みのる選:2019年12月度
2019年12月27日 | |
童女となる姉の笑顔やちゃんちゃんこ | やよい |
倒木の逆立つダム湖山眠る | せいじ |
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2019年12月26日 | |
終弘法引導の鐘絶ゆるなし | はく子 |
倒木は倒木のまま山眠る | せいじ |
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2019年12月25日 | |
地下街の迷路に疲れ年の暮 | たか子 |
湯けむりの匂ふ湯の街冬うらら | やよい |
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2019年12月24日 | |
病院の母訪ひ父訪ふ年の暮 | うつぎ |
フレスコ画仰ぐ聖夜の礼拝堂 | 素秀 |
笑み交はし譲るポストや年賀状 | よう子 |
引導の鐘の余韻に年惜しむ | 菜々 |
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2019年12月23日 | |
年の瀬や行く先々に用事あり | 明日香 |
年詰まる立つも座るも声を出し | 三刀 |
採石の瑕白しろと山眠る | そうけい |
時なしの鐘の余韻に年惜しむ | 菜々 |
臼囲む男衆餅の湯気の中 | 素秀 |
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2019年12月22日 | |
恙無し小ぶりの柚子の仕舞風呂 | よう子 |
温泉の湯気の硝子に冬落暉 | たかを |
待ち人の裏木戸に踏む霜柱 | そうけい |
無住寺のブルーシートや冬ざるる | こすもす |
柔ら日に米粒ほどの梶冬芽 | 菜々 |
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2019年12月21日 | |
それぞれに柚子の土産や句会果つ | こすもす |
退院や夫の家事力身にぞ入む | 明日香 |
遠山の頂に見る雪便り | 素秀 |
夫と歩を合はせ小春の切通し | やよい |
師走妻弘法さんへ逃避行 | 菜々 |
2019年12月20日 | |
紙漉女水と心を通はせて | 宏虎 |
セーターは深紅や手術決めし友 | こすもす |
杉木立直立不動山眠る | はく子 |
寒林の疎なる梢に北斗見ゆ | 愛正 |
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2019年12月19日 | |
しぐるるや宿場名残の深ひさし | 菜々 |
袖合はす山のあひより冬の靄 | 明日香 |
葉の落ちて天展けたる冬木立 | 宏虎 |
ゆるキャラもサンタの帽子クリスマス | たか子 |
身じろがず石と見まごう寒の鯉 | 愛正 |
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2019年12月18日 | |
街ひとつ抱え込みたる冬の虹 | 素秀 |
野地蔵の豊頬撫ぜる風小春 | ぽんこ |
雨読子に徹すひと日や年の暮 | 菜々 |
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2019年12月17日 | |
祝い膳並べし卓に冬日燦 | たか子 |
末枯れし物も彩り鄙の郷 | たか子 |
寒禽の鋭声に覚むる山泊まり | せいじ |
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2019年12月16日 | |
ポインセチア窓ごとに置く校舎かな | 素秀 |
薄ら日を集めてをりし蜜柑山 | たか子 |
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2019年12月15日 | |
帰り花何かいいことありさうな | みづき |
消灯の小児病棟聖樹の灯 | 素秀 |
枯蓮の一の田二の田総崩れ | うつぎ |
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2019年12月14日 | |
あるがまま晒しきつたる枯蓮 | うつぎ |
鄙びたる山家を訪へば忘れ花 | たか子 |
枯蓮の池面鉛のごときかな | 満天 |
2019年12月13日 | |
落暉射す紅葉明りや切通し | ぽんこ |
黄落の金の日射しや切通し | うつぎ |
古民家へ翳す大樹の紅葉かな | 満天 |
うららかや農園遊具古タイヤ | はく子 |
膕をすり抜けてゆく鎌鼬 | 素秀 |
浮寝鳥嘴差し入れし羽毛かな | たか子 |
古民家の枯葉吹きこむ通り土間 | 素秀 |
軒高く積み上ぐ割木冬来る | 菜々 |
日溜まりに手話する子らの日向ぼこ | 智恵子 |
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2019年12月12日 | |
俳人の指を折る間も銀杏散る | 菜々 |
寒風や雁木を洗ふ波高し | よう子 |
古民家の障子戸重し大敷居 | うつぎ |
鈴なりの柚子黄金の日をはじく | はく子 |
肥を得るための驢馬てふ園小春 | うつぎ |
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2019年12月11日 | |
湾鏡冬満月の揺蕩ふて | 三刀 |
陸軍墓地銀杏落葉にうずもれて | ぽんこ |
千枚漬はりはり食みて恙なし | 菜々 |
ふつふつと躍る湯豆腐猪口二つ | 宏虎 |
冬日差お百度石のやや傾ぎ | 明日香 |
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2019年12月10日 | |
再会を今年こそはと年賀書く | 満天 |
裸木に輪廻の芽吹きしかとあり | たか子 |
障子穴埋めて桜を散らしけり | たか子 |
