みのる選:2020年8月度
2020年08月28日 | |
稔り田に山影落とす能勢街道 | ぽんこ |
露草や小流れに沿ふ散歩道 | 隆松 |
つくばひにさざなみ寄せて秋の風 | 菜々 |
暮れてなを畳に残る残暑かな | みづき |
雷雲の裂けてぽつかり蒼き空 | 明日香 |
噴煙のごと立ちあがる雲の峰 | 音吉 |
瀬の楽を囃すつくつくぼうしかな | こすもす |
星空の下にピザ窯避暑の庭 | なつき |
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2020年08月27日 | |
蟷螂は賢者の貌をもてりけり | 凡士 |
異国へと尾灯瞬く星月夜 | 素秀 |
江戸切子酒に色差す夜の秋 | もとこ |
雀どち寄り来て遊ぶ捨案山子 | 宏虎 |
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2020年08月26日 | |
風渡り湖面の涼を新たにす | 隆松 |
ほほづきを小鉢としたる京料理 | もとこ |
コロナ禍の誹謗中傷秋思憑く | せいじ |
休み田の吾の丈超ゆる草を刈る | 三刀 |
農協の帽子かぶりし案山子かな | 隆松 |
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2020年08月25日 | |
大き弧を描き青田の短線路 | うつぎ |
お地蔵の前掛け真白涼新た | 満天 |
盛砂の山の更地に秋茜 | 素秀 |
俎板に散りしオクラの星集む | たか子 |
観音の御手に触れもす秋の風 | ぽんこ |
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2020年08月24日 | |
みんみんの絶叫やまぬ渓の道 | うつぎ |
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2020年08月23日 | |
水澄みて湖底の樹々の影深し | 素秀 |
アドバルーン稲田に上がる道の駅 | 智恵子 |
ワイパーの掃く水重き驟雨かな | 豊実 |
堰堤を洗ひ落つ水澄めりけり | 素秀 |
翠黛を踏んまへ立ちし雲の峰 | ぽんこ |
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2020年08月22日 | |
秋風を背にさざなみとゆく河畔 | 凡士 |
2020年08月21日 | |
馬鈴薯の花を過ぎればオホーツク | 凡士 |
流星や我がベランダの小さき空 | なつき |
畦道の見えなくなりし稲田かな | 明日香 |
片付けに暮るる一と日やつくつくし | 満天 |
稲穂手にしゃがむ翁の夕日影 | 素秀 |
岩疾る女滝の腰を揺らす風 | たか子 |
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2020年08月20日 | |
藍の花一茎飾る長屋門 | 素秀 |
ソリストの魔法のごとき指涼し | やよい |
買い物ヘ二の足を踏む炎天下 | 三刀 |
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2020年08月19日 | |
シャワー浴ぶネット会議に先立ちて | せいじ |
職引きし気楽さ夫の大昼寝 | 菜々 |
野仏を囲みて風の千草かな | 智恵子 |
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2020年08月18日 | |
路地裏の庇間渡る天の川 | 素秀 |
工事場のユンボ唸れる炎天下 | 凡士 |
ちぎれ雲ひとつ一つに小さき秋 | たか子 |
声のみでめもじかなわぬ蟇蛙 | はく子 |
六地蔵夾竹桃を天蓋に | やよい |
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2020年08月17日 | |
遠山の稜線しるき稲光 | 素秀 |
山椒の実高野の旅の家苞に | やよい |
乱切りの男料理や秋の茄子 | かかし |
手作りの表札涼し新所帯 | 菜々 |
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2020年08月16日 | |
体温を超える暑さに怯えけり | たか子 |
葉刈りして仏間へ通ふ盆の風 | うつぎ |
駅降りてマスクを外す稲穂道 | こすもす |
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2020年08月15日 | |
遺骨なく写し絵のみや敗戦忌 | もとこ |
送り火の煙自ずと西方へ | ぽんこ |
2020年08月14日 | |
秋高し高原に立つ大風車 | 素秀 |
路地迷ふ京橋界隈秋暑し | 菜々 |
婿殿の手作りカレー暑気払ひ | はく子 |
父知らぬとは言え追慕終戦日 | たか子 |
一番の働き者よ扇風機 | 菜々 |
稲光四囲に轟くゲリラ雨 | 智恵子 |
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2020年08月13日 | |
ポストまで三分の路汗滂沱 | せいじ |
坂涼しノーブレーキで風を切る | せいじ |
健さんを掲げ夜店の似顔絵師 | 凡士 |
三輪山をあまねく照らす秋夕焼 | 明日香 |
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2020年08月12日 | |
香煙のくゆる仏間の夜の秋 | たか子 |
羽根洗ふ働き詰めの扇風機 | せいじ |
流れ星手術成功祈りけり | やよい |
助手席に供花こぼれゐる墓参かな | こすもす |
竹林の風の呂律の涼しさよ | うつぎ |
芋の葉の縁枯れはじむ残暑かな | 明日香 |
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2020年08月11日 | |
写し絵の父しか知らず終戦日 | ぽんこ |
晩夏光試合終へたる球児の背 | 凡士 |
炎天の皆無口なりシャッター街 | もとこ |
峰雲に手の届きさうハイウェイ | うつぎ |
アロハ着ておしやべりやまぬ老人会 | よう子 |
