みのる選:2015年3月度
2015年03月27日 | |
鼻めがね落つるに任せ春眠し | 菜々 |
梅の丘友禅流しさながらに | 明日香 |
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2015年03月26日 | |
中洲へと犬も渡りぬ潮干狩 | 治男 |
蓮植うる広き寺領の一隅に | ひかり |
あたたかや盲導犬の優しき目 | さつき |
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2015年03月25日 | |
模様替されて春待つ花時計 | 菜々 |
牛の舌柵より伸びてはこべ食ぶ | なつき |
畑打てば風が鳥語を運びくる | 司郎 |
春寒のヘルスセンター混み合へる | 満天 |
鐘一打間遠に響く朧かな | 有香 |
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2015年03月24日 | |
誤字多き孫のお手紙春うらら | 泰山 |
春夕焼さして塒へ鴉どち | 三刀 |
庭園の新郎新婦に花吹雪 | さつき |
春愁の散歩野川の尽きるまで | 雅流 |
峡晴れて真澄の空や花辛夷 | ひかり |
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2015年03月23日 | |
天帝へ玉杯翳す白木蓮 | 菜々 |
道長閑ただいま牛の横断中 | さつき |
山道の雪間雪間を辿りけり | こすもす |
足弱を克服せむと青き踏む | 雅流 |
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2015年03月22日 | |
あたたかや手のひらに添ふ楽茶碗 | 満天 |
丸太橋濡らして逸る山葵沢 | さつき |
傾くは震禍の墓碑か落椿 | ぽんこ |
うぐひすにお隣さんの窓も開く | 菜々 |
白梅のいよいよ白し夕まぐれ | かず |
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2015年03月21日 | |
ざんばら髪ふるごと風の雪柳 | ぽんこ |
庭いじりして春愁を慰めむ | 明日香 |
池うらら亀の甲羅の泥乾く | 満天 |
2015年03月20日 | |
古墳へのなぞへの土筆摘みにけり | さつき |
花嫁のベールに似たる春の雲 | よし女 |
長堤を綴りて風の雪柳 | ひかり |
啓蟄の大地に広ぐ設計図 | さつき |
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2015年03月19日 | |
ひばり野に車座となる昼餉かな | 豆狸 |
糶声の一と際高し桜鯛 | よし女 |
囀りの天洩るがごとき一樹あり | 有香 |
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2015年03月18日 | |
摘んできし土筆に土手の日の温み | かず |
春光を弾くビニールハウスかな | 豆狸 |
菖蒲の芽風いなしゐる汀かな | 宏虎 |
椿落つ青竹編みし井戸蓋に | 雅流 |
曲水へ穂先触れもす花あしび | 菜々 |
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2015年03月17日 | |
梅白し少年兵の眠る墓 | なつき |
茫茫として遠嶺の春霞 | 菜々 |
啓蟄や道路工事の騒がしき | あさこ |
泥沼を足で探りつ蓮を植う | ぽんこ |
ぼた山の抽ん出て見ゆ花菜畑 | さつき |
うららかや荒神坂に昔菓子 | うつぎ |
一山を覆ひ尽くして梅盛る | 明日香 |
もみ殻を貫き芽吹く名草の芽 | ともえ |
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2015年03月16日 | |
葦の角縫ひゆく鯉の大き影 | はく子 |
雁行に伸びる木道風光る | 菜々 |
参道の洩れ日に燃ゆる牡丹の芽 | ひかり |
うち屈み庭のものの芽存問す | 明日香 |
茹で若芽白磁の皿に盛り付ける | 満天 |
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2015年03月15日 | |
掌でなでてはもの芽励ましぬ | うつぎ |
一穢なき空に春愁晴れにけり | かず |
春水に軋む水車の音高く | 司郎 |
買うつもりなき植木市見て歩く | 豆狸 |
つんつんと州浜突き出づ菖蒲の芽 | 菜々 |
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2015年03月14日 | |
春潮に立ちし三角旗は何 | さつき |
一瞬にしてさみどりさや若芽湯づ | はく子 |
句作りはしばし中断土筆摘む | なつき |
梅探る海へ坂なす山路かな | 豆狸 |
きらきらと葉を翻す新樹風 | 三刀 |
2015年03月13日 | |
急磴を一歩一歩や老遍路 | ぽんこ |
観覧車廻るともなく遠霞 | さつき |
池渡る風に柳の芽吹き急 | 菜々 |
川幅を狭めてミモザなだれ咲く | 有香 |
雪解いま峡に高鳴る瀬音かな | 司郎 |
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2015年03月12日 | |
雛巡る舟板塀の古町に | うつぎ |
春嵐張りつく暖簾くぐりけり | さつき |
枡形を勢ひ余る雪解水 | なつき |
白波に紛れ乱舞す百合鴎 | さつき |
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2015年03月11日 | |
梅を撮る夫に付き合ひ吟行す | ひかり |
春暁に白面の富士現れにけり | 明日香 |
苔寺の門守めきし濃紅梅 | さつき |
雛明り洩る豪商の蔵屋敷 | うつぎ |
残り鴨まばらとなりて湖広し | ともえ |
なぞり誦す相聞歌碑へ春の雪 | 菜々 |
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2015年03月10日 | |
風花の逆舞ふ道を帰りけり | あさこ |
梅林に人垣なすは野菜市 | なつき |
じゃれあひて下校の児らの日永かな | さつき |
