みのる選:2016年10月度
2016年10月28日 | |
百選の棚田を抱き山粧ふ | ぽんこ |
風が大好きとコスモス揺れやまず | ひかり |
黄落の天洩るがごとき山路かな | まゆ |
湖岸道楓紅葉の並木なす | 隆松 |
城塁を搦めにからめ蔦紅葉 | やよい |
秋晴にうぐひす張りの音高し | 満天 |
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2016年10月27日 | |
秋天下白壁つづく武家屋敷 | 菜々 |
根ぶか汁手づくり味噌が要てふ | はく子 |
月出でていよよ高鳴る瀬音かな | まゆ |
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2016年10月26日 | |
目交ひに主峰の見ゆる花野かな | ひかり |
しまなみの見えず霧笛の響くのみ | 智恵子 |
竹林の奥に庵す秋灯 | まゆ |
秋灯ほほふつくらと朱唇仏 | なつき |
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2016年10月25日 | |
屋根よりも高きを伐りて天高し | よし女 |
幾たびも針孔さぐる夜長かな | やよい |
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2016年10月24日 | |
縁に腰して適塾の秋を聞く | やよい |
はかどらぬ遺品の整理秋灯 | はく子 |
一面の刈田に白き煙り這ふ | 明日香 |
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2016年10月23日 | |
山荘へ誘ふ石蕗の小径かな | せいじ |
花八つ手目隠しなせる外厠 | 宏虎 |
霧雨に蜘蛛の囲珠をちりばめし | 克子 |
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2016年10月22日 | |
瀞の面に尾を打ちつけて赤蜻蛉 | まゆ |
小鳥来るビル屋上の庭園に | さつき |
病葉をくるくる回す蜘蛛の糸 | よし女 |
2016年10月21日 | |
地野菜を自慢としたる秋の膳 | たか子 |
彩窓を貫く秋日濃かりけり | やよい |
朴の葉を宙吊りにして蜘蛛の糸 | よし女 |
山門の臥竜の松の色変へず | ぽんこ |
秋高しブラスバンドの楽ひびく | さつき |
朝霧の中に木を伐る音間遠 | まゆ |
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2016年10月20日 | |
ついて来る猫の背なかに草虱 | まゆ |
黒真珠めく草の実はあまどころ | 明日香 |
墳丘に佇てば香し刈田風 | なつき |
潮入りの流れにのりて浮寝鳥 | さつき |
ビル街に彩づく桜紅葉かな | ぽんこ |
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2016年10月19日 | |
秋惜しむ浪速七坂たもとほり | はく子 |
猪垣のこんなに低くてもいいの | たか子 |
ポストまで野菊のつづる径辿る | まゆ |
天覧の見晴台は霧の海 | やよい |
深山道途切れ途切れに残る虫 | ひかり |
七坂の一投足に秋の風 | 満天 |
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2016年10月18日 | |
一陣の風吹きし時葛の花 | 克子 |
秋うらら水輪の主は亀の首 | 菜々 |
激つ瀬のしぶきに耐ふる蜘蛛の糸 | さつき |
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2016年10月17日 | |
平伏す車窓の尾花高速路 | 豆狸 |
幕間に山風通ふ村芝居 | なつき |
夕日落つ波止のベンチに秋の人 | さつき |
山葡萄翡翠の珠を鈴なりに | なおこ |
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2016年10月16日 | |
鵙高音主婦の一日始まれり | 明日香 |
古墳への小径彩る草紅葉 | こすもす |
無人駅出でて一面秋桜 | やよい |
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2016年10月15日 | |
秋空へこどもみこしの声弾け | 菜々 |
秋澄むやテニスラリーのはずむ音 | ぽんこ |
磨崖碑の裳裾に燃ゆる蔦紅葉 | やよい |
涙目にあらざれど斯く月滲む | 明日香 |
2016年10月14日 | |
校舎より洩るる輪唱秋澄める | やよい |
古民家の三和土に山と柿を積む | 智恵子 |
ひつじ田へ鷺の降り立つ朝まだき | ぽんこ |
野仏へ肩幅ほどの千草道 | 菜々 |
学び舎に残る灯のある秋の夜 | 満天 |
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2016年10月13日 | |
亡き夫の分も生きなば十三夜 | はく子 |
疎に咲いてゐて健気なる秋薔薇 | なおこ |
落とし水奔流となり且つ激つ | 明日香 |
軒高くトロ箱を積む魚河岸の秋 | たか子 |
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2016年10月12日 | |
嶺々低き丹波の里は豊の秋 | 菜々 |
ゆく吾に辞儀する風の芒かな | ともえ |
うそ寒く首にタオルの厨事 | 満天 |
婆縁に黙々と編む吊るし柿 | 智恵子 |
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2016年10月11日 | |
実りたる稲穂確かむたなごころ | はく子 |
ウエディングブーケ投げたる天高し | 智恵子 |
町なかの御苑に旅の秋惜しむ | なおこ |
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2016年10月10日 | |