肉球を広げて犬の午睡かな | 更紗 |
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2020年08月10日 | |
午後二時の陸橋にある残暑かな | 凡士 |
赤とんぼ草喰む牧の牛の背に | 智恵子 |
夕涼や夫を迎へにそこらまで | 菜々 |
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2020年08月09日 | |
力石に屈めば藪蚊襲ひ来る | うつぎ |
手を伸ばす蝉の抜け殻肩車 | たかを |
山羊繋ぐ杭の赤錆晩夏光 | 素秀 |
藻の花を撮らんとすれば水の綺羅 | よう子 |
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2020年08月08日 | |
漁り火の沖に煌めく無月かな | 智恵子 |
涼しさや黒部の湖の深みどり | やよい |
古町の路地から路地へ盆の僧 | うつぎ |
2020年08月07日 | |
ウイルス禍のことも告げつつ墓洗ふ | 菜々 |
くぐもれる土鳩の声や昼寝覚 | かかし |
良形の松を透かせて軒すだれ | 菜々 |
水遣りて裾吹く風や今朝の秋 | はく子 |
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2020年08月06日 | |
とんばうが先導すなる車椅子 | せいじ |
木の洞に蟻の道あり原爆忌 | なつき |
匂ひ立つドリップコーヒー今朝の秋 | やよい |
コロナ禍に故郷遠き盆の空 | 智恵子 |
草むしり足元暮れてしまふまで | みきお |
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2020年08月05日 | |
鎧戸を射抜くがごとき大西日 | せいじ |
沢蟹の横切るを待つ散歩道 | 隆松 |
湖望む墓苑の丘の風涼し | 隆松 |
工事場の足場から降る蝉時雨 | もとこ |
突堤の囲む一湾月涼し | 素秀 |
釣り竿の先で輪をかく蜻蛉かな | なつき |
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2020年08月04日 | |
蝉時雨苔むす姫の供養塔 | なつき |
白玉の次々浮いて急かしけり | たか子 |
籐椅子や文豪そこに在はすかに | たか子 |
農協の玄関ドカと大南瓜 | やよい |
雲の峰大海原を独り占め | 智恵子 |
岬まで潮の道あり夜光虫 | 素秀 |
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2020年08月03日 | |
石一つケルンに重ね縦走す | やよい |
白南風に遥か富士見ゆ観覧車 | 智恵子 |
干梅の天地返しや笊の中 | ぽんこ |
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2020年08月02日 | |
梅雨明けや新規レシピに挑戦す | 明日香 |
竹かごに野の花挿して卓涼し | はく子 |
星ひとつ寄り添ふごとく月涼し | 満天 |
礼拝の前の静寂蝉しぐれ | せいじ |
干されたる漁網の臭ふ浜大暑 | 宏虎 |
梅雨明や家中の窓全開す | 菜々 |
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2020年08月01日 | |
瞬く間山河かき消す大夕立 | はく子 |
鳴き終はるときのトレモロ蝉涼し | せいじ |
庭師らの地下足袋揃へ三尺寝 | たか子 |
2020年07月31日 | |
置き物にあらず五郎助首回す | 音吉 |
梅雨明けて四更に照らす十日月 | はく子 |
コロナ禍の鈴緒に触れず夏詣で | ぽんこ |
林道の古りしバス停蝉しぐれ | 智恵子 |
雷鳴や小手一閃の小剣士 | 素秀 |
百歳を目途の余生合歓の花 | 宏虎 |
青鷺の首潜望鏡めく田んぼ | 明日香 |
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2020年07月30日 | |
峰雲の沖へ真向きて師弟句碑 | やよい |
餌を垂るる波紋は闇に夜釣舟 | 素秀 |
鍬休め腰をのばせば鰯雲 | みきお |
せせらぎに洗ふ絵筆や山薊 | 智恵子 |
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2020年07月29日 | |
かき氷をんなの愚痴に山崩れ | もとこ |
梅雨晴間刻を惜しみて夜鳴き蝉 | 智恵子 |
雨晴れて待つてましたと蝉時雨 | 満天 |
蝋石の落書き消して夕立過ぐ | 素秀 |
添ひ寝せし児に起こさるる昼寝覚 | なつき |
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2020年07月28日 | |
マルクスも紙魚の住処となりにけり | もとこ |
曖昧な空に兼用日傘かな | たか子 |
ご神木大緑陰をなせりけり | はく子 |
エアコンの音うとましき熱帯夜 | 菜々 |
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2020年07月27日 | |
烏帽子岩目指し遠泳浜の子ら | 智恵子 |
蝉の楽フォルティッシモとなりて急 | せいじ |
逃げる背に命中したる水鉄砲 | なつき |
熱帯夜しきりに鯉の跳ねる音 | かかし |
夏草の径を塞ぎて雨に伏す | 三刀 |
蚊遣香焚きて古民家カフェーよし | こすもす |
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2020年07月26日 | |
そつぽ向くひと叢のあり日輪草 | たか子 |
畑隅に並ぶうらなり西瓜かな | なつき |
ひぐらしの声に明けゆく山の朝 | みきお |
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2020年07月25日 | |
墨痕のみことば涼しミニチャペル | せいじ |
地蔵堂手を合わせれば蝉の声 | こすもす |
清書きの半紙に汗の一雫 | せいじ |
ふしくれの指躍如たる祭笛 | みきお |