みのる選:2022年4月度
2022年04月22日 | |
筍にじかに値を書く露店かな | 凡士 |
新緑の日の斑の遊ぶ茶庭かな | せいじ |
麦青む言ひ方尖る反抗期 | 隆松 |
杜若避けて竿さす潮来舟 | 智恵子 |
春服の母の縫ひ目の強きこと | ひのと |
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2022年04月21日 | |
薄ら日に透けて眼福青楓 | もとこ |
春月や波引くやうな子の寝息 | ひのと |
足跡を浚ふ引き潮春惜しむ | みきお |
棟梁は齢八十屋根を葺く | かえる |
遠ざかりゆく春日傘見送りぬ | 澄子 |
春雨の楽とミシンの二重奏 | みきえ |
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2022年04月20日 | |
たんぽぽを吹く子に戻るわた帽子 | かえる |
緋毛氈華やぐ野点竹の秋 | 智恵子 |
たんぽぽを勲章にして登園す | ひのと |
通訳の要る児と笑ふ花の下 | 智恵子 |
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2022年04月19日 | |
湧水を汲む一杓に緑さす | 凡士 |
菰解かれ蘇鉄のびやか春の空 | 凡士 |
海の橋渡れば島の緑かな | 千鶴 |
正面に能舞台あり藤の棚 | 宏虎 |
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2022年04月18日 | |
当直医廊下に一人花見かな | 智恵子 |
風光る背中に躍るランドセル | 満天 |
駅の巣へ遮断機くぐる燕かな | なつき |
得意げに吹いて見せけり石鹸玉 | もとこ |
ふく風に新緑揺らぐ山路かな | 千鶴 |
退職を労ふ握手あたたかし | ひのと |
復活祭遺影の父に語りかけ | むべ |
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2022年04月17日 | |
イースターエッグ届けむ病む友へ | あひる |
軒低き漁村飛び交ふ海つばめ | 智恵子 |
飛び入りの蝶に色めく園児かな | 素秀 |
小流れの花屑筏組はじむ | 千鶴 |
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2022年04月16日 | |
黒猫の戻る背中に桜しべ | 素秀 |
2022年04月15日 | |
春夕焼背に鉄棒の影伸びる | 素秀 |
全身に囀り浴びて太極拳 | 凡士 |
子を打つて熱き手のひら春の雨 | ひのと |
表札の残る生家に雀の子 | 素秀 |
傘あれば傘でたたかひ野に遊ぶ | ひのと |
土手眩し川原を埋む菜花かな | もとこ |
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2022年04月14日 | |
船降りてはや十余年青き踏む | ひのと |
溜め池や波紋の芯に夫婦鴨 | かえる |
のどけしや島の桟橋猫ばかり | みきお |
入学の詰襟のせて島渡船 | 凡士 |
ゆくりなき囀り父母の墓訪へば | もとこ |
猫車はみ出しそうな春キャベツ | みきお |
囀りの飛び込むマタイ受難曲 | せいじ |
さざ波をたたせてやまぬ花菜畑 | 明日香 |
老幹の幹黒々と柿若葉 | あひる |
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2022年04月13日 | |
乳酸菌がんばれと置く春出窓 | あひる |
花水木並木駅へとつづく道 | 満天 |
送電塔踏んまへ立ちし花菜畑 | なつき |
春愁に数へてみたる恵みかな | あひる |
春眠の手からスマホの滑り落つ | むべ |
初花のひとひら母の家苞に | ひのと |
切り込みて白筍の丸裸 | せつ子 |
静かなる公園散歩花は葉に | 満天 |
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2022年04月12日 | |
蛤の開くをぢつと待つ子かな | ひのと |
大仏の螺髪に花の髪飾り | 智恵子 |
参磴の落花畳のアートめく | もとこ |
道問へば立つて小さき草刈女 | なつき |
鶯の真似れば手本返しけり | 千鶴 |
ひたひたと鳥居を浮かす春の潮 | 凡士 |
青空へ大笑ひせるチューリップ | ぽんこ |
香を乗せて風渡りくる花菜畑 | 明日香 |
箸置いて訃報を聞きぬ鳥曇り | ひのと |
杉玉に並びて軒に燕の巣 | 凡士 |
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2022年04月11日 | |
飛び石に尻餅つけば蜥蜴出づ | なつき |
花屑の帯となりたる水路かな | みきえ |
筍の朝掘り湯掻く香の甘し | きよえ |
春暁や亡き骸積みて船戻る | ひのと |
青空を傍若無人花ふぶき | 明日香 |
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2022年04月10日 | |
紅筆の小指が立ちぬ花衣 | ひのと |
反りし身に煮汁幾重もめばる炊く | やよい |
遠足の列を呑み込むパンダ館 | 宏虎 |
ひとつぶの残りの苺じゃんけんぼん | あひる |
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2022年04月09日 | |
けふ父の命日なれば桜餅 | せいじ |
名札とは異なる花が芽を出しぬ | 明日香 |
校門に広ごる落花畳かな | みきえ |
蹴り返すボール花屑まみれなる | ぽんこ |
蒲公英の絮のひとつが地図の上に | 凡士 |
風が打つ鰐口の音花吹雪 | うつぎ |
グランドの隅花屑の吹き溜まり | こすもす |
2022年04月08日 | |
苗売の男くはしき花言葉 | なつき |
花屑のさすらふ無人ホームかな | せいじ |
