みのる選:2022年1月度
2022年01月28日 | |
湧水の楽高鳴りて春隣 | ぽんこ |
夫の背を盾に寒風ウォーキング | なつき |
水仙や沖の汽笛を運ぶ風 | 豊実 |
糠床をしづかに寝かす雪の夜 | ひのと |
針に糸通してもらふ縁小春 | ひのと |
日脚伸ぶマッサージ機び身を委ね | はく子 |
凍雲の裂けて一直線に日矢 | せいじ |
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2022年01月27日 | |
畑の幸ほうとう鍋にごつた煮す | あひる |
振り向けば鉄路消え去る吹雪かな | ひのと |
室の蘭仙人髭をもてりけり | せつ子 |
地の蜜柑納屋で寝かせて春を待つ | 明日香 |
丸木橋渡る足下を風光る | みきお |
隧道をみみず走りす雪解水 | ひのと |
寒やいとコロナ籠りを耐へ抜かむ | たか子 |
香煙に咽せありがたし初大師 | なつき |
猫の夫ひそと伏目に朝帰り | 素秀 |
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2022年01月26日 | |
余生いまホ句三昧や去年今年 | せつ子 |
師の句碑を存問がてら梅探る | はく子 |
北へゆく貨車は短し雪の原 | ひのと |
せせらぎの調べも和む四温晴 | ぽんこ |
手で分ける朽葉隠れに寒すみれ草 | よう子 |
ガレージは泥んこ雪を砦とす | こすもす |
来光に金色と化す雪の嶺 | 隆松 |
畏まる小さき足うら雛の客 | みきお |
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2022年01月25日 | |
襟巻に母の温もりありにけり | あひる |
林道の木漏れ日散らす寒雀 | そうけい |
日向ぼこ雪中四友揃ふ庭 | うつぎ |
原稿にひとひら散らす室の花 | 素秀 |
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2022年01月24日 | |
底冷えの朝市の幌きしみたり | 宏虎 |
凍蝶の翅寄せ合うて楠のうろ | 素秀 |
トロ箱の疵繕うて春を待つ | ひのと |
自家製の野菜で足りる冬籠 | 明日香 |
百寿てふ盆梅の白咲き満ちて | むべ |
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2022年01月23日 | |
寒紅を差して写真の列に入る | うつぎ |
冬落暉真珠筏にひろがりぬ | もとこ |
息白く通り過ぎたる負け力士 | ひのと |
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2022年01月22日 | |
徒長枝の梅直線に活けにけり | 明日香 |
星空へカラカラ唄ふ凍み豆腐 | 智恵子 |
紅殻の褪せし格子や藪柑子 | 凡士 |
野仏の供花ま新し里小春 | ひのと |
2022年01月21日 | |
ちやんちやんこ企業戦士の面は無く | たか子 |
寒風に揺るるおでんの赤提灯 | みきえ |
幼子の笑顔のピース冬ぬくし | きよえ |
歌留多よむ声恋歌に上ずりぬ | 素秀 |
灯ともせば結露の玻璃は万華鏡 | 智恵子 |
貼りたての障子仄かに朝日射す | 千鶴 |
少年の淡い口ひげ春隣 | 千鶴 |
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2022年01月20日 | |
風花の路地にひしめく先斗町 | もとこ |
霧氷林窓に触れもす電車かな | うつぎ |
マルチングとれば生き生き冬野菜 | 明日香 |
雪降るやしづかにほどく仕付糸 | ひのと |
湯治場の長き廊下や雪明り | 凡士 |
大寒に耐ふのど飴をまろばせて | やよい |
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2022年01月19日 | |
懐手して漁師らの沖見癖 | ひのと |
寒風に研ぎ澄まされて月孤高 | はく子 |
ペンギンの親子さながらスケートす | あひる |
石段に折るる我が影日脚伸ぶ | みきお |
水の面をたたら走りに鴨翔ちぬ | せつ子 |
青空の透けて疵無し初氷 | 素秀 |
懐手解いてくぐりし注連柱 | 凡士 |
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2022年01月18日 | |
雪山を転がり落つる風を見よ | 素秀 |
つのる鬱蝋梅の黄に癒やされぬ | もとこ |
鬼の的を発しと射抜き弓始 | はく子 |
忘の字の闇に灯るや阪神忌 | あひる |
風花の神馬の睫毛くすぐりぬ | うつぎ |
女正月湯船に浮かぶ絆創膏 | なつき |
花筒の氷を割りて供花を挿す | たか子 |
湯もみ女の高窓に舞ふ細雪 | 智恵子 |
をさなごのみやげ話や雪うさぎ | あひる |
片方は淀の葦原冬の虹 | 凡士 |
生き延びし汝れも鬼籍や阪神忌 | せいじ |
真つ白な雪の沖より船もどる | ひのと |
息白く天突き朝礼体操す | みきお |
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2022年01月17日 | |
小さき口開け待つ孫に蜜柑剥く | もとこ |
凍てついて尖る轍や山の道 | みきお |
冴ゆる夜の家のどこかが軋む音 | 凡士 |
しずり雪避ける術なし墓の径 | たか子 |
