みのる選:2019年8月度
2019年08月23日 | |
野分あと山羊の草喰む島日和 | もとこ |
乾杯は故郷の新酒同窓会 | 菜々 |
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2019年08月22日 | |
宮入に子供神輿の声高し | 素秀 |
皺深き配車係の日焼顔 | せいじ |
ビル街の狭き裏路地地蔵盆 | 宏虎 |
このだるさ冷房病を疑ひぬ | 明日香 |
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2019年08月21日 | |
胸少し膨らみ初めし娘の浴衣 | やよい |
回復の兆しか母の顔さやか | せいじ |
相互ひ揺れて蒲の穂ぶつからず | 菜々 |
ハイウェイカンナの燃ゆる分離帯 | 智恵子 |
高階の右に左に遠花火 | はく子 |
桃剥くや孫らの帰つてしまふ朝 | もとこ |
夾竹桃真つ赤に燃ゆるハイウエイ | ぽんこ |
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2019年08月20日 | |
新涼や縄目きりりと四ツ目垣 | 菜々 |
卵とく朝餉の箸の音涼し | 更紗 |
掃く人に声かけ朝の宮涼し | やよい |
日の暮れを待ちきれぬ児の庭花火 | みづき |
枕辺のラジオを消せば虫の声 | うつぎ |
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2019年08月19日 | |
地蔵盆子なき家へもお裾分け | 明日香 |
天辺に梅肉の朱や湯引鱧 | 菜々 |
瞬ける一番星へおがら焚く | みづき |
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2019年08月18日 | |
三輪山をしたがへつつと月昇る | 明日香 |
夏期講座ひたすらペンの走る音 | 更紗 |
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2019年08月17日 | |
翅の裾ぼろぼろにして秋の蝶 | 明日香 |
秋暑し餌を欲る鯉の犇めきて | 満天 |
はしやぐ子が飲み込まれたるハンモック | なつき |
能登島の古町灼くる黒瓦 | 愛正 |
遠花火郷関出でて幾年ぞ | かかし |
2019年08月16日 | |
耳遠き父は早寝や盆の月 | なつき |
渓流の水際縁どる草紅葉 | 智恵子 |
一駅を途中下車して星月夜 | 宏虎 |
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2019年08月15日 | |
渇筆の万葉仮名の文字涼し | かかし |
藪枯あらぬ辺を向く道標 | みづき |
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2019年08月14日 | |
帰省子の自由研究付き合ひぬ | せいじ |
端正な大仏の顔月涼し | こすもす |
熱帯夜間遠に響く救急車 | 満天 |
大橋の下に涼める渡し守 | 素秀 |
帰省子の釣果に夕餉賑ひぬ | せいじ |
灯を消して月光入るる仏間かな | はく子 |
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2019年08月13日 | |
迎火の煙誘ふごとく風 | ぽんこ |
早稲の花弘法道を詣で人 | 菜々 |
大花火果てて河原の虫浄土 | はく子 |
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2019年08月12日 | |
神苑に聴く初声や法師蝉 | やよい |
朝顔や幼子の靴干す垣根 | みづき |
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2019年08月11日 | |
日盛りや陰へ陰へと植木鉢 | 明日香 |
わんぱくがねずみ花火に逃げ惑ふ | 菜々 |
銀鱗の眩し大漁鰯網 | 素秀 |
高塀を越えて向日葵顔出しぬ | なつき |
研ぎ終えし刺身包丁盆用意 | 三刀 |
帰省子のいがぐり頭撫で回す | せいじ |
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2019年08月10日 | |
湾を呑むぞと高波や台風裡 | なつき |
2019年08月09日 | |
五具足は父祖の形見や盆支度 | こすもす |
秋草の起ち直りをる今朝の雨 | 明日香 |
霊水の岩の常濡れ苔の花 | ぽんこ |
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2019年08月08日 | |
辻堂に合掌深き秋遍路 | 素秀 |
味噌汁の熱きをすすり暑に耐ふる | 宏虎 |
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2019年08月07日 | |
梅花藻に日の斑の遊ぶ泉川 | せいじ |
街中の小田の一枚稲の花 | はく子 |
山裾に寝落ちし四五戸星流る | 菜々 |
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2019年08月06日 | |
湧水や富士の裾野の新豆腐 | 宏虎 |
蜩や森間包む夕帷 | そうけい |
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2019年08月05日 | |
喜寿すぎてなほチャレンジや雲の峰 | やよい |
せせらぎの音を覆ひし真葛原 | そうけい |
花火師の中洲に浮かぶ影法師 | 智恵子 |
更けて尚風に乗り来る踊唄 | 菜々 |
朝涼のラジオ体操足軽し | たか子 |
道の駅レシピを添へて夏野菜 | 明日香 |
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2019年08月04日 | |
ゼンマイの螺子巻くやうに夜蝉鳴く | うつぎ |
元気だせよと朝蝉の啼きはじむ | うつぎ |
寄付集む盲導犬へ団扇風 | なつき |
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2019年08月03日 | |
おはぐろの水面広しとホバリング | 素秀 |
2019年08月02日 | |
かなかなや山の空気に変はる道 | うつぎ |
目玉見え全身透ける目高の子 | 素秀 |
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2019年08月01日 | |
反響す鍾乳洞の声涼し | 素秀 |
骨切りの手際も見せて鱧料理 | はく子 |
風涼し千本鳥居吹き抜けて | さつき |
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2019年07月31日 | |
梅花藻や水の匂へる湖畔駅 | みづき |
熊蝉の腹震はせて絶叫す | せいじ |
筆置けばわつと高鳴く蝉時雨 | よう子 |
縦横に山の風入れ夏館 | うつぎ |
水平線遥かに見えて岬涼し | さつき |
老翁の仙人髭やパナマ帽 | さつき |
夫婦滝連理をなして水激つ | たか子 |
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2019年07月30日 | |
所在なき風鈴の舌風吹かず | ぽんこ |
大吉の浮かぶ納涼水みくじ | さつき |
素足よし母手作りの布草履 | うつぎ |
楼門を射抜くごとくに鬼やんま | さつき |
日の上り蝉時雨いまソプラノに | 満天 |
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2019年07月29日 | |
返事すもとんちんかんや昼寝覚 | 明日香 |
足垂らす堂縁の下蟻地獄 | うつぎ |
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2019年07月28日 | |
古堂の蟻地獄にも参拝す | うつぎ |
梅雨雲の切れて日の射す主峰かな | 隆松 |
降りたつや否や全島蝉時雨 | さつき |
湖涼し縮緬波を湛えけり | たか子 |
熊笹の隠さふ道も登山道 | せいじ |
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2019年07月27日 | |
島のごと浮く円墳や青田中 | 明日香 |
大堰堤一文字引く夏の山 | ぽんこ |
山の上に半分覗く遠花火 | はく子 |
千年の社鎮めて夏木立 | 菜々 |