みのる選:2021年8月度

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2021年8月29日

8月21日~8月27日

2021年08月27日
ひき潮のたびに鳴く砂鳥帰るみきお
恐竜の吐くミスト浴ぶ残暑かななつき
2021年08月26日
鉄塔に引つかかりたる秋の雲たか子
無花果を植えた亡き子に供ヘけり董雨
新涼や厨にパンを焼く匂ひやよい
一畝はオクラの花の舞踏会あひる
秋思憑く言わずもがなのひとことに明日香
爽やかや手離しにこぐ一輪車満天
あかとんぼ辻立ち僧の鉄鉢に凡士
2021年08月25日
見落として茗荷の花を咲かせけりむべ
爽やかやパラアスリート皆笑顔満天
涼風の六甲に飲むミルクかな凡士
山里の句碑は右城や桐一葉素秀
2021年08月24日
軽トラに揺られ畦ゆく案山子かな智恵子
秋暑しペティキュアの彩褪せにけりもとこ
田の神へ祈る豊作稲の花みきお
夾竹桃続く川土手爆心地みきお
岬鼻に深呼吸せる金風裡素秀
秋雲を貫くブルーインパルス智恵子
コロナ禍の事告げながら墓洗ふ董雨
2021年08月23日
路地裏に線香煙る地蔵盆宏虎
切通し仰ぐ天蓋薄紅葉智恵子
ささやけるごとウエーヴす秋桜明日香
ひまわりの地に着きさうなお辞儀かなやよい
須磨寺の句碑を巡れば処暑の風凡士
山羊親子鈴鳴らしゆく花野かな素秀
雲の瘤まだ隆々の残暑かな凡士
2021年08月22日
新秋の岬を洗ふ波しぶき素秀
天空のリフト足下に大花野智恵子
むかご飯郷関出でて幾星霜よう子
塩蜻蛉蓮の広葉をジプシーすはく子
2021年08月21日
蜩の声ではじまる山の朝みきお
眼福や車窓に秋の日本海むべ
白龍のごと霧のぼる生駒の嶺あひる
薬茶に氷うかべて暑に耐ふるなつき
堂縁に紫煙漂ふ夜学かな素秀
兄いもと打ち水足に掛け合ふてなつき
翻りたる緋は鯉や秋黴雨やよい
村祭り肩車され踊りの輪智恵子

2021年8月22日

8月14日~8月20日

2021年08月20日
肉球跡しるき廊下や秋じめり素秀
風なくて風あるごとし秋桜明日香
秋晴れて地下足袋吊るす杣の家みきお
2021年08月19日
新涼や肌にしみこむ化粧水満天
流木は麒麟の形秋の浜素秀
明日香路のそこ此処葛の花匂ふ明日香
ささやきに似し竹林の霧の雨むべ
2021年08月18日
お手水は龍の口より秋の声たか子
盆波や埠頭に船の軋む音素秀
自転車のペダル重たき野分中むべ
2021年08月17日
球児哀れ秋霖中の泥試合満天
読経と木魚に和して蝉しぐれ凡士
一両車踏切待ちや野路の秋こすもす
終活の遅々と進まぬ曝書かなもとこ
山火事のごとくに霧の立ちのぼる明日香
秋霖のまつすぐに落つ竹の道よう子
長雨に萎えたる鉢や身に入みぬ明日香
2021年08月16日
めまとひに登校の列乱れけりみきお
大稲田踏んまへ立つは電波塔明日香
京路地の古りし町屋に秋簾みづき
朝焼けに霊峰富士のシルエット智恵子
急磴を励ましくるる法師蝉たか子
2021年08月15日
祖母直伝すいとん捏ねる終戦日もとこ
そつとつく岸を離れぬに流灯を素秀
2021年08月14日
亡き夫の机の塵や秋灯下むべ
父母に夫を返しし墓洗ふうつぎ
代替わりせし盆僧の太き声明日香
門火たく倅の髪に白いもの

