みのる選:2014年12月度
2014年12月26日 | |
高舞ひて木の葉は宙にホバリング | せいじ |
退院の夫を聖菓でお祝す | はく子 |
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2014年12月25日 | |
病室の友と祈りし聖夜かな | せいじ |
賀状書く師にほめられし一句添え | かず |
参道に湯気を広げておでん売る | 菜々 |
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2014年12月24日 | |
幼子と柚子を数へし冬至風呂 | せいじ |
駅広の巨大聖樹を仰ぎ見る | せいじ |
おほかたは鹿に荒さる大根引く | 雅流 |
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2014年12月23日 | |
黒豆を選りつつ縁に日向ぼこ | 明日香 |
ほろ酔ひて家路を急ぐ手に聖菓 | 菜々 |
満ち潮に影重ね合ふ夕千鳥 | よし女 |
大冬木運動場に長き影 | さつき |
菜箸を新しくして年迎ふ | 明日香 |
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2014年12月22日 | |
掌に柚子転ばせる終い風呂 | ぽんこ |
凩や固まってゐるドアボーイ | うつぎ |
寒星や余命を生きる夫とゐる | みちほ |
三年経つ子の命日や風花す | あさこ |
亡き母のメモが頼みや年用意 | 明日香 |
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2014年12月21日 | |
白鳥の一羽飛びゆく空青し | みちほ |
炭窯の火伏せの護符の新たなり | 雅流 |
工事場の塀も電飾クリスマス | さつき |
ちゃんちゃんこ鯣を炙り一人酌む | 雅流 |
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2014年12月20日 | |
一駅で景色一変雪野原 | こすもす |
寒禽の鋭声真田の古戦場 | ひかり |
雪を掻く使い込まれし竹箒 | よう子 |
ジャンボ籤買ふ吾を笑ふ寒鴉 | 治男 |
2014年12月19日 | |
水仙の一番咲きを仏前に | うつぎ |
靴跡を頼みに歩く雪の道 | みちほ |
蓮の骨抱きてゐねむる泥田かな | かず |
五山みな火床抱へて眠りけり | はく子 |
冬ざるる寺の一隅翁の碑 | ぽんこ |
焼牡蠣の食べ頃と泡ふきにけり | ともえ |
箸袋手作りもして年用意 | つくし |
地ふぶきの高舞ふ音に目覚めけり | みちほ |
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2014年12月18日 | |
冬空へ万の玉振る金鈴子 | 菜々 |
しぐるるや肩寄せ合へる無縁墓 | はく子 |
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2014年12月17日 | |
雪まんじゅう両手包に登校児 | よし女 |
着ぶくれてゐてもお洒落をな忘れそ | 明日香 |
凍空を睨みし鋭目や義士の像 | 有香 |
纏ひたる雪振り落とす実南天 | 三刀 |
救世菩薩お在す御堂の温かし | つくし |
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2014年12月16日 | |
炬燵部屋乱帙なるをな咎めそ | 宏虎 |
雨寒し芭蕉の墓に供花もなく | 菜々 |
足場組み極楽門も煤払ひ | はく子 |
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2014年12月15日 | |
隠沼の水際に立ちて冬木凛 | 雅流 |
冬日燦障子を過ぎる鳥の影 | 宏虎 |
古墳へと先の細りし落葉道 | なつき |
懐手押さねば開かぬ自動ドア | 満天 |
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2014年12月14日 | |
長靴に泥付けしまま大根売る | よう子 |
病む夫に小さき聖樹を灯しけり | はく子 |
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2014年12月13日 | |
火おこしの煙にむせぶ雪の朝 | みちほ |
井戸水のぬくしと大根洗ひけり | 雅流 |
華やぐや愛染坂へ時雨傘 | 菜々 |
2014年12月12日 | |
花柄の好みを選りて日記買ふ | 満天 |
冬帽を叩き香煙しみこます | なつき |
煤払ふ巫女は緋袴青袴 | 三刀 |
息災の余生を感謝冬銀河 | 宏虎 |
おでん屋の鍋蓋とればわっと湯気 | ともえ |
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2014年12月11日 | |
冬籠郵便受けを覗くだけ | あさこ |
名匠の目視確かや紙を漉く | かかし |
着膨れてシートベルトに押さへられ | つくし |
ありがたきご講話聴くも隙間風 | 宏虎 |
しぐるるや翁反古塚訪へば | 菜々 |
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2014年12月10日 | |
冬帽子おしゃれに被る好々爺 | よう子 |
吾が庭は猫の通ひ路漱石忌 | 治男 |
ゆりかもめ音符にとまる斜張橋 | 菜々 |
跡継ぎの覚悟の鋭目や紙を漉く | かかし |
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2014年12月09日 | |
キッチンに居間にメモ書き師走妻 | 菜々 |
沢庵漬石に重さの書かれあり | なつき |
喋りたくなき人と会ふマスクかな | うつぎ |
温めて看取り戻りの一人鍋 | はく子 |
冬かもめ一湾花のごとく舞ふ | よし女 |
海風を受けて細りし雪ダルマ | こすもす |
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2014年12月08日 | |
