みのる選:2014年6月度
2014年06月27日 | |
草引きてマッサージ機に居眠りす | あさこ |
今朝植えし泥の匂ひの田んぼかな | さつき |
蛍舞ふ木立の闇の無音界 | よし子 |
|
2014年06月26日 | |
杉美林掠め掠めて夏燕 | 三刀 |
クレーン車の首を上下す雲の峰 | ひさ野 |
暮れてなほ明るき合歓の花明かり | みちほ |
青梅雨や能勢路も奥の村散居 | 雅流 |
みずかげろふ飛簷に揺るる亭涼し | 菜々 |
|
2014年06月25日 | |
赤き腹ゆすつてゐたり女郎蜘蛛 | なつき |
浮世絵の美女の眼差し涼しけれ | 三刀 |
異空間なせる玄室いと涼し | はく子 |
|
2014年06月24日 | |
手入れよきお庭も馳走夏料理 | こすもす |
明易し術後の痛み遠のきて | 菜々 |
蒼天へプール開きの声弾む | 満天 |
音ほどに降ってくれずや梅雨の雷 | 満天 |
浮世絵展へと列なせる日傘かな | よし女 |
まとまらぬ髪もて余す梅雨湿り | かず |
マジシャンの手元あやしき梅雨じめり | なつき |
草刈ってグランドゴルフ始まりぬ | 雅流 |
|
2014年06月23日 | |
男梅雨蓮の葉畳打ち止まず | 菜々 |
谷渡る風に機嫌や合歓の花 | 有香 |
暮るるまで少し間のあり合歓の花 | 有香 |
|
2014年06月22日 | |
広げ干す漁網に透ける夏の海 | こすもす |
星座よりこぼれ尾をひく蛍かな | なつき |
|
2014年06月21日 | |
手抜きとはもってのほかや冷奴 | はく子 |
白南風や組み立て進む浜の茶屋 | こすもす |
麦の風入れて電車は離合まち | なつき |
風通ふ窓辺の卓の涼しさよ | せいじ |
恋蛍縺れつつ消ゆ樹間かな | ともえ |
山ホテル軒は燕の巣の銀座 | ひかり |
梅雨冷えや機嫌の悪き膝撫づる | かず |
朝取りの茄子の雨滴はアメジスト | 菜々 |
2014年06月20日 | |
誰もみな小声で話す蛍狩 | よし子 |
東雲の山深きよりホトトギス | ひかり |
水鏡して蛍火の縺れけり | うつぎ |
日盛りへ水一杓す六地蔵 | ぽんこ |
|
2014年06月19日 | |
館暑し文楽人形乱れ髪 | こすもす |
空谷の奈落へ落つる蛍あり | うつぎ |
茄子とまと熟れて賑はふ農日誌 | 菜々 |
馥郁といふことばあり琵琶熟るる | かず |
|
2014年06月18日 | |
離陸機を呑み込む梅雨の雲厚し | 三刀 |
な踏みそ蛍火一つ足下に | ひかり |
草笛を吹けば寄り来る牧の牛 | 治男 |
蛍の夜昔がたりに更けにけり | うつぎ |
|
2014年06月17日 | |
駅長の趣味といふ池鯉涼し | はく子 |
雨を得て紫陽花威儀を正しけり | 三刀 |
泊月の碑に佇めば樹下涼し | 雅流 |
梅漬ける母の秘伝の塩加減 | 菜々 |
|
2014年06月16日 | |
抱くほどの百合の花束職引く日 | なつき |
ぽつぽつと縁濡れそぼつ青時雨 | みちほ |
学舎の終鐘ひびく夕涼し | よし女 |
天蓋の梢洩る日や滝の径 | 雅流 |
|
2014年06月15日 | |
玉雫とどめて揺るる蜘蛛の糸 | みちほ |
サーブ打つ球の重さや梅雨湿り | ぽんこ |
白シャツの卒寿がタクト振りにけり | さつき |
白杖に径譲りもす菖蒲園 | よし女 |
厚き雲払ふすべなし梅雨の富士 | せいじ |
木の橋の欄に憩ひて風涼し | あさこ |
本に飽きパソコンに倦む梅雨籠 | うつぎ |
|
2014年06月14日 | |
絵手紙の涼し胡瓜のはみ出して | 満天 |
格子戸に覗く夏衣は黄八丈 | かず |
葉と同化して身じろがぬ梅雨の蝶 | さつき |
雪の下埋めつくせしなぞへかな | あさこ |
畦道を明るふしたり花菖蒲 | ひさ野 |
2014年06月13日 | |
絶えま無き早瀬の音や夕蛍 | 三刀 |
ジョギングの堤の茅花流しかな | さつき |
庭花の白が主役や風涼し | みちほ |
どこまでも栗の花咲くローカル線 | うつぎ |
|
2014年06月12日 | |
アトリエの涼し鉛筆よく走る | さつき |
梅雨の月厚き雲間を縫ひにけり | はく子 |
一幅の涼し大きな鯉はねて | よし子 |
|
2014年06月11日 | |
梅雨晴間唸りを上げる草刈り機 | うつぎ |
捨て甕を伏せし染屋の木下闇 | なつき |
車椅子の先へ先へと夏の蝶 | 菜々 |
