卒業の参考の一歩身を粉なに | 宏虎 |
リモコンの転がる音や春炬燵 | 豊実 |
置いてあるだけで気の済む春炬燵 | わかば |
仕舞いかね夫にも問ふて春炬燵 | 小袖 |
夕飯につい離せずに春炬燵 | 小袖 |
2023年1月31日 | |
水面に鳥のまどろむ冬麗 | ぽんこ |
助手席の水仙誰に野菜売り | よう子 |
水仙花コップに活けて二人卓 | かかし |
潮分ける斜面に沿うて野水仙 | たか子 |
起伏野を埋め尽くして水仙花 | せいじ |
水仙の活けて姿勢のただしけり | もとこ |
岸壁の波頭激しや水仙花 | かかし |
冬うららテニスコートを駆ける女 | 智恵子 |
校庭にドッチボール冬霞 | 智恵子 |
冬麗の空を広げる枝払い | 豊実 |
車椅子二人笑顔や冬麗 | 満天 |
風駈ける丘に叢なす水仙花 | ぽんこ |
水仙と錆の匂ひの鐵工所 | 素秀 |
水仙の自由気ままな空地かな | あひる |
園児等の黄青帽子冬麗 | 満天 |
冬うららいっしょう懸命乳飲む子 | はく子 |
玄関の赤き長靴今年初 | こすもす |
雨風に育つ岩間の野水仙 | わかば |
冬うらら鋏のはづむ庭仕事 | 明日香 |
日差し浴ぶ亀石の目や冬うらら | 明日香 |
冬うらら広場のからくり時計台 | みづき |
なだれ咲く水仙郷に香の溢る | わかば |
冬麗や深き眼指し妻老いぬ | 宏虎 |
野良猫と目の合う玻璃戸冬うらら | よう子 |
冬うらら珈琲香る寺の市 | なつき |
手の届きさうな雲あり冬うらら | あひる |
雪中花飛び石の間に群れ咲きて | 智恵子 |
冬麗や水陽炎して浮御堂 | うつぎ |
草刈つて水仙残るなぞへかな | 明日香 |
水仙の美人こうべを垂れており | ぽんこ |
野水仙波音激し日本海 | みづき |
水仙が咲かば墓前へ母訪はな | うつぎ |
冬麗や湾の抱かふ真珠筏 | もとこ |
街路樹の微かな動き冬麗 | 満天 |
水仙の俯きかげん夢路風 | たか子 |
植木屋に踏まれし水仙花もたぐ | うつぎ |
重たげや地面すれすれ水仙花 | こすもす |
冬麗おふくろの味手ばかりに | ふさこ |
水仙や背筋の美しき人想ふ | たか子 |
飼い犬に帽子かぶせて冬うらら | 明日香 |
汐風に揺れ通しなり水仙郷 | はく子 |
山の音川音も変はり冬うらら | みづき |
冬うらら一枚脱ぎてウォーキング | こすもす |
群れて咲く水仙の白ひびきあい | 宏虎 |
野水仙一輪摘みて母の元 | 智恵子 |
冬麗やボトルシップのマスト立て | 素秀 |
もののふの気概に立ちぬ水仙花 | 素秀 |
冬麗や太平洋に臨む丘 | せいじ |
冬麗の京見晴るかす峠茶屋 | あひる |
紺碧の海に展けし水仙郷 | せいじ |
冬麗大橋潜るポンポン船 | わかば |
香強すぎ好まざるなり雪中花 | ふさこ |
今年又水仙群れ咲くひと処 | はく子 |
群青の海へとなだる野水仙 | せいじ |
鶴首の一輪水仙背を正す | 満天 |
朝凪のヨットハーバー冬うらら | 豊実 |
冬うらら農具手入れに腕捲り | かかし |
金網のなぞえに凭れ水仙花 | ぽんこ |
水仙郷ただいま五分と写メ送り | ふさこ |
冬うららベンチに句帖広げもし | よう子 |
冬うらら赤児の小さき欠伸かな | こすもす |
水仙郷海風吹かば香にむせる | 智恵子 |
楼門に鳩の並べり冬うらら | なつき |
海風のままに水仙傾れ咲く | よう子 |
水仙や雪の褥に伏してをり | あひる |
冬うらら犬も乗りをる渡し船 | かかし |
