みのる選:2021年2月度
2021年02月26日 | |
うららかに幹を広げし臥龍松 | ぽんこ |
まほろばの所どころに末黒田が | 明日香 |
春の宮哀しみかさね水子絵馬 | もとこ |
健願ふ奉納草鞋東風に揺る | こすもす |
観音の背ナを撫でゆく涅槃西風 | 素秀 |
句帳の手とめて初音に耳澄ます | たか子 |
日脚伸ぶ婦唱夫随に夕散歩 | せいじ |
子規堂へ梅天蓋の狭き道 | 智恵子 |
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2021年02月25日 | |
春水や太古の地層滲ませて | むべ |
能舞台はねて一発春の雷 | 凡士 |
烏天狗指差す方に風光る | 智恵子 |
山に来てもてなしのごと初音聴く | たか子 |
由緒寺辞して草餅家苞に | たか子 |
長々と航跡伸ばし春の凪 | 素秀 |
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2021年02月24日 | |
春灯し妣の句帳の薄き文字 | たか子 |
定年の夫と腕組む梅の坂 | なつき |
山笑ふ術後の検査異常なし | 明日香 |
探梅や蹴飛ばして行く土竜塚 | 邑 |
ジャズ聴けば湯気踊りだすマグカップ | あひる |
梅寒や相続のこと話す父 | なつき |
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2021年02月23日 | |
石段に折れ線となる春日影 | みきお |
補助輪のとれし子を押す春の風 | 智恵子 |
山家訪ふまあ上がれやと春炬燵 | 凡士 |
春帽子似合ふ百寿の誕生日 | みきお |
卒業歌唄ふ徒らみな変声期 | 邑 |
四五本は茹でずに活ける菜花かな | あひる |
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2021年02月22日 | |
お下がりのセーラー服の卒業す | 菜々 |
池うらら水輪の主は何ならむ | やよい |
閑さや瀬音閉じ込む谷霞 | 隆松 |
回覧板梅の花屑乗せてくる | 満天 |
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2021年02月21日 | |
春泥を跨ぐ子の尻泥だらけ | 智恵子 |
春寒しいつまでつづくテレワーク | 豊実 |
つり橋の足下の渓に風光る | みきお |
下萌に碑あり淀君自刃の地 | たか子 |
猫柳朝日にかむりふりにけり | 満天 |
座り聴く残念石の春愁を | たか子 |
負けん気が口元にあり古雛 | 宏虎 |
河口より昇る潮香や鳥帰る | 宏虎 |
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2021年02月20日 | |
澎湃のごとくに芽吹く大欅 | 凡士 |
御手洗をあふるる水に春日燦 | ぽんこ |
雪解水かぶり憤怒の滝不動 | なつき |
築山の松に寄り添ひ梅真白 | 菜々 |
洗濯物たためば仄と春匂ふ | こすもす |
2021年02月19日 | |
兄の後追ひてよちよち下萌ゆる | 智恵子 |
踏青や飛鳥大仏訪ふ小径 | ぽんこ |
遠山の翠黛見ゆる春霞 | あひる |
ふらここを漕ぐは生駒の山颪 | せいじ |
庭椿剪る手に昨夜の雨雫 | 董雨 |
籠り居も季節はめぐり木の芽立つ | 凡士 |
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2021年02月18日 | |
水仙の揺れ通しなる川堤 | あひる |
春一番高波被る烏帽子岩 | 智恵子 |
斑鳩の三山浮かぶ春田かな | 凡士 |
下町の湯屋の煙やおぼろ月 | 智恵子 |
ふんわりと山白変す春の雪 | みきお |
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2021年02月17日 | |
パパ起こすバレンタインの日曜日 | なつき |
豆を煮る寒の戻りの家籠 | こすもす |
槌音のまだ鳴りやまぬ遅日かな | むべ |
鷹揚にゆれて明るき竹の秋 | 菜々 |
父母眠る墓へ焼野の畦渡る | 素秀 |
奏楽者デビュー礼拝堂の春 | あひる |
竹薮を二タ分けにして春疾風 | 明日香 |
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2021年02月16日 | |
厚き雲踏んまへて立つ春の虹 | あひる |
しりとりの帰路の母子に春夕焼 | もとこ |
わらべ歌聞きつ鍼灸院温し | 満天 |
春の雲追ひて立ち漕ぐ渡舟かな | 智恵子 |
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2021年02月15日 | |
芽柳の水へ触れむと枝垂れけり | たか子 |
半眼に睨む仏の春埃 | ぽんこ |
被災地に悪夢ふたたび春寒し | やよい |
離れ住む嫁の気遣ひ愛のチョコ | ぽんこ |
雪山の襞赤く染め朝日出づ | 隆松 |
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2021年02月14日 | |
あたたかや万歩めざして河川敷 | 凡士 |
平飼いの雄鶏屋根へ風光る | 素秀 |
玉垣に赤穂義士の名身にぞ入む | 菜々 |
咲き加減ぺちやくちやいふて梅見かな | たか子 |
かくれんぼ影映したる春障子 | もとこ |
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2021年02月13日 | |
雪解川飛騨五箇山を貫きて | 凡士 |
車椅子歩を伸ばしたる春堤 | やよい |
森の木々網目を張りしごと芽吹く | ぽんこ |
柵越しに甘える仔牛春の牧 | なつき |
2021年02月12日 | |
ふた指に香りを移し木の芽摘む | 董雨 |
倒木を越えて流るる春の水 | 豊実 |
手をとりて老々介護日脚伸ぶ | やよい |
