊実 |
内緒話し団扇の中に顔隠す | ふさこ |
菓子見せておいでおいでと団扇振り | なつき |
ジーンズのからりと乾く盛夏かな | 明日香 |
副菜は酢の香匂ふ夏盛り | ぽんこ |
団扇風膝の上にて猫眠る | かかし |
百均の団扇の骨を教材に | せいじ |
団扇風強めて飛ばす蚊の羽音 | なつき |
パレットに赤を溶かして夏旺る | 素秀 |
店先で魚焼く横渋団扇 | 満天 |
蛍光の団扇背中に走る人 | 素秀 |
裾たくり帯に団扇の辻回し | ふさこ |
練り歩くねじり鉢巻き大団扇 | 智恵子 |
遠き日の寝落ちの顔を打つ団扇 | たか子 |
入院のベッドに孫の手と団扇 | うつぎ |
商魂の溜まりに溜まる安団扇 | せいじ |
枕辺に置きて安眠団扇かな | 満天 |
ふるさとの風の匂ひや夏盛り | 智恵子 |
タクシーに飛び乗る盛夏ビルの谷 | 豊実 |
団扇の手止まると見れば鼾かな | うつぎ |
夏旺ん大泣きの子を持て余す | 満天 |
今撒きし打水乾く盛夏なり | 宏虎 |
子ら楽し片や団扇の二刀流 | せいじ |
源氏名の団扇壁埋め京割烹 | もとこ |
染みしるき俳句画讃の古団扇 | はく子 |
老どちのグランドゴルフ夏盛ん | はく子 |
高原や盛夏の空の澄み渡る | わかば |
団扇師の竹裂く速さ見惚れをり | 智恵子 |
夏旺ん浜にブーゲンビリアの緋 | せいじ |
夏盛ん掘り起こされし不発弾 | うつぎ |
黒潮を越え水平線のみな盛夏 | 素秀 |
橋脚に残る水跡夏盛ん | うつぎ |
照り返す盛夏の海や波の綺羅 | わかば |
団扇師のリズム良きかな竹を裂く | 智恵子 |
別府にてバスで貰ひし団扇かな | 宏虎 |
赤和紙の富士の切り絵の団扇かな | ぽんこ |
団扇の手休むことなく聞き上手 | みのる |
庭の木々チリチリ焼けて盛夏かな | 明日香 |
床の間に粋な団扇の古旅館 | たか子 |
七厘の今は昔の渋団扇 | ぽんこ |
ネックレスに首絞めらるる盛夏かな | なつき |
水しぶき浴びて盛夏の川下り | うつぎ |
飛行雲へなへなと消ゆ盛夏かな | みのる |
北斎の怒涛の団扇よりの風 | あひる |
団扇手に夕べ河原の二人ずれ | はく子 |
水道の水湯のごとし盛夏かな | 宏虎 |
2022年6月30日 | |
スマホの上蟻が這つてるどうしよう | 明日香 |
砂糖壺めがけて小蟻出しかな | わかば |
黒南風や秒針白き花時計 | なつき |
眺む吾子蟻の行列退屈せず | ふさこ |
黒南風や明石海峡波荒し | 宏虎 |
羅漢様蟻登らせて笑顔かな | はく子 |
蟻の道一列渋滞通路断つ | ふさこ |
大物の玉虫曳きて蟻の兵 | うつぎ |
黒南風のめくるカーテンなぞる顔 | 隆松 |
蟻の道何処が住処か見てみたし | 満天 |
黒蟻の運ぶ一心大きな荷 | わかば |
黒南風や松のよじれて竜めける | なつき |
黒南風にたじろぎもせぬ鬼瓦 | はく子 |
黒南風や時報の鐘の音重し | うつぎ |
黒南風や日がな山鳩鳴き交す | うつぎ |
鱗溢る翅運ばれたり蟻の道 | 隆松 |
蟻の列水一滴に乱れをり | 明日香 |
黒南風や鬱々として海眺む | わかば |
黒南風や今着きたるとライン来る | あひる |
蟻のぼる国宝楼門大柱 | よし子 |
黒南風や砲台跡のある浜辺 | わかば |
黒南風や沖の明るき室戸岬 | よう子 |