隣家との境界線や水仙花 | なつき |
国生みの島の果てなる水仙郷 | せいじ |
一本でも玄関満たす水仙香 | 明日香 |
冬うららぽっぽぽっぽと鳩時計 | はく子 |
冬麗の比叡おがみて朝始む | もとこ |
小物買ひもらふ福銭冬うらら | なつき |
水仙や薩摩切子の彫り深し | みづき |
魚信待つ野池の土手の水仙花 | 豊実 |
石臼は水仙の盤祖谷の宿 | よう子 |
冬麗や老舗ののれん奈良町に | みづき |
水仙や小暗き森の道標 | あひる |
冬うらら二人見せあうハートくじ | なつき |
松の木の影に水仙香で知らせ | ふさこ |
一本の水仙卓におばんざい | もとこ |
冬麗煌めきて波打ち寄せる | わかば |
冬麗や動かぬ如く雲じっと | 宏虎 |
冬麗に汽車ひた走る海真下 | もとこ |
水仙や海荒るる日の香の深く | わかば |
パソコンの卓上の瓶水仙花 | 宏虎 |
司会者の机上まっすぐなる水仙 | こすもす |
束となり水仙土手に香を放つ | ふさこ |
水仙の土手競ひ咲き眩しけり | 満天 |
冬うらら遊具のペンキ塗り終わる | たか子 |
冬うらら焼き立パンの香持ち帰る | はく子 |
磨硝子ダイヤ光や冬うらら | ぽんこ |
誰の活けし無人駅舎の水仙花 | かかし |
式場の白いチャペルや冬うらら | 豊実 |
木喰仏にハグを許され冬うらら | うつぎ |
冬麗の窓の結露の乾き行く | 豊実 |
冬うらら鼻擦り付ける檻の虎 | 素秀 |
鶴首の花瓶に匂ふ黄水仙 | たか子 |
水仙の崖の近くは石仏 | 宏虎 |
水仙の野菜に並ぶ道の駅 | うつぎ |
水仙の黄は断ち割りしゆで卵 | 素秀 |
2022年12月31日 | |
寄せ植に藪柑子添へ床の間に | かかし |
年用意納戸整理に通信簿 | かかし |
公園の花壇整へ年用意 | 満天 |
庭の手入れ草引き辛し年用意 | 宏虎 |
厨にて第九を耳に年用意 | かかし |
慎ましく暮らす偕老藪柑子 | あひる |
数の子は必須アイテム年用意 | せいじ |
年ごとに減らしてゆくや年用意 | 満天 |
すぐに名の出て来ぬ花や藪柑子 | こすもす |
形良くもちの木剪られ年用意 | なつき |
年々と掃除も手抜ぬき年用意 | 宏虎 |
烏克蘭に平和よ来たれ藪柑子 | せいじ |
来客の土産の用意年用意 | 明日香 |
竹藪の日差しの中に藪柑子 | みづき |
山鳩の思わぬ近さ藪柑子 | 素秀 |
とりどりの電池揃へて年用意 | 満天 |
手始めに祝い箸買ふ年用意 | あひる |
一合の酒仏壇に年用意 | なつき |
木洩れ日にひっそり点る藪柑子 | 満天 |
移植して祈りを込める藪柑子 | 豊実 |
エヤコンを新しく変え年用意 | ぽんこ |
年用意食器のスポンジも新た | せいじ |
食材のカタログ捲る年用意 | 豊実 |
留守番の二人の為の年用意 | こすもす |
ゴミ出し日今日最終や年用意 | こすもす |
出しゃばらぬかく有りたしや藪柑子 | もとこ |
年用意暦と日記買ひに行く | 明日香 |
冷凍庫空けて買ひ出し年用意 | なつき |
満杯のダストボックス年用意 | 豊実 |
出句日やほったらかしの年用意 | よう子 |
跳ね上がる髪をカットす年用意 | ぽんこ |
喪の家の掃除だけはと年用意 | うつぎ |
洋館のリースとなるや藪柑子 | 隆松 |
朽ち堂を囲むが如し藪柑子 | 隆松 |
湯治場は坂のまちなり藪柑子 | みづき |
手渡しの新札揃へ年用意 | もとこ |
赤き実の名前を聞けば藪柑子 | 素秀 |