色失せてときに激しき風ぐるま | せいじ |
鍬休む春田の空に鳶かな | 凡士 |
児の描きし鬼の目やさし節分会 | なつき |
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2021年02月11日 | |
新婚の趣味はマラソン風光る | こすもす |
雛段に金の折鶴羽広ぐ | なつき |
春節の南京町に赤溢れ | 宏虎 |
虚無僧の渡る吊り橋山笑ふ | 智恵子 |
春水を力水とし鎌を研ぐ | みきお |
春眠に落ちたる吾子の手にゴジラ | そうけい |
突然に子等のかけつこ春の坂 | あひる |
歳時記を開きしままの春炬燵 | みきお |
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2021年02月10日 | |
モアイ像めきて白菜残る畝 | あひる |
山頂は消えるに任す山火かな | 邑 |
黒変す老幹の枝に梅白し | 満天 |
逃げ惑ふ追儺の鬼のばけつ蹴る | なつき |
竹干さる茶筌の里や春うらら | あられ |
春づつみ写生の児らの散らばりぬ | みづき |
生きてをるぞと芽を吹きし古木かな | 明日香 |
芽柳やコロナ無聊の温泉街 | こすもす |
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2021年02月09日 | |
撫牛のひかるおでこに春兆す | たか子 |
恋の絵馬学問の絵馬東風に揺れ | 宏虎 |
菜の花の風心地よき浄土寺 | ぽんこ |
塩田の名残の浜や揚雲雀 | 素秀 |
二つ三つ梅を見つけて歩の軽し | なつき |
春立つといへど山家の昼ともし | 凡士 |
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2021年02月08日 | |
彩窓のキリストに射す春陽かな | あひる |
少しだけ春風入るる画廊かな | 凡士 |
強風と戦つてをる野焼勢子 | 素秀 |
ロゼットの葉の膨らみて土匂ふ | むべ |
あるなしの風に震ゑて梅の花 | 菜々 |
梅東風に幣ひるがえる朱の鳥居 | たか子 |
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2021年02月07日 | |
鶺鴒の叩く瀬石に風光る | 満天 |
針箱の妻の旧姓針供養 | 素秀 |
下萌に積む牧場の藁ぼつち | 智恵子 |
足捌き軽くなりたる春コート | もとこ |
貝母の芽確かこの辺目を凝らす | 明日香 |
つり橋に続く坂道落薮 | みきお |
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2021年02月06日 | |
門前の菓子屋に揃ふ春の色 | せいじ |
子が数へあぐねる爺の年の豆 | なつき |
春の雪積みて回るや花時計 | 智恵子 |
春日燦急に畑がにぎやかに | 明日香 |
ワイパーの一掻きに散る薄氷 | 隆松 |
2021年02月05日 | |
雲一朶吹きのこしたる春の風 | むべ |
人垣は四阿将棋春うらら | 満天 |
野の香り桶に広がる菜花かな | あひる |
自転車を倒し寝転ぶ春の土手 | 智恵子 |
春立つ日退院の空晴れ渡り | やよい |
七福神巡る下町梅日和 | 智恵子 |
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2021年02月04日 | |
赤帽子追ひて走る子春一番 | 素秀 |
雪しまく能登引き売りの姥の皺 | 凡士 |
春めくや店の和菓子のさくら色 | 満天 |
下萌や退院の靴新調す | やよい |
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2021年02月03日 | |
同じ雪でも今朝からは春の雪 | こすもす |
春光に促されつつ鉢手入 | 明日香 |
雲は嶺にあそび我らは野に遊ぶ | せいじ |
丘埋む菜の花に海展けけり | 素秀 |
腕時計キラリと光る村芝居 | みきお |
トーストにバター良く伸び春立ちぬ | たか子 |
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2021年02月02日 | |
湧水に上機嫌なる芹葎 | 智恵子 |
窓越しの山茶花が母励ましぬ | あひる |
文字躍るおさなの手紙あたたかし | あひる |
節分の鬼も白髪となりにけり | もとこ |
洞深き老幹なれど冬芽満つ | ぽんこ |
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2021年02月01日 | |
寒さうにパンジー風に震へをり | 菜々 |
廃業の煙突に月冴えにけり | 素秀 |
待春や卒寿の決意新たにし | 宏虎 |
心身の鬱飛ばさむと春日浴ぶ | 明日香 |
田起こしの鍬に土塊尖がりけり | みきお |
風強き土堤踏んまへて菜花摘む | あひる |
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2021年01月31日 | |
厨窓貫きとどく春日かな | 明日香 |
枝絡む日に身じろぎぬ冬木の芽 | 三刀 |
鉢植を並び替へては春を待つ | せいじ |
小包に一枝庭の寒椿 | みづき |
奥入瀬の絶壁めきし除雪跡 | あひる |
透き間なく結ぶ神籤に冬日燦 | ぽんこ |
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2021年01月30日 | |
風花を食べんと犬の跳ねまはり | 智恵子 |
三寒の遠嶺けさまた白変す | 素秀 |
手のひらに仄と産みたて寒卵 | みきお |
冬薔薇寡婦なりし友訥々と | もとこ |
沼滑りゆく気嵐に鳥の首 | 素秀 |
ペダルこぐ影が併走春堤 | あひる |
城壁を鏡映しに濠四温 | たか子 |
奥能登の岩削ぐやうに海苔を摘む | 凡士 |
囀りに耳動きをり膝の猫 | こすもす |