みのる選:2020年3月度
2020年03月27日 | |
囀りに窓全開す朝かな | やよい |
老い元気ラジオ体操朝ざくら | うつぎ |
遠目にも桜とわかる四囲の山 | 明日香 |
中洲なる花菜明かりに鳥あそぶ | なつき |
畦道に春耕の土匂ひ来る | こすもす |
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2020年03月26日 | |
歩き初む児と蝶渡る太鼓橋 | なつき |
ひこばえも負けじと蕾膨らます | ぽんこ |
タンカーを持ち上げてをる蜃気楼 | 智恵子 |
朝ざくら守衛きびきび門開く | 菜々 |
浜辺にて雑魚ひろげ干す島長閑 | 宏虎 |
老ひ愉し西へ東へ花の旅 | もとこ |
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2020年03月25日 | |
つばくらめダム湖を掠めまた掠め | 素秀 |
蜜蜂の羽音楽しむテラスかな | 智恵子 |
苗代の水の濁りに土匂ふ | 素秀 |
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2020年03月24日 | |
子らのこと案ず疫禍の春休み | せいじ |
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2020年03月23日 | |
湧き水を手杓で掬ふ春の苑 | そうけい |
大川の長堤駈けて花菜風 | やよい |
ぼた餅は母の直伝お中日 | 菜々 |
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2020年03月22日 | |
踏み石を跨げば四散蝌蚪の群 | 智恵子 |
吊橋に子ら数珠つなぎ山笑ふ | なつき |
照り翳るたび紫雲英田の色変はる | みづき |
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2020年03月21日 | |
揚土を雀啄む春田かな | 愛正 |
大干潟真白に光る群れ千鳥 | 三刀 |
雪柳風の形に波打ちぬ | たか子 |
壇上に盆栽の松卒業歌 | うつぎ |
2020年03月20日 | |
大橋を渡れば故郷春の潮 | うつぎ |
鐘楼門くぐる一歩に初桜 | ぽんこ |
せせらぎの楽に和すごと笹鳴ける | せいじ |
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2020年03月19日 | |
石鹸玉幼の小さき一息に | 素秀 |
柔らかな日差しに馬鈴薯植へにけり | 三刀 |
春日燦畑へ出たまま昏るるまで | 明日香 |
受験絵馬合格と書く幼き字 | なつき |
春の野にサックス復習ふ部活女子 | はく子 |
糸桜袴乙女ら撮り合へる | もとこ |
彼岸入り供花に加へる庭のもの | こすもす |
願ひ込め柄杓に満たす春の水 | なつき |
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2020年03月18日 | |
寺町の路地に迷ひぬ沈丁香 | なつき |
暖かいだけで嬉しいひと日かな | 明日香 |
青空を吾がものにして唸り凧 | はく子 |
うぐいすの声の間近に耕しぬ | 三刀 |
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2020年03月17日 | |
竹秋の嵯峨野路巡る人力車 | 菜々 |
春彼岸無沙汰詫びつつ香を焚く | たか子 |
濃紅梅父母の遺愛の庭になほ | もとこ |
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2020年03月16日 | |
春うららぽんぽん船の小気味よく | はく子 |
石窟の弥勒菩薩へ春日差す | ぽんこ |
次の歩に二の足を踏む春の泥 | たか子 |
ほまち田の一枚菜の花浄土かな | なつき |
ご城下の水路は四通風光る | 菜々 |
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2020年03月15日 | |
お迎へのママへと土筆一握り | なつき |
偕老の仲良くかがみつくし摘む | はく子 |
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2020年03月14日 | |
鐘一打余韻嫋々山笑ふ | ぽんこ |
ご城下をミニSLや山笑ふ | たか子 |
竹の秋里山の裾明るうす | 菜々 |
初蝶の高きに風の変はりたる | 素秀 |
囀りに負けじと樹下に姦しく | たか子 |
卓うららマーマレードは夫手製 | もとこ |
2020年03月13日 | |
草萌や一つ傾ぎて六地蔵 | なつき |
黒板に祝と大書や卒業す | 素秀 |
泣き虫が長身となり卒業す | 菜々 |
総玻璃の高層ビルに春の雲 | ぽんこ |
青空に辛夷の映ゆる朝かな | 明日香 |
サイン帳互ひに記し卒業す | 菜々 |
大楠の洞を覗けばもの芽吹く | たか子 |
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2020年03月12日 | |
淀堤秘密の此処につくし摘む | はく子 |
紅梅の秀に抜きん出て天守閣 | たか子 |
春日燦鉢の植え替えすべて了 | 明日香 |
比良山の蒼空遥か鳥帰る | 宏虎 |
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2020年03月11日 | |
豪商の梁に釘打ち吊し雛 | なつき |
春泥に難儀しながら奥宮へ | はく子 |