子等の来る日にち決めるも年用意 | 明日香 |
顔浮かべ袋選ぶも年用意 | もとこ |
藪柑子精一杯の実を二つ | はく子 |
ごく簡に一人暮らしの年用意 | はく子 |
辻地蔵堂も磨かれ年用意 | はく子 |
捨てるもの捨てて身軽や年用意 | わかば |
福引に暫し息抜く年用意 | かかし |
手伝ひをせぬ子叱られ年用意 | あひる |
計画表通りにいかぬ年用意 | こすもす |
数多なる妻の小言や年用意 | 隆松 |
どことなくせわしき日びや年用意 | みづき |
藪柑子人に知られず身を隠す | うつぎ |
子らの顔思い浮かべて年用意 | わかば |
年用意ちちはは在りし日を思ふ | みづき |
灰色に紅一点や藪柑子 | ぽんこ |
大樹めくミニ盆栽の藪柑子 | あひる |
千両より万両よりも藪柑子 | うつぎ |
次つぎとパーマを頼む年用意 | ぽんこ |
この子等がいての我が庭藪柑子 | うつぎ |
小流れの木蔭点々藪柑子 | わかば |
エレベーター狭しとカート年用意 | よう子 |
走り根に隠れて赤き藪柑子 | 素秀 |
尼寺の砂利道出れば藪柑子 | みづき |
十両と聞くや二度見す藪柑子 | 明日香 |
日を受けて赤を主張の藪柑子 | わかば |
蒲鉾の厚みを聞くも年用意 | 素秀 |
トランプの流行りのアニメ年用意 | なつき |
おせち料理買い占めしたり年用意 | 宏虎 |
をちこちに鳥の恵みの藪柑子 | かかし |
氏神の裏は木漏れ日藪柑子 | よう子 |
刈り上げの首撫で上げる年用意 | 豊実 |
藪柑子千両万両見上げてる | はく子 |
年用意無理するでなく心こめ | わかば |
子に倣ふ簡単レシピ年用意 | よう子 |
雲間より一閃届く藪柑子 | 明日香 |
最終のゴミ出し走る年用意 | もとこ |
二人居や雰囲気だけの年用意 | 隆松 |
踏み入れば杜の灯や藪柑子 | あひる |
年ごとに娘が音頭取る年用意 | せいじ |
娘等が来て賑やかに年用意 | 宏虎 |
仏花にも一枝添へる藪柑子 | 満天 |
路地奥の呑み屋灯して藪柑子 | もとこ |
鉢花の整理をするも春支度 | はく子 |
参道の掃き跡清し藪柑子 | 豊実 |
胃薬の予備確かむる年用意 | なつき |
下校子の束で道草藪柑子 | せいじ |
宣伝のカレンダー掛け年用意 | 隆松 |
古い器具出さず普段の年用意 | 宏虎 |
寄植の仕上げに添える藪柑子 | こすもす |
前栽の隅を許され藪柑子 | うつぎ |
駅裏を流し歩きて年用意 | 素秀 |
石段を避けて遠道藪柑子 | よう子 |
植木鉢移動さすのも年用意 | ぽんこ |
2022年11月30日 | |
茶の花てこれがそうかと旅の人 | 隆松 |
茶の花の葉は薬なり祖母伝へ | ふさこ |
茶の花や利休自刃の供養塔 | かかし |
落日にかがよひ初めしお茶の花 | あひる |
凩や大聖堂の鐘遥か | 豊実 |
黄にあらず金色の蕊お茶の花 | こすもす |
凩やからくり時計の五時の鐘 | 豊実 |
木枯しに高舞ふ外れ馬券かな | みのる |
凩に旅の地酒を酌む夜かな | みづき |
凩を押しのけ通過列車かな | うつぎ |
凩や木の葉落として逃げにけり | 宏虎 |
木枯らしや夕べの鐘の遠くより | みづき |
茶の花の目線の先に流れ橋 | せいじ |
我も張らず求めもせずにお茶の花 | もとこ |
店先に茶の花咲かせ宇治の茶舗 | はく子 |
石橋の袂に香るお茶の花 | 智恵子 |
茶の花や家の主は婿養子 | 豊実 |
何処からか聞こゆ羽音やお茶の花 | よう子 |
