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大樹めくミニ盆栽の藪柑子 あひる
千両より万両よりも藪柑子 うつぎ
次つぎとパーマを頼む年用意 ぽんこ
この子等がいての我が庭藪柑子 うつぎ
小流れの木蔭点々藪柑子 わかば
エレベーター狭しとカート年用意 よう子
走り根に隠れて赤き藪柑子 素秀
尼寺の砂利道出れば藪柑子 みづき
十両と聞くや二度見す藪柑子 明日香
日を受けて赤を主張の藪柑子 わかば
蒲鉾の厚みを聞くも年用意 素秀
トランプの流行りのアニメ年用意 なつき
おせち料理買い占めしたり年用意 宏虎
をちこちに鳥の恵みの藪柑子 かかし
氏神の裏は木漏れ日藪柑子 よう子
刈り上げの首撫で上げる年用意 豊実
藪柑子千両万両見上げてる はく子
年用意無理するでなく心こめ わかば
子に倣ふ簡単レシピ年用意 よう子
雲間より一閃届く藪柑子 明日香
最終のゴミ出し走る年用意 もとこ
二人居や雰囲気だけの年用意 隆松
踏み入れば杜の灯や藪柑子 あひる
年ごとに娘が音頭取る年用意 せいじ
娘等が来て賑やかに年用意 宏虎
仏花にも一枝添へる藪柑子 満天
路地奥の呑み屋灯して藪柑子 もとこ
鉢花の整理をするも春支度 はく子
参道の掃き跡清し藪柑子 豊実
胃薬の予備確かむる年用意 なつき
下校子の束で道草藪柑子 せいじ
宣伝のカレンダー掛け年用意 隆松
古い器具出さず普段の年用意 宏虎
寄植の仕上げに添える藪柑子 こすもす
前栽の隅を許され藪柑子 うつぎ
駅裏を流し歩きて年用意 素秀
石段を避けて遠道藪柑子 よう子
植木鉢移動さすのも年用意 ぽんこ

