みのる選:2018年9月度
2018年09月28日 | |
俯瞰せる大和盆地は豊の秋 | せいじ |
哲学の道席巻す盗人萩 | 明日香 |
大ホールタクトが紡ぐ秋の音 | たか子 |
籾の殻ほどく野良着のポケットに | やよい |
汽車を待つカメラ小僧や秋桜 | 智恵子 |
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2018年09月27日 | |
ご祝儀を鬼に握らせ里神楽 | さつき |
落葉掃く巫女は大きな箒もち | 智恵子 |
ツアーバス巡る棚田の案山子展 | こすもす |
影絵めく富士の全容秋夕焼 | なつき |
屋根修理中なのにまた台風来 | 満天 |
芋の葉のあち見こち見し露こぼす | 明日香 |
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2018年09月26日 | |
魚信まつ釣り人の默秋の風 | ぽんこ |
鳶職のみるみる屋根へ秋日和 | さつき |
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2018年09月25日 | |
四つ目垣ほころぶままに萩の寺 | さつき |
特急の窓に併走鰯雲 | せいじ |
子規句碑を要としたる萩の寺 | 菜々 |
句碑の文字なぞる指先秋の冷え | 明日香 |
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2018年09月24日 | |
風連れて駈けくる吾子や曼珠沙華 | なつき |
朝靄のベールを脱ぎし花畑 | 宏虎 |
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2018年09月23日 | |
あした行く机上の旅や長き夜 | 愛正 |
畑仕事終へて家路へ秋夕焼 | こすもす |
野地蔵の背ナのなぞへの彼岸花 | ぽんこ |
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2018年09月22日 | |
軒先に古りし杉玉ちちろ鳴く | こすもす |
赤とんぼ腰に纏はるごと乱舞 | 明日香 |
赤とんぼ行き交ふ古墳コンサート | やよい |
杖を手に至福の一と日大花野 | 三刀 |
2018年09月21日 | |
画架立つる人を映して池澄める | 菜々 |
丘陵の墓地を縁取る曼珠沙華 | 愛正 |
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2018年09月20日 | |
手話の子ら弾ける笑顔鳳仙花 | 智恵子 |
薄墨の絶筆三句身にぞ入む | うつぎ |
鳥の声失せて里山秋しぐれ | 菜々 |
注連古りし神の大樹に小鳥来る | こすもす |
秋霖に旅情ひとしほ天城越え | たか子 |
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2018年09月19日 | |
秋めきて息吹き返す鉢のもの | 明日香 |
暦日の連理の句碑へ萩の風 | 菜々 |
子規祭る糸瓜に献句したためて | うつぎ |
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2018年09月18日 | |
萩の庭箒立て掛け四つ目垣 | うつぎ |
喬木にもたれて杜の秋を聞く | そうけい |
四阿に座せば四方より萩の風 | 菜々 |
片膝をつきし地蔵や野路の秋 | こすもす |
門入るや否やあふるるしだれ萩 | 満天 |
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2018年09月17日 | |
侍者のごと不即不離なる秋の蝶 | ぽんこ |
秋霖や枕木匂ふ無人駅 | 智恵子 |
吹き上げる風に見えたる葛の花 | 三刀 |
秋澄みて外輪船の水尾真白 | こすもす |
敬老日夫は真つ赤なシャツを着て | 明日香 |
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2018年09月16日 | |
ちちろ鳴く市に民話の紙芝居 | なつき |
上段の構へのままに枯蟷螂 | たかを |
高虚子の句碑は盤石秋の声 | はく子 |
跳びはねて山気を払ふ里神楽 | さつき |
境内に響く鐘の音薄紅葉 | こすもす |
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2018年09月15日 | |
団旗持つポニーテールや運動会 | なつき |
恙なき卒寿を謝しつ敬老日 | あさこ |
2018年09月14日 | |
童謡の歌詞カード手に敬老日 | こすもす |
磨崖仏徐々に浮き出づ月明り | 愛正 |
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2018年09月13日 | |
秋の雲掴むかに伸ぶクレーンかな | たか子 |
子規句碑の袂へ枝垂れ萩真白 | 菜々 |
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2018年09月12日 | |
無花果をもぎて一服畑仕事 | 三刀 |
息詰めてとる新米の釜の蓋 | たか子 |
秋霖や素足いとしき子守像 | 菜々 |
神杉の根方より出づ蟻の列 | なつき |
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2018年09月11日 | |
畑仕事侍者のごとくに赤とんぼ | 三刀 |
園庭に大集合す赤蜻蛉 | こすもす |
落つる日に影絵となりし芒原 | そうけい |
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2018年09月10日 | |
