みのる選:2021年9月度

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2021年9月26日

9月18日~9月24日

2021年09月24日
風起こす貨物列車や猫じやらし豊実
黄落のうち敷く庭に力石素秀
ジーンズに盗人はぎのすそ模様たか子
満月に濃き影なせる家並みかなあひる
月光に藍深めをり四囲の山はく子
2021年09月23日
墓参り手桶持つ子ら逞しくそうけい
十六夜や一日子守の腰伸ばしなつき
干されたる漁網の臭ふ残暑かなぽんこ
2021年09月22日
秋雨や龍笛ひびく祈祷殿なつき
雲抜けて漆黒深き望の月豊実
三輪山も二上も見ゆ望の月明日香
秋灯し鱗の光る白蛇図なつき
月の出を畑道で待つ人の列そうけい
2021年09月21日
焼印の薄れし鎌や豊の秋みきお
灯親し天声人語書き写すやよい
秋風や天を掃きをる杉木立隆松
2021年09月20日
補聴器に途切れ途切れの昼の虫みきお
敬老日息災といふ感謝ありたか子
孫が描く爺婆若し敬老日もとこ
臥す父へカーテン開くる月今宵なつき
山村に薪割る音や冬隣みきお
真青なる空どこまでも鰯雲せいじ
2021年09月19日
虫の声聞き分けしつつ長湯かな素秀
千枚田赤く綴るは曼珠沙華智恵子
巻貝に耳当てて聞く秋の声宏虎
月孤高台風一過の中天にはく子
身に入むや手向け花ある従軍碑凡士
2021年09月18日
天高し埋め戻されし出土跡せいじ
朝芒触るる手甲に玉雫隆松
バケツからちちろ飛び出す拭き掃除やよい
魁の暗雲迅し台風来むべ
薄暮なるパステルカラー秋の雲たか子
窯元に並ぶ大甕虫の声素秀
神域の籬をなせる曼珠沙華ぽんこ

2021年9月19日

9月11日~9月17日

2021年09月17日
竹春の奈落となりし切通し素秀
秋扇少し扇いで仕舞ひけりたか子
古希越えてなほ若手なる敬老日あひる
夜神楽の間遠に聞こゆ村はずれみきお
秋暑し開かずの踏切やつと開くやよい
真直ぐなるセコイア並木秋高し凡士
2021年09月16日
藤壺のひしめく鉄鎖水澄めりやよい
満開の萩越しに海展けけりこすもす
新走り女子組が占む立ち飲屋もとこ
秋思つく父の手擦れの歳時記にみづき
心地よき秋日の匂ふシーツかなむべ
2021年09月15日
語らひの余韻さはやかペダルこぐあひる
向日葵の辞儀す重さを括りけりみきお
走り根に蚊遣り香具師の忘れものなつき
砂丘ゆく駱駝の空を鳥渡る凡士
秋天を映して深しにはたづみあひる
月光に山浮き彫りや鄙の里宏虎
2021年09月14日
犬も主も挨拶交はす園うららこすもす
御吉野や時雨まとひて曼珠沙華あられ
秋天を屏風としたる天守閣たか子
雨だれの飽きぬリズムに秋惜しむ明日香
露の岩不動明王彫られゐて明日香
段丘の高みを統ぶる秋桜素秀
駅なかにお国訛りの林檎売凡士
2021年09月13日
秋つばめ炊煙ひとつ峡の空凡士
アイドル祈願記せる絵馬や小鳥くるなつき
初秋刀魚骨も炙りて肴とす素秀
谺せる普請の音や秋澄めるせいじ
櫓門節穴に見ゆ秋湿りたか子
音すれど見へぬ電車やすすき原こすもす
秋の夜や終活のことあれこれと満天
至福なる城見の句座や秋日和たか子
2021年09月12日
城めぐる市民マラソン秋高しもとこ
一人居の夜長は私だけのものはく子
田の神さあ隠して稔る稲穂かなみきお
秋の朝舟の影ゆく湖鏡隆松
ふるさとの兄より届く甘き梨あひる
2021年09月11日
二階へと匂ふ新米炊き上がり満天
身に入むや残念石にくさび痕たか子
初紅葉天守に向かふ女坂ぽんこ
みささぎの露草の径たもとほるせいじ
朝雀また一羽来て木槿落つなつき