|
2014年06月10日 | |
夏空へ槌音高く棟上がる | 菜々 |
花栗の香や筒抜けの裏戸より | 雅流 |
のど仏上へ下へとビールほす | 三刀 |
若竹にひかり散りばめ雨あがる | 満天 |
雨音に和して合唱雨蛙 | よし子 |
|
2014年06月09日 | |
白無垢のごと清楚なる花菖蒲 | ひかり |
白雲の過ぎりゆく空花楝 | うつぎ |
からからの喉にラムネの泡弾け | なつき |
昏れてなほひときわ白き藻花かな | ともえ |
|
2014年06月08日 | |
大津絵の鬼の泣き顔梅雨じめり | よし子 |
薫風や大縄跳びの息そろふ | はく子 |
|
2014年06月07日 | |
雨晴れてより紫陽花の艶ましぬ | 満天 |
空豆のスープに浮かすパンの耳 | よし女 |
2014年06月06日 | |
雨降って紫陽花姿勢正しけり | 満天 |
女子アナは和服で取材菖蒲園 | よし女 |
色褪せしサッカーボール梅雨に蹴る | 三刀 |
草矢うつ小さくなりし夫の背へ | 菜々 |
通勤のたびに確かむ燕の子 | なつき |
茄子の花水やり日課おこたらず | 宏虎 |
比翼塚濡らす卯の花腐しかな | 菜々 |
毛虫見てよりむず痒き後ろ頸 | うつぎ |
|
2014年06月05日 | |
侵入のどぜうに騒ぐ蝌蚪の国 | なつき |
ゆきわたる棚田の水に風あそぶ | 雅流 |
梅雨の雲天蓋なせる京盆地 | せいじ |
老鶯や嶮磴に息整へむ | はく子 |
|
2014年06月04日 | |
睡蓮の花の躍るは鯉ならむ | せいじ |
雑魚寝なる船室の窓明易し | はく子 |
搾乳の音の涼しき牛舎かな | ひさ野 |
|
2014年06月03日 | |
八分の一の西瓜がよく売るる | 満天 |
引戸また機嫌斜めや梅雨に入る | うつぎ |
|
2014年06月02日 | |
青嵐萍畳落ち着かず | せいじ |
薔薇意地悪撮らんとすればそっぽ向き | ぽんこ |
石庭の主峰を好む夏の蝶 | よし子 |
片陰に尽きることなき立ち話 | 満天 |
肩車されて実梅をもぐ子かな | よし女 |
|
2014年06月01日 | |
礁におく昼餉気にしつ潮干狩 | なつき |
茄子胡瓜育てて余生恙なし | 満天 |
|
2014年05月31日 | |
庭に得し初なり胡瓜仏前へ | 菜々 |
2014年05月30日 | |
野良猫の居眠る蔵の片陰に | よし子 |
偕老の二人が潜る薔薇アーチ | ぽんこ |
緑陰に昼餉どきなる郵便夫 | よし女 |
絵図を手に女郎塚訪ふ街薄暑 | 満天 |
|
2014年05月29日 | |
青葉木莵育む神の大けやき | 雅流 |
無縁墓灼けて片寄せられにけり | 菜々 |
城跡に残る土塁や草葎 | よし子 |
石庭の岩から岩へ蝶あそぶ | 満天 |
余花に逢ふ信濃めぐりのバスの旅 | ぽんこ |
|
2014年05月28日 | |
白壁が囲む石庭柿若葉 | 満天 |
時鳥ないて家路へ急かせけり | 有香 |
緑蔭に半跏趺坐なる石仏 | うつぎ |
薔薇園に薔薇のかほりの氷菓食ぶ | なつき |
バクダンに非ずポン菓子祭路地 | あさこ |
|
2014年05月27日 | |
手におどる土つきらつきょ洗ひけり | 満天 |
青梅雨のきらめき落つる鎖樋 | うつぎ |
|
2014年05月26日 | |
頼る木のありて山藤高きかな | ひさ野 |
青葉木莵名の大槻へ今年また | 雅流 |
昼網の大漁に立つ活気かな | 宏虎 |
万緑を二分ケしたるロープウエイ | さつき |
畑仕事今日はやすめと雨蛙 | よし女 |
野良仕事励め励めと時鳥 | 三刀 |
呪文聴くごとき祝詞や薫風裡 | 菜々 |
|
2014年05月25日 | |
春昼の仮設住宅人を見ず | せいじ |
新しき鈴の緒成りて宮若葉 | はく子 |
八つ橋を杖つく母に日傘さす | なつき |
ゴーヤはや張りしネットに蔓のばす | うつぎ |
菜園にはや人影や明易き | さつき |
万緑にひびく神鼓や楠公祭 | 菜々 |
初生りのトマトを贅に朝の卓 | よし女 |
|
2014年05月24日 | |
長汀の白砂踏みゆく夏帽子 | 三刀 |
早苗田の正しきすじめ風そよぐ | ひさ野 |
佇つ吾に舞ひ寄る蝶は亡き子かも | あさこ |
鉄線花蔓ぐちゃぐちゃに縺れけり | よし子 |
子ら駈ける渚よ蟹も走りけり | よし女 |
老鶯や四阿借りてミニ句会 | きづな |
工場のとんがり屋根や麦の秋 | なつき |