それぞれに過ごす二人の夜長かな | やよい |
こぼれ萩な踏みそと行く車椅子 | 智恵子 |
虫の音に箸の進みし夕餉かな | せいじ |
門前をまず整へん台風禍 | たか子 |
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2018年09月09日 | |
停電もまたよしとせん夜の秋 | もとこ |
台風過安堵のごとく虫すだく | ぽんこ |
つくつくしリズムに乗りて夕支度 | さつき |
孫病むと記すメールに秋思憑く | せいじ |
洗面所今夜も来てるやもりの子 | 明日香 |
菊の日や九十二歳背筋美し | たか子 |
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2018年09月08日 | |
一人居や難解パズル解く夜長 | はく子 |
上向いて歩けと大き秋の虹 | やよい |
同学と半世紀ぶり菊の酒 | せいじ |
客席に鬼舞ひ降りし里神楽 | さつき |
2018年09月07日 | |
漁火のくつきり見えて瀬戸良夜 | 宏虎 |
鈴虫や郵便局のカウンター | よし女 |
苑訪へば閉鎖と札や台風禍 | たか子 |
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2018年09月06日 | |
憤怒せる仁王の背より秋の声 | ぽんこ |
独り居の祈るほかなき台風裡 | はく子 |
過疎の里案山子総出の峡田かな | うつぎ |
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2018年09月05日 | |
爽やかや検診結果異常なし | 菜々 |
夫の忌を修し安堵や虫の夜 | そうけい |
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2018年09月04日 | |
裏山の木々修羅場めく台風裡 | 三刀 |
一湾に犇めく船や天高し | こすもす |
野分過ぎまこと大きな夕日かな | やよい |
台風一過青空映すにはたづみ | 菜々 |
台風裡テレビを見たり窓見たり | 明日香 |
台風裡部屋から部屋へうろうろす | うつぎ |
新聞を配る音せり台風裡 | せいじ |
虫すだく昼間の嵐の嘘のごと | うつぎ |
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2018年09月03日 | |
孫からの肩叩き券敬老日 | 宏虎 |
露天湯に母の背流す月明り | 智恵子 |
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2018年09月02日 | |
立直る秋草に老い励まされ | 明日香 |
風掬ひ闇裏返す風の盆 | 宏虎 |
稔り田や鎮守の森を要とし | よう子 |
浜広く人影を見ぬ秋の海 | あさこ |
古民家の土間に一筋蚊遣香 | 愛正 |
摩尼車廻す山門萩しだる | こすもす |
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2018年09月01日 | |
工事場に指差喚呼飛ぶ防災日 | なつき |
柿たわわ瀬音高鳴る吉野道 | 菜々 |
2018年08月31日 | |
台風の余波か干し物踊り出す | はく子 |
農道の一直線や豊の秋 | こすもす |
合掌す苔むす陸墓秋の声 | ぽんこ |
鉦叩きリズム正しく夜の更くる | 宏虎 |
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2018年08月30日 | |
児の引きし当たりくじなる大西瓜 | 治男 |
トロ箱に秋刀魚右向き左向き | よう子 |
初秋刀魚食べ甲斐のある太さかな | あさこ |
降り立てば虫浄土なる終電車 | 智恵子 |
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2018年08月29日 | |
葛の蔓迫る過疎地の廃線路 | よし女 |
やうやくに取れしギブスや秋高し | やよい |
解体てふ湯屋の煙突秋の空 | はく子 |
食卓に散歩に摘みし草の花 | はく子 |
立ち話佳境なれども夕立雲 | こすもす |
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2018年08月28日 | |
初秋刀魚骨のみ残す喰いつぷり | もとこ |
豊の秋軽トラ集ふ道の駅 | よう子 |
ふるさとに今も味噌部屋昼の虫 | 菜々 |
奥入瀬の水が水切る飛瀑かな | 愛正 |
夏枯の鉢物矢尽き刀折れ | 明日香 |
髪型を変へて新涼覚えけり | こすもす |
伊吹嶺に立てば四方より秋の声 | せいじ |
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2018年08月27日 | |
牛小屋のありしあたりや蓼の花 | はく子 |
ゆりかごや稲の穂先の赤とんぼ | ぽんこ |
風鈴の思ひ出したるごと鳴りぬ | せいじ |
八千草を備前の壺に老舗宿 | たか子 |
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2018年08月26日 | |
処暑の風土間吹き抜くる其中庵 | 三刀 |
月光に甍の波の濡れにけり | もとこ |
枕辺に手花火置いて昼寝の子 | なつき |
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2018年08月25日 | |
旋風に負けず稲穂の立直る | 明日香 |
終ひ湯の窓を開ければ秋の声 | 満天 |
秋草の名を聞き合うて万葉園 | たか子 |