古井戸の辺りにここだ落椿 | 雅流 |
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2015年03月09日 | |
風にほほ撫でられ下る梅の坂 | なつき |
遠足の子ら口々に草の名を | かず |
啓蟄や古都の大路に人溢れ | ひかり |
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2015年03月08日 | |
陽炎のなかより電車近づき来 | 宏虎 |
マッチ箱ほどの御殿に豆雛 | さつき |
茶屋街の坂ゆるやかに春の雨 | なつき |
鴨の水尾末広がりに進みけり | 泰山 |
春堤二人で車椅子散歩 | はく子 |
雛の灯の洩るるステンドグラスかな | ともえ |
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2015年03月07日 | |
先生の笛に散らばる遠足子 | かず |
梅の宮文字いきいきと御礼絵馬 | なつき |
昼点す商家の奥の雛の間 | 雅流 |
啓蟄の大地を撫でて風通ふ | かず |
踏青やスキップ踏めば鼻唄も | 豆狸 |
2015年03月06日 | |
啓蟄の園に三三五五の人 | かず |
庭愛づる吾に借景の山笑ふ | なつき |
小流れにもまるる陽ざしあたたかし | かず |
里のバス降りるやいなや初音聞く | さつき |
さみどりの藻草打ち上ぐ白砂浜 | よし女 |
啓蟄や電動車椅子届く | はく子 |
初音よとお喋り止めて耳すます | 明日香 |
ひとつかみ拾ひし若布家苞に | さつき |
白梅の地に触るるほど枝垂れけり | 豆狸 |
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2015年03月05日 | |
残照の稜線越えて鳥渡る | 泰山 |
旅心くすぐるチラシ春うらら | かず |
日の照れば唄ふがごとき芽吹き山 | 雅流 |
山道に尻もちついて蓬摘む | あさこ |
破れ築地傾ぎしままや竹の秋 | うつぎ |
小流れを堰て嵩なす落椿 | 豆狸 |
蜘蛛の糸顔にまつはる山路かな | 泰山 |
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2015年03月04日 | |
潮引けばあおさに染まる河口かな | あさこ |
椿落つ深き入り江に十字墓 | 菜々 |
白魚のざるを覗けば黒目のみ | ともえ |
碧眼と会釈を交はす梅の園 | ぽんこ |
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2015年03月03日 | |
海苔炙る手際や母の手巻寿司 | 泰山 |
正客は卒寿の母やひな祭 | 豆狸 |
いかなご船吃水深く戻りけり | 宏虎 |
聖堂のドア押し戻す春嵐 | 泰山 |
身ぎれいに老ゆなんと雛納めけり | よし女 |
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2015年03月02日 | |
昨夜雨を溜めし木の芽に朝日燦 | 満天 |
黒潮の海へと落つる椿かな | 菜々 |
春禽の声を背に受け畑仕事 | 三刀 |
紙雛折り独り居を慰めむ | かず |
潜く尻我もわれもと春の鴨 | ぽんこ |
憂ひなき汝れの面輪よ古雛 | あさこ |
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2015年03月01日 | |
神木の根方にここだ犬ふぐり | 豆狸 |
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2015年02月28日 | |
国生みの島を指呼とす梅の山 | かず |
チューリップ背比べする日差しかな | さつき |
春の風切って堤を一走り | こすもす |
父と子のキャッチボールや春堤 | 満天 |
山一つ真白となりし梅見かな | 豆狸 |
春の鳶碧天に輪を重ね合ひ | よし女 |
2015年02月27日 | |
地蔵在す千年欅洞温し | うつぎ |
高枝を飛び移りつつ囀れる | さつき |
番犬の寝ぼけ眼や春うらら | さつき |
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2015年02月26日 | |
手話なれど表情豊かあたたかし | 明日香 |
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2015年02月25日 | |
車椅子降りて十歩の青き踏む | はく子 |
畦に腰おろし憩ふや犬ふぐり | 三刀 |
湧水の疎水たばしる里の春 | よう子 |
春眠や終点告げるアナウンス | さつき |
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2015年02月24日 | |
洗濯物叩き取り込む黄砂かな | あさこ |
床の春唐の名墨眼福に | 菜々 |
手をかざすパワースポット伊勢詣 | なつき |
萌え初めし蓬匂ふと手から手へ | うつぎ |
おちこちに野焼きの煙谷戸動く | よう子 |
歩こう会到達地点は梅の丘 | はく子 |
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2015年02月23日 | |
関節のゆるぶ気のする四温かな | 明日香 |
おみ足に老婆のすがる寝釈迦かな | 明日香 |
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2015年02月22日 | |
為人惜しまれ葬儀温かし | せいじ |
恋猫の声アルトからテノールへ | 満天 |
立ち話尽きることなく路地日永 | さつき |
小流れに渡す丸太や犬ふぐり | 豆狸 |
茎立ちのひと畝残る麓田かな | 明日香 |
御廟所の扉の開かれて囀れる | なつき |
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2015年02月21日 | |
喜びが降ってくるやう春日燦 | 明日香 |
切干の真向き背きに乾きけり | よし女 |
ゼッケンをつけて園児ら野に遊ぶ | さつき |
囀りや世界遺産の森めぐる | せいじ |