恙なく地味な暮らしやお茶の花 | ぽんこ |
木枯やイヤホン耳に押し込めり | なつき |
茶の花や教会ミサの始まりぬ | 宏虎 |
尼寺の垣根めぐらすお茶の花 | みづき |
凩に鎮守の杜の騒ぎ初め | あひる |
茶の花の一輪清し長戸門 | 素秀 |
木枯しやチェンバロはバッハ奏づる | よう子 |
茶の花や一喜一憂の夜終わりぬ | ふさこ |
凩や何でも値上げ戦争で | 宏虎 |
茶の花の囲む寺院の鐘の音 | かかし |
茶の花の零す明るき籬かな | わかば |
木枯に往復ビンタされたかに | なつき |
茶の花やここにも家があった筈 | うつぎ |
山里の静かな駅舎お茶の花 | みづき |
黄の餡のおまんじゆう否お茶の花 | みのる |
枯色の土手を木枯し吹きすさぶ | なつき |
茶の花や母のいた頃思ひ出す | 明日香 |
凩や着地の鴉勇み足 | かかし |
凩や夕日呑み込む河口堰 | 素秀 |
茶の花の咲く道静か空の青 | 満天 |
木枯しや本うず高く部屋篭り | もとこ |
丘丘とうねり続くやお茶の花 | 隆松 |
凩に微動だにせぬ関門橋 | せいじ |
木枯やガラス戸ノック目覚めんと | ぽんこ |
木津川の河川敷なるお茶の花 | せいじ |
うずら玉子わりたるごとしお茶の花 | あひる |
山門を入るや否やお茶の花 | こすもす |
茶の咲きて集落跡の野面積 | 素秀 |
凩や日に日に変わる里の山 | こすもす |
茶の花を静かに濡らす細き雨 | わかば |
凩や攫はれさうに子が一人 | うつぎ |
木枯しのしまなみ海道渡らねば | よう子 |
茶の花の生垣ひそと建仁寺 | もとこ |
凩の夜の靴音待ちにけり | 満天 |
茶の花垣宇治橋歩道に白弾く | はく子 |
茶の花の生け垣亡父の声して | 明日香 |
木枯しに凧あがりせるレジ袋 | みのる |
一輪がよろし黒磁にお茶の花 | みのる |
木枯やリズム崩さぬランニング | なつき |
グランドゴルフ凩吹いて早仕舞い | こすもす |
木枯の持ち去る帽子追う人等 | 智恵子 |
凩や鞭のやうなる柳の枝 | あひる |
しゃがみ見て茶の花愛でる男の子 | 智恵子 |
凩や波止には反古もなかりけり | せいじ |
ビル街の真中に可憐お茶の花 | ぽんこ |
凩に困惑の犬フリスビー | かかし |
茶の花や木地師の里はこの辺り | うつぎ |
木枯らしのビルのすき間を吹き募る | はく子 |
木枯に広き空見ゆ朝の庭 | 智恵子 |
凩やはらはら落とすもの増える | わかば |
茶の花の垣にさざんか唄う子ら | 素秀 |
大寺へ低き茶の花垣続く | はく子 |
木枯とアラートを聞く夕間暮れ | 素秀 |
本堂を出でて茶の花垣まぶし | よう子 |
茶の花や川の洲広くなりにけり | せいじ |
茶の花を抱き石垣穴太積み | よう子 |
凩に足場の揺れの音止まず | みづき |
凩と回転ドアを潜りけり | 満天 |
茶の花や宇治十帖をめぐりては | 満天 |
凩や童話のごとく襟を詰め | 明日香 |
凩や車を追つてポリ袋 | 明日香 |
無住寺の猫出入口茶の花や | かかし |
茶の花の香る茶室や茶筅擦れ | 智恵子 |
凩や路面電車の駅に佇つ | 豊実 |
凩に身構え渡るビル谷間 | 隆松 |
菜の花の裾まで伸ばす畑の畝 | なつき |
凩や窓を叩きて朝むかへ | わかば |
凩や信号待ちのデリバリー | 豊実 |
茶の花や久しき友へぺん走る | わかば |
凩に向かふ事なく歳を取り | もとこ |
凩や一歩踏む度歪む顔 | 隆松 |
