みのる選:2018年3月度
2018年03月23日 | |
小流れに切つ先立てし菖蒲の芽 | ともえ |
屹立し芽吹く裏山大伽藍 | せいじ |
コサージュの胸ふくらませ卒業す | 更紗 |
山門をくぐる我らに芽木の風 | せいじ |
島繋ぐ送電線や鳥帰る | 宏虎 |
国境なる嶺をさして鳥帰る | 菜々 |
ゆくりなく初花にあふ朝散歩 | はく子 |
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2018年03月22日 | |
芽柳に風の生まるる川堤 | ぽんこ |
くつくつと新玉ねぎを煮込む音 | みどり |
貝寄風や潮目が分かつ青と藍 | やよい |
玄海の潮に育ちし若布刈る | さつき |
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2018年03月21日 | |
梅林の小径数珠なす傘のれつ | こすもす |
眼福と見し満開の丘の梅 | せいじ |
遥かなる銀嶺日矢に煌めける | 隆松 |
春疾風悲鳴をあぐる森の木々 | 明日香 |
陽光の丘埋めたる花ミモザ | みどり |
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2018年03月20日 | |
梅の丘指呼にまどかな甲山 | たか子 |
鼻先と梅の花との出会ひかな | こすもす |
母さんとおててつないで卒園す | もとこ |
畑仕事終へて家路へ春の夕 | みどり |
目覚ましをかけずともよき朝寝かな | さつき |
身まかりし妹悼む桜かな | あさこ |
舞殿へ伸びし一枝の初桜 | やよい |
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2018年03月19日 | |
野に遊ぶ師弟関係和が一番 | 明日香 |
つばめ来て古巣繕ふ無人駅 | 智恵子 |
老木の幹黒々と花の雨 | 三刀 |
ゆくりなくお茶の接待遍路寺 | なつき |
うららかや検診票の良多し | 愛正 |
春日燦砂紋に濃ゆき松の影 | ぽんこ |
磴半ば一息つけば山笑ふ | ぽんこ |
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2018年03月18日 | |
産土の杜の息吹や百千鳥 | 菜々 |
ホスピスへ辿る桜の並木道 | よし女 |
春光や天守より見ゆ古戦場 | なつき |
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2018年03月17日 | |
子らのどか砂場に数多土だんご | たか子 |
土手草に見えつ隠れつ初蝶来 | 菜々 |
ジョギングすペアールックに風光る | 満天 |
2018年03月16日 | |
しとしとと芽吹き促す今朝の雨 | 明日香 |
蜆舟吃水深く戻りけり | 宏虎 |
春寒し買うて忘れし荷を取りに | よし女 |
芽吹山貫き進むハイウエー | 菜々 |
棄て榾を返せばあまた春子噴く | うつぎ |
芽起しの雨降り注ぐ生駒山 | たか子 |
久闊の共の手土産さくら餅 | はるよ |
春泥も心得てをる盲導犬 | たか子 |
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2018年03月15日 | |
襞影の薄れて嶺々は芽吹きどき | 菜々 |
城日永大道芸に人だかり | せいじ |
夫に付き花菜明りの庭畑へ | よし女 |
ベランダを埋め尽くして桜草 | はく子 |
潮騒をBGMに初音聞く | さつき |
ジョギングの人も寄り道梅盛る | たか子 |
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2018年03月14日 | |
日を弾く川面の眩し猫柳 | うつぎ |
青空へ傘ひろげたる枝垂れ梅 | あさこ |
石庭の要の松に風光る | ぽんこ |
酒造蔵大うつばりに春灯 | やよい |
蜑の家物干し竿に若布干す | さつき |
釣宿は柄まちまちの布団干す | さつき |
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2018年03月13日 | |
反り屋根の甍が弾く春日かな | 明日香 |
よく揺るる鈍行列車春眠し | みどり |
梅宮の名水をもて漱ぐ | やよい |
ひとり居の姉を誘ひて春日傘 | たか子 |
古書肆街軒を連ねて春燈 | よう子 |
呑み屋街点りそめたる春の宵 | みどり |
手庇に遠き人影大干潟 | 三刀 |
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2018年03月12日 | |
細波す角組む蘆の隙間かな | 宏虎 |
囀や母の墓前に額づけば | やよい |
春を待つ登山道具の手入れして | 愛正 |
裾余る大涅槃絵を吊るしたり | なつき |
春灯し丘のマンションお城めく | 菜々 |
連綿と但馬全山笑ひけり | こすもす |
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2018年03月11日 | |
大幹を潤し落つる春の雨 | 智恵子 |
湖に残る一羽の鴨遠し | ともえ |
掬はんとする匙逃ぐる蕨餅 | あさこ |
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2018年03月10日 | |
梅林の迷路に遊ぶ子供たち | 隆松 |
杣道の石持ち上ぐる霜柱 | さつき |
風光る甍越しなる瀬戸の海 | 三刀 |
雨晴れて雫も匂ふ梅の丘 | 満天 |
綺羅星のごと日をはじく雪解川 | 隆松 |
2018年03月09日 | |
雛壇の眼鏡は客の忘れ物 | うつぎ |
