みのる選:2015年10月度
2015年10月23日 | |
せせらぎの底に五彩の散紅葉 | ぽんこ |
竜胆の蕾ほぐるる日差しかな | さつき |
なみなみとつがれし猪口に十三夜 | 宏虎 |
遠干潟綺羅と見えしは千鳥かな | よし女 |
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2015年10月22日 | |
点滴の犬を見守る夜長かな | よう子 |
磐座の注連縄ゆるび神の留守 | 菜々 |
朱の鳥居潜りて宮の秋を聞く | 宏虎 |
祇王寺の燃ゆる紅葉に夫偲ぶ | 智恵子 |
身に沁むや廃校跡に金次郎 | 花茗荷 |
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2015年10月21日 | |
鳥語洩る森のベンチを一人占め | 智恵子 |
歳時記を座右としたる秋灯下 | 宏虎 |
石蕗日和寺にリフォーム着物展 | なつき |
殉教の地に降り立てば残る虫 | さつき |
叢林は立ち入り禁止小鳥来る | ひかり |
日向ぼこ百面相の吾子飽きず | 有香 |
水神の清きせせらぎ小鳥来る | 菜々 |
修験場の鎖どころや照紅葉 | 治男 |
人気無き陸軍墓地や小鳥来る | ぽんこ |
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2015年10月20日 | |
どんぐりの杜にまろびて力石 | 菜々 |
野葡萄のグラデーションに色づきぬ | さつき |
陋屋に火を放たんと蔦紅葉 | かず |
鳥渡る火の見櫓の遺る村 | うつぎ |
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2015年10月19日 | |
磯千鳥テトラポットに遊びをり | かず |
土つきの鳴門みやげの藷もらふ | 菜々 |
鎮座なすわらべ地蔵に木の実降る | 智恵子 |
左頬なれば秋蚊に食はれもす | 明日香 |
蜑の路地ここも木犀匂ひけり | なつき |
改札を出し駅頭に菊人形 | 満天 |
梵鐘に暮れ行く空や秋惜しむ | 宏虎 |
秋澄める灘や遥かに神の島 | さつき |
水うまき筑後自慢の荒走り | 豆狸 |
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2015年10月18日 | |
朝市をうろうろ旅の秋惜しむ | こすもす |
秋日落つ窓という窓くれないに | 明日香 |
碧潭の湖を縁どる草紅葉 | 三刀 |
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2015年10月17日 | |
病む友もすこし頬そむ菊の酒 | 豆狸 |
新米の旗林立す道の駅 | ぽんこ |
木に凭れ憩ふがごとき捨案山子 | うつぎ |
噴煙のいよいよ高く秋澄める | さつき |
2015年10月16日 | |
千仞の溪の奈落に紅葉燃ゆ | 宏虎 |
沢またぎ倒木またぎ茸採り | なつき |
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2015年10月15日 | |
コスモスの迷路辿れば力石 | こすもす |
畦川に激ち高鳴る落し水 | 泰山 |
戦国の武者勢揃ひ菊人形 | 宏虎 |
黒汐の沖をはるかに雁渡る | 智恵子 |
老母の背中さすりて日向ぼこ | さつき |
奥山の野菊の径を湯治場へ | 智恵子 |
大方は猫の破りし障子貼る | 豆狸 |
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2015年10月14日 | |
能登瓦光る軒先柿すだれ | なつき |
橋いくつ渡りなにわの秋惜しむ | 菜々 |
断崖に落つこちさうや新松子 | 泰山 |
累々と折れ重なりて蓮枯るる | さつき |
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2015年10月13日 | |
身に入むや目鼻の欠けし石仏 | 宏虎 |
渓流のほとりを綴る草紅葉 | 智恵子 |
神にます山に一礼きのこ狩り | 智恵子 |
秋灯下切り絵に心通ひけり | 泰山 |
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2015年10月12日 | |
独り身のほ句に親しむ夜長かな | 智恵子 |
毬栗にたたらを踏みし山路かな | 豆狸 |
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2015年10月11日 | |
松手入れして蒼天の開けたり | ともえ |
幼子の口に余りし葡萄かな | 智恵子 |
露天湯へしぐるる径を下りけり | はく子 |
露草の一叢だけを刈り残す | かず |
はく製の熊仁王立つ紅葉宿 | なつき |
入船の水脈煌めける秋の晴 | よう子 |
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2015年10月10日 | |
柴栗の弾ける音やトタン屋根 | よし女 |
鵙猛るメタセコイヤの天辺に | さつき |
りんどうを生けて卆寿の母祝ふ | 智恵子 |
路地曲がり釣瓶落としの日をまとも | 満天 |
秋を聞く千年杉をうち仰ぎ | 宏虎 |
裏山の夕べはまこと虫浄土 | 三刀 |
熟柿食む盗つと鳥憎みけり | 豆狸 |
2015年10月9日 | |
紅葉渓へと迫り出せるカフェテラス | 菜々 |
電柵に触れてはならじ栗拾ふ | うつぎ |
夫のもぐ柿をタモ網伸ばし受く | よし女 |