黒南風の墨痕めきし潮目かな | みのる |
餌の逃げて四分五裂す蟻の列 | せいじ |
黒南風や換気の窓の薄開き | 隆松 |
黒南風の砂浜残す波の跡 | 智恵子 |
爪弾きして二の腕の蟻打たず | みのる |
蟻の道外れ者あり除け者に | 宏虎 |
夕玻璃を真っ黒に埋む羽蟻かな | 智恵子 |
寿老神しもべの如く蟻の列 | ぽんこ |
行き合へば挨拶をする蟻の列 | 明日香 |
黒南風や天守より見ゆビルの街 | なつき |
黒南風に思はぬ大物磯に釣る | 智恵子 |
ウォーキングたたら踏みをり蟻の列 | 隆松 |
黒南風に微動だにせぬ鷺一点 | もとこ |
崖っぷちも何のその蟻ただ歩み | ふさこ |
蟻の列年功序列あるのかな | よし子 |
黒南風や鴉の声の甲高き | ぽんこ |
黒南風がなぶる小楠公の像 | せいじ |
駅出でて雲迫り来る黒南風に | 満天 |
夜来雨蟻巣塞がれ右往左往 | ぽんこ |
正体のわからぬ程に蟻たかる | 明日香 |
かよひ路を横切つている蟻の列 | よし子 |
黒南風や入江に波の押し寄せ来 | わかば |
草陰の路傍は黒き蟻の道 | 智恵子 |
黒南風に声くぐもりぬ街宣車 | よう子 |
働きは嗅覚の良し夜の蟻 | 満天 |
黒南風に軍艦島のゆるぎなし | はく子 |
帆と見しは蟻の運べる蝶の翅 | みのる |
水路閣レンガの蟻の無重力 | よう子 |
黒南風が吹き風見鶏立ち我慢 | 宏虎 |
万倍の百足に迫る千の蟻 | せいじ |
黒南風や降らず終ひの一日なる | うつぎ |
玉砂利の波に呑まれし蟻一匹 | よう子 |
黒蟻の迷子めきたる塀の上 | あひる |
黒南風の漁港に船の軋む音 | みのる |
黒南風やゴルフ帰りの皆多弁 | こすもす |
雨の日も蟻は軒端に道づくり | みのる |
忙しなくせかせか蟻の右往左往 | こすもす |
吾子悲壮飴玉落とし囲む蟻 | ふさこ |
蟻の列関守石に関はらず | はく子 |
手帚を逃れ蟻這ふ三和土かな | よう子 |
黒南風やカラオケハウス大賑わい | こすもす |
黒南風の淀の川波尖らせて | はく子 |
新聞の二面に潜む黒き蟻 | 素秀 |
黒南風や駅まで続く石の道 | あひる |
堂縁の節穴回る蟻の列 | なつき |
黒南風や東京タワーのエレベーター | よし子 |
蟻の引く馬鹿でかい物縦横に | 宏虎 |
黒南風や沈む街なか赤い傘 | もとこ |
黒南風や不眠続きに呆けたり | もとこ |
廃線の錆し鉄路や蟻の塔 | 智恵子 |
蟻の列獲物を前に入り乱れ | ぽんこ |
黒南風や岬に草の波立ちて | 素秀 |
音あらば軍靴の音や蟻の列 | うつぎ |
黒南風やチャンネル変えてまた変えて | 隆松 |
子の落とす飴に乱れる蟻の道 | 素秀 |
泥だんごの並べてありし蟻の道 | なつき |
逸れる事たまには良いぞ蟻の列 | もとこ |
黒南風の町を何度も救急車 | 満天 |
黒南風やスローペースとなる山路 | せいじ |
先導の指揮に従ひ夜の蟻 | 満天 |
お互いに結構交はす蟻の道 | 宏虎 |
黒南風や手づくりフェスタ超満員 | こすもす |
黒南風の狼藉しるき曲輪跡 | せいじ |
道祖神一緒に参る蟻の列 | ぽんこ |
ハイキング蟻の修羅場を通り過ぎ | あひる |
大蟻の影渡りゆく窓の桟 | 素秀 |
黒南風や須磨も明石もうち暗み | よし子 |
黒南風やゴルフ帰りは皆寡黙 | こすもす |
黒南風や校舎にこもる音合わせ | もとこ |