磯の香の路地に漂ふ白子干し | 素秀 |
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2020年03月10日 | |
陽春の水のかげらふ橋渡る | みづき |
一枚に書きし双子の受験絵馬 | なつき |
ときどきは梅見サイクルロードかな | せいじ |
春愁や予定なき日はことさらに | もとこ |
春愁の息吹きかけて眼鏡拭く | うつぎ |
畦道を埋めてなずな仏の座 | はく子 |
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2020年03月09日 | |
天辺の一つ魁紫木蓮 | 三刀 |
春泥や水掛け不動へ歩み板 | なつき |
春泥に行く手阻まれ回り道 | 宏虎 |
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2020年03月08日 | |
春泥の隠しやう無き靴の跡 | うつぎ |
梅咲くや疎林に古りし一軒家 | 愛正 |
春愁を絶たんと髪を短くす | 菜々 |
春昼の閑キッチンにつまみ食ひ | 満天 |
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2020年03月07日 | |
春愁の身を持て余す亭午かな | 菜々 |
辻地蔵牛乳瓶に沈丁花 | 智恵子 |
音楽を聞かせて醸す蔵うらら | うつぎ |
2020年03月06日 | |
芽柳のつつく水面に稚魚遊ぶ | 智恵子 |
池の面の青天井や犬ふぐり | うつぎ |
あひ互ひ寄り添ふ猫や寒戻り | たかを |
黒牛の朱の舌からむ花菜かな | 素秀 |
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2020年03月05日 | |
老い母の部屋に手おりの紙雛 | せいじ |
咲き満つる梅の下なる蜂巣箱 | うつぎ |
春光やぬり絵大きくはみ出す児 | なつき |
青空に黄の初蝶の舞ふ軌跡 | やよい |
テニスボール転がる処ぬふぐり | ぽんこ |
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2020年03月04日 | |
残る鴨ばらばらに散り陣なさず | たか子 |
針箱に糸も揃ひし雛調度 | うつぎ |
春しぐれ空のどこかが明るくて | 菜々 |
風力計強東風捉えいま必死 | たか子 |
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2020年03月03日 | |
居酒屋の地酒の棚に郷土雛 | うつぎ |
春日差す茶の間に声の弾みをり | 菜々 |
マスクして目と目で会釈待合室 | 三刀 |
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2020年03月02日 | |
野火果てて境界石の残りたる | 素秀 |
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2020年03月01日 | |
陽炎ひて対岸揺らぐ大吊橋 | 素秀 |
雛祭り母を偲びて手まり寿司 | 智恵子 |
吸物に菜の花浮かせお朔日 | こすもす |
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2020年02月29日 | |
菜種梅雨ひがなパソコン開けしまま | 明日香 |
ウィルスに翻弄されて二月尽 | たか子 |
2020年02月28日 | |
梅の香や楷書でしかと祈願絵馬 | たか子 |
藪椿天蓋なせる磨崖仏 | 智恵子 |
大涅槃絵図の裾懸け余しけり | はく子 |
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2020年02月27日 | |
ショーウインドに髪整える街うらら | やよい |
大木の侍者の如くに水仙花 | ぽんこ |
凍て空に星のまたたく峡の里 | 宏虎 |
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2020年02月26日 | |
枝垂れ梅傘代はりとす野点席 | なつき |
濃く淡くグラデーションに草萌ゆる | かかし |
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2020年02月25日 | |
うららかや駄菓子屋は扉を開け放ち | 満天 |
春愁や外部者見舞ひお断り | 明日香 |
一万歩までと背を押す木の芽風 | たかを |
あるだけの庭水仙を今朝の供花 | 菜々 |
降り立ちてオリオン仰ぐ郷の駅 | こすもす |
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2020年02月24日 | |
川船の飛沫に春の光見ゆ | 智恵子 |
墓詣でついでに丘の梅探る | はく子 |
矢印は乗馬倶楽部と芽木に札 | 菜々 |
下萌に白亜のグリンチャペルかな | せいじ |
春風に髪なびかせて騎馬乙女 | 菜々 |
かたばみを敵のごとく抜いてをり | 明日香 |
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2020年02月23日 | |
春しぐれ少し傾げて蛇の目傘 | 菜々 |
口笛のごと笹子鳴く里山路 | せいじ |
春昼やのんびり聞こゆ鳩時計 | みづき |
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2020年02月22日 | |
馬場うらら馬蹄模したるゴール板 | たか子 |
釜出しの壺にぶつかる春の雪 | みづき |