手入れ後の農機具日向ぼこのごと | こすもす |
ついてくる枯葉と競ひゆく歩道 | 素秀 |
握りしむ懐炉代わりの缶コーヒー | 素秀 |
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2019年12月09日 | |
冬ざるる能登の岬の空き旅館 | そうけい |
裸木の力みなぎる枝先かな | ぽんこ |
散り敷ける五彩の紅葉日をはじく | ぽんこ |
膝掛けを肩にも掛けて句に籠る | 智恵子 |
アフガンにいのちを捧げ紅葉散る | せいじ |
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2019年12月08日 | |
園児らの無垢の瞳や聖夜劇 | みづき |
福福とみな粧ひて四囲の山 | せいじ |
擦り減りし船板塀や路地寒し | よう子 |
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2019年12月07日 | |
ボランティアできる幸せ師走来る | 明日香 |
路線図の色の数多や街師走 | なつき |
月寒しビルに一つの窓明かり | そうけい |
2019年12月06日 | |
一徹にクレーン車首を冬天へ | 菜々 |
ゴトゴトと蜜柑トロッコ坂下る | 智恵子 |
風邪の床碗一杯の重湯かな | 素秀 |
つくづくと光陰早し木の葉髪 | 宏虎 |
煮上がつて筋の透けたるだいこかな | たか子 |
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2019年12月05日 | |
何はともあれ書き出して年用意 | たか子 |
冬ぬくし舞台にぐりとぐら十人 | なつき |
老の杖運び皇居の小春坂 | なつき |
力石おしやべりしさう宮小春 | よう子 |
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2019年12月04日 | |
切干の反りはじめたる冬日向 | 満天 |
筋塀にアートのごとく冬もみぢ | はく子 |
老松へしぶく岬の冬怒濤 | 宏虎 |
天蓋の紅葉明かりや切り通し | 智恵子 |
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2019年12月03日 | |
拭きあぐる窓いつぱいに小春空 | やよい |
空谷へ一瀑落し山眠る | 宏虎 |
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2019年12月02日 | |
絵馬はみな子どもらの夢七五三 | なつき |
眼鏡橋宙に浮くごと冬の靄 | 愛正 |
後部席占領したる大根かな | こすもす |
五行川遡上の鮭の跳ねる音 | 智恵子 |
折箱に整列したる富有柿 | せいじ |
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2019年12月01日 | |
桜島噴煙高く冬ぬくし | 明日香 |
玻璃戸拭く小春の雲に触れもして | やよい |
拭きあげて玻璃戸に余る冬日かな | やよい |
上り下り幾度京の紅葉狩 | うつぎ |
木の葉髪年金記事を見逃さず | なつき |
冬晴れに弾む庭師の鋏かな | 菜々 |
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2019年11月30日 | |
軒に吊る干柿簾へと夕陽 | 三刀 |
夕映えの空に冴え冴え匕首の月 | はく子 |
匕首の月凍つる触れなば折れなんと | 明日香 |
2019年11月29日 | |
山裾に波打つ銀の枯尾花 | 宏虎 |
丸窓を額縁として冬紅葉 | 菜々 |
踏みしだく深き落葉や深山道 | みづき |
石庭の砂紋際立つ冬日かな | はく子 |
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2019年11月28日 | |
すれ違ふ人に湯の香や帰り花 | 素秀 |
元気よく駈くる園児に銀杏散る | ぽんこ |
枯葦の隙間に光るささら波 | 愛正 |
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2019年11月27日 | |
朴落葉拾ひて仰ぐ空青し | うつぎ |
目鼻なき石の仏へ紅葉散る | 菜々 |
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2019年11月26日 | |
京の寺巡拝によき紅葉晴 | はく子 |
晨朝の牛舎に白き息満つる | 素秀 |
時雨晴れ土匂ひたつ花時計 | なつき |
村と村繋ぐ大橋谷紅葉 | 小袖 |
紅葉見に来て花嫁の列とあふ | せいじ |
激つ瀬に波乗りのごと落葉過ぐ | 智恵子 |
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2019年11月25日 | |
冬ぬくし古き標が町おこし | せいじ |
大原女の頭に籠や紅葉坂 | 智恵子 |
一夜にして黄落道を埋めけり | ぽんこ |
教皇の声被爆地に冬ぬくし | せいじ |
色変えぬ松を震はせ宮太鼓 | なつき |
四辻に来て渦を巻く落葉かな | うつぎ |
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2019年11月24日 | |
埋火や干物は網に反り返る | 愛正 |
美人絵馬重なりあへる神の留守 | ぽんこ |
晩学のスローライフや卵酒 | みづき |
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2019年11月23日 | |
旅小春丹の橋渡り磴のぼり | 菜々 |
厨にも欲しき勤労感謝の日 | 満天 |
病院を辞すシリウスを真向かいに | うつぎ |
八峰の一隅照らす冬日かな | 愛正 |