2022年11月30日

茶の花てこれがそうかと旅の人 隆松
茶の花の葉は薬なり祖母伝へ ふさこ
茶の花や利休自刃の供養塔 かかし
落日にかがよひ初めしお茶の花 あひる
凩や大聖堂の鐘遥か 豊実
黄にあらず金色の蕊お茶の花 こすもす
凩やからくり時計の五時の鐘 豊実
木枯しに高舞ふ外れ馬券かな みのる
凩に旅の地酒を酌む夜かな みづき
凩を押しのけ通過列車かな うつぎ
凩や木の葉落として逃げにけり 宏虎
木枯らしや夕べの鐘の遠くより みづき
茶の花の目線の先に流れ橋 せいじ
我も張らず求めもせずにお茶の花 もとこ
店先に茶の花咲かせ宇治の茶舗 はく子
石橋の袂に香るお茶の花 智恵子
茶の花や家の主は婿養子 豊実
何処からか聞こゆ羽音やお茶の花 よう子
恙なく地味な暮らしやお茶の花 ぽんこ
木枯やイヤホン耳に押し込めり なつき
茶の花や教会ミサの始まりぬ 宏虎
尼寺の垣根めぐらすお茶の花 みづき
凩に鎮守の杜の騒ぎ初め あひる
茶の花の一輪清し長戸門 素秀
木枯しやチェンバロはバッハ奏づる よう子
茶の花や一喜一憂の夜終わりぬ ふさこ
凩や何でも値上げ戦争で 宏虎
茶の花の囲む寺院の鐘の音 かかし
茶の花の零す明るき籬かな わかば
木枯に往復ビンタされたかに なつき
茶の花やここにも家があった筈 うつぎ
山里の静かな駅舎お茶の花 みづき
黄の餡のおまんじゆう否お茶の花 みのる
枯色の土手を木枯し吹きすさぶ なつき
茶の花や母のいた頃思ひ出す 明日香
凩や着地の鴉勇み足 かかし
凩や夕日呑み込む河口堰 素秀
茶の花の咲く道静か空の青 満天
木枯しや本うず高く部屋篭り もとこ
丘丘とうねり続くやお茶の花 隆松
凩に微動だにせぬ関門橋 せいじ
木枯やガラス戸ノック目覚めんと ぽんこ
木津川の河川敷なるお茶の花 せいじ
うずら玉子わりたるごとしお茶の花 あひる
山門を入るや否やお茶の花 こすもす
茶の咲きて集落跡の野面積 素秀
凩や日に日に変わる里の山 こすもす
茶の花を静かに濡らす細き雨 わかば
凩や攫はれさうに子が一人 うつぎ
木枯しのしまなみ海道渡らねば よう子
茶の花の生垣ひそと建仁寺 もとこ
凩の夜の靴音待ちにけり 満天
茶の花垣宇治橋歩道に白弾く はく子
茶の花の生け垣亡父の声して 明日香
木枯しに凧あがりせるレジ袋 みのる
一輪がよろし黒磁にお茶の花 みのる
木枯やリズム崩さぬランニング なつき
グランドゴルフ凩吹いて早仕舞い こすもす
木枯の持ち去る帽子追う人等 智恵子
凩や鞭のやうなる柳の枝 あひる
しゃがみ見て茶の花愛でる男の子 智恵子
凩や波止には反古もなかりけり せいじ
ビル街の真中に可憐お茶の花 ぽんこ
凩に困惑の犬フリスビー かかし
茶の花や木地師の里はこの辺り うつぎ
木枯らしのビルのすき間を吹き募る はく子
木枯に広き空見ゆ朝の庭 智恵子
凩やはらはら落とすもの増える わかば
茶の花の垣にさざんか唄う子ら 素秀
大寺へ低き茶の花垣続く はく子
木枯とアラートを聞く夕間暮れ 素秀
本堂を出でて茶の花垣まぶし よう子
茶の花や川の洲広くなりにけり せいじ
茶の花を抱き石垣穴太積み よう子
凩に足場の揺れの音止まず みづき
凩と回転ドアを潜りけり 満天
茶の花や宇治十帖をめぐりては 満天
凩や童話のごとく襟を詰め 明日香
凩や車を追つてポリ袋 明日香
無住寺の猫出入口茶の花や かかし
茶の花の香る茶室や茶筅擦れ 智恵子
凩や路面電車の駅に佇つ 豊実
凩に身構え渡るビル谷間 隆松
菜の花の裾まで伸ばす畑の畝 なつき
凩や窓を叩きて朝むかへ わかば
凩や信号待ちのデリバリー 豊実
茶の花や久しき友へぺん走る わかば
凩に向かふ事なく歳を取り もとこ
凩や一歩踏む度歪む顔 隆松
茹で卵黄身の爆せるお茶の花 ぽんこ
茶の花に送り出されて登校す あひる
茶の花や声涼やかな女将なり はく子
凩や雲走り鳥は塒へ 明日香
木枯しの谷底を行く一両車 うつぎ
しわくちやの掌に愛づお茶の花 みのる
木枯しに急ぎ買はむとヒートテック もとこ
特攻隊茶の花見ての飛び立ちぬ 宏虎
茶の花の金色の蘂日を受けて 満天
茶の花や街道筋に団子あり ふさこ
木枯や泳ぐボールを打ちにけり ぽんこ
茶の花や空に残れる昼の月 宏虎