馬鈴薯植う触りし土の温かし | 三刀 |
春泥の乾かんとする象の尻 | 宏虎 |
陽春や旅のさそひに気もそぞろ | みどり |
高枝より春光もるる木立かな | みどり |
揚雲雀神の御山を越えんとす | 明日香 |
渡し舟行き交ふ土手の花菜風 | 智恵子 |
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2018年03月08日 | |
墓の母へと報告す卒業子 | 治男 |
貝寄風や坂の神戸に住み古りて | たか子 |
一人居の気まま春眠はばからず | はく子 |
ハングルも英語も混じる受験絵馬 | さつき |
春寒や回覧版の雨に濡れ | 満天 |
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2018年03月07日 | |
せせらぎを聞くやに出でし蕗の薹 | さつき |
ぴかぴかにトイレを磨き卒業す | よし女 |
繕はぬ古びが値打ち雛調度 | うつぎ |
捻れたる老幹なれど梅香る | さつき |
登校子見守る黄旗風光る | 智恵子 |
五感もて旬を楽しも木の芽和 | 宏虎 |
助手席はゆりかご春眠避け難し | はく子 |
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2018年03月06日 | |
トンネルを抜けるや否や山笑ふ | さつき |
雛の間行儀良き子となりにけり | よう子 |
曲水の宴模したる庭の雛 | なつき |
雨晴れて膨るるごとき春の山 | 満天 |
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2018年03月05日 | |
馬酔木咲く万葉歌碑の並ぶ丘 | やよい |
歪みたる玻璃戸に梅の花滲む | ぽんこ |
風花のスクランブルす交差点 | 愛正 |
海峡を見下ろす宮の山椿 | うつぎ |
笏なくて手持ち無沙汰や古雛 | 明日香 |
合格の祈願の絵馬に風光る | 菜々 |
楼門の奥処を埋む梅白し | よう子 |
早朝の眠り断ち切る春の雷 | 三刀 |
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2018年03月04日 | |
人見知りせる子を泣かす雛の客 | なつき |
一句欲る淀の堤の春風裡 | 菜々 |
顔寄せて盆梅の香を確かむる | よう子 |
古墳へと走り根の道踏青す | やよい |
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2018年03月03日 | |
糶果てし余韻埠頭の春風裡 | せいじ |
楼門の篇額仰ぐ梅の寺 | よう子 |
庭池の反り橋に立つ内裏雛 | うつぎ |
2018年03月02日 | |
御点前の所作のごと掬む春の水 | せいじ |
花がらを摘めばパンジー唄ひだす | 明日香 |
春一番放牧場に牛居らず | なつき |
沖遠く失せる巨船や春霞 | せいじ |
糶負けて紫煙くゆらせ春愁ふ | さつき |
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2018年03月01日 | |
子午線はどのへんかしら海おぼろ | うつぎ |
宍道湖で穫れし蜆と幟立つ | 智恵子 |
盆梅展琴のしらべに巡りけり | はく子 |
春一番合格電報届きたる | 菜々 |
子午線と記すホームや駅うらら | たか子 |
水仙の香にうち仰ぐなぞへかな | みどり |
春愁や即絞めらるる糶の魚 | せいじ |
竹林のいまし修羅場や春疾風 | 三刀 |
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2018年02月28日 | |
春潮にたゆたふごとし淡路島 | たか子 |
雛の間和服姿の碧眼も | よし女 |
潮騒を背に磴のぼる遍路かな | なつき |
時々はスイツチ入るる春炬燵 | こすもす |
春光に反る白銀は大架橋 | せいじ |
人垣は初いかなごや魚の棚 | うつぎ |
風鐸の揺れ落ちつかず涅槃西風 | 宏虎 |
目高鉢時化さながらや春疾風 | よし女 |
子午線のトンボ標柱風光る | はるよ |
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2018年02月27日 | |
湯煙の立ち登りたる冬木立 | 愛正 |
刀傷のこる茶室に雛御殿 | なつき |
子午線の空に輪を描く春の鳶 | ぽんこ |
春水をざぶざぶ使ひ糶果つる | たか子 |
亡き母の所作思ひつつ雛飾る | もとこ |
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2018年02月26日 | |
おらが山今朝は霞に隠れけり | 三刀 |
目瞑りて聞くせせらぎの春の唄 | みどり |
堂ぬくし碧眼の徒も写経せる | せいじ |
ゆつくりと向き変ふ鯉や水温む | みどり |
春耕の畝黒と縞なせる | 明日香 |
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2018年02月25日 | |
肚割られ透きとほりたる干鰈 | 宏虎 |
ほつほつと漁火点る春の宵 | はく子 |
豆の咲く岬に展け海まさを | やよい |
春耕といふも一畝庭畑 | 菜々 |
風光る大願塔の水煙に | たか子 |
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2018年02月24日 | |
風花の磴百段に高舞へる | みどり |
春泥を蹴つて仔牛を見に走る | なつき |
オルガンの響き聖堂冴返る | はく子 |
春昼やふつふつケーキ焼ける音 | みどり |
丘の上の聖十字架に風光る | 満天 |
早立ちの渡船に並ぶ島遍路 | なつき |