みのる選:2016年7月度
2016年07月29日 | |
ご神水なる湧水に鱒太る | よし女 |
空瓶に名水満たす音涼し | うつぎ |
だみ声で土用餅売る朝市女 | なつき |
行厨は展望閣や風涼し | ぽんこ |
水鉄砲猫はひらりと塀の上へ | 豆狸 |
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2016年07月28日 | |
鼻眼鏡ずり落ちさうや玉の汗 | うつぎ |
朝凪の浦を囲みて船屋群 | たか子 |
炎天に路面電車の軋む音 | たか子 |
と見る間に甲山失す大夕立 | 宏虎 |
鳰潜る度にひろがる水輪かな | 菜々 |
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2016年07月27日 | |
屋形船散らして涼し隅田川 | 智恵子 |
愛犬の舌入る間なき溽暑かな | 豆狸 |
炎天下動くともなき観覧車 | 菜々 |
本堂へ磴の片陰ひろひつつ | よう子 |
烏賊船の灯の煌々と明易し | ともえ |
冷房の店でて眼鏡やくたたず | 三刀 |
真四角に校庭広し夏休み | たか子 |
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2016年07月26日 | |
白球の放物線や雲の峰 | 三刀 |
朝凪の浜に流木あまたなる | 豆狸 |
盆の月へと反り返す踊りの手 | たか子 |
山辺より駈け降りてくる稲穂波 | 有香 |
観音の小祠の立つ蓮の池 | ぽんこ |
太陽の塔白南風に翼ひろぐ | 菜々 |
本殿を象嵌したる茅の輪かな | さつき |
モノレール遊泳のごと万緑理 | 満天 |
水打ちて今日を了へたる魚糶場 | よし女 |
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2016年07月25日 | |
朝の日を集むごとくにトマト摘む | よし女 |
端居して母の帰りを待つ子かな | まゆ |
白き歯をみせて挨拶プールの子 | 満天 |
朝まだき鳥語に勝る蝉の声 | なおこ |
我が思考回路を乱す猛暑かな | たか子 |
深山寺鈴の緒振れば音涼し | 有香 |
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2016年07月24日 | |
夏料理直筆といふお品書 | 豆狸 |
蝉時雨受話器の声の向かふから | たか子 |
目指す駅見えゐて遠し炎天下 | ひかり |
花火師ら黒子めきたる中洲かな | ともえ |
噴水と一緒にをどる子供たち | ぽんこ |
車庫空けばビニールプールが占領す | 菜々 |
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2016年07月23日 | |
草刈機唸りをあぐる明日香道 | 明日香 |
一門の墓所なる蝉しぐれ | さつき |
肩ぐるまシルエットなす揚花火 | 智恵子 |
庭野菜満載カレー暑に耐ふる | 菜々 |
2016年07月22日 | |
夏祭り売り子らもみな顔馴染み | 満天 |
はばからず大昼寝せむ夫の留守 | 菜々 |
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2016年07月21日 | |
自動ドア開けばどつと蝉時雨 | こすもす |
急磴をのぼりて茅の輪くぐりけり | さつき |
平安な暮らしを謝して梅を干す | うつぎ |
梅を干す恙なき日々感謝して | 菜々 |
幼らは足をぶらぶら氷菓食ぶ | さつき |
髪結へば紅もねだらる夏祭 | まゆ |
紫陽花が棚田の畦をつづりけり | なおこ |
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2016年07月20日 | |
まなかひに青嶺眼下に千枚田 | なおこ |
ネクタイと無縁となりて夕端居 | たか子 |
通夜帰り赤く滲みし夏の月 | 菜々 |
引ききって広き干潟や雲の峰 | よし女 |
通ひ路のごと渓過ぎる夏の蝶 | まゆ |
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2016年07月19日 | |
山巓に被づく白雲梅雨あくる | 菜々 |
展望閣涼しと屯吟行子 | ひかり |
堰落つる水の白さよ川涼し | まゆ |
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2016年07月18日 | |
蜘蛛の囲のがんじがらみやけもの道 | 智恵子 |
ベランダの風心地よし梅雨明くる | こすもす |
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2016年07月17日 | |
蝉しぐれ激つ瀬音をつつみけり | さつき |
若き日の母のこと聞く夕端居 | よし女 |
夏帽子余生といへど予定多々 | 宏虎 |
蝉しぐれ小休止せる亭午かな | せいじ |
難しい曲に渋滞踊りの輪 | 明日香 |
チェーンソーの音に負けじと蝉しぐれ | 満天 |
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2016年07月16日 | |
大岩を踏んまへてふる鮎の竿 | 明日香 |
浜焼きに先ずは乾杯ビール乾す | 智恵子 |
愛犬のいびきかきゐる端居かな | 豆狸 |
カフェ混む夕立宿りの客とみし | たか子 |
片言の会話する子と夕端居 | なつき |
風鈴の舌巻き上がる暑さかな | ともえ |
2016年07月15日 | |
峰雲へコンビナートは煙上ぐ | 菜々 |
蟇の声千年杉の隠り沼に | 治男 |
のけぞりし姿のままに蝉の殻 | せいじ |
本堂の高き飛簷や朴の花 | 豆狸 |
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2016年07月14日 | |
浜木綿や沖へま向きし遭難碑 | 宏虎 |
雨晴れて唸りはじめし草刈機 | 三刀 |
湘南の風切りヨット上機嫌 | 智恵子 |
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2016年07月13日 | |
廃線の隧道ふかき五月闇 | 明日香 |
岩に彫る田の神さあへ青田風 | なつき |
ベランダに空仰ぎては梅雨籠 | 満天 |
梅花藻のつぼみは星のごと揺るる | なつき |