黒南風や南半球ふと思ふ | 明日香 |
黒南風に息き吹き返す水道水 | ふさこ |
行き先のうやむやとなり蟻の列 | あひる |
黒南風を吸込み河馬の大あくび | 素秀 |
2022年5月31日 | |
一雨に明るくしだれ花卯木 | わかば |
公園の予期せぬ出会い花卯木 | ぽんこ |
挿木なるうつぎの今や花万朶 | あひる |
大原女の茶屋に休みし緑雨かな | 智恵子 |
山路きて卯の花腐しな滑りそ | 明日香 |
緑雨晴れ飛び出す猫に連れのあり | 智恵子 |
山降りるリュックは重し緑雨かな | 豊実 |
忽ちに靄る吉野の緑雨かな | みのる |
緑雨とも慈雨とも言ひし今朝の雨 | 明日香 |
つぎつぎと咲きてこぼるる卯の花に | 満天 |
老の背に卯の花まひて風去りぬ | ふさこ |
卯の花や植物園の清掃日 | 豊実 |
道の駅鯉のオブジェに緑雨かな | こすもす |
グラデーションなして卯の花枝垂れをり | こすもす |
磔像のイエスに窓の緑雨かな | みのる |
茅屋根の雫の光る緑雨かな | なつき |
治兵衛なる庭師手植えの花うつぎ | もとこ |
百選の並木に艶や緑雨朝 | 隆松 |
尼寺に大樹はあらず花卯木 | なつき |
緑雨して一人の午後の安らげり | あひる |
川床の卓片されて緑雨来る | もとこ |
積上げし腐葉土濡らす緑雨かな | 豊実 |
卯の花や峠越えくる薬売り | 素秀 |
横たはる仔牛緑雨に瞬けり | なつき |
一宿は緑雨の森の修道院 | あひる |
澎湃と庵を包む緑雨かな | せいじ |
水溜まり跳べずびしゃぬれ緑雨あと | ふさこ |
公園の遊具鮮やか緑雨中 | 満天 |
卯の花の紅変まさに盛衰記 | せいじ |
箱根卯木白から赤へ変身す | はく子 |
卯の花や水なみなみの水車あり | 宏虎 |
警備員の背に隠れいる花卯木 | ぽんこ |
石垣の卯の花伝ふ山の水 | 素秀 |
顔上げて緑雨を受ける露天風呂 | 素秀 |
買ひ出しは卯の花の道ダム湖畔 | よう子 |
卯の花やさらさら流る小川かな | はく子 |
一山の中の丹の橋緑雨中 | わかば |
緑雨いまバスは吉野の杉美林 | みのる |
緑雨来て緑を更に深めけり | 宏虎 |
生垣は一直線に花卯木 | わかば |
函嶺に抱かれ薫る紅空木 | 智恵子 |
沈黙の庭に続きし緑雨かな | あひる |
緑雨きて静まり返る町ひとつ | 満天 |
通過車の次々煽る花空木 | 隆松 |
水路閣緑雨にレンガいよよ濃し | よう子 |
卯の花や寡黙な女将ただ坐して | もとこ |
緑雨来て色濃くなりし苔の庭 | せいじ |
住宅街卯の花垣のバーベキュー | 宏虎 |
卯の花や庭に雀の水浴び場 | なつき |
門川に卯の花散らす風少し | はく子 |
渡月橋緑雨に傘のモデル嬢 | かかし |
花言葉は「秘密」卯の花は真白 | はく子 |
本堂の広縁ぬらす緑雨かな | せいじ |
信号待ち卯の花迫る車窓かな | よう子 |
街道に沿ふて卯の花なだれ咲き | 隆松 |
緑雨なか客待ち顔の遊び舟 | もとこ |
旅鞄緑雨の路地にローラー音 | 素秀 |
卯の花や芝生広場の散水栓 | 豊実 |
卯の花や孫に出す手は皺だらけ | ふさこ |
夏の雨恋人同志仲の良し | 宏虎 |
緑雨てふ雨と思へば傘楽し | 明日香 |
昼灯す山門くぐる緑雨かな | なつき |
緑雨なか蕎麦屋の軒に雨宿り | 智恵子 |
