みのる選:2020年11月度

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2020年11月29日

11月21日~11月27日

2020年11月27日
息災と父の代理の賀状書くなつき
僧院の崩れ土壁に寒椿智恵子
温泉げむりのひと揺らぎして冬空へたか子
山茶花を籬としたる石仏ぽんこ
2020年11月26日
街路樹のみな落葉して道真直ぐ満天
洞門に手鑿の跡やそぞろ寒たか子
近江路の冬田突つ切る新幹線凡士
飛火野の草食む鹿の息白しあられ
炎より炭を掻き出す煤け顔かかし
風に鳴る鈴なりの絵馬神の留守なつき
2020年11月25日
二上山を浮き上がらせて霧の海明日香
故郷の屋根無きホーム寒昴素秀
庭木々にイルミネーションクリスマスなつき
朝市のおばちゃん元気息白く宏虎
花舗はいま赤あふれでてクリスマスもとこ
小夜更けて妻とひと時玉子酒せいじ
2020年11月24日
角まろき文様石や冬うらら明日香
義経の像のかたへに帰り花素秀
鐘楼に並べ干されし大根かなこすもす
背をまるめ北風いなす川渡し素秀
舗装路を持ち上ぐ木の根うそ寒しみきお
2020年11月23日
惜秋の旅はグルメと寺詣で菜々
大楠の洞の深さよ冬の雨はく子
露天湯に母と二人や紅葉宿智恵子
暮れゆきて枯野に遠き山家の灯凡士
硝子戸の日差しを頼む冬の蝶もとこ
手袋に十円玉や駄菓子店素秀
2020年11月22日
ロープウェイ野山の錦足下にすせいじ
山茶花の母を偲べと咲き初むるあられ
田仕舞ひの煙一筋枯野原こすもす
2020年11月21日
国訛り抜けぬともがら宴うららはく子
久闊の友より便り花八手むべ
堂簷の風鐸鳴らす紅葉風智恵子

q202011:

2020年11月22日

11月14日~11月20日

2020年11月20日
ボジョレヌーボーひと口飲めばパリ気分たか子
先生は米寿勤労感謝の日凡士
回廊をみな白足袋の僧侶かな素秀
紅葉燃ゆ千歳の古刹埋め尽くし菜々
塾帰り最後は走る枯野道凡士
2020年11月19日
身の内に命あふるる冬木の芽明日香
無住寺の今盛りなる石蕗の花こすもす
おちょぼ口して侘助の咲き初むる智恵子
赤信号待つ間の木の葉時雨かな明日香
2020年11月18日
コロナ禍に幕間の咳もはばかりぬ豊実
下校の児缶を蹴りつつ路地小春たか子
コロナ禍の早く癒えよと流星雨むべ
稜線をシルエットとす冬夕焼ぽんこ
爽やかや小紋きりりと案内嬢菜々
パレットに全色溶きて紅葉描く明日香
2020年11月17日
玉砂利に草履噛まるる七五三宏虎
又ひとり増えて小春の縄電車菜々
大輪の菊箍ゆるむ出窓かなみきお
冬に入る砂利音乾く御陵道はく子
降りやまぬ木の葉両手で受ける児らこすもす
2020年11月16日
花嫁の菓子ほろ甘き小春の日素秀
磨崖仏今し紅葉の額の中智恵子
亡き夫の書架整理して秋惜しむみづき
紅葉寺苔に寝転ぶ稚児地蔵智恵子
をみならはお喋りばかり紅葉見ずもとこ
丹波路の朝立つ霧に僧の影凡士
2020年11月15日
水鳥の助走の長き水しぶきぽんこ
菰巻きの荒縄匂ふ松並木みきお
冬耕の人のあと付く鳥かなたか子
廃線の錆浮く鉄路草紅葉みきお
振袖に運動靴や七五三ぽんこ
2020年11月14日
肩たたきの小さきげんこつ冬温しなつき
鐘突けば余韻や法の紅葉山たか子
冬温し関守あとの露地に猫たかを

2020年11月15日

11月7日~11月13日

2020年11月13日
小狸の眠る小春の休耕田三刀
粧ひし山の麓にワイナリーせいじ
小春日やピエロの招くカフェテラスみづき
御手洗の龍の鱗の冬日影たか子
マスクして目元美人の朝市女なつき
2020年11月12日
庭の柚子削ぎて一碗香を愛づるもとこ
園児らの大縄飛のよく続くせいじ
堂縁に座して長居や照紅葉たか子
ロープウェイ秋から冬へ昇り行くたか子
2020年11月11日
境内にとよもす太鼓神送りみきお
紅葉寺案内の沙彌は青つむりたか子
新米の炊きたてまづは塩むすび凡士
下校児の寄り道寺の落ち葉焚き智恵子
2020年11月10日
おしゃべりの口元へこむマスクかななつき
汽水湖に雲引き寄せて秋夕焼もとこ
煉瓦より赤き照葉や教会堂むべ
天辺に鴉の巣抱く木守柿明日香
2020年11月09日
露座仏へ打敷きのごと散りもみぢ菜々
五彩なす南京櫨の並木道はく子
初霜の畦にたたらの鴉かな素秀
北風に晒して白き膝小僧素秀
高欄に木の葉時雨の降り止まず明日香
里の柚子くつくつ煮詰む夜長かなむべ
2020年11月08日
鈍色の移築の門や乳鋲冷ゆ明日香
小春日のドア開放す美容室満天
草履履き慣らして待てり七五三なつき
寒潮を照らして暗し常夜灯素秀
知らぬ児のバイバイ小春日和かな音吉
たなびける畑の煙や紅葉山ぽんこ
紅葉山連なる先は伯耆富士もとこ
水平線と紛ふ一刷け秋の雲やよい
七五三掛けたる絵馬の鏡文字なつき
2020年11月07日
真青なる秋天分けて飛行雲やよい
誕生日孫より届くちゃんちゃんこはく子
冬帽の色で呼ばれる立ち飲み屋潤道
競ふごと渓へきり揉む落葉かな智恵子
終点はどんぐりの樹よ縄電車たか子
久闊を叙すや母校の文化祭せいじ
封を切る珈琲の香や今朝の冬凡士