梵僧の師走行脚の列長し | あさこ |
全容を池に映して紅葉山 | せいじ |
冬野菜あれこれ詰めて娘に送る | 三刀 |
母の手を引きて紅葉の嵐山 | せいじ |
群千鳥沖の潮目にまぎれけり | よし女 |
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2014年12月07日 | |
短日の足より暮るる立ち話 | なつき |
白桃のごとき日輪雪もよい | ひさ野 |
船頭の舟唄もよし炬燵舟 | 宏虎 |
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2014年12月06日 | |
フレームの戸を開けしより香にむせる | かず |
母縫ひしねんねこ躾糸のまま | よし女 |
うず高く雪積む里は無音界 | ひさ野 |
電飾におとぎの国よ冬木立 | 菜々 |
2014年12月05日 | |
着ぶくれて街頭に立つ見守隊 | 有香 |
フレームのカトレアよりもエビネ好き | かず |
救急車遠のく音のうそ寒し | 雅流 |
川涸るる水禍の痕をむき出しに | 雅流 |
降りしきる雪に旗降るガードマン | みちほ |
ちゃんちゃんこ快癒の夫へプレゼント | よし女 |
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2014年12月04日 | |
銭湯の帰り路照らす冬の月 | はく子 |
ぶり大根あらと謂へども氷見の鰤 | うつぎ |
酒蔵の杉玉匂ふ冬の雨 | 雅流 |
降りしきる雪に見送る尾灯かな | みちほ |
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2014年12月03日 | |
毘沙門へ紅葉散り敷く女坂 | はく子 |
吹き飛ばす眠気車窓の紅葉山 | こすもす |
マスクしてスッピンの顔隠しけり | よし女 |
干し物と隣りて並ぶ吊し柿 | さつき |
ここだけの話に倦みし日向ぼこ | 宏虎 |
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2014年12月02日 | |
寒波急地団駄踏みつ砂利の道 | なつき |
着ぶくれて巻き尾の犬に急かれおり | よう子 |
くさめして血圧計の小躍りす | よし女 |
大根煮て豆煮て主婦のひと日果つ | 菜々 |
返り花指差す車椅子の人 | うつぎ |
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2014年12月01日 | |
散紅葉池に友禅描きけり | はく子 |
黄落を降りかぶり舞ふ太極拳 | なつき |
都府楼の礎石に座して日向ぼこ | さつき |
テキストを頼みに毛糸編みにけり | こすもす |
海光のあまねくわたる蜜柑狩 | あさこ |
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2014年11月30日 | |
剥製の猪が出迎え狩りの宿 | うつぎ |
田じまいの煙に埋る谷戸盆地 | さつき |
泳ぎ来る白鳥の水脈乱れざる | ともえ |
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2014年11月29日 | |
幼帝を祀るお宮へ七五三 | せいじ |
大根焚き椀を半分出る厚さ | なつき |
黄落の真っ只中に殉教碑 | さつき |
釣り舟のひしめく冬の壇ノ浦 | せいじ |
ダム湖とり囲み全山紅葉す | うつぎ |
2014年11月28日 | |
砂利道に万華鏡めく散紅葉 | せいじ |
黄落の並木の道をポストまで | よう子 |
小春日の岩場に競ふ釣り師どち | せいじ |
大き蓋湯気が持ち上ぐ大根焚き | なつき |
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2014年11月27日 | |
飛び交ひてひよ騒がしき甑岩 | 有香 |
売場はや赤が氾濫クリスマス | よし女 |
きりなしと愚痴こぼしつつ落葉掃く | はく子 |
いくたびも落葉蹴り上げ逆上がり | なつき |
白壁を斜めに走る蔦紅葉 | よし女 |
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2014年11月26日 | |
錦繍や花嫁を撮る浮見堂 | せいじ |
商店街ポインセチアが溢れけり | 三刀 |
小鳥来る千手をかざす神木に | なつき |
大き尻見せて逆立つ鴨をかし | 満天 |
コンビニのパン頬張りて日向ぼこ | ぽんこ |
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2014年11月25日 | |
末広に水脈引き進む鴨の陣 | 満天 |
残り火の舌がちょろちょろ焚火跡 | みちほ |
漁師小屋物干し竿に柿すだれ | なつき |
黄落の散敷く道の夕明かり | はく子 |
アイライン引き立たせゐるマスクかな | うつぎ |
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2014年11月24日 | |
よす波に打ち上げられし枯葉嵩 | ともえ |
夕しぐれ路地小走りす下駄の音 | 菜々 |
櫨紅葉石の宝殿荘厳す | かず |
縁側で新聞開く小六月 | うつぎ |
白銀の湖に水脈曳く夕鴨 | 三刀 |
魚市場土間は常濡れ冬ぬくし | 宏虎 |
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2014年11月23日 | |
櫨紅葉ひときは燃ゆる砦跡 | なつき |
家寒し母逝きてより鎖ししまま | よし女 |
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2014年11月22日 | |
木枯らしやコトコト煮込むタンシチュー | かず |
実南天たわわに揺るる厨窓 | あさこ |
熱燗やあらぬ本音を聞く羽目に | 宏虎 |
駆けやまぬ子らに広場の冬日燦 | こすもす |
里人は明智贔屓や冬ぬくし | 菜々 |