巣作りに精だす蜘蛛をみて飽かず | ひかり |
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2016年07月12日 | |
嘴の疵のこる完熟トマトかな | よう子 |
陋巷の家並みに傾ぐ夏日影 | まゆ |
欄干に横並びせるとんぼかな | ぽんこ |
雨やんだぞと老鶯の朗々と | せいじ |
高塀を越して万朶の百日紅 | ひかり |
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2016年07月11日 | |
高枝に眼見開く青葉梟 | なおこ |
喬木を見上ぐる杜の風涼し | まゆ |
一幅は一筆富士や夏座敷 | よし女 |
時鳥嶺々に谺す古刹かな | 隆松 |
蟻の道まさか我家の砂糖壺 | 菜々 |
吊橋の奈落より風汗ひきぬ | なつき |
朝顔の鉢抱き下校一年生 | ひかり |
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2016年07月10日 | |
汗引きぬ氷室めきたる玄室に | うつぎ |
たたみもつ日傘に籠る熱気かな | たか子 |
ベランダに水打つて風呼びにけり | こすもす |
老鶯やグリーンチャペルの外の四方に | せいじ |
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2016年07月09日 | |
威勢よく鰻を焼くは三代目 | さつき |
蜻蛉生れ水草に脱ぎし皮ひかる | なつき |
大鳥居茅の輪と潜り本殿へ | なおこ |
しもたやの文字の褪せたる麻のれん | 豆狸 |
2016年07月08日 | |
好き嫌ひ似てきし夫婦冷奴 | 宏虎 |
水蜜桃赤子を洗ふごと洗ふ | たか子 |
顔見られたくなく日傘傾けぬ | なおこ |
呼ばないで今素麺の茹であがる | たか子 |
階なせる岩は常濡れ滝の道 | さつき |
地蔵堂手を合はせれば蝉時雨 | こすもす |
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2016年07月07日 | |
寺涼し風の間遠に鐘ひびく | こすもす |
経誦する声の間遠に蓮開く | 豆狸 |
閼伽桶に溺るる蜂を如何にせむ | 明日香 |
万緑に映ゆる国宝社殿の朱 | 菜々 |
激つ瀬のしぶきに紛れ夏の蝶 | さつき |
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2016年07月06日 | |
通り雨スカイツリーに虹かかる | 智恵子 |
素振りする野球少年雲の峰 | 満天 |
夏痩せて看取りの愚痴はこぼすまじ | たか子 |
工事場の梅天支ふクレーン車 | ぽんこ |
ジョギングを終へてから噴く玉の汗 | なおこ |
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2016年07月05日 | |
葉柳の風を双手に太極拳 | 満天 |
間違えて暖房にして汗滂沱 | 明日香 |
本当の色はと外すサングラス | たか子 |
風を呼ぶ路地の打水先斗町 | 満天 |
御手洗におぼれし蟻に助け指 | ぽんこ |
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2016年07月04日 | |
ジェット機の機首を立てたる夏の空 | ひかり |
トンネルを出て展けたる青田かな | まゆ |
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2016年07月03日 | |
泥つけしまま空蝉となりにけり | こすもす |
白南風に嬰の干し物泳ぐ竿 | 有香 |
赤子抱く力士の胸に玉の汗 | なつき |
夏霧の牧場に動く影法師 | 智恵子 |
梅雨湿りしたる積ん読な咎めそ | まゆ |
大らかに風をいなして蓮浄土 | さつき |
目つぶしの西日に覚むる車窓かな | ぽんこ |
月光にくさぐさ濡るる里路かな | ともえ |
立錐の余地なく濠を埋む蓮 | さつき |
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2016年07月02日 | |
梅雨吟行おしやれ長靴褒めあひぬ | なおこ |
野良猫の数尾先客樹下涼し | さつき |
鏡なす代田に映る藁家かな | まゆ |
顔の上にヘルメットのせ三尺寝 | たか子 |
祭触れ貼る社家町の辻辻に | 豆狸 |
城濠の蓮の百態見て飽かず | さつき |
2016年07月01日 | |
青葉風おしやべり弾むカフェテラス | 菜々 |
青嵐天誅組の墓ここに | 菜々 |
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2016年06月30日 | |
切り株のうろに鎮座す青蛙 | 豆狸 |
木道にうづくまり見る花菖蒲 | なおこ |
マンションのベランダ越し凌霄花 | 明日香 |
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2016年06月29日 | |
うち屈み働く蟻を観察す | ぽんこ |
図書室の日覆捲けば咎められ | せいじ |
梅雨の檻抜け羽ひきずる孔雀かな | さつき |
あるだけの湯桶を並べ日向水 | まゆ |
野仏の侍者然と座す青蛙 | 豆狸 |
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2016年06月28日 | |
西日さす体育館の高窓に | 智恵子 |
梅雨憂しやダイヤ無茶苦茶ローカル線 | まゆ |
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2016年06月27日 | |
うち仰ぐ塀へ挿頭して凌霄花 | 菜々 |
新じゃがのつるりと皮のむけにけり | 明日香 |
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2016年06月26日 | |
マッサージ機を頼みとす梅雨籠 | あさこ |
緑陰の人垣南京玉すだれ | よし女 |
緑陰に車座となりストレッチ | さつき |
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2016年06月25日 | |
大草原滑空のごと夏燕 | 三刀 |