石ひとつ生の字におく震災忌 | 凡士 |
震災を知らぬ瞳や冬茜 | ひのと |
少年ら正座凜凜しく寒稽古 | 宏虎 |
寒風にテニスボールのよろけけり | ぽんこ |
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2022年01月16日 | |
川凍るひとひらの葉を封じ込め | ひのと |
農一筋豊作祈り鍬はじめ | みきお |
野地蔵の雪を払ひて合掌す | 智恵子 |
小走れば枝から枝へ枯木星 | あひる |
着膨れて津波の報に怯えけり | ふさこ |
とんど火に燃ゆ直会の紙コップ | よう子 |
雪道を夫の靴跡なぞりつつ | たか子 |
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2022年01月15日 | |
春近しプラスマ思考へ転じけり | 明日香 |
母の味探り白菜漬けにけり | むべ |
女正月三人寄ればよく笑ふ | やよい |
尼寺の寒の厨に灯の点り | みづき |
竹爆ぜて宮に谺すどんどかな | もとこ |
舞ひ終へし帯のほてりや垂り雪 | ひのと |
命毛を利かせ一巻初写経 | うつぎ |
2022年01月14日 | |
ローカル線窓辺に眩し雪景色 | 智恵子 |
幾度も雪の窓開け子規思ふ | うつぎ |
姫を舞ふ神楽の人の喉仏 | みきお |
行間にふるさと匂ふ寒見舞 | 凡士 |
どこまでも雪吹き込めるシャッター街 | 素秀 |
形見なるセーターまくり皿洗ひ | むべ |
農小屋の前は浄土やほとけのざ | あひる |
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2022年01月13日 | |
ストーブを背に荷を下ろす行商婦 | 凡士 |
左義長の火柱となり空焦がす | みきお |
むささびの星を抱へて渓渡る | 素秀 |
顎上げて投薬と呑む寒の水 | たか子 |
ありたけの酒積みていざ初漁へ | ひのと |
突風に舞ひ落ちて来し寒雀 | みきえ |
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2022年01月12日 | |
やはらかき手首を持ちて筆始 | むべ |
風花やひざ掛け紅き人力車 | 凡士 |
男には頼らぬ鏡開きかな | ひのと |
更くる夜の家を揺るがすしづり雪 | みきお |
船追うて鳶の去りゆく松納 | ひのと |
気に入りて持ち帰りたる初神籤 | たか子 |
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2022年01月11日 | |
雪残る橋な滑りそ初詣 | こすもす |
両の手に雪玉持つて登校す | ひのと |
鰤引いて仕事始めの手鉤かな | ひのと |
たつぷりと小豆を炊いて鏡割り | みきえ |
練りきりの虎と目の合ふ初茶湯 | むべ |
校庭の隅まで伸びし冬木影 | あひる |
対局の袴凛々しく年新た | せいじ |
笛鳴らす警官もまた新成人 | 素秀 |
初句会なれど目当ては飛鳥鍋 | 明日香 |
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2022年01月10日 | |
深酒や船出せぬ日の古炬燵 | ひのと |
読初の聖書ふたりで開きけり | せいじ |
だみ声を残して翔ちぬ寒鴉 | ぽんこ |
福寿草咲ひて日常回りだす | みづき |
譲らるる席に一礼着膨れて | うつぎ |
煮凝や父の認知のふと戻り | むべ |
稽古着のままの一団初詣 | こすもす |
欅枯れ千手の瘤を日に曝す | 凡士 |
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2022年01月09日 | |
放水の的撃ち抜きし出初式 | 豊実 |
亡夫在さば金婚の筈家の春 | こすもす |
百寿なる松の下なる歌はじめ | ひのと |
冬耕の手を振りくれし卆寿翁 | うつぎ |
成人の日の島ぢゆうが母のかほ | ひのと |
兜煮の目玉いただく松の内 | 宏虎 |
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2022年01月08日 | |
弾初や松脂弓にすべらせて | むべ |
不機嫌を隠して母はくず湯吹く | 素秀 |
伸びやかな鳶の笛降る初御空 | やよい |
凍雲の切れ目に白し伊吹山 | 隆松 |
初髪を解けば火の粉の匂ひたつ | ひのと |
偕老の肩寄せあひて日向ぼこ | 明日香 |
着脱に十指もつるる寒の朝 | たか子 |
やれ嬉し孫より声の年賀状 | みきえ |
寒の水喉にするりと常備薬 | 満天 |
2022年01月07日 | |
懐に子犬抱へて御慶述ぶ | ひのと |
コンビニの七草パック山と積む | もとこ |
煎り酒の匂ふ厨や雪しづり | むべ |
二種足らぬ七草なれどお祝いす | 宏虎 |
七種や故郷に残す母のこと | ひのと |
どんど焼きウイズコロナの文字も燃ゆ | 明日香 |
和太鼓のドンと響きて寒稽古 | せつ子 |
箸置きを二つ並べて七日粥 | 豊実 |
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2022年01月06日 | |
恵方へと糸弛ませるいかのぼり | たか子 |
川の字に孫を挟みて寝正月 | 素秀 |
小さき手より薄氷を譲らるる | ひのと |
夕空に小寒の月研ぎ澄ます | なつき |
