みのる選:2021年10月度

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2021年10月31日

10月23日~10月29日

2021年10月29日
大根に友の名のあり道の駅みきお
こすもすに撫でられてをる力石ぽんこ
初鴨の小さき陣なす池真中なつき
くわりんの実撒き散らしたる賽の神うつぎ
ハロウィン逃げ出す猫を追ふ小魔女素秀
公園のひと雨ごとに秋深む満天
晩秋や物干し竿の位置変ふる明日香
古町の参道左右に菊の鉢はく子
2021年10月28日
人出より提灯多し秋祭あひる
碧天や手摺り狭しと干す布団智恵子
後継ぎのなき家手入れ身にぞ入む明日香
大落暉海峡を呑む島の秋千鶴
保母の笛木の実を拾ふ子らに鳴るなつき
苔庭の紅一点は返り花うつぎ
朴葉味噌焦がす暮秋を飛騨泊凡士
一擲のパンに崩れし鴨の陣なつき
雁の声落として川辺暮れにけりむべ
2021年10月27日
今日の月甓の波を照らしけり満天
天平の野辺訪ねゆく菊日和凡士
薄ら日に冬菜輝く緑かなたかを
露天湯に秋の星座をなぞる指素秀
無事退院せし吾に庭の返り花董雨
踏み場なき木の実木の葉の羅漢道はく子
勾玉の出でし墳てふ大花野やよい
はぐれ鹿白き尻毛の震へをり千鶴
2021年10月26日
抜きん出し園の一樹や百舌鳥の声やよい
楼門の反りに反りたる秋の空ぽんこ
セコイアの葉擦れも園の秋の声むべ
錦繍の連山空を染めんとすせいじ
朝窓を貫く鵯の鋭声かな豊実
あきつ来てかしづくごとし磨崖仏もとこ
2021年10月25日
籾がらの絨毯の田に一服す明日香
間引き菜の小さき虫喰ひ愛しむ千鶴
日向ぼこ犬のイビキに猫パンチ智恵子
2021年10月24日
埋め戻す遺跡を飛蝗飛びまはりなつき
秋寂ぶや苔の首塚供華もなしぽんこ
里芋の吹きこぼれたる長電話むべ
2021年10月23日
般若寺の土塀のくずれ身にぞしむぽんこ
けなし合ふ選挙演説うそ寒しせいじ
白妙の富士に手を振る尾花かなむべ
コスモスの影縺れをる五輪塔明日香
明王の憤怒慰む秋桜もとこ

2021年10月24日

10月16日~10月22日

2021年10月22日
夕鵙や槌音止まぬ宮普請なつき
群青の空舞ひ降りて小鳥来る宏虎
鰯雲ペダルの足をとめ仰ぐあひる
手に重き日の温もりの熟柿吸ふ凡士
闘犬の瞳に赤しななかまど素秀
2021年10月21日
朝冷えに母の遺せしカァデガン董雨
秋空を蹴飛ばしてをる逆上がり満天
草紅葉触れつつ会話車椅子満天
冷まじや肩より狭き手術台素秀
ふつふつと湧き出づ日々や鰯雲うつぎ
黄金田の真つ只中に我が母校菜々
やや寒や茶を啜りつつ相無言
小鳥来る梢の先の九輪塔ぽんこ
2021年10月20日
落暉いま黄金波の稲田かな明日香
曾孫抱き夫の墓訪ふ秋日和はく子
色鳥に返す術なき羽根拾ふたか子
甘藷堀りの子らの頭に日の匂ひなつき
客寄せと思ふ秋刀魚を焼く煙あひる
蔦紅葉鎧ひて仁王立つ古木むべ
2021年10月19日
秋潮の満つる舞台に観世能凡士
古の磴の歪みやそぞろ寒なつき
村ぢゆうの子らが総出や秋まつり凡士
2021年10月18日
朝寒や散歩に選ぶ日向道隆松
乗換への駅の木椅子のそぞろ寒みづき
橋半ば供華の白菊身にぞ入むやよい
ふたりして聖書輪読する夜長せいじ
懸崖菊万朶の蕾揃ひけり宏虎
秋さぶや古き商家の虫籠窓満天
2021年10月17日
秋灯下娘の生まれ日のワイン抜くあひる
尺ほどの野仏埋む野菊かな智恵子
ぎんなんを剥く手も口も忙しげにはく子
帯締に母の残り香萩日和
2021年10月16日
運動会をどる法被の背に夢とこすもす
津軽発つ木箱の林檎香しき千鶴
山峡に谺す太鼓秋祭うつぎ
白壁の蔵に柿映ゆ旧家かな明日香
秋麗や御目優しき首仏やよい
新藁で大草鞋編み奉納すみきお
剥き方も伝承といふ吊し柿豊実
自然薯の醜男ぶりを選びたり凡士

