みのる選:2020年9月度

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2020年9月27日

9月19日~9月25日

2020年09月25日
千枚田清めし鎌で稲を刈るかかし
吹きあがる風を孕みし萩葎はやと
矢印を曲がれば匂ふ菊花展みきお
2020年09月24日
暦年の湿原ここだ白竜胆むべ
木漏れ日のシャワーを浴びて葡萄狩みきお
さわさわと梢は秋を唄ひけり音吉
少年の伏せたる網に銀やんまはやと
刈り込みし庭木を愛でて秋の蝶せいじ
降らずみの空に募りし秋思かな菜々
2020年09月23日
竹林に華やぐ野点秋日和智恵子
収穫を謝す鈴の音や巫女神楽智恵子
金色の芒の海に呑まれけりむべ
芋虫のまるまる肥へて身もだへぬ凡士
自然薯を掘り出すまでの根競べはやと
2020年09月22日
けんけんぱ銀杏の実を踏むまじくむべ
石噛んで翅を休める赤トンボみきお
秋日燦水かげろふの深庇明日香
行くほどに瀬音高鳴る紅葉川菜々
一坪の土の恵みや薩摩藷豊実
爽やかや見守隊へ感謝状満天
2020年09月21日
月光にくびれ深まる観音像素秀
2020年09月20日
手放しで下る自転車秋うららなつき
ちびつ子のドンマイの声秋澄めるせいじ
作業着に焚火の匂ひつけ戻る三刀
2020年09月19日
あるなしの風に萩叢揺れやまず満天
刈りあとに立てる案山子の影法師凡士
コロナ禍に訪ひし夙川水澄める明日香
太刀魚の銀鱗眩し朝の市素秀

2020年9月20日

9月12日~9月18日

2020年09月18日
まなかひに槍よ穂高よ秋澄める宏虎
入院の夫へ産直初りんごやよい
極上のデッキの風や秋夕焼なつき
移り住み島の畑に大根撒くなつき
手に余る株の太さや豊の秋みきお
2020年09月17日
蟷螂の立ちたる侭に枯れ初むる宏虎
秋晴や運転免許返納すせいじ
鰯雲徐々にほぐれて夕さるるみきお
謹呈の句集ひもとく夜長かな明日香
2020年09月16日
石室の入口閉ざす秋の草なつき
胸厚き一木如来秋の里もとこ
枝豆を食ぶハモニカを吸ふごとくたか子
秋茄子の糠漬の艶朝の膳満天
力石へと黄落す百年樹ぽんこ
2020年09月15日
さざ波に歪むダム湖の紅葉影智恵子
蔦に蔦絡むトンネル古墳道なつき
コンバイン去りて刈田の匂ひけりうつぎ
逆光に人影呑まれ秋夕焼みきお
2020年09月14日
竹筒に秋草活けてなんでも屋うつぎ
ひとり寝や夢に夫訪ふ秋の夜むべ
この道を真直ぐに信じ素十の忌素秀
畑帰り夫の手みやげ吾亦紅智恵子
草刈り機担ぎ一人の島渡船なつき
神杉の玉垣暗し秋の声ぽんこ
2020年09月13日
訪へば去来の墓に柿ひとつ素秀
金風に乗りて海へと千切れ雲三刀
ラ・フランス卓に置かれて絵画めく凡士
塚なせる杜の葉擦れも秋の声せいじ
2020年09月12日
なまこ壁好き放題に蔦紅葉たか子
コスモスのささやく様な風が好き宏虎
貝風鈴蜑の手造り島の市なつき
今日はどの猪口を選ばむ温め酒凡士
秋遍路夫婦揃ひのコンバースなつき
雨晴れて帰燕の朝となりにけり素秀

2020年9月13日

9月5日~9月11日

2020年09月11日
虫すだく高層ビルの中庭にたか子
コスモスの揺れて幼らかくれんぼむべ
籾焼きの棚引く煙香しき智恵子
城門の錆びし乳鋲や秋の雨やよい
2020年09月10日
秋天に雲一朶ある青さかな凡士
刃を噛んでにっちもさっちも栗南瓜たか子
かなかなや墨書薄れし寺の門明日香
草の花絶ゆることなし野辺地蔵満天
降らずみの空へと消えし秋の蝶せいじ
2020年09月09日
山の辺に辿るいにしへ法師蝉明日香
新涼や井戸端会議つづきをりせいじ
色変へぬ臥龍の松に雨しずくぽんこ
高々と大漁旗起つ秋祭素秀
解体の瓦手渡す天高したかを
2020年09月08日
アルバムに詰まる思ひ出秋の夜はく子
軽トラに刈草一屯虫の声みきお
秋灯し待合室は長廊下たか子
手話の子ら恋占ひす秋桜智恵子
冬瓜の透きて煮上がる夕餉かな満天
秋声は寺宝の銀杏大樹よりはく子
2020年09月07日
浮見堂四方八方つくづくしあられ
狂ひなき研ぎ師の手元秋の水むべ
百余年絶へぬてふ水新豆腐凡士
颱風の去りて蜻蛉の空戻る三刀
2020年09月06日
酒蔵の匂ひ染みたる秋暖簾智恵子
源平の戦の浜は土用時化はやと
爽やかや窓全開す礼拝堂せいじ
嘗てなき台風来るとニュース急はく子
キッチンの灯を消してより虫の声満天
長谷寺の登廊の長し法師蝉ぽんこ
2020年09月05日
アナベルの最終章の色は秋明日香
引き売りの喇叭の音や秋深む三刀

2020年9月6日

8月29日~9月4日

2020年09月04日
八十路きて初孫生るる秋うららやよい
樹々揺れて川面を撫づる風は秋たか子
金風を入れて御堂にヨガ励むはく子
遠雷や会へぬ病舎の夫思ふやよい
2020年09月03日
台風のさきがけならん雲疾しみきお
天心の月に近づく二十階はく子
新米の湯気芳しき通し土間素秀
2020年09月02日
雨上がり葉よりも濡れて青蛙たかを
地下道の子らの海の絵涼しかりなつき
数独で頭脳体操夜の秋もとこ
2020年09月01日
故郷に帰る家なし零余子飯智恵子
水遣りに飛び出す飛蝗まだ幼凡士
山影の屏風立せる良夜かな宏虎
皆共に老ひ自治会の古団扇うつぎ
島泊り秋風鈴に暮れ初めぬみづき
休耕田稗逞しく生ひ揃ひ明日香
2020年08月31日
道草の確かな証し牛膝みきお
蜩の間遠となりし湯屋の窓むべ
護摩の火を煽る法鼓や施餓鬼寺うつぎ
尾を引きて山の端に消ゆ流れ星むべ
そこかしこ雨かと見ればあめんぼう満天
露けしや尼が鐘つく音永し素秀
蓬髪のごとき野原や野分あとせいじ
2020年08月30日
堰堤に残る水痕八月尽素秀
をとこ降りして新涼をもたらしぬたか子
朱の鳥居つづく険磴天高しこすもす
吾亦紅群れなす尾根の道辿る智恵子
通草の実野辺の地蔵に供華とせむみづき
2020年08月29日
名月を掠め逆転ホームラン音吉
朝涼や夫は機嫌に庭掃除菜々
稲の穂の匂ふコロナのマスク越しせいじ

 

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