2022年10月31日

雑草の揺るる堂屋根うそ寒し なつき
芋の葉を乱れ打ちして通り雨 素秀
芋の葉に隠れて並ぶ無縁墓 素秀
居酒屋の背中の小窓うそ寒し 豊実
うそ寒のふと確かむる寒暖計 素秀
湧水に子芋洗ひて姦しや 智恵子
茹で子芋畑に休む若夫婦 智恵子
芋の葉のそよぐ陰には地蔵朽ち もとこ
天気予報通りの雨やうそ寒し こすもす
たて板に水の口上うそ寒し みのる
町の子の算盤学校芋掘りす 宏虎
シャッターの本町通りうそ寒し なつき
水彩画の初心者芋を選びけり こすもす
うそ寒や手足出したる子の白き もとこ
うそ寒や棚田の土手に薄日射し みづき
二タ三すじ芋茎干されし尼の庫裏 みのる
うそ寒く口角泡をとばしたる みのる
うそ寒や間物羽織る朝支度 隆松
ひもじさに負けてや口へ芋煮堅 隆松
うそ寒き人の病いの噂かな もとこ
御祈祷の待合室やうそ寒し 豊実
うそ寒や夕べ近づく京の果て はく子
茹で子芋つるりと剥けて何処へゆく 智恵子
煮ころがし箸より逃げる子芋かな ぽんこ
理科室の人体模型うそ寒し 豊実
好きだけど少し面倒芋を剥く あひる
小芋炊くとろみが好きと夫言ふ 明日香
表札の文字の薄れやうそ寒し 明日香
裏方に徹し皮むく芋煮会 なつき
使はれぬ三階校舎うそ寒し よう子
海に沿ふ鄙びし宿のうそ寒し みづき
大道芸猿のお辞儀のうそ寒し よう子
うそ寒や耕作放棄地増え続け 明日香
衣被ぎつるりと剝けば色白で はく子
うそ寒や村の児童の数減りて 明日香
里芋の泥皮むけば真白き肌 ぽんこ
うそ寒くうらとおもてや二面石 みのる
届けくれ我家自慢の里芋と わかば
山畑の嵩の高きは芋の畝 せいじ
家の中焼き藷売リの声聞こえ 宏虎
芋の葉の邪魔し合はずに開きをり せいじ
園児笑む手に手に芋の葉をかつぎ みのる
芋掘りの手袋の先余りけり 宏虎
里芋の一切れ味見摘まみ食い ぽんこ
子ら去りしままの寝室うそ寒し あひる
海老芋の白く煮上がり赤絵鉢 もとこ
箸使い下手にて御免芋つつく 隆松
八つ頭迷ふ刃の入れどころ みづき
あひまひのままの相づちうそ寒し はく子
雅なる名の芋料理衣被 はく子
廃坑の間分の鑿跡うそ寒し かかし
うそ寒し強権跋扈せる世界 せいじ
ぬるぬるの芋切る技や夕支度 あひる
うそ寒や不審メールの日々多し 満天
藷の葉を泳ぎ畝道渡り切り よう子
落ちそふで踊る雨粒芋の葉に 満天
心地よき風もやがてはうそ寒し ぽんこ
うそ寒や膝掛けを持て座につける わかば
芋好きの母と吾の居て芋煮鍋 あひる
里芋の土つけしまま届きけり 満天
芋の葉の大き隣の畑かな 豊実
点滴の一滴ごとにうそ寒や かかし
暫くは子等の賑はふ芋水車 よう子
うそ寒や日暮の鐘を聞きしより わかば
洗い桶飛びだしまろぶ土の芋 素秀
うそ寒や弁慶の能に疲れけリ 宏虎
うそ寒や動く歩道を駆ける人 かかし
農家カフェ大鍋囲む芋煮会 かかし
うそ寒の習ひ検温未接触 素秀
うそ寒や縮みし背丈二寸なる 明日香
芋掘るや連なりをりし三世帯 かかし
朝日差す水玉抱く芋の葉に 満天
うそ寒や半袖のみのランドセル ぽんこ
うそ寒に足を使えず苦労せり 宏虎
うそ寒し覆いかぶさる言葉きて もとこ
うそ寒や部屋の明かりをとぼす頃 わかば
うそ寒や眠れぬままに明けし朝 こすもす
自動更新の使はぬカードうそ寒し なつき
うそ寒や更地に残るブルドーザー よう子
芋の葉の水滴コロコロ形変へ こすもす
うそ寒や夜のしじまの救急車 豊実
急カーブ過ぎて車中のうそ寒し みづき
うそ寒やゴミ収集車待つ当番 こすもす
駅に行く抜け道ありぬ芋水車 みづき
うそ寒や間もなく鍋の用意とも わかば
うそ寒し人気無き園夕餉の灯 満天
うそ寒の空雲ひとつなかりけり せいじ
うそ寒し晴れて瞬く星数多 智恵子
うそ寒や固くなりたるパンを切る あひる
うそ寒や窓から眺む街明かり 智恵子
職引きて自産自消の芋煮汁 なつき
うそ寒に給湯一度上げにけり 隆松
茎も葉も芋と思えぬ立派さよ はく子
糠雨を集め芋の葉玉を抱く せいじ