公園のジャングルジムに小鳥くる | やよい |
園児らのゴールはママや運動会 | 智恵子 |
秋桜風にあち向きこつち向き | あさこ |
紅葉鯛白磁の皿にはみ出しぬ | たか子 |
白萩の屑こぼしつぐ苔の庭 | 豆狸 |
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2016年10月09日 | |
ドミノめく棚田の稲架や明日香みち | 明日香 |
行厨や四囲の花野を籬とし | ぽんこ |
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2016年10月08日 | |
亡き母の文読みかへす灯親し | 菜々 |
赤とんぼ芝生広しとホバリング | なおこ |
フェリー待つ桟橋の沖跳ねる | 宏虎 |
回廊に泉水の秋聴ききにけり | ぽんこ |
2016年10月07日 | |
秋うららラジオ聞きつつ波止に釣る | やよい |
レースカーテンを貫く秋日かな | なおこ |
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2016年10月06日 | |
色変へぬ松砦とす御陵かな | たか子 |
修験者の錫杖ひびく秋山路 | 宏虎 |
大梯子下りてのぼりて松手入 | なつき |
製鉄の街見下ろして山粧ふ | 菜々 |
係船の舷たたく秋の潮 | やよい |
子ら帰る自転車の輪に草紅葉 | 智恵子 |
蜻蛉の翔ちては戻る潦 | ひかり |
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2016年10月05日 | |
ほろほろと湖面にこぼす萩の屑 | まゆ |
秋霖の杜の走り根苔まみれ | ひかり |
映画館客四五人や台風裡 | やよい |
長雨に耐へかねて臥す稲田かな | ひかり |
角隠し渡る廊下に菊薫る | 智恵子 |
身に入むや原爆写真みなセピア | なつき |
核心の話に止まる扇かな | 宏虎 |
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2016年10月04日 | |
里山に飛び火のごとく櫨紅葉 | まゆ |
秋晴れに扉を全開す大法堂 | はく子 |
佇つ我に刃向かふ構へいぼむしり | 治男 |
吟行の家苞に買ふ能勢の栗 | ひかり |
宇治の瀬を掠めかすめて石たたき | 菜々 |
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2016年10月03日 | |
山門に傘をたためる秋の人 | なつき |
ひとところ湖畔に燃ゆる櫨紅葉 | まゆ |
庭草の伸び放題や秋愁ふ | よし女 |
這松の群落駈けて霧走る | 明日香 |
四方山の話は尽きず敬老会 | まゆ |
曇天を明るうしたりそばの花 | 隆松 |
銀杏の実を踏むまじと爪立ちに | たか子 |
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2016年10月02日 | |
穂薄をのけぞらし過ぐ列車かな | ともえ |
秋風裡高原バスは窓開けて | 明日香 |
稲稔る四囲の山々砦とし | 菜々 |
枝から枝へリス忙しき森の秋 | 智恵子 |
太い腹ひきづりあるくいぼむしり | 三刀 |
山野辺に摘みしを卓に吾亦紅 | まゆ |
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2016年10月01日 | |
竹林はいましも虫の音楽会 | せいじ |
廃線の鉄路を隠す草紅葉 | 智恵子 |
秋風に揺れどほしなる千灯明 | さつき |
落人の越えしこの淵秋深む | 治男 |
萩の花しぼるがごとく雨雫 | せいじ |
2016年09月30日 | |
石地蔵麦藁帽を被りけり | さつき |
黒き雲脱ぎて真澄の月涼し | なおこ |
乱れ萩海一望の高台に | ぽんこ |
道祖神囲みて畦の曼珠沙華 | 克子 |
双眼鏡真澄の鷹をとらえけり | さつき |
野分あと狼藉めける杉林 | まゆ |
不揃ひの雨粒宿す彼岸花 | よし女 |
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2016年09月29日 | |
湯煙かはた夏霧か山の宿 | 菜々 |
遺言を書かせる講座うそ寒し | 治男 |
車窓いまネオンの滲む秋時雨 | 智恵子 |
独り酌み仕上げは茶漬け秋深し | うつぎ |
秋霖もまた良しとせる吟行子 | やよい |
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2016年09月28日 | |
秋暑し赤信号の長きこと | 満天 |
戦争の苦労話やふかし藷 | 三刀 |
疎に密に休耕田の秋桜 | こすもす |
内海や波の子もなき秋の晴 | ぽんこ |
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2016年09月27日 | |
草葎踏めばあらぬへバッタ跳ぶ | たか子 |
秋うらら動くともなき熱気球 | やよい |
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2016年09月26日 | |
売り切れの無人野菜や野路の秋 | やよい |
触れまじと思ひつ触るる萩小径 | うつぎ |
結局は捨てる木の実をポケットに | たか子 |
石人に梢を洩るる秋日影 | 豆狸 |
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2016年09月25日 | |
雲の影くつきり落とす秋の山 | 明日香 |
秋淋し筑前琵琶の音色また | さつき |
愁思あり発掘されし石人に | 豆狸 |
裸婦像の豊胸反らす天高し | やよい |
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2016年09月24日 | |
秋憂ふ開けて噛んでと歯医者さん | 明日香 |
秋彼岸番茶を沸かす大薬缶 | なつき |
落暉いま黄金に染む鱗雲 | 隆松 |