みのる選:2017年4月度
2017年04月28日 | |
うららかや戸口開けよと猫のなく | 菜々 |
春愁や機械がしゃべるお大事に | 満天 |
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2017年04月27日 | |
色褪せて残るぼんぼり花は葉に | こすもす |
五時告ぐる童謡流れ夕蛙 | やよい |
藤房に触れむとつま立ちくりかへし | なつき |
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2017年04月26日 | |
鯉のぼり水面に泳ぐごときかな | ぽんこ |
手で開ける電車のドアに風薫る | 智恵子 |
ドラマいまハッピーエンド春の昼 | 菜々 |
花屑の玻璃に張りつく鄙の宿 | やよい |
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2017年04月25日 | |
廃校をよぎなしとせる花の門 | 菜々 |
遠蛙谺し谷戸の昏れなんと | やよい |
海風に大仰丘の花ミモザ | 智恵子 |
出現の聖母の像に新樹光 | ぽんこ |
噴水に遊ばれてゐて子ら楽し | はく子 |
試歩疲れ癒やすベンチや花は葉に | せいじ |
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2017年04月24日 | |
老桜要としたる墓どころ | 隆松 |
風に身を折らんばかりに大牡丹 | 三刀 |
夏来る宇陀の瀬音の高鳴りて | 菜々 |
百千鳥五重の塔は木隠れに | はく子 |
戻りきし吾妹の髪に桜蕊 | せいじ |
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2017年04月23日 | |
鳳凰の翔たたむばかりに風光る | 明日香 |
急磴を一歩一歩や山つつじ | よし女 |
機上人翼下はいまし花の雲 | 智恵子 |
陋巷のいつもの軒へ初燕 | 満天 |
乳飲み子を片手に食ぶる桜餅 | なつき |
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2017年04月22日 | |
一山を純白に染め花林檎 | 智恵子 |
寝息立つ花見疲れの帰り船 | せいじ |
ふらここや孫をはさみて爺と婆 | なつき |
2017年04月21日 | |
仕込み唄きく酒蔵の春灯 | 満天 |
走り根を隠し嵩なす桜蘂 | 智恵子 |
御簾のごと三百歳てふ糸桜 | はく子 |
春しぐれ女人高野をけぶらせて | 菜々 |
大木をのぼりつめたる天つ藤 | ともえ |
花見船つく桟橋に待ち合はせ | せいじ |
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2017年04月20日 | |
芽柳に触れもし進む屋形舟 | 満天 |
三代で童謡唄ひ野に遊ぶ | なつき |
藤棚に虻の羽音のハーモニー | 三刀 |
蒼天へ高舞ふ風の落花かな | ぽんこ |
園丁も一息いるる花の下 | さつき |
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2017年04月19日 | |
どこまでも続く湖岸の花堤 | せいじ |
花の道かつて本丸ありし跡 | 豆狸 |
唐門へ落花うち敷く石畳 | はく子 |
花散らす鵯のいたづらきりもなし | 明日香 |
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2017年04月18日 | |
堰落ちてまた立て直す花筏 | 菜々 |
散りくるを乗せつつ進む花筏 | 宏虎 |
句座和む窓いっぱいに花堤 | 菜々 |
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2017年04月17日 | |
花屑の帯なせりけり坂の道 | ぽんこ |
鈍行の旅の車窓に山笑ふ | こすもす |
鎮守社へどの畦ゆくも花菜風 | 菜々 |
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2017年04月16日 | |
チューリップのぞけば黒目もてりけり | なつき |
爆音はドクターヘリや花の空 | こすもす |
たんぽぽの土堤駈けて来る笑顔かな | 有香 |
ゆらゆらと潮目に浮沈花筏 | 菜々 |
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2017年04月15日 | |
釣人の小舟たゆたふ春の湖 | せいじ |
春愁や更地となりし生家跡 | よし女 |
抱く嬰の見開く瞳花の窓 | なつき |
と見る間に薄墨色や夕桜 | たか子 |
二言三言交はし岬の春惜しむ | 三刀 |
2017年04月14日 | |
ランドセル背ナに躍りし一年生 | 満天 |
乳足りて赤子のうららけし寝息 | なつき |
湖見ゆる花のベンチに推敲す | よし女 |
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2017年04月13日 | |
摘草の籠並べある木陰かな | まゆ |
後戻り出来ぬ桜の通り抜け | 満天 |
落花舞ふヘアピンカーブ曲がるたび | なつき |
玻璃越しに花の雲見ゆ大湯殿 | やよい |
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2017年04月12日 | |
路地うらら家族みんなに似し赤子 | なつき |
花の道曲がるたび見ゆ瀬戸の海 | あさこ |
花見舟手を振り交はし行き違ふ | 満天 |
花吹雪外輪船いま通過中 | はく子 |
病室のカーテン全開花の昼 | 三刀 |
賑はひを避けて早朝花堤 | まゆ |
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2017年04月11日 | |
声高に花下微笑せるアナウンサー | さつき |
途中下車して一駅を花に歩す | 宏虎 |
ホスピスの中庭いまし花浄土 | よし女 |