2021年8月15日

8月7日~8月13日

2021年08月13日
雨音に虫の音が和す朝かなむべ
ぴかぴかに仏具磨いて盆用意明日香
せせらぎの飛沫に光る草紅葉智恵子
秋涼し切子グラスに花一輪はく子
割箸の足踏んまへし茄子の馬うつぎ
2021年08月12日
旅の吾も阿呆となりて阿波踊宏虎
散歩愉し秋雨傘をさすもまたやよい
水田を見回る爺の半ズボンせいじ
音高く香を広げゆく草刈機やよい
萍がおしくらをする田の水面よう子
高垣をなして連なる夾竹桃ぽんこ
語らひの途切れて細き虫の声あひる
2021年08月11日
寄す波の黄金を揉む夕の秋智恵子
爽涼の園に気功を習ひけり満天
朝焼けの薔薇色となる刹那かなあひる
加茂野菜御膳に並ぶ避暑の宿もとこ
一茎の背伸びしてをる向日葵田うつぎ
蜩の峠に続く杉美林素秀
2021年08月10日
わが影に遊ぶ池面の赤とんぼやよい
前足を踏んばる蟇の面構へみきお
鰺フライ匂へる蜑の路地夕べ凡士
椅子に持て余す昼寝の子らの足そうけい
雲海の解けて翼下に駿河湾智恵子
2021年08月09日
星月夜途中下車して歩きけり宏虎
突風に巻き上げられし秋簾せいじ
水遣りのホースの先に虹生る凡士
颱風の風いなしをる鎖樋せいじ
涼風を残して俄雨あがる菜々
磨崖仏とりかこみゐる赤とんぼ智恵子
拝殿へ険磴百段蝉しぐれやよい
2021年08月08日
蓮広葉二タ分けにして風の道みきお
蜩の声やししじまの間遠より素秀
2021年08月07日
泉水の鯉の後追ふ蜻蛉かなぽんこ
ががんぼの頼りなき脚壁叩くみきお
立つ秋の露地を曲がれば余り風たか子
真青なる空に浮雲今朝の秋満天
雲の峰夕日に染まり崩れけりはく子
綺羅波は秋立つ伊吹山の風隆松
海鳴りの砂丘越へ来る晩夏かな凡士

2021年8月8日

7月31日~8月6日

2021年08月06日
祈りこめ平和宣言蝉時雨こすもす
もてなしの麦茶一杯一気飲み豊実
語り部は若き少女や原爆忌満天
出払ひし看護詰所や夜の秋むべ
吊革の手に老いをみる晩夏かな凡士
言ひ過ぎた言葉戻らず遠花火明日香
石磴の手摺に残る暑さかなぽんこ
日盛りに影かぎろひて飛機離陸素秀
2021年08月05日
切つ先に朝露ひかる稲の青やよい
鮨飯の香に咽せながらしゃもじ切る素秀
朝戸繰る否やにわつと蝉の声やよい
陋屋の格子に咲かす牽牛花ぽんこ
2021年08月04日
休耕田隈なく埋む泡立草みきお
傷心のごとうなだれて炎暑往くたか子
草刈つて匂ひたちたる休耕田やよい
帰省子の恋持て帰る夕かな素秀
満天の星屑うかべ夜のプール凡士
水打って恙なき日を謝す夕べ満天
一病の夫の味方は冷奴もとこ
2021年08月03日
父はさみ姉妹の会話団扇風なつき
西瓜玉はばきかせをる野菜室あひる
小さき背に担ぐ大きな捕虫網豊実
新涼や街の運河の水匂ふたか子
袈裟斬りに甲板掠め夏燕素秀
モール街歩き疲れて氷菓食ぶあひる
屏畳岩連ねし峡の風涼し菜々
2021年08月02日
巻貝の虚ろな殻に忘れ汐素秀
駆け回る三角ベース夏の草凡士
救急のサイレン止みて蝉時雨むべ
蝉時雨切り裂くゴルフショットかなせいじ
打水や京古町の石畳はく子
2021年08月01日
日照雨きてついと止みたる蝉時雨たか子
風鈴の舌垂れてゐる午後六時凡士
父母祖母と偲ぶ生家の端居かなもとこ
勝ちし子の二の腕太き宮相撲宏虎
2021年07月31日
水甕を壺中天とすめだかかなたか子
法話聞く皆に首振る扇風機なつき
蝦夷ここに棄農の地あり夏の草むべ

2021年8月1日

7月24日~7月30日

2021年07月30日
パノラマに積丹ブルー夏の潮むべ
泥鰌鍋上がり框の黒光り凡士
山鳩のこゑの涼しき生家かな更紗
2021年07月29日
常濡れに苔の石仏作り滝ぽんこ
雲の峰高し底ひに播磨灘素秀
車座に子ら氷菓食ぶ草野球智恵子
大西日並ぶ羅漢の赤ら顔素秀
雲龍図うち仰ぎ見る堂涼し明日香
夏痩せと声掠れたる電話かななつき
2021年07月28日
炎天下軍鶏半眼に仁王立素秀
茅葺きの一集落や流れ星みきお
背な反らせ蝉捕りの子の木を見上ぐたか子
2021年07月27日
わが影に纏はる影は揚羽蝶せいじ
蝉時雨ぴたと止みたる昼餉時満天
おはぐろの舞ひ来て池に風生るたか子
老犬の大き溜息夜の秋むべ
吊橋に二の足を踏む夏帽子はく子
宿題の刺繍拙き白ハンカチあひる
痩身にじんべの紐を持て余すなつき
香りふくよかワイン煮の傷の桃やよい
2021年07月26日
筒抜けの風が馳走や夏座敷もとこ
山頂のポストに落とす避暑便り凡士
2021年07月25日
病む父と七三で分く氷菓子なつき
絵手紙の水色淡き夏見舞満天
勝利して校歌斉唱雲の峰凡士
助手席に浮輪離さぬ子の寝顔智恵子
2021年07月24日
笊の梅天地返しす夜干かなぽんこ
補聴器を外し程よき蝉しぐれせいじ
背高の夏草刈れば顕彰碑あられ

 

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