みのる選:2017年12月度

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2017年12月31日

12月23日~12月29日

2017年12月29日
凍雲を切り裂くごとく落暉さすせいじ
冬日燦頬豊かなる寿老神ぽんこ
吾のためと一族郎党蟹料理あさこ
六十代最後の年や日記買ふうつぎ
野地蔵の供花取替へる頬被りこすもす
湯立待つ天満宮に片しぐれはく子
背高の孫頼みとす年用意はく子
2017年12月28日
枝枝に淡雪絡む並木かな隆松
煤逃げの診察券をさがしをりなつき
外は雪といひつ訪問ナース来るうつぎ
隠沼を探し当つれば鴨発ちぬせいじ
日溜りに所得たりと冬雀愛正
2017年12月27日
父の忌に続く母の忌年の暮菜々
風花の碑にぶつかりて消えけり更紗
閼伽水を吹き飛ばしをる空つ風明日香
窓の日に脹ら雀や美容院よう子
潮風に香る岬の野水仙智恵子
ポケットに溜まる小銭や年の市うつぎ
靴跡は新聞配達雪の朝こすもす
冬天へ願ひの絵馬を焚きにけりはく子
2017年12月26日
靴音に鯉の寄り来る池小春菜々
古着市目当てに終ひ弘法へやよい
浄土てふ寺苑の巨石凍てにけりたか子
蝋梅のつぼみ膨らむ玉日和満天
日記果つ何時も誰かに助けられうつぎ
2017年12月25日
ダンスへと八十路の父やクリスマスなつき
柚子風呂やつんつんと肩つつかれつたか子
指につくクリーム舐めて聖菓切る更紗
2017年12月24日
歳の市値踏みを店主一蹴すやよい
風花の乱舞ながめの足湯かなこすもす
万両や木深沈みに茶室あり菜々
冬ざれや玻璃戸の歪む異人館ぽんこ
鴨川の光に舞ふや百合鴎満天
冬館ゆがむ明治の色ガラスたか子
2017年12月23日
冬の鯉石を枕に身じろがずうつぎ
白龍のごと霧走る朝ぼらけ明日香
鰭酒に酔ひて毒舌はばからず宏虎
街騒に隣る寺領の歳の市たか子

2017年12月25日(Mon)

12月16日~12月22日

2017年12月22日
黄金の夕日差しこむ枯木立みどり
吟行の余韻に浸る柚子湯かなうつぎ
柏手に居向き変へたる冬の鯉たか子
人目気にせずに着膨れ吟行へさつき
供華の菊枯れ果ててをる塔婆かなぽんこ
柚子風呂にあごまで浸かる至福かなそうけい
鬼柚子の凸凹顔に太りけりそうけい
玉砂利にシート広げて年の市菜々
風紋に足跡しるき鴨の浜なつき
ショールーム赤きベンツと聖樹かなはく子
吟行子師走の街を左見右見うつぎ
2017年12月21日
たあいなき話肴におでん酒宏虎
大根干す禅僧きりりと襷掛け菜々
海風が頬刺す寒の露天の湯やよい
カーテンを全開にして窓小春さつき
大霜の路シャリシャリとバス来るよし女
凍て空に研ぎ澄まされし匕首の月はく子
万象の影絵となりぬ寒夕焼満天
2017年12月20日
禅寺の枝てふ枝に懸大根せいじ
朝霜の花めくフロントガラスかな明日香
炭焼きの煙を挙げて峡深しやよい
帰り待つ程よくしみてぶり大根こすもす
須臾消ゆる沖の漁場の時雨虹よし女
悴む手もて雑巾を絞りけり更紗
2017年12月19日
年の瀬の一つづつ消す備忘メモ満天
カラカラと軒に奏でる凍み豆腐智恵子
蔦からむ土蔵に錆びし和錠かな愛正
戸を繰れば叱咤のごとく虎落笛せいじ
2017年12月18日
呼び込みの声錯綜す年の市菜々
冬夕焼ガードレールも茜色明日香
白鷺の独り立ちをる枯田かなみどり
温泉煙に見え隠れする寒椿みどり
街頭の聖樹に和して工事の灯なつき
白菜を真二つに割り日に晒す三刀
畦道のこんなところにたき火跡明日香
2017年12月17日
空白の日にも想ひ出日記果つ更紗
木枯らしにもんどりうつて祈願絵馬さつき
新たなる覚悟十年日記買ふなつき
枯れてなお刺の強さよ山薊治男
2017年12月16日
スーパーのカートぶつかり合ふ師走よし女
極月のひととき街の露天湯にはく子
裸木の道路駈けゆくつむじ風明日香
立ち食ひの屋台繁盛年の市菜々

2017年12月17日(Sun)

