みのる選:2016年3月度
2016年03月25日 | |
早蕨の拳を翳すなぞへかな | ともえ |
おしげなく黒髪切って卒業す | よう子 |
遠足のしんがりにつく神の鹿 | うつぎ |
|
2016年03月24日 | |
飛行船空に浮かべて山笑ふ | 豆狸 |
古町のうだつをかすめ燕来る | 菜々 |
方丈の広縁借りて春惜しむ | 菜々 |
手掴みにあさりを量り売りにけり | 満天 |
|
2016年03月23日 | |
咫尺なる初音に鍬を休めけり | よし女 |
庭手入れこんなところに名草の芽 | 明日香 |
デッサンのモデル蛙の目借時 | よう子 |
|
2016年03月22日 | |
法要のメモ吹き飛ばす春疾風 | なつき |
ビルの上眉の如くに春の雲 | 治男 |
末広に水尾広げ行く夫婦鴨 | 豆狸 |
|
2016年03月21日 | |
初蝶や海を見下ろす遥拝所 | さつき |
仰ぎ見る吾にウインク春の星 | 菜々 |
里人の訛りも親し花大根 | よし女 |
|
2016年03月20日 | |
うらがへる法螺の笛の音彼岸寒 | なつき |
山寺にひびく瀬音や梅日和 | 有香 |
青空へ高梯子かけ剪定す | 宏虎 |
|
2016年03月19日 | |
真つ先に芽吹き初めたる枝の先 | 満天 |
書淫の眼窓に見やれば春の雨 | 宏虎 |
風光る中霊柩車見送りぬ | 三刀 |
春天へ三門の簷反りにそる | 菜々 |
2016年03月18日 | |
山笑ふ大吊橋の揺れに揺れ | 有香 |
深山道明るうしたる山桜 | ともえ |
摩仁車止まる間のなき彼岸寺 | 宏虎 |
学び舎の別れの窓に燕来る | 智恵子 |
|
2016年03月17日 | |
堰落つる水音も春や里山路 | 明日香 |
花街の路地をよこぎるうかれ猫 | なつき |
力士宿干せるまわしに春日燦 | こすもす |
春の月ベールのような暈かぶり | 菜々 |
|
2016年03月16日 | |
日溜りに背伸びしてをる蕗の薹 | 豆狸 |
手庇しにミモザ見上げる空ま青 | よう子 |
鈴なりのひょうたん絵馬に風光る | よし女 |
せせらぎの奏づに沿ひて梅探る | 満天 |
|
2016年03月15日 | |
ま白なる馬柵に沿ひゆく園児帽 | さつき |
車窓なる指呼の山巓春の雪 | 満天 |
群れ千鳥点描なせる大干潟 | 三刀 |
|
2016年03月14日 | |
漕ぎ出せる十石舟に風光る | 菜々 |
窯煙ひとすじ立ちて山笑ふ | 菜々 |
対岸の浮島めきし春霞 | せいじ |
扁額の裏に鳥の巣札所寺 | なつき |
|
2016年03月13日 | |
夕映えの駅舎の屋根へ初つばめ | なつき |
春愁や芯折れやすきシャープペン | 豆狸 |
|
2016年03月12日 | |
匕首の月いよいよ反りて冴え返る | ひかり |
母の手をぎゅっと握りて入学児 | 智恵子 |
白駒のひづめが刎ねる春の泥 | とろうち |
2016年03月11日 | |
制服のはち切れさうや卒業子 | 満天 |
野路うらら万葉歌碑を巡りけり | 明日香 |
黙祷のサイレン消えて春寒し | とろうち |
黙祷で始まる会議黄水仙 | こすもす |
|
2016年03月10日 | |
空見上ぐ仔牛に牧の風光る | なつき |
枝揺れて囀りを降りこぼしけり | ともえ |
犬ふぐり雨粒溜めて光けり | 満天 |
|
2016年03月09日 | |
春光を浴びて慈顔の羅漢かな | 豆狸 |
日差しいま黄色を極む福寿草 | とろうち |
春霖にモノトーンなるオフィス街 | 菜々 |
老幹に苔を鎧ひて梅真白 | なつき |
|
2016年03月08日 | |
鎖樋落つ雨音も早春譜 | とろうち |
ふるさとの自慢の味噌や蜆汁 | 菜々 |
春潮に溺るるごときかくれ礁 | よう子 |
古井戸にまつはる悲話や梅真白 | 豆狸 |
赤信号待つてゐる間の初音かな | こすもす |
泡吐いて蜆つぶやく夜の厨 | 菜々 |
|
2016年03月07日 | |
芽吹きそむ木々芳しと鳥語ふる | ひかり |
日の綺羅を放つなぞへの犬ふぐり | 三刀 |
うららかや品評会の犬あくび | よし女 |
蜆汁飲んで晩酌了とせん | よう子 |
|
2016年03月06日 | |
さざ波に見え隠れする蘆の角 | 宏虎 |
飛騨川の中州に残る春の雪 | ともえ |
自転車を土手に寝かせて土筆摘む | さつき |
しんがりへ声の飛びたる探梅行 | 豆狸 |
山里の迅き水辺に蕗の薹 | とろうち |
馥郁と梅が香満つる日和かな | ぽんこ |
|
2016年03月05日 | |
春空に一筆書きの飛行雲 | 豆狸 |
紅白の梅の遅速に園巡る | さつき |
眼鏡拭くわが白息を吹きかけて | よし女 |
2016年03月04日 | |
出不精の夫を連れ出す梅日和 | ぽんこ |
鰈干しつつ後ろ手に蝿叩 | こすもす |
手庇に仰ぐ蒼天揚雲雀 | 宏虎 |
若布刈舟散らばる沖を行く巨船 | なつき |
|
2016年03月03日 | |
ハイヒール脱ぎ捨て土手の青き踏む | さつき |
存問の一筆添へて若布が届く | 満天 |
花桃の土手に広げて手まりずし | 智恵子 |
春塵や仁王の太きあばら骨 | ぽんこ |
|
2016年03月02日 | |
神木にハグする女子や春うらら | よし女 |
蒼天に溶け入りさうな辛夷の芽 | ひかり |
風を得て上機嫌なる武者のぼり | 智恵子 |
|
2016年03月01日 | |
春愁や診察待ちの椅子足らず | 三刀 |
水うらら幼の投げし石礫 | よう子 |
川面はや一閃二閃初燕 | 宏虎 |
|
2016年02月29日 | |
春日影をどる手水の水底に | ひかり |
水音の奏づがごとき花菜径 | よし女 |
ありがたや畳廊下の春火鉢 | よう子 |
浜風に乗りていかなご炊くにほひ | 宏虎 |
|
2016年02月28日 | |
大鳥居潜る人波四温晴れ | 満天 |
踏青や百円野菜買ひもして | 有香 |
|
2016年02月27日 | |
遣水に撫でられ揺るる菖蒲の芽 | 菜々 |
焼芋の笛がわたしを呼んでゐる | よし女 |
探梅といふは口実おしゃべり行 | よう子 |
春風や焼きたてパンを売る匂ひ | 満天 |
翠黛のはんなりとして春きざす | 明日香 |
足弱の杖ともなりて梅探る | こすもす |