茹で卵黄身の爆せるお茶の花 | ぽんこ |
茶の花に送り出されて登校す | あひる |
茶の花や声涼やかな女将なり | はく子 |
凩や雲走り鳥は塒へ | 明日香 |
木枯しの谷底を行く一両車 | うつぎ |
しわくちやの掌に愛づお茶の花 | みのる |
木枯しに急ぎ買はむとヒートテック | もとこ |
特攻隊茶の花見ての飛び立ちぬ | 宏虎 |
茶の花の金色の蘂日を受けて | 満天 |
茶の花や街道筋に団子あり | ふさこ |
木枯や泳ぐボールを打ちにけり | ぽんこ |
茶の花や空に残れる昼の月 | 宏虎 |
2022年10月31日 | |
雑草の揺るる堂屋根うそ寒し | なつき |
芋の葉を乱れ打ちして通り雨 | 素秀 |
芋の葉に隠れて並ぶ無縁墓 | 素秀 |
居酒屋の背中の小窓うそ寒し | 豊実 |
うそ寒のふと確かむる寒暖計 | 素秀 |
湧水に子芋洗ひて姦しや | 智恵子 |
茹で子芋畑に休む若夫婦 | 智恵子 |
芋の葉のそよぐ陰には地蔵朽ち | もとこ |
天気予報通りの雨やうそ寒し | こすもす |
たて板に水の口上うそ寒し | みのる |
町の子の算盤学校芋掘りす | 宏虎 |
シャッターの本町通りうそ寒し | なつき |
水彩画の初心者芋を選びけり | こすもす |
うそ寒や手足出したる子の白き | もとこ |
うそ寒や棚田の土手に薄日射し | みづき |
二タ三すじ芋茎干されし尼の庫裏 | みのる |
うそ寒く口角泡をとばしたる | みのる |
うそ寒や間物羽織る朝支度 | 隆松 |
ひもじさに負けてや口へ芋煮堅 | 隆松 |
うそ寒き人の病いの噂かな | もとこ |
御祈祷の待合室やうそ寒し | 豊実 |
うそ寒や夕べ近づく京の果て | はく子 |
茹で子芋つるりと剥けて何処へゆく | 智恵子 |
煮ころがし箸より逃げる子芋かな | ぽんこ |
理科室の人体模型うそ寒し | 豊実 |
好きだけど少し面倒芋を剥く | あひる |
小芋炊くとろみが好きと夫言ふ | 明日香 |
表札の文字の薄れやうそ寒し | 明日香 |
裏方に徹し皮むく芋煮会 | なつき |
使はれぬ三階校舎うそ寒し | よう子 |
海に沿ふ鄙びし宿のうそ寒し | みづき |
大道芸猿のお辞儀のうそ寒し | よう子 |
うそ寒や耕作放棄地増え続け | 明日香 |
衣被ぎつるりと剝けば色白で | はく子 |
うそ寒や村の児童の数減りて | 明日香 |
里芋の泥皮むけば真白き肌 | ぽんこ |
うそ寒くうらとおもてや二面石 | みのる |
届けくれ我家自慢の里芋と | わかば |
山畑の嵩の高きは芋の畝 | せいじ |
家の中焼き藷売リの声聞こえ | 宏虎 |
芋の葉の邪魔し合はずに開きをり | せいじ |
園児笑む手に手に芋の葉をかつぎ | みのる |
芋掘りの手袋の先余りけり | 宏虎 |
里芋の一切れ味見摘まみ食い | ぽんこ |
子ら去りしままの寝室うそ寒し | あひる |
海老芋の白く煮上がり赤絵鉢 | もとこ |
箸使い下手にて御免芋つつく | 隆松 |
八つ頭迷ふ刃の入れどころ | みづき |
あひまひのままの相づちうそ寒し | はく子 |
雅なる名の芋料理衣被 | はく子 |
廃坑の間分の鑿跡うそ寒し | かかし |
うそ寒し強権跋扈せる世界 | せいじ |
ぬるぬるの芋切る技や夕支度 | あひる |
うそ寒や不審メールの日々多し | 満天 |
藷の葉を泳ぎ畝道渡り切り | よう子 |
落ちそふで踊る雨粒芋の葉に | 満天 |
心地よき風もやがてはうそ寒し | ぽんこ |
うそ寒や膝掛けを持て座につける | わかば |