12月9日~12月15日

2017年12月15日
上つ張り着たり脱いだり年用意よし女
理髪屋を出るや首筋空つ風三刀
年の市トロ箱は潮したたらせ菜々
花街の昼は閑なり路地小春宏虎
年少さんせりふひと言クリスマスぽんこ
寺小春願ひの絵馬の犇めきてやよい
2017年12月14日
ポケットに両手突つ込み落葉踏むなつき
古日記繰りてよかつた探しかなやよい
四つ目垣真つ新にして年用意せいじ
ポインセチア並びしナース詰所かなうつぎ
鴨の陣疎にまた蜜に池広したか子
年の市とゆきかくゆき足棒に菜々
2017年12月13日
蓮根掘り終へて狼藉めく田んぼたか子
靴音に急きたてらるる町師走なつき
誰にでも笑ふ赤子や日向ぼこ菜々
徐にマフラーを解き切り出しぬうつぎ
水甕の薄氷指でもてあそぶ三刀
凍てし朝まだ中天に匕首の月明日香
2017年12月12日
夫と子の駒打つ音や林檎剥く更紗
高僧ら綺羅の法衣に報恩講はく子
城下町へと黄落の石畳みどり
日向ぼこ猫が隣でいびきかく宏虎
水鳥の群なす池に冬日燦みどり
駈けてくる子やマフラーを翻しうつぎ
2017年12月11日
ボンボリや手袋のまま手話弾む智恵子
きりなしと笑みつ園丁落葉掻たか子
深々と夕帳落つ枯木立よう子
2017年12月10日
庭小春どこかで携帯電話鳴る明日香
ごみ拾ふボランティア皆サンタ帽こすもす
夜明ければ谷戸は一面雪景色隆松
古暦うしろにつるす新暦明日香
2017年12月09日
多忙なるときの味方のおでんかなたか子
青空へ金鈴散らす楝の実三刀
吾の指につかまり立つ子家の春なつき

2017年12月10日(Sun)

12月2日~12月8日

2017年12月08日
白髪の脳裏に今も開戦日三刀
荒星や自販機一つ無人駅智恵子
恙なき余生願ひて日記買ふ満天
草庵へ閉ざす結界落葉道なつき
2017年12月07日
川底に万華鏡なす散紅葉智恵子
鶴折るによきと取り置く古暦よし女
ひなたぼこ特等席はいつも猫菜々
最高峰とて寒風の巌に佇つせいじ
黄落の樹下に真つ赤なポルシェかなやよい
べつ甲に透きて美味さう煮大根はく子
2017年12月06日
膝の上の猫とお喋り日向ぼこ満天
四阿の屋根に嵩なす落葉かなせいじ
菩提寺の砦のごとき枯木立よう子
星一つ寄せぬ孤高の冬の月菜々
住職の昔語りや落葉焚く智恵子
黄落に紛れしテニスボールかなぽんこ
2017年12月05日
小走りに行き交ふ人や街師走満天
後ろから追越す風の落葉かなはく子
かみ合はぬ老の会話や日向ぼこはるよ
家中に大根炊く香満ちてをりはく子
枯蘆や遊里の昔語り草宏虎
玻璃内に並ぶ鉢植冬日燦そうけい
雑木山スクランブルに冬日差す明日香
着膨れてペンギン立ちに電車待つたか子
真つ赤なる子らのほつぺや焚火の輪智恵子
2017年12月04日
ひと指で鳴らすピアノや小夜しぐれ更紗
濯ぎもの干してしばらく日向ぼこはく子
マンションの窓から声や焼芋屋こすもす
2017年12月03日
葬送の煙と見たる枯野かな三刀
すぎ苔に心地よさ気な落葉かなたか子
寒禽の影交錯す神の森さつき
中腹の茶店閉ざされ山眠るたかを
月冴ゆる闇に波音聞くばかり更紗
2017年12月02日
日向ぼこ手話の会話のはずみけり更紗
竹と竹あひ撃つ音や北颪せいじ
七五三小首傾げて写真撮るさつき
湯豆腐に六腑ほぐるる酒の酔宏虎
白線の見えぬ落葉の駐車場せいじ
庭の色日毎に失せて冬ざるる菜々

2017年12月3日(Sun)

11月25日~12月1日

2017年12月01日
朝刊のずしりと重し十二月満天
電飾のぐるぐる巻きとなる冬木たか子
大根焚き祷太鼓の途切れなくなつき
遠望の洛北はいま時雨らしせいじ
2017年11月30日
傾ぐ舟転覆せずや海鼠突きよし女
碧天へ千手を翳す大枯木みどり
黄葉して村の要の大銀杏さつき
小祠を埋むばかりに黄落すぽんこ
散紅葉うち敷き眠る古墳かな明日香
2017年11月29日
すだれ吊りして干し柿の売られけりよし女
はじめから値引き札つく年の市なつき
禅寺の底冷えしたる廊下かなさつき
防風林抜けて眩き沖小春智恵子
2017年11月28日
捨舟を覆ひ尽くして黄落すさつき
2017年11月27日
粧へる山に夕日の襞深くぽんこ
神の森はばからず猪狼藉すさつき
無口なる婿に熱燗勧めけりよし女
下駄箱をはみ出す靴や紅葉寺さつき
2017年11月26日
新蕎麦に満席となる里の茶屋さつき
気配りの床暖房の句座うれしたか子
コート脱ぎつつおしやべりす診療所よう子
ゆつくりと回る風車や丘小春こすもす
天国の友へも賀状書きたしと野菊
日溜まりの場所取りならん猫喧嘩たかを
留石の奥処に燃ゆる冬紅葉菜々
2017年11月25日
石庭の波の箒目紅葉散る宏虎
塵ひとつなき古町の路地小春満天
吃水の跡みせて川涸れにけりせいじ
家寒し妻にも越せぬ敷居ありたか子
娘の帰り遅しと仰ぐ冬の月よし女
医学部のメインロードの銀杏散る三刀
うそ寒し受話器を取ればすぐに切れやよい

 

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