登高のわれを誘ふ鳶の笛 | 治男 |
彩窓の聖母子像へ紅葉照る | 菜々 |
短冊のホ句諾ひつ萩愛でる | ひかり |
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2015年10月08日 | |
木犀の香に誘はれて庭に立つ | あさこ |
句座和む沢に摘みきし草の花 | 満天 |
うららかや自転車籠に犬眠る | よし女 |
炉辺に酌む熊の毛皮に胡座かき | なつき |
鯛焼きを食ぶ私らは尻尾から | ともえ |
接岸のフェリーにしぶく秋の潮 | よう子 |
玉の陽の紅葉明かりや夢舞台 | 智恵子 |
水鏡の朱き吊り橋秋澄める | さつき |
山荘のテラスの足下紅葉濃し | 菜々 |
落暉いましかめつ面の案山子翁 | さつき |
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2015年10月07日 | |
蒼天へ切り立つ嶺を鳥渡る | 宏虎 |
秋風に絡みどほしや恋の絵馬 | なつき |
日向ぼこ影絵にじやるる子猫かな | 智恵子 |
ウォーキングの影は脚長秋入日 | こすもす |
石庭の箒目乱す野分かな | 豆狸 |
まなかひに富士見ゆ軒端柿吊るす | 智恵子 |
草の花もちよりて活く里の句座 | かず |
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2015年10月06日 | |
大甕へ婆娑と投げ入れ秋桜 | 明日香 |
東雲の空一面にうろこ雲 | 智恵子 |
紫蘇の実をしごけば畑の匂ひ立つ | よし女 |
禅寺の枯山水に色鳥来 | 豆狸 |
投句箱溢るるほどや小鳥来る | 宏虎 |
椅子の背に凭れわたしは秋の人 | 菜々 |
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2015年10月05日 | |
秋天へ切っ先立てし奇岩かな | かず |
磯菊の左右に雪崩るる切通し | 智恵子 |
城濠に相打ち倒れ枯蓮 | ともえ |
朝顔のおちよぼにすぼむ日暮れ時 | 智恵子 |
零点の句会帰りの秋思かな | なつき |
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2015年10月04日 | |
図書館の窓辺に釣瓶落としの日 | さつき |
通過する電車にゆるる秋桜 | 豆狸 |
爽やかや靴といふ靴磨きあげ | 菜々 |
走り根に跳ねあらぬ辺へ木の実落つ | ぽんこ |
結界のロープに止まる赤とんぼ | 明日香 |
沈みさうなる山盛りの蓮根舟 | かず |
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2015年10月03日 | |
愛犬と肩並べ見る良夜かな | さつき |
酢橘もぐ指刺す棘にひるみつつ | 菜々 |
太極拳スローモーション秋天下 | 有香 |
秋澄みて石山の石なほ白し | かず |
秋晴れや杖を供とす足軽し | あさこ |
花頭窓打ちては萩の揺れやまず | 智恵子 |
2015年10月02日 | |
庭景色一変したる松手入 | あさこ |
首塚のそびらの山に鵙猛る | 宏虎 |
曲り家の縁に渋柿山と積む | 智恵子 |
十五夜の芒を肩に戻りけり | さつき |
嫁入りの列につきゆく祭の子 | なつき |
向日葵の畑に子らの隠れんぼ | 智恵子 |
野良猫がぬっと顔出す萩葎 | 豆狸 |
満天の星へ合唱庭の虫 | 菜々 |
爽やかや手話の会話の笑みもまた | 宏虎 |
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2015年10月01日 | |
神木の高きをさして蔦紅葉 | 豆狸 |
白砂掃く禰宜の箒の爽やかに | よう子 |
狛犬の吽と咥へし枯葉かな | 明日香 |
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2015年09月30日 | |
爽涼やふふみて甘し神の水 | 菜々 |
石庭の日当たるところ薄紅葉 | さつき |
二上山の裾に高鳴る落し水 | ひかり |
身に入むや慰霊碑に侍す力石 | 明日香 |
畦川の堤を埋む曼珠沙華 | 泰山 |
霊石にこぼるる萩の白さかな | なつき |
力石三つ並んでひなたぼこ | 菜々 |
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2015年09月28日 | |
写経場の静けさ破り鵙高音 | 宏虎 |
秋の蚊を払ひつつ撫づ力石 | 明日香 |
コスモスに園児らの列渋滞す | さつき |
ほろ酔いの足を止めたる良夜かな | ぽんこ |
漁り火に躍る鵜匠の影法師 | 智恵子 |
堰にさしかかりし瀞の水澄める | うつぎ |
石庭の鶴亀石に風さやか | ひかり |
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2015年09月27日 | |
石燈籠無月の庭に点りけり | 菜々 |
大漁旗はためく島の運動会 | さつき |
新米の香りを放つむすびかな | 宏虎 |
神鏡も斯くやと仰ぐ今日の月 | うつぎ |
新米の幟にぎはふ道の駅 | 智恵子 |
波皺のたたみにたたむ良夜かな | 三刀 |
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2015年09月26日 | |
禅寺の白壁に沿ふ曼珠沙華 | ひかり |
曼珠沙華棚田の畦の条理かな | うつぎ |
秋愁の人差し指で弾くピアノ | 豆狸 |
剃り上げて天辺むすぶ祭り髪 | なつき |