芋好きの母と吾の居て芋煮鍋 | あひる |
里芋の土つけしまま届きけり | 満天 |
芋の葉の大き隣の畑かな | 豊実 |
点滴の一滴ごとにうそ寒や | かかし |
暫くは子等の賑はふ芋水車 | よう子 |
うそ寒や日暮の鐘を聞きしより | わかば |
洗い桶飛びだしまろぶ土の芋 | 素秀 |
うそ寒や弁慶の能に疲れけリ | 宏虎 |
うそ寒や動く歩道を駆ける人 | かかし |
農家カフェ大鍋囲む芋煮会 | かかし |
うそ寒の習ひ検温未接触 | 素秀 |
うそ寒や縮みし背丈二寸なる | 明日香 |
芋掘るや連なりをりし三世帯 | かかし |
朝日差す水玉抱く芋の葉に | 満天 |
うそ寒や半袖のみのランドセル | ぽんこ |
うそ寒に足を使えず苦労せり | 宏虎 |
うそ寒し覆いかぶさる言葉きて | もとこ |
うそ寒や部屋の明かりをとぼす頃 | わかば |
うそ寒や眠れぬままに明けし朝 | こすもす |
自動更新の使はぬカードうそ寒し | なつき |
うそ寒や更地に残るブルドーザー | よう子 |
芋の葉の水滴コロコロ形変へ | こすもす |
うそ寒や夜のしじまの救急車 | 豊実 |
急カーブ過ぎて車中のうそ寒し | みづき |
うそ寒やゴミ収集車待つ当番 | こすもす |
駅に行く抜け道ありぬ芋水車 | みづき |
うそ寒や間もなく鍋の用意とも | わかば |
うそ寒し人気無き園夕餉の灯 | 満天 |
うそ寒の空雲ひとつなかりけり | せいじ |
うそ寒し晴れて瞬く星数多 | 智恵子 |
うそ寒や固くなりたるパンを切る | あひる |
うそ寒や窓から眺む街明かり | 智恵子 |
職引きて自産自消の芋煮汁 | なつき |
うそ寒に給湯一度上げにけり | 隆松 |
茎も葉も芋と思えぬ立派さよ | はく子 |
糠雨を集め芋の葉玉を抱く | せいじ |
2022年9月30日 | |
澄む水の小流れの石輝けり | 満天 |
小皿より滑り落ちたり富有柿 | 豊実 |
古希になるシンプルと決め水澄めり | もとこ |
水澄むや流れに向かふ鷺超然 | もとこ |
ほんのりとひとつ色づく柿畑 | あひる |
渋くても生家にある柿の大木 | こすもす |
水澄むや砂舞ひ上げる外れ銛 | 隆松 |
水澄むや真鯉の群に金の鯉 | あひる |
デザートの種なし柿を好みけり | 満天 |
茶席なる池塘水澄む永観堂 | せいじ |
キャッチボールの子らにも届く位置に柿 | こすもす |
宇治の瀬の滔々として水澄まず | みのる |
山寺に柿喰ひ待つや子規気取り | 隆松 |
登り行く湖沼の数多水澄める | わかば |
スプーンにて掬ひ尽くせし熟柿かな | せいじ |
水澄むや水面に揃ふ鯉の口 | ぽんこ |
水澄むや百景なりや逆さ富士 | ふさこ |
水澄みて尚際立ちし朱の欄干 | こすもす |
瞬間に消し込む浮きや水澄めり | 豊実 |
柿の木のあれど渋柿裏の庭 | よう子 |
うるち米もち米と札水澄めり | たか子 |
お裾分け待つとのメールたくら柿 | 明日香 |
柿赤く灯り日暮を惜しみけり | 素秀 |
青竹に捻り取られし柿の空 | よう子 |
薬師寺の東塔西塔秋澄めり | みづき |
水澄むや注ぎて写経襟正す | かかし |
神の島鎮めて湖水澄めりけり | はく子 |
水澄て勇姿見せるや錦鯉 | ふさこ |
奈良町のいずこも柿のたわわかな | みづき |
澄む水を撃つ傷心の石礫 | みのる |
百万石の兼六園水澄めリ | 宏虎 |
水澄むや昇る朝日の眩しけり | 豊実 |
柿膾添える一品夕餉かな | わかば |