研修の雨プロを練る緑雨かな | 豊実 |
白壁も濡れる城趾の緑雨かな | こすもす |
ゆつくりと森の小径や緑雨中 | わかば |
玻璃戸越し歪む灯籠緑雨かな | よう子 |
卯の花の白く浮かぶや夕月に | 満天 |
卯の花やしゆんれい道と道しるべ | 隆松 |
緑雨去り洗はれ聳ゆ鷹峯 | もとこ |
スキップす緑雨に傘の下校生 | かかし |
大阪も大気烟れる緑雨かな | ぽんこ |
卯の花や此処より京は一里塚 | かかし |
伸び放題手入れ怠る花空木 | ぽんこ |
卯の花の小窓に匂ふ厠かな | 智恵子 |
しがらみに鬩ぐ卯の花腐しかな | みのる |
豪邸や庭に郷土の名のうつぎ | よう子 |
卯の花や紅白に彩変わりたり | 明日香 |
水色の夏の雨降る山の宿 | ぽんこ |
山路来て卯の花灯りそこここに | 明日香 |
緑雨降る一人ぼっちの鐘つかん | 宏虎 |
緑雨やみメタセコイヤの並木道 | はく子 |
緑雨来て路面に映る並木色 | 隆松 |
緑雨やみ静かに煙る峡の村 | ふさこ |
塔頭の鎖樋より緑雨おつ | わかば |
卯の花や車窓スレスレに枝垂れ | こすもす |
門川の鯉に卯の花腐しかな | みのる |
緑雨てふ相合傘で絵馬掲ぐ | かかし |
地境のうつぎに両家和みけり | あひる |
ガレージの我を見送る花うつぎ | せいじ |
容赦なく雨満開の卯の花に | 満天 |
無住寺の猫出入り口花卯木 | かかし |
一輪挿し濡らし緑雨のカフェテラス | 素秀 |
2022年4月30日 | |
三線の島唄ゆるり春深し | もとこ |
童心にかえりテラスにしゃぼん玉 | 智恵子 |
春深し園に散らばる豆画伯 | 智恵子 |
すぐ割れて石鹸だらけしゃぼん玉 | よう子 |
麦藁の裂けたら終わるしゃぼん玉 | たか子 |
汝が肩にあご載せて吹くしやぼん玉 | みのる |
追いつかず石鹸玉割れ水となり | ふさこ |
しゃぼん玉五歳の頃のアルバムを | かかし |
長さよし麦わらストローしゃぼん玉 | よう子 |
しゃぼん玉吹く妹の母似かな | よう子 |
シャボン玉つかみどころのなき話 | みづき |
お隣の犬小屋越ゆるしゃぼん玉 | なつき |
朱の鳥居更地に残し春闌ける | 素秀 |
しやぼん玉はじけ広ぐる空真青 | 更紗 |
しゃぼん玉吹く子追ふ子や浦の路地 | やよい |
寒暖の激しくなるや春深し | 明日香 |
夫に茶を汲みて二人や春深む | 更紗 |
四方の山色濃くなりて春深し | 満天 |
七色に膨らむ夢やしやぼん玉 | わかば |
玻璃窓に木洩れ日眩し春闌ける | かかし |
春闌けて百鳥声をひそめけり | みのる |
しゃぼん玉吹く児の頬もしゃぼん玉 | ふさこ |
春深し曾孫活発吾坐る | 宏虎 |
振り向きし児の瞳かがやくしゃぼん玉 | なつき |
春深し風と戯むるなぞへかな | 明日香 |
エアコンのリモコン転げ春深し | 豊実 |
せせらぎも植物園の春深し | わかば |
引っ越しの車次々春深し | 明日香 |
春深し意識したるは水制限 | 隆松 |
野の花も移り初むなり春闌ける | 智恵子 |
界隈の色素集めてしゃぼん玉 | たか子 |
病室は色無く音無く春深む | たか子 |
しゃぼん玉吹きだす器械きりもなく | はく子 |
しゃぼん玉弾ける国の名はおろしゃ | 素秀 |
春闌や右手も左手も桜色 | 隆松 |
少年の声はソプラノ春深し | 素秀 |
春深し香のけぶりし中山寺 | ふさこ |
