みのる選:2021年6月度

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2021年6月27日

6月19日~6月25日

2021年06月25日
睡蓮を掻き分け進む鯉の鰭満天
蛞蝓の銀の道あり力石凡士
新樹光刎ねゐる峰の大風車智恵子
籐椅子に座せば昭和の匂ひあり宏虎
農小屋のトタンうるさき戻り梅雨素秀
素つぴんといふといへども日焼止こすもす
2021年06月24日
幾十年経つも伝へんひめゆり忌明日香
糶果てて人気なき市朝涼し凡士
ウクレレの音色涼しきカフェテラスせいじ
軽鳬の子の横断をまつトラクターむべ
2021年06月23日
初孫の花嫁姿目に涼しこすもす
母の忌を修して父の端居かななつき
濃淡を一筆に描く墨涼し凡士
万緑や古りて褪せたる鳥瞰図豊実
水辺なる箸墓古墳初蛍明日香
2021年06月22日
万緑が押し上げてをる仏舎利塔はく子
露天湯へ長き外廊風涼し素秀
2021年06月21日
モビールの揺るる窓辺の風涼しあひる
断捨離に迷ふ一書や桜桃忌もとこ
テニス打つコートの空にいわし雲ぽんこ
飯盒の焦げを磨けば河鹿鳴く豊実
あめんぼう雲のじゅうたん跳ぶごとしやよい
2021年06月20日
立葵子らのお遊戯見え隠れ智恵子
朝涼や中州飛び立つ鷺の群れ菜々
夏袴のぞく素足にかるただこむべ
大夕焼背負ひ吊橋わたりけり凡士
斑紋は汗の染みかも力石うつぎ
大き蟻尊徳像の本を這ふやよい
2021年06月19日
楊梅の口にしばらく遊ぶ種素秀
鏡池梅雨の雲分け亀の首やよい
夏サラダビタミン色を重ね盛るたか子
桟橋に渡舟を待てる白日傘智恵子
校門は城の遺構や楠若葉凡士

2021年6月20日

6月12日~6月18日

2021年06月18日
夜半に聴く瀬音に遠き河鹿笛凡士
青蔦の窓震はせて聖歌隊凡士
同病と知りし親しさながし吹くたか子
2021年06月17日
まだ苗の歪みの見える植田かな明日香
終ひ湯の窓に貼り付く火取虫素秀
百年の糀むろあり甘酒屋むべ
キャンパスに列ぶ銀輪新樹光あひる
黒日傘低く御廟所巡りけりなつき
萍の雨の水輪に踊りけり素秀
2021年06月16日
牛蛙親鸞像におらびをりうつぎ
菖蒲園畦に置かれし泥軍手隆松
御廟所の崩れし土塀黴匂ふなつき
2021年06月15日
隠沼の静寂揺さぶる牛蛙やよい
助手席に忘れ物ありサングラスこすもす
梔子の風通ひくる理髪店素秀
孵化したる針先ほどの目高かなみきお
梅漬ける五十年なる重し石うつぎ
2021年06月14日
雷神の一喝を浴ぶ真夜の風呂うつぎ
落ちさうで落ちぬ葉裏の蝸牛せいじ
カプセルを割くやに翔ちし天道虫豊実
サボテンの針の中より花ひらく満天
2021年06月13日
蜘蛛の囲が繋ぐ千本鳥居かなもとこ
水が好きでも潜れないあめんぼう明日香
青梅雨や讃美歌に和す雨の音せいじ
老鶯や搗き餅うまし鄙の茶屋凡士
さざ波のごとくに風の姫女苑せいじ
2021年06月12日
下駄鳴らすあぢさゐ寺の石畳なつき
柿若葉土塀朽ちたる武家屋敷凡士
練習船小旗涼しく出航すたか子
ほうたるの闇の淵なる瀬音のかなうつぎ

2021年6月13日

6月5日~6月11日

2021年06月11日
描きかけの画架の置かる青葉影なつき
屋号染めぬきし老舗の夏のれんもとこ
渓谷の闇に蛍火交錯す素秀
出目金の尾を翻しそつぽ向く明日香
一筆箋添え玉葱の宅急便せいじ
背伸びして巣立まぢかのこふのとり素秀
尺取の宙を掴んで歩みけりみきお
2021年06月10日
底ぬけに青き空ある水田かなあひる
濃紫陽花伏し目がちなる六地蔵ぽんこ
花蜜柑一山覆ふ瀬戸の島凡士
万緑の囲みし園に滑り台満天
2021年06月09日
進みゆく花嫁舟や花菖蒲智恵子
塩吹きし梅干しもらふ夏遍路なつき
道迷ふ夢から覚めて明け易したか子
夕日に帆染めてヨットの戻りけり凡士
2021年06月08日
賀茂の風呼び込む茶屋の青簾凡士
ラジオ体操前屈すれば蟻の穴あひる
沢蟹の横切るを待つ渓の道隆松
2021年06月07日
天井にゆるキャラ笑ふ館涼したか子
影涼し蕪村の句碑へ若楓ぽんこ
噴水もみどりに染まる森の園満天
換毛の犬の溜息夏初
沢蟹の庭を横切る湯宿かな宏虎
2021年06月06日
梅雨の闇テールランプの赤滲むあられ
厨窓今宵の客は雨蛙明日香
蟇鳴いて鳥語鎮もる池の朝宏虎
狂ふごと夏蝶群るる台場跡せいじ
2021年06月05日
緑さす欅並木やロダン座す凡士
天牛を掴めば指に伝ふ聲素秀
お出掛けはデイサービスや白き靴あひる
汗拭ふ香具師の顔の皺深しなつき
新樹光浴びるテラスの今が好き智恵子

2021年6月6日

5月29日~6月4日

2021年06月04日
綺羅の波をどる渓流山女釣みきお
辻地蔵空き缶に挿す春紫苑智恵子
昼灯す学び舎の窓梅雨滂沱満天
2021年06月03日
笹百合の真直ぐに立ちしなぞへかな明日香
伝統の田植えさながら里絵巻みきお
梅雨灯し壁に神楽の面笑ふなつき
夜の帳下りて温泉に聴く青葉木菟凡士
残心は竹刀のしなり堂涼し素秀
2021年06月02日
ぬばたまの闇に一灯初螢みきお
夏燕掠める肩は大師像素秀
煉瓦塀蔦広げゆく夏館ぽんこ
2021年06月01日
病葉の瀬にをどりゆく速さかなたか子
紫陽花の毬木漏れ日に踊りけりそうけい
伊吹嶺に一朶の雲や麦の秋凡士
梅落とす巫女の二の腕眩しかりみきお
2021年05月31日
硝子鉢涼しレタスを山盛りに満天
田に映る白山に苗植ゑにけり凡士
2021年05月30日
ためらひててんとう虫は指を発つ素秀
梅雨晴やピリッと辛きおろしそば凡士
立葵色を重ねて上りけりみきお
大き口ひし形に開け燕の子あひる
梅雨晴間コウノトリ二羽旋回すこすもす
2021年05月29日
サングラス下手な英語も大胆に凡士
大風車青嶺に雲を払ひけり素秀
つり橋を揺らす子の列夏帽子みきお
里山の指呼に高音の河鹿笛たか子

 

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