2021年10月17日

10月9日~10月15日

2021年10月15日
明日香路や指を伸ばせば赤とんぼ明日香
挟み竿届かぬ先に柿熟るる千鶴
秋耕や島に畑はこの二反凡士
黄落の庭に手術の終はる待つむべ
野仏も御目上げませ鰯雲うつぎ
2021年10月14日
パトカーの見張る踏切そぞろ寒こすもす
秋蝶の風にあづける翅薄しもとこ
芋掘りて嬉々たる子らの顔に土智恵子
庭木に干す軍手軍足秋日和うつぎ
2021年10月13日
星座表手にする秋の夜警かなたかを
広がりし苅田の空に昼の月小袖
合掌の軒を余さず柿簾凡士
秋思やな愚痴言ひ合へる人もなくはく子
送電線撓む蒼空秋の晴董雨
乳飲み子のごとく大樹のけらつつきあひる
2021年10月12日
湖岸ゆく秋夕照の比良比叡凡士
秋桜や風と駆けたるお下げ髪なつき
一枚を刈れば稲田の風替るたか子
貝殻にのこる足跡秋の浜こすもす
秋天へクレーン首振る開発地満天
2021年10月11日
退院の風呂に鼻歌虫の夜やよい
山峡の右近の郷に秋惜しむうつぎ
渡船から影降りたちて秋夕焼素秀
一人酒庭の幸なる秋茗荷
丹精の芙蓉酔はせて和尚留守うつぎ
2021年10月10日
廃線路あり月明の切通し凡士
丘の秋発電風車機嫌よし千鶴
秋晴れて蛇行す川の青さかなあひる
ななかまど燃へて夕日を弾きけり凡士
海峡の渦を貫く月の道素秀
どんぐりの兵隊並ぶ砂の城なつき
大原女に道問ふ古都の菊日和智恵子
2021年10月09日
店閉ずと張紙古りし寒露かななつき
軋み着く終着駅やあきつ群るなつき
能登の塩ひとつかみふる栗強飯凡士
閑けさや秋の湖岸へ鮒の竿隆松
秋の蝶日差しの庭を舞ひつづけ満天