2022年9月30日

澄む水の小流れの石輝けり 満天
小皿より滑り落ちたり富有柿 豊実
古希になるシンプルと決め水澄めり もとこ
水澄むや流れに向かふ鷺超然 もとこ
ほんのりとひとつ色づく柿畑 あひる
渋くても生家にある柿の大木 こすもす
水澄むや砂舞ひ上げる外れ銛 隆松
水澄むや真鯉の群に金の鯉 あひる
デザートの種なし柿を好みけり 満天
茶席なる池塘水澄む永観堂 せいじ
キャッチボールの子らにも届く位置に柿 こすもす
宇治の瀬の滔々として水澄まず みのる
山寺に柿喰ひ待つや子規気取り 隆松
登り行く湖沼の数多水澄める わかば
スプーンにて掬ひ尽くせし熟柿かな せいじ
水澄むや水面に揃ふ鯉の口 ぽんこ
水澄むや百景なりや逆さ富士 ふさこ
水澄みて尚際立ちし朱の欄干 こすもす
瞬間に消し込む浮きや水澄めり 豊実
柿の木のあれど渋柿裏の庭 よう子
うるち米もち米と札水澄めり たか子
お裾分け待つとのメールたくら柿 明日香
柿赤く灯り日暮を惜しみけり 素秀
青竹に捻り取られし柿の空 よう子
薬師寺の東塔西塔秋澄めり みづき
水澄むや注ぎて写経襟正す かかし
神の島鎮めて湖水澄めりけり はく子
水澄て勇姿見せるや錦鯉 ふさこ
奈良町のいずこも柿のたわわかな みづき
澄む水を撃つ傷心の石礫 みのる
百万石の兼六園水澄めリ 宏虎
水澄むや昇る朝日の眩しけり 豊実
柿膾添える一品夕餉かな わかば
水澄むや鴨川デルタ鳶の舞 せいじ
水澄めり老船頭の土地自慢 たか子
角張りし柿を三人で分けにけり あひる
社家町や神水引きて水澄めり もとこ
柿熟るる皇子落ち延びし峡深く うつぎ
櫛切りの柿の胚芽の露なり 豊実
飛び石は亀の形や水澄める せいじ
園児らのリュック一杯柿日和 かかし
渋を抜くレシピ云々柿たわわ たか子
青空に散りばめられて山の柿 あひる
青空を湖面に映し水澄める わかば
柿簾里は静かに暮れていく かかし
ひたすらに草食む馬や柿たわわ よう子
水澄みて樹々の彩り藍深し わかば
水澄みて池に沈みし古銭艶 宏虎
洗い場の今も戸毎に水の澄む はく子
澄む水に鯉の背びれの際やかに 満天
夕映へやをちこちの家柿簾 かかし
シニア会吉野に遊ぶ柿日和 うつぎ
さやけきや一管洩れ来柿の庭 素秀
古伊万里の鉢にあふるる柿サラダ もとこ
柿畑に喰む一口や音たてて あひる
山峡に煙一筋柿たわわ うつぎ
生り放題落ち放題や山の柿 うつぎ
秋気澄む遠見に赤き塔聳ゆ みづき
廃村の昭和は遠し木守柿 ぽんこ
空の青引き寄せ水の澄みませり 明日香
水澄んで飛石に生す苔の色 隆松
水澄むや流れと逆の流れ雲 隆松
朱色の実畑に二本秋景色 ふさこ
水澄みて池に鉄塔と白雲 こすもす
柿採りて友の手元を覗くなり ふさこ
茜雲膨らむ湖の水澄めり 素秀
山深い里の棚田の水澄めり 満天
菜園に品種の違ふ柿三本 明日香
水澄める葉裏に屯稚魚の群 ぽんこ
澄む水をとろり動かす錦鯉 豊実
干し柿や白き粉吹きて簾となり ふさこ
切岸の裾根を見せて瀞澄める みのる
水澄むや川底の石動かざり 明日香
兄まねて「ぼく」と言ふ女児柿熟るる よう子
流れ行く形無きまま水澄める ぽんこ
水澄むや仁淀ブルーと聞くからに うつぎ
水澄むや天然記念の魚泳ぐ はく子
柿たわわ大和路の空熟る最中 宏虎
柿もぎる悪ガキにへと怒鳴り声 隆松
主なき実家に残る柿太る はく子
大寺をくすぐる風や柿日和 もとこ
澄む水に白き酒蔵映しけり 満天
初物や青さの残る早生次郎 ぽんこ
なり柿や白漆喰の蔵屋敷 みのる
水澄むや湖中に白き句碑の建つ わかば
柿たわわ猿蟹合戦ふと想ふ 明日香
水澄むや姿見せども釣果ゼロ かかし
鳥の影よぎり水澄む小川かな 素秀
水澄みぬ游ぐ子魚はっきりと 宏虎
水澄める河原の石の白さかな よう子
落柿舎の庭に甘柿取り放題 宏虎
本山の縦横奔る水澄めり たか子
分水嶺本流支流水澄める たか子
水澄める小流れ濁す石置けり 素秀
嘴を枝にこすり満腹柿鴉 みのる
季題とて盆に並べし柿二つ せいじ
柿たわわこれより先に単線路 みづき
過疎の里実のつややかに柿の冷え みづき
すくい食ぶ熟柿を好む兄なりき はく子