陽あたれる窓に縋りし冬の蝿 | 素秀 |
夫在さば共に喜寿なり花吹雪 | こすもす |
春風や鼻でふれあふ親子象 | 凡士 |
大路なる車も停めし孕み鹿 | ふさこ |
頬杖が肘より崩れ春眠し | ひのと |
新入生見守り隊へ一礼す | 満天 |
ゆつくりと旅の朝湯に春惜しむ | はく子 |
落合にあいうちあへる花筏 | うつぎ |
一畝に蝶を集めて葱坊主 | 素秀 |
多島海霞の中に神隠し | 千鶴 |
墨磨りし硯に満つる春日かな | ひのと |
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2022年04月07日 | |
子らの声もどる校庭飛花落花 | なつき |
花の雲眼下に山上レストラン | はく子 |
花びらが渦巻き駈ける交差点 | あられ |
菜の花の黄が河川敷占領す | 素秀 |
新入生傘で地面にあいうえお | かえる |
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2022年04月06日 | |
陀羅尼助買ふみ吉野の花の旅 | もとこ |
高笑ふ鸚鵡に笑ひ園のどか | やよい |
待ちかねし入学子へと花万朶 | なつき |
橋桁にすがりとどまる花筏 | 素秀 |
今生の別れと泣くや初登園 | かえる |
潮の香を放ち蒸しあぐ蛍烏賊 | せつ子 |
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2022年04月05日 | |
キッチンカー並び賑はふ花堤 | あひる |
春日浴び檻の狼深眠り | ぽんこ |
清明の木々抱き起こす宮大工 | ひのと |
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2022年04月04日 | |
山鳥のほろろと谷の山桜 | 素秀 |
よす波に鳥遊ばせて春の砂嘴 | たか子 |
制服の袖丈伸ばす春休み | みきえ |
点滴と歩く廊下や春日向 | みきお |
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2022年04月03日 | |
天守より花のまほろば一望す | 明日香 |
白波の尖る大川春疾風 | せいじ |
春惜しむ木造校舎の長廊下 | やよい |
春昼の船より受くる舫ひ綱 | ひのと |
竿先の一閃まぶし山女釣り | みきお |
リハビリに娘の見立てたる春帽子 | なつき |
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2022年04月02日 | |
手に手とる園児らの列うららけし | むべ |
飛び跳ねて桜並木のランドセル | あひる |
バス行きてまた囀れる大樹かな | ひのと |
青松を抜けて白砂へ青き踏む | 隆松 |
砂吐きて真夜の浅蜊のひとり言 | 智恵子 |
ひとひらの花肩に乗せ初出社 | かえる |
2022年04月01日 | |
算木積仰ぐ天辺花万朶 | 明日香 |
観覧車てつぺん越えて花吹雪 | 智恵子 |
ハイウエイ花の絵巻を通過中 | うつぎ |
花筏汐入川を遡る | せつ子 |
花万朶双子の眠るベビーカー | 豊実 |
城壁に逆さ地蔵や花ふぶく | 明日香 |
春泥を踏んづけてゆく喧嘩かな | ひのと |
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2022年03月31日 | |
母逝きて父に桜の誕生日 | あひる |
暮れなずむ花堤より子等の声 | 満天 |
紋幕の崩しクルスや春風裡 | うつぎ |
漆黒の海煌めかせ蛍烏賊 | 凡士 |
初蝶来ジャングルジムをくぐり抜け | ひのと |
花を愛づ余命一年てふ友と | せいじ |
目の前の桜の枝とハイタッチ | ぽんこ |
菜の花や木偶人形の太き眉 | 千鶴 |
錫杖の音に振りむく春野かな | 素秀 |
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2022年03月30日 | |
雁木降りきて春水に菜を洗ふ | うつぎ |
竹生島間遠に見えて月朧 | 宏虎 |
土筆摘む季節を少し頂きぬ | はく子 |
春塵や仁王の彫りの影深く | 明日香 |
地引き網大ジャンプすは桜鯛 | 智恵子 |
座礁船ねぐらとしたる夕つばめ | ひのと |
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2022年03月29日 | |
春大根摺れば背の子笑ひけり | ひのと |
花びらをめくる風あり紫木蓮 | せいじ |
桟橋は板一枚や鳥帰る | ひのと |
宮うらら持ち綱掛かる力石 | うつぎ |
葉隠れに深山蓮花の太蕾 | 董雨 |
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2022年03月28日 | |
海見えてあとはゆるゆる桜坂 | もとこ |
ふらここの膝に小犬を抱いてをり | なつき |
からくりの五時ををどりし遅日かな | 凡士 |
三人にガイド五人や山笑ふ | うつぎ |
燕来る老舗パン屋の軒端かな | 宏虎 |
一雨で花駆け昇る生駒山 | あられ |
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2022年03月27日 | |
席取りに置かるる本やうそ寒し | なつき |
句帳持ち孫と野路行く春休み | せつ子 |
軽やかにミシン踏む音春の昼 | むべ |
お神籤をちひさく畳む梅の下 | ひのと |
クッキーもたまごのかたちイースター | あひる |
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2022年03月26日 | |
砂吐いて蜆の口の一文字 | 宏虎 |
追ひかけて春の帽子を子に渡す | ひのと |
火渡りの焦げし丸太のほのぬくし | 千鶴 |
回覧板届けし軒に初燕 | 董雨 |
咲き初むる桜の下の肩ぐるま | 智恵子 |
美容師のはさみに委ね目借時 | ぽんこ |