2021年10月10日

10月2日~10月8日

2021年10月08日
秋草に総入れ替へや花時計せいじ
譲り合ふ足湯の席や鰯雲花茗荷
余震なほつづきて長き夜なりけりむべ
薬飲む水にむせたる寒路かななつき
2021年10月07日
のびやかな子規句碑愛でつ萩の寺たか子
秋深し妻の介護の日々なりしたかを
運動会児らのゴールはママの胸智恵子
爽やかや喫茶営む老二人ぽんこ
島つなぐ送電線や秋澄める宏虎
月明りあまる川原の外湯かな素秀
前撮りの主役は嫁御薄紅葉もとこ
撫で肩におはす観音秋気澄むはく子
秋空を遊泳せるは錦鯉豊実
寺宝なる松の根元にこぼれ萩ぽんこ
2021年10月06日
海原を分けて渚へ月の道智恵子
白亜なる仏陀や萩を籬とすたか子
小さき字の母の家計簿秋灯下なつき
藁の香を撒きちらしゆくコンバイン宏虎
遠山も手がとどきさう秋澄めるせいじ
2021年10月05日
こぼれ萩連理の句碑を荘厳すぽんこ
一日に一便のバス秋高しみきお
寺訪へば風のもてなし萩白したか子
秋風に心ゆだねてLETITBE千鶴
礼状はパクリと葡萄食む動画あひる
渡り蝶色なき風を捉らへけり千鶴
手開きの鰯が光るつみれ汁もとこ
虫喰ひの穴より香るくわりんの実たか子
森林の奉仕活動小鳥来る豊実
2021年10月04日
校庭に並ぶ赤帽秋高し豊実
萩散るや碑に刻まれしマリア像ぽんこ
イナバウアーして枝先の毛虫かなあひる
説法の漏れくる萩の寺苑かなたか子
海道を高舞ふ鳶や秋遍路凡士
焼き芋の皮剥く母の目の力あひる
露けしと野辺の地蔵の笑ひをり素秀
縺れては風にほぐるる秋桜満天
憩ふ蝶シンバルのごと翅あはす明日香
すり寄りて猫の離れぬ秋思かなたかを
2021年10月03日
名水をたつぷり汲んで新豆腐凡士
頂きへ道は岩場や濃竜胆素秀
走り根に足なとられそ茸狩明日香
這ひ這ひの動画に秋思忘れけりはく子
一軒のための電柱芋嵐凡士
黙想の家に団栗落つる音むべ
漣に綺羅揉みやまぬ秋日かな隆松
市松に彩る峡の裾田かな素秀
瀬の楽の変はり錦秋始まりぬみづき
大盛りに供へし今朝の今年米千鶴
2021年10月02日
鯊の竿蟹が万歳して釣れりなつき
参道の幟褪せたる秋祭素秀
おばしまに凭れるように式部の実ぽんこ
豊作の風の膨らむ米どころ宏虎
爽やかや大手を振つて朝散歩菜々
聖堂の練塀長し蔦紅葉凡士

2021年10月3日

9月25日~10月1日

2021年10月01日
饒舌な幽霊もゐて村芝居凡士
菊月の佳き日に迎ふ佳き嫁御千鶴
熊笹に足首切らる霧の道豊実
古墳でて次の古墳へ秋の声明日香
野分憎しドミノ倒しの稲田かな智恵子
2021年09月30日
肌なずる風に夜ごとの秋気かなたか子
雲ぬけていよいよ高し今日の月董雨
藪からし鎧としたる遺跡かな明日香
小鳥来る遠まなざしのガラシャ像凡士
2021年09月29日
学び舎の裏門縷々と昼の虫満天
露天湯に我ただひとり寝待月凡士
泥つきのままにひからぶ鵙の贄みきお
客待ちのポニー秋草食んでをりなつき
ゴッホの黄うち広がりし豊の秋千鶴
フェンス出て歩道にまろぶかぼちやかなやよい
蹴散らしてバス駈けてゆく落葉道せいじ
2021年09月28日
老ゆほどに母似といはれ小豆打つこすもす
山の端の秋夕焼に一つ星むべ
絶筆の十年日記身にぞ入むうつぎ
登校子朝の挨拶さわやかに董雨
合鴨の不意に顔出す稲田かなあひる
涼しさにスキップ踏みつ流れ橋菜々
競落とすトロ箱の河豚大暴れ智恵子
被爆樹の二幹をつなぐ蜘蛛の糸なつき
もの言はぬ力石撫ぜ秋惜しむぽんこ
2021年09月27日
また来てと貼紙のあり帰燕の巣隆松
案山子にも手を振つて行く選挙カーうつぎ
亀石を撫でて明日香の秋惜しむ明日香
いぼむしり向けしカメラに斧翳す豊実
2021年09月26日
皮剥きは夫の役割栗ご飯明日香
観音の小首傾げる秋の声ぽんこ
露けしき草に覆はる摩崖仏宏虎
青空をそびらに笑める柘榴かなこすもす
爽やかや鳥語に目覚む山泊まりやよい
ひろげたる両手いつぱい空高し素秀
2021年09月25日
浜焼きの鰯のけぶる九十九里智恵子
露草の瑠璃散らしたる野面積むべ
黄落のベンチに集ひ将棋さすもとこ
力石喝と一太刀稲光うつぎ
蹲踞に桔梗一茎明智寺なおこ
洞窟の湧水に聞く秋の声ぽんこ
橋桁に大集合す帰燕かな素秀
敗荷や狼藉のごと水濁るたか子

 

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