赤き掌で湯気の臼よりちぎり餅 | 豊実 |
大白鳥水面の朝日啄みぬ | ひのと |
吾ひとり祈るチャペルに淑気満つ | せつ子 |
ドライバー募集と札や初荷行く | うつぎ |
冬木立空つぽの巣が二つ三つ | あひる |
鐘を撞く梢の冬芽震はせて | はく子 |
初雪の地につくまでに消へにけり | 満天 |
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2022年01月05日 | |
獅子舞の大き口から眼鏡顔 | 素秀 |
面とれば湯気立つ剣士初稽古 | 凡士 |
乗初は一山越ゆる郷帰り | 素秀 |
孫ら来て変顔ごつこ初笑 | せつ子 |
重ね着や色のことなど言ふてをれず | たか子 |
除夜の鐘燭ふるはせて撞きにけり | はく子 |
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2022年01月04日 | |
独楽の色同心円に溶け込めり | 豊実 |
突と湯気吹きてケトルの叫びだす | あひる |
手に破魔矢帰宅の夫の機嫌よし | みきえ |
次々の御慶に応ふ神馬かな | うつぎ |
外つ国の嫁の手慣れの雑煮かな | 凡士 |
巫女の鈴頭に戴きて初詣 | うつぎ |
畝幅を整へ直し寒に入る | 千鶴 |
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2022年01月03日 | |
みな去にて珈琲旨き三日かな | もとこ |
風花の湯気に玉砕露天風呂 | 宏虎 |
初夢に宇宙旅行の吾のゐて | あひる |
笹鳴きの参道抜けて神社へと | こすもす |
子ら去りてやつと私のお正月 | 明日香 |
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2022年01月02日 | |
大人びし孫と手つなぎ初詣 | たか子 |
夢かしら子供たちからお年玉 | 明日香 |
賜りし長寿に感謝初日の出 | 宏虎 |
皿盛りの仕上げに添へる実千両 | あひる |
初詣で迷子がかりは婦警さん | 智恵子 |
一の字に銀翼よぎる初御空 | みきえ |
雑煮椀代々といふ黒漆 | 千鶴 |
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2022年01月01日 | |
明星を残して峡の初明り | 素秀 |
古都の旅母と初乗り人力車 | 智恵子 |
ずわい蟹バイト仕込みの子の捌き | せいじ |
黒潮の岬に初松籟を聞く | 素秀 |
金箔の黒豆摘む祝い箸 | 豊実 |
うたた寝を起こし起こされ去年今年 | なつき |
恭しく孫にいただくお年玉 | ぽんこ |
2021年12月31日 | |
除夜の鐘間合ひに落ちて夢の中 | 素秀 |
大晦日捲るトイレのカレンダー | 豊実 |
目瞑りて大晦日なる仕舞風呂 | せいじ |
いく筋も杣の煙や山眠る | あひる |
金婚の二人あひ謝し晦日そば | たか子 |
大晦日遅れを正す古時計 | むべ |
寒風にブレークダンス濯ぎもの | はく子 |
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2021年12月30日 | |
一穢なき峡の凍空鳶の笛 | 素秀 |
コロナ禍に余白の多き日記果つ | 千鶴 |
しあわせと母のひとこと園小春 | あひる |
二日目の孫打ち解けし年の暮 | せいじ |
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2021年12月29日 | |
泥田からゆるり足抜く蓮根掘り | せつ子 |
国訛り弾む団欒掘炬燵 | 千鶴 |
年送る孫と人生ゲームして | せいじ |
寒鴉陸軍墓碑を閲兵す | ぽんこ |
小つごもり簡素となりし厨ごと | たか子 |
漬樽のならぶ師走の京老舗 | 凡士 |
野仏の福耳を打つ雪つぶて | 素秀 |
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2021年12月28日 | |
冬耕の人と烏の黒き影 | 素秀 |
水仙や墓所は港の見える丘 | 素秀 |
年用意日がな黒豆煮る匂ひ | 千鶴 |
冬鴎群れ飛ぶ沖の大漁旗 | 凡士 |
花瓶へと活くる雪折実南天 | こすもす |
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2021年12月27日 | |
夜を走る鼬の口の赤きかな | 素秀 |
久に訪ふ吾にふるさと山眠る | あひる |
北風にぞめく竹林裏参道 | せいじ |
車窓いま袋叩きに玉霰 | せつ子 |
ひさびさに家族集ひて年惜しむ | もとこ |
木枯しの山頂古都をパノラマに | せいじ |
延々と風車連ねて山眠る | 凡士 |
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2021年12月26日 | |
枯木宿樹影揺らめく磨り硝子 | むべ |
菰巻かれ蘇鉄はオブジェ然となす | 凡士 |
冬天の真澄に舞へる鳶高し | せつ子 |
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2021年12月25日 | |
羽欠けしままに聖樹の天使かな | あひる |
剪定の小枝で飾り松創る | たか子 |
断捨離のごとくに庭木剪定す | 明日香 |
着ぶくれて散歩の犬に追ひ越され | せつ子 |