2022年8月31日

萩の寺良く整備されたる句碑置かれ 宏虎
波打ちで通路を隠す萩の庭 こすもす
参拝の裳裾揺らすや萩の風 満天
終戦日供華さは村の忠魂碑 うつぎ
萩こぼる参道寺苑石畳 はく子
柔らかき丸葉に淡き萩の花 豊実
萩揺れてこれから幕のあがる如 明日香
終戦日不戦の誓ひ今一度 明日香
憲法の礎となれ終戦日 みのる
かの年に生れしも喜寿や終戦日 せいじ
匍匐する演習場や終戦日 隆松
グアム島も祖父も知らずや終戦日 あひる
写経する萩咲く庭に目を休め みづき
心字池に花びら零す萩の彩 わかば
蹲も筧も萩の花まみれ うつぎ
全開の寺の門より萩の風 せいじ
空木箱迎へし祖母の終戦日 もとこ
ラジオ聴く正午気になる終戦日 ふさこ
道標はガードレールの萩の花 豊実
岸壁に静かな波の終戦日 みづき
ひと気なき生家の庭や萩垂れて みづき
紙芝居白寿の語る終戦日 かかし
奔放に乱れ合う萩風任せ ふさこ
みのむしの萩衣などつけてをり 明日香
終戦日レイテで死んだ叔父ふたり 明日香
ウォーキング名所にあらぬ萩の道 隆松
雨意兆す風に萩叢寧からず みのる
通り雨暑さの増せる終戦日 なつき
終戦日いつですかと問ふインタビュー よう子
師の句碑へ存問の吾へこぼれ萩 みのる
風吹けば結界超ゆるこぼれ萩 なつき
萩の枝神籤結ぶに余地は無し ぽんこ
紅白の萩の細かにしじみ蝶 はく子
終戦っ子と呼ばれし我等も喜寿迎ふ こすもす
初萩に誘はれバスを途中下車 かかし
祖父のこと語る母亡き終戦日 あひる
訓練に遺書も書きたり終戦日 隆松
終戦日写真の祖母はセピア色 豊実
軍人と呼ばれぬ国の終戦日 素秀
すでに父の戦死も知らず終戦日 ぽんこ
鐘の音に争ひ無きと終戦日 満天
祖父と孫あまりに違ふ終戦日 ふさこ
母逝きて戦災孤児の幕を閉ず あひる
祖父のこと呟く父や終戦日 豊実
アルバムのもんぺの母や終戦日 よう子
予科練の手紙抱きしめ終戦日 智恵子
境内が萩原と化す一寺院 せいじ
疎開先母に背負われ敗戦日 ぽんこ
幸せとつぶやく母の終戦日 せいじ
萩日和和尚も客も名残惜し もとこ
萩刈られ残りの葉陰雨の粒 ぽんこ
平和世のすいとん旨し終戦日 もとこ
サイレンに手を止めにけり終戦日 せいじ
石舞台緞帳の如萩群れて 明日香
熱々の夕刊届く終戦日 みづき
吾も老い住みよい平和終戦日 宏虎
親子にて投句に挑む萩日和 かかし
育休のパパ乳母車終戦日 かかし
箸置きて黙祷一分終戦日 こすもす
左右より長き石段萩垂るる 満天
白萩にさす薄紅のいとけなし わかば
足音をかき消し萩の風通る 素秀
夕風を纏ひて萩の散り急ぐ はく子
萩の塵風に掃かれて片寄りぬ うつぎ
盗人萩ひっつき虫にならないで 豊実
乱れ萩光悦垣を越え零す わかば
萩揺らす風の大波小波かな みのる
ハンカチでくたくた扇ぐ終戦日 なつき
船沈む碧き海揺れ敗戦忌 もとこ
乱れ萩かき分け友に追いつけり こすもす
戦中派なれど終戦日を知らず みのる
先達の導き楽し萩の寺 もとこ
江ノ電を降りて白萩待つ古刹 智恵子
八十路我も戦は知らず終戦日 はく子
アルバムの祖父の凛々しき終戦日 あひる
七つボタン光る遺影や終戦日 智恵子
敗戦忌掩体壕に月上ぐる 素秀
終戦日わからぬままにラジオ前 わかば
足早の法衣の風や萩こぼつ よう子
終戦日背ナに傷ある父の「野火」 よう子
萩はまだ蕾の多し満中陰 素秀
抱き寄せて又抱き寄せて萩括る うつぎ
垣根越し一枝切りて萩盗人 ふさこ
こぼれ萩瓶の目高を騒がしぬ うつぎ
閑かさや萩の垣根の茶屋の跡 隆松
終戦日高校野球佳境入 かかし
祖父死せど血は脈々と終戦日 あひる
世界まだ争ひ続く終戦日 満天
靴紐をキュッと結びし終戦日 よう子
子のなぜにつまる八月十五日 なつき
名にし負ふ句碑歌碑いくつ萩の寺 はく子
終戦日七十余年過ぎにけり 宏虎
高瀬川灯点る流れ萩垂れて みづき
汁物にこねた水団敗戦日 ぽんこ
防災無線の合図で黙祷終戦日 こすもす
体験を昨日のごとく終戦日 満天
戦争は地獄と一言終戦日 智恵子
鎮魂の祈り新たに終戦日 わかば
語り部に耳かし涙敗戦日 ふさこ
白菊の帰らぬ海や敗戦日 素秀
萩見せむ絵図の名所に丸印 隆松
センターライン歩く鴉や終戦日 なつき
紅白の萩石磴に花の寺 智恵子
萩の寺勝手知りたるお墓かな 宏虎
終戦日国旗掲揚平和御代 宏虎