2021年9月12日

9月4日~9月10日

2021年09月10日
霧襖分けて始発の電車の灯智恵子
秋暑し赤子あやして百面相なつき
秋日濃し日に一本のバスを待ち菜々
鉦叩き灯して暗き外厠たか子
秋風鈴よろず屋の婆うたた寝すなつき
2021年09月09日
うそ寒しためらひて書く無職の字凡士
道道のつゆ草サファイアめく朝日こすもす
片づきし亡夫の書棚に秋日影むべ
どんぐりに足な取られそ山下るあひる
蟷螂の睨む目ん玉枯れ兆す凡士
軽トラの荷台で味見笊の桃豊実
甘藷畑横一列に軍手の子みきお
単線の鉄路左右よりねこじゃらしやよい
2021年09月08日
秋晴や島の波止占む一夜干し凡士
蹲ゐに水漬くひと葉や今朝の秋菜々
つくつくし古墳の森に合唱すせいじ
2021年09月07日
総玻璃のビルの青さや秋の雲ぽんこ
合鴨の声そこここに稲の花やよい
爽やかやぴたりと決まる組体操宏虎
花束にあらず真つ赤な唐辛子もとこ
庭下駄の一つ転がる白露かななつき
2021年09月06日
つと立ちて次の風待つ猫じやらし明日香
新米来何はともあれ塩結びやよい
塩むすび艶よし香よし今年米やよい
稲の香を撒き散らすゆくコンバイン素秀
2021年09月05日
ひぐらしの四方に谺す川の宿もとこ
一部屋を占めて干さるる唐辛子素秀
秋天を足蹴りにして逆上がりみきお
2021年09月04日
雲海を貫く富士の勇姿見よ智恵子
初盆や遺影の前にランドセルみきお
土間照らす裸電球ちちろ鳴くみきお

2021年9月5日

8月28日~9月3日

2021年09月03日
じつくりと根菜を煮る秋黴雨むべ
暮れ残る空に秋刀魚を焼く煙凡士
一山を揺るがす如く蝉時雨こすもす
色草を籬としたる辻地蔵素秀
警報のひつきりなしや秋黴雨明日香
磯鴫の影絵めきたる夕の浜智恵子
2021年09月02日
警官も板前もゐて夜学の灯凡士
秋風に里恋ひ心ふつふつと菜々
音立てて水飲む猫の舌涼しみきお
漕ぎ出でしひるぎの森は星月夜もとこ
友の忌に贈る秋薔薇剪りにけりあひる
2021年09月01日
早暁の畦道ゆけば虫涼しはく子
ああ言へばこう言ふ夫や秋灯下明日香
身に入むや畑の真中に五輪塔ぽんこ
幅跳びの義足飛び立つ秋の空あひる
風鈴の個性それぞれ風の音たか子
秋涼し息吹き返す鉢もあり明日香
2021年08月31日
江ノ電の過ぎて大揺れ秋桜智恵子
聞き上手忘れ上手や生身魂明日香
翔びたてば扇の形稲雀素秀
医薬門くぐる一歩に萩浄土宏虎
2021年08月30日
山寺の筧あふるる清水かななつき
鉦叩小さき森なすプランター智恵子
病窓に切り取られたる秋の空むべ
満ち潮の足跡浚ふ秋の浜みきお
脈拍の乱れを数ふ夜長かな明日香
2021年08月29日
赤とんぼ群るる休耕田の空せいじ
格闘のごとスライスす新生姜あひる
紙屑のごとく掃かるる木槿かなうつぎ
風抜ける土間の片隅ちちろ鳴く智恵子
2021年08月28日
押し入れに庭師の免許生身魂なつき
泥洗ふだけで香るや新生姜あひる
肩寄せて浦に十戸の島の秋凡士
絵日記に三日連続赤とんぼ素秀
蜩や石で竈を組む河原豊実
手水舎は桧造りや水澄めるぽんこ

 

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