春夕焼背にして家路草野球 | まゆ |
池半分占めたる落下畳かな | こすもす |
突風に落花駈けだす石畳 | ぽんこ |
白鳥の分け行く濠の花筏 | やよい |
畝傍山隠す万朶の花簾 | 明日香 |
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2017年04月10日 | |
片脚は岬灯台春の虹 | よし女 |
観覧車見下ろす街の灯の朧 | まゆ |
花筵囃す頭上の鴉かな | さつき |
歩道橋右に左に花の雲 | 智恵子 |
空き店の目立つ町なみ燕来る | 豆狸 |
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2017年04月09日 | |
玉砂利を踏みつつ巡る花の寺 | こすもす |
菜の花の中に埋もるる石仏 | 豆狸 |
遠ざかる吾子の尾灯や路地おぼろ | 菜々 |
通勤の人仰ぎゆく花小路 | さつき |
花の昼添ひ寝して聞く子の寝息 | なつき |
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2017年04月08日 | |
美しきかなもじの碑や花堤 | せいじ |
膝行し聞かむ雛の息使ひ | 有香 |
おとなりと大合唱や花筵 | さつき |
岬鼻の白灯台に風光る | 宏虎 |
玉砂利を音なく濡らす春時雨 | 菜々 |
2017年04月07日 | |
元気かと一行メール山笑ふ | たか子 |
川堤花菜明かりのどこまでも | はく子 |
夕闇に春山遠くしざりけり | 三刀 |
飛び石へ降りたちて見る花堤 | 明日香 |
ジョギングの肩に触れもす糸柳 | さつき |
はくれんの一夜の雨に崩れけり | よし女 |
川面へとうちかぶさりし花の雲 | せいじ |
漣のとゆきかくゆき湖うらら | 隆松 |
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2017年04月06日 | |
芽柳や吐く息長し太極拳 | 有香 |
春愁や本音は胸のうちに秘め | 宏虎 |
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2017年04月05日 | |
燕来る改札口を貫きて | せいじ |
ワイナリーあれば寄りもし野に遊ぶ | 菜々 |
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2017年04月04日 | |
夜桜の梢隠れに月まどか | たか子 |
下校児に声送りもし春耕す | 有香 |
朝戸繰る我が家の軒に初燕 | あさこ |
菜の花とソーラーパネルせめぎあふ | さつき |
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2017年04月03日 | |
路地日永間遠に豆腐売るラッパ | 菜々 |
泣き虫が兄となる日や桜咲く | なつき |
浮寝鳥亭午の鐘に身じろがず | さつき |
沖うらら動くともなき巨船かな | やよい |
落ちてなほ命をつなぐ椿あり | あさこ |
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2017年04月02日 | |
濁り川明るうしたる花菜かな | さつき |
真青なる空へ溶け入るシャボン玉 | こすもす |
大風車回して春の雲の行く | 治男 |
産み月の腹さすりつつ春眠し | なつき |
突くほどに音重くなる紙風船 | たか子 |
春の雨くつぬぎ石を濡らすほど | 菜々 |
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2017年04月01日 | |
新茶の荷一筆箋に京言葉 | 智恵子 |
近づけば思はぬ数の鴨翔ちぬ | さつき |
春落葉仏足石を埋むほど | ぽんこ |
鉢の位置あちこち替えて庭の春 | 明日香 |
春陰や神社にのこる寺の跡 | せいじ |
夕さればおちょぼとなりぬチユウリツプ | ともえ |
2017年03月31日 | |
駅ビルの屋上はいま花菜畑 | ぽんこ |
さざ波の駈けて川面を風光る | まゆ |
花菜畑赤き一輌電車過ぐ | やよい |
清冽な流れの汀水芭蕉 | 宏虎 |
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2017年03月30日 | |
春愁や主婦にも有給休暇欲し | なおこ |
読みかけの本膝の上に春眠し | まゆ |
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2017年03月29日 | |
庭に椅子出して一人の春の昼 | 菜々 |
里山の風に高舞ふ杉の花 | まゆ |
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2017年03月28日 | |
地平線まで一面の花菜畑 | まゆ |
白鷺の後ろ付きくる春田打 | やよい |
目白来てあの枝この枝とジプシーす | 隆松 |
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2017年03月27日 | |
堰落つる音轟々と雪解川 | 隆松 |
若布売流暢なれば人垣す | なつき |
山茱萸黄雨に滲みし神苑に | はく子 |
雑木山日ごとに春の色纏ふ | ともえ |
ブラインド貫き窓の春日燦 | さつき |
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2017年03月26日 | |
絵硝子の受難の絵解き春寒し | なつき |
番犬の春眠深きいびきかな | さつき |
春めくや水車の軋む音もまた | 宏虎 |
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2017年03月25日 | |
級友の遺影を抱き卒業す | さつき |
芽柳をもてあそぶごと風通ふ | 智恵子 |
堂に満つ信徒の唱和彼岸寺 | はく子 |
神木の大きな洞や春の雪 | 豆狸 |