2022年7月31日

団扇には祓の一字白抜きで 明日香
ハンググライダーふわりと浮かぶ盛夏かな あひる
ご贔屓に舞子贈るる京団扇 もとこ
竈門には赤き大きな渋団扇 たか子
盛夏にもダッシュ百段部活生 かかし
手に少し重たき団扇棕櫚細工 たか子
真夏日や勝利の声の波となる わかば
湯上がりで良い格好の団扇かな 宏虎
ラジオ体操終へて鳥語や団扇風 かかし
状差しの上は団扇の定位置に 素秀
盛夏なるホームの雀口で息 明日香
客迎へ縁台に置く渋団扇 ふさこ
お土産は鯛焼き盛夏の祭りの夜 こすもす
いたずらの赤のペディキュア夏盛り ぽんこ
粋気取り帯に差したる色団扇 隆松
配られし団扇の裏の屋号かな よう子
絵団扇のミニーマウスの元気かな あひる
持て遊ぶ稚児持つ団扇ふにゃふにゃと ふさこ
鮨飯や拙き団扇お手伝い よう子
枕元の昔昔の奈良団扇 こすもす
江戸団扇美人引き立て額の中 ふさこ
水遣りは早朝五時の盛夏かな あひる
寝室にも厨にもある団扇かな こすもす
美人画の団扇の風をゆったりと はく子
空港の花壇は真つ赤盛夏くる せいじ
身を細め回転扉出る盛夏 なつき
野次飛ばすファンサービスの団扇手に 豊実
癖の毛の言ふこときかぬ盛夏かな あひる
奈良団扇透かし模様の五重塔 こすもす
持ち替へて思ひ通りの団扇風 満天
乗換のホーム眩しき盛夏かな 豊実
セールてふ赤文字踊る盛夏かな もとこ
団扇持て返礼述ぶる長電話 なつき
孫の手の代はりともなる団扇の柄 みのる
うたた寝に団扇の人の膝借りぬ 隆松
一瞬の盛夏を走る少年よ 素秀
渋団扇たたき焼鳥焼くおやじ はく子
母の里従兄弟と子らの夏盛ん 智恵子
膝と腰なだめなだめて盛夏過ぐ 明日香
打上花火盛夏の空を彩れリ こすもす
雲を背に太陽の塔夏旺かん よう子
みどりごの寝顔は天使白団扇 みのる
寿司あおぐ信金名入り古団扇 もとこ
ガラスビル天突き刺して真夏空 もとこ
商店街だらり幟の炎暑かな よう子
幼子は爺に両手の団扇風 よう子
湯上がりの母の手元の団扇かな わかば
氷水供花に手向ける盛夏かな みのる
遠き日の寝しなは祖母の団扇風 ぽんこ
広島を思ふ真夏の空青く わかば
乳母車夫婦で扇ぐ団扇風 かかし
内緒ないしょ口元隠す団扇かな たか子
ジーパンの腰に団扇を踊り場へ 満天
仕事師の目の赤きなり盛夏昼 隆松
うたた寝の人へ送るや団扇風 隆松
駅前で配る団扇のダンボール 豊実
真夏やな肩紐跡の肌の白 隆松
野外能団扇ぱたぱた火の匂い 宏虎



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