春深む水琴窟の呂に律に | みのる |
しゃぼん玉幼女掴み損こねたり | 宏虎 |
春深し町内会の掲示板 | 豊実 |
老耄は慎重そっと石鹸玉 | もとこ |
しゃぼん玉飛ぶ七色の風生まる | 満天 |
春深し山路の色のいやまさる | わかば |
しゃぼん玉もっと大きく大きくと | 明日香 |
UFOと呼んで追ひかくしやぼん玉 | なつき |
絵本作家のモデルとなりぬしゃぼん玉 | やよい |
春更くや諸鳥頻り森の中 | わかば |
隣までふありと入りぬしゃぼん玉 | ふさこ |
春深し花屋の百花匂ひ立つ | せいじ |
壊し屋は疲れ知らずよしゃぼん玉 | なつき |
遺りたるCT画像春深し | うつぎ |
春深し母の喃語に耳を寄せ | 更紗 |
しやぼん玉吹くや堤の母子連れ | 隆松 |
拝観の締めはざるそば春深し | せいじ |
二合飯余し二人の春更ける | 素秀 |
底刮ぐピンクのボトルしゃぼん玉 | 豊実 |
七色の小さき世界しゃぼん玉 | ぽんこ |
しやぼん玉七色玉の小宇宙 | 隆松 |
しゃぼん玉ぱくつく犬の鼻に爆ぜ | 智恵子 |
児の吹きししゃぼん玉追ふ父母の笑み | かかし |
春深し写真見ながらつぶやきぬ | 宏虎 |
一息で百の生まるるしゃぼん玉 | はく子 |
スーパーのポイント集め春深し | こすもす |
髪の毛に半分残るしゃぼん玉 | こすもす |
石鹸で手はコテコテのしゃぼん玉 | 豊実 |
湯煙の露天につかリ春遅し | 宏虎 |
たどたどしシニア連弾春深し | もとこ |
しゃぼん玉五色の泡の空に舞ふ | かかし |
春深し欠伸噛みしめ法話聴く | ふさこ |
母吹けば子ら大騒ぎしやぼん玊 | あひる |
春深し老犬眠る香具師の膝 | なつき |
仏堂に仄かな明かり春深し | みづき |
しやぼん玉消えて泣き出す赤子かな | せいじ |
春深し衣擦れ聞ゆ菩薩かな | もとこ |
すぐ消ゆるもののひとつにしゃぼん玉 | はく子 |
諸手あげ駈くる幼やしゃぼん玉 | やよい |
春深し屋敷跡には大き石 | 素秀 |
しゃぼん玉高く何処まで七色に | 満天 |
ストローの先で破裂やしやぼん玊 | あひる |
病窓のいびつな空や春深む | たか子 |
七色に息を包みぬしゃぼん玉 | うつぎ |
オルガンの余韻校舎に春深し | やよい |
垣根越え隣より来るしゃぼん玉 | うつぎ |
しゃぼん玉吹ひて笑顔の腕白児 | 満天 |
しゃぼん玉吹く子壊す子役目あり | たか子 |
儚きを空に広げてしやぼん玉 | わかば |
公園の木木のざわめき春深し | 満天 |
ママの留守時間繋ぎのしゃぼん玉 | こすもす |
春深しひとり聴く夜のブラームス | みづき |
朝食抜き定期健診春深し | よう子 |
一斉に兄弟の飛ぶしゃぼん玉 | ぽんこ |
引力に抗する如くしゃぼん玉 | かかし |
二階より覗く爺ヘしゃぼん玉 | 智恵子 |
予定表次々埋まり春深む | こすもす |
生まるるは消ゆる定めのしゃぼん玉 | はく子 |
春深む色濃くなりし影法師 | せいじ |
しやぼん玉二足立ちして猫パンチ | みのる |
雑草の伸び放題や春深む | ぽんこ |
妹が吹けば姉もとしやぼん玉 | 更紗 |
広前の白き玉砂利春深し | あひる |
しやぼん玉丸くならんと武者震ひ | みのる |
校庭に小さき恋らししやぼん玊 | あひる |
外出の母の後追ふしゃぼん玉 | うつぎ |