水澄むや鴨川デルタ鳶の舞 | せいじ |
水澄めり老船頭の土地自慢 | たか子 |
角張りし柿を三人で分けにけり | あひる |
社家町や神水引きて水澄めり | もとこ |
柿熟るる皇子落ち延びし峡深く | うつぎ |
櫛切りの柿の胚芽の露なり | 豊実 |
飛び石は亀の形や水澄める | せいじ |
園児らのリュック一杯柿日和 | かかし |
渋を抜くレシピ云々柿たわわ | たか子 |
青空に散りばめられて山の柿 | あひる |
青空を湖面に映し水澄める | わかば |
柿簾里は静かに暮れていく | かかし |
ひたすらに草食む馬や柿たわわ | よう子 |
水澄みて樹々の彩り藍深し | わかば |
水澄みて池に沈みし古銭艶 | 宏虎 |
洗い場の今も戸毎に水の澄む | はく子 |
澄む水に鯉の背びれの際やかに | 満天 |
夕映へやをちこちの家柿簾 | かかし |
シニア会吉野に遊ぶ柿日和 | うつぎ |
さやけきや一管洩れ来柿の庭 | 素秀 |
古伊万里の鉢にあふるる柿サラダ | もとこ |
柿畑に喰む一口や音たてて | あひる |
山峡に煙一筋柿たわわ | うつぎ |
生り放題落ち放題や山の柿 | うつぎ |
秋気澄む遠見に赤き塔聳ゆ | みづき |
廃村の昭和は遠し木守柿 | ぽんこ |
空の青引き寄せ水の澄みませり | 明日香 |
水澄んで飛石に生す苔の色 | 隆松 |
水澄むや流れと逆の流れ雲 | 隆松 |
朱色の実畑に二本秋景色 | ふさこ |
水澄みて池に鉄塔と白雲 | こすもす |
柿採りて友の手元を覗くなり | ふさこ |
茜雲膨らむ湖の水澄めり | 素秀 |
山深い里の棚田の水澄めり | 満天 |
菜園に品種の違ふ柿三本 | 明日香 |
水澄める葉裏に屯稚魚の群 | ぽんこ |
澄む水をとろり動かす錦鯉 | 豊実 |
干し柿や白き粉吹きて簾となり | ふさこ |
切岸の裾根を見せて瀞澄める | みのる |
水澄むや川底の石動かざり | 明日香 |
兄まねて「ぼく」と言ふ女児柿熟るる | よう子 |
流れ行く形無きまま水澄める | ぽんこ |
水澄むや仁淀ブルーと聞くからに | うつぎ |
水澄むや天然記念の魚泳ぐ | はく子 |
柿たわわ大和路の空熟る最中 | 宏虎 |
柿もぎる悪ガキにへと怒鳴り声 | 隆松 |
主なき実家に残る柿太る | はく子 |
大寺をくすぐる風や柿日和 | もとこ |
澄む水に白き酒蔵映しけり | 満天 |
初物や青さの残る早生次郎 | ぽんこ |
なり柿や白漆喰の蔵屋敷 | みのる |
水澄むや湖中に白き句碑の建つ | わかば |
柿たわわ猿蟹合戦ふと想ふ | 明日香 |
水澄むや姿見せども釣果ゼロ | かかし |
鳥の影よぎり水澄む小川かな | 素秀 |
水澄みぬ游ぐ子魚はっきりと | 宏虎 |
水澄める河原の石の白さかな | よう子 |
落柿舎の庭に甘柿取り放題 | 宏虎 |
本山の縦横奔る水澄めり | たか子 |
分水嶺本流支流水澄める | たか子 |
水澄める小流れ濁す石置けり | 素秀 |
嘴を枝にこすり満腹柿鴉 | みのる |
季題とて盆に並べし柿二つ | せいじ |
柿たわわこれより先に単線路 | みづき |
過疎の里実のつややかに柿の冷え | みづき |
すくい食ぶ熟柿を好む兄なりき | はく子 |
2022年8月31日 | |
萩の寺良く整備されたる句碑置かれ | 宏虎 |
波打ちで通路を隠す萩の庭 | こすもす |
参拝の裳裾揺らすや萩の風 | 満天 |
終戦日供華さは村の忠魂碑 | うつぎ |
萩こぼる参道寺苑石畳 | はく子 |