2020年11月8日

10月31日~11月6日

2020年11月06日
天高し大学病院棟並べ菜々
黄落を賞でつ拾いつ吟行すたか子
飛ぶ星に願ふ間もなき島泊りもとこ
蜘蛛の囲に吊られ陽に透く紅葉かな智恵子
崩落の傷癒へぬまま山粧ふ凡士
観音の御手に身罷る冬の蝶素秀
露天の湯一人占めして秋うららやよい
潮入りの波に揺られて浮寝鳥智恵子
2020年11月05日
上り根の大樹に添ひし冬すみれたか子
福耳の人頭石や冬ぬくし明日香
江田島の古りし学舎島紅葉凡士
2020年11月04日
秋惜しむ蛇行の大河見下ろしてやよい
苅田風鎮守の杜を吹き抜けるはく子
朝の陽を享けて震へる冬すみれみきお
塵取りに色を重ねて柿落葉豊実
2020年11月03日
読みたい本読める幸せ文化の日菜々
秋晴や今日より新しき句帳菜々
聖堂へ小径散り敷く銀杏かな凡士
大銀杏千木より高く黄落すぽんこ
補聴器に馴染める父や文化の日なつき
コロナ禍のお洒落マスクや文化の日満天
2020年11月02日
もみづれる桜並木の池塘かなせいじ
混み合へる路線図思ふ枯木立明日香
茶の花やいにしえ偲ぶ館跡むべ
跳ね出しは踏まれてしまふ鰯漁潤道
秋寂ぶや竹の葉擦れの音もまた菜々
園児らの返事高らか小鳥来るたか子
弁財天固く扉を鎖し神の留守ぽんこ
2020年11月01日
小春日に広ぐ骨董蚤の市ぽんこ
祈祷中お澄まし解る七五三なつき
風渡るすすきの原を駆けめぐりあられ
石蕗日和狭庭に妻とティータイム三刀
冬ざるる牛舎に錆びし農具置きたかを
2020年10月31日
肉厚のゲノムの鯛やうそ寒しうつぎ
中座して名残の月を惜しみけりせいじ
ひろびろと蝶の遊べるそば畑あられ
球磨川の水禍の空を鳥渡る凡士
椎茸の榾木が目玉植木市たか子
足湯して秋満喫の山の駅凡士
大いなる算盤の如柿吊るすこすもす

2020年11月1日

10月24日~10月30日

2020年10月30日
秋晴や狼煙の立ちし先は海凡士
着水の大き波紋や初鴨来みきお
秋冷やビルの煌めき川に散る凡士
紅絹色の爆ぜんと孕む檀の実むべ
ふと匂ふ金木犀に足止めるあられ
泡立草天下取りたる遊休地素秀
青空に鋏の音や松手入満天
幼な手の押さえし鉢や薯蕷汁もとこ
手水舎に沈む銅銭水の秋みきお
2020年10月29日
我が街の駅前ピアノ秋惜しむたか子
かりがねを間遠に聞くや夜具の中素秀
秋うらら墳丘に座しにぎり飯やよい
日の深く射して五箇山冬支度凡士
風となり野を駈けめぐる芒かなみきお
こすもすの揺れてこの里優しうすたか子
捨てがたきものも断捨離冬支度もとこ
元気よと遺影の夫に胡桃置くむべ
2020年10月28日
角曲がるまで見送りぬ秋の夕宏虎
太刀魚の釣られて光る夕の波止豊実
墳丘へ急勾配や天高しやよい
落ち葉掃く音に微塵も湿りなしたか子
茅屋根を隠す銀波の芒原はやと
朝霧に鬣濡らす牧の馬智恵子
2020年10月27日
身じろがす亀甲羅干す草紅葉ぽんこ
天平の仏の笑みや菊日和凡士
たたなはる嶺々を遥かに鳥帰る宏虎
ペンキ塗りたてと札立つ秋日和明日香
日向ぼこ仲良く寝まる猫と犬なつき
2020年10月26日
陶工の手先の反りや秋灯下なつき
捨て置きの五右衛門風呂や雁渡しうつぎ
マグマ噴き出すや燃ゆる曼珠沙華明日香
広縁の障子の影は吊し柿はやと
廃線の隧道抜けて渓紅葉凡士
幟立つ旧街道の落花生智恵子
2020年10月25日
鳴き砂の浜をたもとほる秋思かな凡士
七五三玉砂利を踏む三世代みきお
地蔵堂若木ながらも木守柿なつき
秋晴やよちよち歩き万歳す満天
海峡の町沁みわたる夜の霧笛凡士
2020年10月24日
コスモス田麓の農家浮かばせてうつぎ
秋嶺の起伏を駈ける雲の影たか子
五箇山の縄もて縛る新豆腐凡士

 

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